2025年（令和7年度）太田市浄化槽設置補助金の概要
群馬県太田市では、生活排水による河川などの水質汚濁を防止し、生活環境の保全を図るため、下水道などが整備されていない地域で合併処理浄化槽を設置する方に対し、費用の一部を補助する「浄化槽設置整備事業補助金」制度を実施しています。この制度を活用することで、浄化槽の設置にかかる初期費用を大幅に抑えることが可能です。
■ この記事のポイント
- 対象：太田市内の下水道等未整備区域に専用住宅を所有し、10人槽以下の浄化槽を設置する方
- 補助額：最大423,000円（転換設置・10人槽の場合）
- 追加補助：宅内配管工事費として最大300,000円の上乗せあり
- 申請時期：令和7年4月1日から受付開始予定（予算に達し次第終了）
- 重要事項：必ず工事の着工前に申請が必要です。
浄化槽補助金とは？太田市の制度目的と背景
そもそも「浄化槽補助金」とは、どのような制度なのでしょうか。ここでは、制度の目的や浄化槽の種類について解説します。
なぜ浄化槽の設置に補助金が出るのか？
家庭から出る生活排水（台所、風呂、洗濯、トイレなど）は、適切に処理されないまま川や海に流されると、水質汚濁の大きな原因となります。下水道が整備されている地域では、生活排水は下水処理場でまとめてきれいにされますが、未整備の地域では各家庭で排水を処理する必要があります。
その役割を担うのが「浄化槽」です。特に、すべての生活排水を処理できる「合併処理浄化槽」の普及は、地域の水環境を守る上で非常に重要です。太田市では、この合併処理浄化槽の設置を促進し、公衆衛生の向上と生活環境の保全を目的として、設置費用の一部を補助しています。
この取り組みは、環境省が推進する「浄化槽整備事業」の一環でもあり、国、県、市が連携して財源を負担しています。
合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の違い
浄化槽には大きく分けて2つの種類があります。補助金の対象となるのは「合併処理浄化槽」のみです。
| 種類 | 処理できる排水 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合併処理浄化槽 （補助対象） | トイレ、台所、風呂、洗濯など全ての生活排水 | 生活排水全体の汚れを90%以上除去できる。現在の主流であり、環境負荷が小さい。 |
| 単独処理浄化槽 （みなし浄化槽） | トイレの排水（し尿）のみ | 台所や風呂などの生活雑排水は未処理のまま放流される。2001年4月から新規設置が原則禁止されている。 |
現在、単独処理浄化槽や汲み取り式トイレを使用している家庭が合併処理浄化槽へ切り替える「転換」は、特に手厚い補助の対象となっています。
補助金額はいくら？人槽・設置方法別の詳細
太田市の補助金額は、浄化槽の大きさ（人槽）と、設置の方法（新規設置か転換設置か）によって異なります。住宅の延べ床面積に応じて、設置すべき浄化槽の人槽が定められています。
| 項目 | 補助限度額 | |
|---|---|---|
| 新規設置 （更地への新築など） | 5人槽（延床面積130㎡以下） | 123,000円 |
| 7人槽（延床面積130㎡超） | 159,000円 | |
| 10人槽（二世帯住宅など） | 211,000円 | |
| 転換設置 （単独処理浄化槽・汲み取り槽からの入替） | 5人槽 | 246,000円 |
| 7人槽 | 318,000円 | |
| 10人槽 | 423,000円 | |
| 宅内配管工事費補助 （転換設置の場合のみ） | 最大 300,000円 | |
| 撤去費用補助 （転換設置の場合のみ） | 最大 100,000円 | |
補助金の対象となる条件【完全チェックリスト】
補助金を受けるためには、申請者、住宅、工事内容のすべてが市の定める条件を満たしている必要があります。申請前に必ず確認しましょう。
対象となる住宅と区域
- 太田市内にある専用住宅（主に居住の用に供する建物）。店舗等併用住宅の場合は、居住部分の面積が2分の1以上であること。
- 設置場所が、下水道事業計画区域、農業集落排水事業採択区域、コミュニティ・プラント整備事業採択区域「以外」であること。
- ただし、下水道事業計画区域内であっても、当分の間、下水道が整備されないと市長が認める区域は対象となる場合があります。
対象となる浄化槽と工事
- 処理対象人員が10人以下の浄化槽であること。
- 環境配慮型浄化槽（BOD除去率90%以上、放流水のBODが20mg/L以下の機能を有するもの）であること。
- 補助金の交付決定後に着工し、年度内に工事を完了させること。
補助対象外となるケース（主なもの）
- 補助金の交付決定前に工事に着手した場合。
- 販売や賃貸など、営利目的で浄化槽付き住宅を建築する場合。
- 住宅を借りている方で、所有者（賃貸人）の承諾が得られない場合。
- 浄化槽法に基づく設置届出の審査や、建築基準法に基づく確認を受けずに浄化槽を設置する場合。
- 過去にこの補助金を受けて設置した浄化槽を、法定耐用年数（10年）を経過せずに更新する場合。
浄化槽補助金の申請から交付までの流れ（いつもらえる？）
