東京都の中小企業等が従業員に対して行う、短時間のスキルアップ研修を支援する「令和7年度 事業内スキルアップ助成金」の募集が開始されています。自社で企画した社内研修(OFF-JT)に対し、受講者数と時間数に応じた助成金が支給されます。最大150万円の受給が可能で、従業員の能力開発と定着率向上を目指す企業にとって見逃せない制度です。
この記事でわかること
- 助成金の計算方法と最大受給額
- 対象となる研修・ならない研修の具体的境界線
- 申請から交付までの詳細なスケジュール
- 審査をスムーズに通すための書類作成のコツ
この補助金の概要・ポイント
「事業内スキルアップ助成金」は、公益財団法人東京しごと財団が実施する制度です。外部の教育機関に派遣するのではなく、自社で企画・実施する研修(社内講師や外部講師を招いた研修)が対象となります。特に1研修あたり10時間未満の「短時間研修」を対象としている点が特徴です。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額: 最大150万円(事業外スキルアップ助成金と合算)
- 助成単価: 受講者1人1時間あたり760円
- 対象者: 都内に本社または主たる事業所がある中小企業等
- 申請期限: 令和8年2月28日まで(研修開始の1ヶ月前までに申請必須)
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者
都内で事業を営む中小企業、または中小企業で構成される団体が対象です。いわゆる「みなし大企業」は対象外となるため注意が必要です。
※資本金または従業員数のいずれか一方を満たせば対象となります。
助成金額の詳細と計算式
本助成金は、実際にかかった経費の補填ではなく、実施した研修の実績(人数×時間)に基づいて定額が支給される仕組みです(企業の場合)。これにより、社内講師を活用した場合でも助成を受けることが可能です。
【計算例】
従業員10名に対して、5時間の研修を実施した場合
10名 × 5時間 × 760円 = 38,000円
助成対象となる研修の要件
研修の必須条件
特に注意すべきNG事例
- 録画された動画を視聴するだけのeラーニング(双方向性がないため不可)
- 接遇マナーや一般教養など、専門性が低いと判断されるもの
- 業務時間外に行われた研修(必ず所定労働時間内に実施し、賃金を支払うこと)
申請から受給までの流れ
この助成金は「事前申請」が原則です。研修開始の1ヶ月前までに申請を完了させる必要があります。
1
交付申請(研修開始の1ヶ月前まで)
Jグランツ(電子申請)または郵送で申請書類を提出します。研修計画やカリキュラム、講師の選定理由などを記載します。
2
審査・交付決定
東京しごと財団による審査が行われ、問題なければ交付決定通知が届きます。これ以降、研修の実施が可能になります。
3
研修の実施
計画通りに研修を実施します。実施時は出席簿の管理や、研修風景の写真撮影(証拠として必要)を忘れずに行います。
4
実績報告
研修終了後、所定の期限内に実績報告書を提出します。受講者の出席状況や賃金台帳の写しなどを添付します。
5
助成金の受給
実績報告の審査完了後、確定通知が届き、指定口座に助成金が振り込まれます。
審査で確実に採択されるためのコツ
事業内スキルアップ助成金は要件を満たせば採択されやすい制度ですが、計画の不備による不採択も散見されます。
計画作成時のチェックポイント
- カリキュラムの具体性
「営業研修」といった漠然とした名称ではなく、「提案型営業におけるヒアリング技術の習得」など、具体的なスキルが分かる名称と内容にする。 - 講師の専門性
社内講師の場合、その講師が指導するのに十分な経験や資格を持っていることを申請書でアピールする必要があります。 - 業務との関連性
受講者の現在の業務、または将来就く予定の業務と、研修内容が直結していることが必須です。
よくある失敗・注意点
- 申請期限切れ → 対策: 研修開始日の「前日」ではなく「1ヶ月前」が締切です。余裕を持って準備しましょう。
- 受講率不足 → 対策: 総研修時間の8割以上の受講が支給要件です。欠席者が出ないようスケジュール調整を徹底してください。
- 残業代の未払い → 対策: 研修時間も労働時間です。所定労働時間外に行う場合は割増賃金の支払いが必要ですが、本助成金は原則「所定労働時間内」の実施を推奨しています。
必要書類チェックリスト
活用事例・想定シーン
IT・ソフトウェア業
新技術習得研修
社内のシニアエンジニアを講師とし、若手社員向けに最新のプログラミング言語研修を実施。外部研修費をかけずに助成金を活用。
製造業
安全管理・品質向上
工場長が講師となり、現場スタッフ全員に対して品質管理(QC)手法の研修を実施。業務時間内に行い、賃金相当分をカバー。
介護・福祉
専門ケア技術研修
外部の専門家を招き、認知症ケアの実践研修を施設内で開催。スタッフの移動時間を削減しつつ、専門スキルを向上。
よくある質問(FAQ)
Q
社長や役員も受講者になれますか?
代表者や個人事業主本人は対象外です。役員については、雇用保険に加入しており、従業員としての身分を併せ持っている場合(兼務役員)のみ対象となる可能性があります。
Q
1回の研修が2時間でも対象になりますか?
いいえ、1研修あたりの総研修時間は「3時間以上」である必要があります。ただし、1.5時間を2回実施して合計3時間とするような、複数日程での実施は認められます(1回あたり30分以上が必要)。
Q
オンライン研修(Zoom等)は対象ですか?
はい、同時かつ双方向で行われるオンライン研修は対象です。ただし、録画された動画を好きな時間に見るオンデマンド形式は対象外です。また、受講確認のためログやスクリーンショットの保存が必要です。
Q
国の「人材開発支援助成金」と併用できますか?
同一の研修について、国や他の地方公共団体から助成を受けている場合は対象外となります。重複受給はできません。
Q
申請は何回でもできますか?
はい、上限額(150万円)に達するまでは複数回の申請が可能です。ただし、一度に複数の研修をまとめて申請することも推奨されています。
まとめ
令和7年度の事業内スキルアップ助成金は、都内中小企業の人材育成を強力にバックアップする制度です。社内研修に対して「時間×人数」で助成される使い勝手の良さが魅力ですが、事前の計画申請が必須である点に注意が必要です。
申請期限は令和8年2月28日までですが、予算上限に達する可能性もあるため、研修計画が決まり次第、早めの申請をおすすめします。
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