京都市では、台風や豪雨による倒木被害を未然に防ぐため、民家や道路に被害を及ぼす恐れのある「危険木」の伐採費用を補助する「京都市危険木等伐採支援事業」を令和7年度(2025年度)も実施します。本制度は、危険木を所有する個人だけでなく、被害を受ける恐れのある近隣住民や自治会も申請可能です。補助率は費用の75%、最大30万円(要伐採木の場合は最大100万円)が助成されます。本記事では、対象となる木の判定基準や、申請手続きの具体的な流れ、注意すべき「対象外経費」について、専門的な視点から徹底解説します。
この記事でわかること
- 自宅裏山や隣地の「危険木」を伐採する際の補助金額と計算方法
- 補助対象となる「危険木」の具体的な6つの判定基準
- 申請から伐採完了までの詳細なステップと必要書類
- 伐採した木の「処分費用」が対象外となる注意点と対策
この補助金の概要・ポイント
「京都市危険木等伐採支援事業」は、市民生活の安全確保を目的とした制度です。森林法に基づく地域森林計画の対象森林内にあり、倒木によって住宅や道路に直接的な被害を与える恐れがある樹木が対象となります。特徴的なのは、木の所有者だけでなく、被害を受ける恐れのある隣接地の住民も(所有者の承諾があれば)申請できる点です。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額: 土地1筆あたり最大30万円(要伐採木は最大100万円)
- 補助率: 対象経費の75%(4分の3)以内
- 対象者: 危険木の所有者、被害を受ける恐れのある者、自治会等
- 申請期間: 2025年5月1日(木)~2026年1月30日(金)
予算には限りがあり、期間内であっても予算上限に達した時点で受付が終了するため、早めの相談と申請が推奨されます。特に台風シーズン前後は相談が増加する傾向にあります。
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者・個人
本事業は、個人、法人、団体を問わず申請可能です。特に「被害を受ける恐れのある者」も対象となる点が重要で、隣家の危険木に悩んでいる場合でも、所有者の同意を取り付けることで自ら申請し、伐採を進めることができます。
危険木の判定基準(6つのチェックポイント)
補助対象となるには、以下のいずれかの症状に該当し、かつ「地域森林計画の対象森林内」に存在する必要があります。ご自身の所有する山林が対象エリアかどうかは、区役所等の窓口で確認できます。
- (1) 空洞:幹に空洞があり、幹周の1/3以上または幹径の1/3以上の深さがある。
- (2) 亀裂:幹に亀裂があり、幹径の1/3以上の深さまで達している。
- (3) 腐朽:幹や根元にキノコが生えている(内部腐朽のサイン)。
- (4) 枯れ:紅葉・落葉期以外に葉の大部分が変色または落ちている。
- (5) 病害虫:幹に虫食いの跡(食痕)や樹皮の剥がれ、根元に木くず(フラス)がある。
- (6) 傾倒:周囲の木と比べて不自然に大きく(概ね20度以上)傾いている。
補助金額・補助率の詳細
補助金額は、実際にかかる経費(税抜)の75%が基準となります。ただし、土地1筆ごとに上限額が設定されています。
【計算例】
伐採・集積の見積額が30万円(税抜)の場合
30万円 × 75% = 22万5千円 が補助されます。
見積額が50万円(税抜)の場合
50万円 × 75% = 37万5千円ですが、上限が30万円のため、補助額は 30万円 となります。
※「要伐採木」について:倒木により送配電施設や鉄道施設に被害を与える可能性が高く、施設管理者と自治会等が事前に伐採が必要と判断した樹木については、上限が100万円となります。これは特殊なケースですので、該当しそうな場合は必ず事前にご相談ください。
補助対象経費の詳細
対象となる経費・ならない経費
この補助金で最も注意が必要なのは、「伐採した木の搬出・処分費用は対象外」という点です。補助されるのは、木を切り倒し、現地の安全な場所に集める(現場集積)までの費用に限られます。
経費に関する注意事項
- 伐採した木を現地に置いておくスペースがない場合、搬出処分費は全額自己負担となります。
- 見積書を取得する際は、「伐採・集積」と「搬出・処分」の金額を明確に分けてもらう必要があります。
申請から採択までの流れ
本事業は「事業計画の承認」と「交付申請」の2段階の手続きが必要です。いきなり伐採を依頼するのではなく、まずは区役所への相談からスタートします。
1
事前相談・見積もり取得
危険木が所在する区役所・支所の地域力推進室へ相談します。並行して、業者から見積書(2者以上推奨)を取得します。
2
事業計画書の提出
区役所へ「事業計画書」を提出します。写真や位置図、見積書などを添付します。市が内容を審査し、承認通知書を発行します。
3
交付申請書の提出