補助金の申請手続きは、工事の契約や着工前に開始する必要があります。大まかな流れを把握し、計画的に進めましょう。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| STEP 1 事前相談・業者選定 | 市役所の下水道課に補助対象区域かを確認。複数の指定工事業者から見積もりを取得し、依頼する業者を決定する。 | この段階で補助金申請の意向を業者に伝え、手続きのサポートを依頼するのがスムーズです。 |
| STEP 2 交付申請【工事着工前】 | 必要書類を揃え、太田市下水道課へ「補助金交付申請書」を提出する。 | 申請は工事着工前が絶対条件です。通常は工事業者が代行してくれます。 |
| STEP 3 審査・交付決定 | 市が申請内容を審査し、適正と認められれば「補助金交付決定通知書」が申請者に送付される。（通常2週間程度） | この通知書が届いてから、初めて工事に着手できます。 |
| STEP 4 浄化槽設置工事 | 交付決定の内容に基づき、浄化槽の設置工事を実施する。 | 市の担当者が工事の状況を確認に来ることがあります。 |
| STEP 5 実績報告【工事完了後】 | 工事完了後、30日以内または当該年度の3月31日のいずれか早い日までに「実績報告書」を提出する。 | 工事写真や領収書の写しなどが必要になります。 |
| STEP 6 完了検査・額の確定 | 市が実績報告書と現地の状況を検査し、補助金額を確定。「補助金確定通知書」が送付される。 | 書類と実際の工事内容に相違がないか確認されます。 |
| STEP 7 補助金の請求・受領 | 「補助金交付請求書」を市に提出する。後日、指定した金融機関の口座に補助金が振り込まれる。 | 請求書提出後、おおむね1ヶ月程度で振り込まれるのが一般的です。これが「いつもらえるか」の答えとなります。 |
申請に必要な書類一覧と準備のポイント
申請には多くの書類が必要です。不備があると手続きが遅れる原因になるため、工事業者と連携しながら漏れなく準備しましょう。
交付申請時（STEP 2）の主な必要書類
| 書類名 | 入手先・備考 |
|---|---|
| 太田市浄化槽設置整備事業補助金交付申請書 | 市の公式サイトからダウンロード、または下水道課窓口で入手。 |
| 審査期間を経過した浄化槽設置届出書の写し又は建築確認通知書の写し | 保健所や建築指導課で手続きした書類の控え。 |
| 設置場所の位置図（案内図） | 住宅地図などのコピー。 |
| 配置配管図 | 敷地内の建物の配置、浄化槽の設置場所、配管の経路がわかる図面。 |
| 浄化槽設置工事の見積書の写し | 工事費用の内訳がわかるもの。 |
| 浄化槽の構造図（仕様書） | メーカーが発行するもの。 |
| 市税等に滞納がないことを証明する書類（納税証明書など） | 市の税務課などで取得。 |
| その他市長が必要と認める書類 | （例：住宅の所有者が申請者と異なる場合は承諾書など） |
この他にも、実績報告時や請求時には別途書類が必要となります。詳細は市の担当窓口や工事業者にご確認ください。
補助金と税金の関係（確定申告は必要？）
浄化槽設置補助金を受け取った場合、税金の取り扱いはどうなるのでしょうか。これはGoogleサジェストでもよく検索される関心事です。
国や地方公共団体から支給される補助金は、原則として「一時所得」として扱われます。一時所得には年間50万円の特別控除があるため、その年に受け取った他の一時所得（生命保険の一時金や懸賞金など）との合計額が50万円を超えない場合は、課税対象とはならず、確定申告も不要です。
しかし、合計額が50万円を超える場合は、超えた金額の2分の1が他の所得と合算され、所得税の課税対象となるため確定申告が必要です。
■ ポイント
- 浄化槽補助金は「一時所得」に分類される。
- 他の一時所得と合わせて年間50万円以下なら申告不要。
- 50万円を超えると確定申告が必要になる場合がある。
個別の状況によって取り扱いが異なる可能性があるため、詳しくは管轄の税務署または税理士にご相談ください。
よくある質問 (Q&A)
太田市の浄化槽補助金に関して、よく寄せられる質問をまとめました。
まとめ：太田市の補助金を活用して快適な生活環境を
太田市の浄化槽設置補助金は、下水道未整備区域にお住まいの方が、環境にやさしい合併処理浄化槽を導入する際の大きな助けとなる制度です。特に単独処理浄化槽や汲み取り式トイレからの転換は、高額な補助が受けられるチャンスです。
ただし、補助金を受けるには「工事着工前の申請」をはじめ、多くの条件や手続きが必要です。この記事を参考に全体像を把握し、まずは市の担当窓口や専門の工事業者に相談することから始めてみてください。
お問い合わせ先
本制度に関するご不明点は、以下の公式窓口へお問い合わせください。
- 実施機関: 太田市 都市政策部 下水道課 施設係
- 住所: 〒373-8718 群馬県太田市浜町2番35号
- 電話番号: 0276-47-1949
- 受付時間: 平日 午前8時30分～午後5時15分
- 公式サイト: 太田市浄化槽設置整備事業補助金について