計画承認後、農林振興室へ「補助金交付申請書」を提出します。
4
交付決定・事業着手
「交付決定通知書」が届いてから、業者と契約し、伐採作業を開始します。※決定前の着手は対象外です。
5
完了報告・補助金請求
作業完了後、実績報告書(写真、領収書等)を提出。検査を経て補助金が振り込まれます。
採択されるためのポイント・コツ
本補助金は要件を満たせば採択されやすい性質のものですが、書類の不備や手順の間違いで不採択となるケースがあります。
審査でスムーズに承認を得るポイント
- 写真撮影を徹底する
「危険木の状態(空洞や傾き)」と「保全対象(家屋や道路)への危険性」が分かる写真を複数枚用意します。遠景と近景の両方があるとベストです。 - 見積書の内訳を明確にする
「伐採費」「集積費」「処分費」が混ざった「一式」見積もりはNGです。業者には補助金申請用であることを伝え、内訳を分けてもらいましょう。 - 相見積もりを取る
原則として2者以上の見積もりが必要です。適正価格であることを示すためにも、複数の業者に相談しましょう。 - 隣地所有者との調整
自分が所有者でない場合、所有者の承諾書が必須です。トラブル防止のため、早めに話し合いを行いましょう。
よくある失敗・注意点
- 交付決定前に作業してしまった → 対策: 絶対に「交付決定通知書」が届くまで契約・着工しないでください。事後申請は一切認められません。
- 処分費も出ると思っていた → 対策: 処分費は全額自己負担です。現地に置いて腐らせる(自然に還す)方法が可能か、業者と相談してください。
- 対象エリア外だった → 対策: 「地域森林計画対象森林」かどうか、事前に区役所で確認してください。市街地の庭木は対象外となることが多いです。
必要書類チェックリスト
活用事例・想定シーン
個人住宅
補助額 22.5万円
裏山の枯れ松が自宅屋根に倒れそうだったため伐採。見積もり30万円に対し、75%の補助を受けて自己負担を大幅に軽減。
自治会
補助額 30万円(上限)
通学路沿いの傾いた大木を自治会主導で伐採。所有者の同意を得て申請。総額50万円かかったが、上限30万円の補助を活用。
隣地トラブル解決
補助額 15万円
隣の空き家の木が自宅に迫っていた。所有者に連絡を取り、補助金利用を提案して承諾を得て、被害を受ける側が申請・実施。
よくある質問(FAQ)
Q
自分でチェーンソーを使って伐採した場合、人件費は出ますか?
いいえ、補助対象となるのは「業者への委託費」です。申請者自身や身内が作業を行った場合の人件費や謝金は対象外となります。必ず専門業者(造園業、林業事業体など)に依頼してください。
Q
伐採した木を薪として利用してもいいですか?
はい、可能です。伐採・集積までの費用が補助対象ですので、その後の木材の利用方法は自由です。薪ストーブの燃料として活用したり、地域で配布したりすることも問題ありません。
Q
庭の木が大きくなりすぎて危険なのですが、対象になりますか?
本事業は「地域森林計画の対象森林」が対象です。一般的に、住宅街の庭木は対象外となるケースが多いですが、山林に隣接している場合などは対象になる可能性があります。正確な区分は区役所で確認できます。
Q
申請から決定までどのくらい時間がかかりますか?
事業計画の承認審査に一定期間、その後の交付申請の審査に標準で20日程度かかります。書類のやり取りを含めると、相談から着工許可まで1〜2ヶ月程度見ておくのが無難です。緊急性が高い場合は、相談時にその旨を伝えてください。
Q
業者を紹介してもらえますか?
市役所が特定の業者を斡旋することはできませんが、森林組合や造園業の組合などの連絡先を教えてもらえる場合があります。インターネットで「京都市 伐採業者」などで検索し、相見積もりを取ることをお勧めします。
まとめ
京都市危険木等伐採支援事業は、台風などの災害時に倒木の被害を防ぐための重要な制度です。最大30万円(補助率75%)の支援を受けられるため、費用の負担を大きく減らすことができます。特に「搬出・処分費は対象外」である点と、「事前着手は厳禁」である点に注意が必要です。
危険木を放置すると、万が一倒木して他人の家屋や通行人に被害を与えた場合、所有者の責任が問われる可能性があります。この補助金を活用し、早めの対策を行うことを強くお勧めします。まずは、対象となるかどうかを含め、お近くの区役所・支所の地域力推進室へご相談ください。
この補助金の申請をお考えの方へ
申請手続きや業者選びに不安がある場合は、専門家への相談も有効です。安全な暮らしを守るため、まずは第一歩を踏み出しましょう。
免責事項: 本記事の情報は作成時点のものです。補助金の内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づいて行った申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。