【2025年】地域公共交通確保維持改善事業|補助率1/2・交通事業者/自治体・通年公募
補助金詳細
Details一般乗合旅客自動車運送事業者、地域公共交通活性化再生法に基づく協議会、地方公共団体
地域公共交通計画、事業実施計画書、収支予算書等
運行経費、車両購入費、調査費、人材確保経費等
申請前チェックリスト
補助金概要
Overview人口減少や運転手不足、燃料価格の高騰により、地域の移動手段を守る公共交通機関の維持が極めて困難な状況にあります。国土交通省が所管する「地域公共交通確保維持改善事業」は、バス・タクシー・鉄道等の運行維持や、MaaS・自動運転といった新技術導入、バリアフリー化を支援する包括的な補助金制度です。本記事では、令和7年度(2025年)に向けた最新の制度動向や、富山県等の地方自治体・交通事業者が活用できる具体的な支援メニューを徹底解説します。
この記事でわかること
- 地域公共交通確保維持改善事業の全容と補助メニュー
- 赤字路線の維持や車両購入に対する具体的な補助率・金額
- MaaS、自動運転、DX/GXなど「リ・デザイン」関連の支援策
- 地方財政の現状を踏まえた自治体・事業者の連携ポイント
この補助金の概要・ポイント
「地域公共交通確保維持改善事業」は、地域住民の生活に不可欠な移動手段を確保・維持し、利便性を向上させるための取り組みを支援する国の制度です。単なる赤字補填にとどまらず、交通ネットワークの再構築(リ・デザイン)や、デジタル技術を活用した効率化(DX)、脱炭素化(GX)への投資も対象となります。
特に近年は、人口減少に伴う地方財政の逼迫(ひっぱく)や、能登半島地震のような大規模災害への対応、さらには運転手不足という深刻な課題に対し、国・自治体・事業者が連携して取り組む「共創」がキーワードとなっています。
この補助金の重要ポイント
- 補助対象: バス・タクシー・鉄道・離島航路等の運行経費、車両購入費、調査費等
- 補助率: 原則1/2(事業により1/3〜定額補助もあり)
- 対象者: 交通事業者、法定協議会、地方公共団体
- 特徴: 運行維持だけでなく、MaaSや自動運転、EVバス導入などの先進的取り組みも支援
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者・団体
本事業は、個別の交通事業者が単独で申請する場合と、地域公共交通活性化再生法に基づく「法定協議会」等が主体となって申請する場合があります。地域全体の交通ネットワークを最適化するため、自治体と事業者の連携が必須となるケースが大半です。
| 区分 | 条件・役割 | 対象可否 |
|---|---|---|
| 一般乗合旅客自動車運送事業者 | 広域的な幹線バス路線等を運行するバス事業者。 | ○ 対象 |
| 法定協議会 | 自治体、交通事業者、住民代表等で構成される協議会。地域内フィーダー系統や計画策定の主体。 | ○ 対象 |
| 地方公共団体 | 市町村や都道府県。コミュニティバスの運行主体や施設整備の実施主体として。 | ○ 対象 |
| 一般企業(交通以外) | 単独での申請は原則不可。MaaSプロジェクト等で協議会の一員として参画する場合はあり。 | △ 要連携 |
補助金額・補助率の詳細
支援メニューが多岐にわたるため、代表的な事業の補助率と上限額を紹介します。特に車両購入やシステム導入に関しては、要件によって補助率が変動します。
運行経費赤字補助
赤字額の1/2
※地域間幹線系統等
車両購入費補助
最大1,500万円
※ノンステップバス等の場合
主な支援メニューと補助率
- 地域間幹線系統確保維持費: 複数市町村にまたがる幹線バス路線の赤字分に対し、国が1/2、地方自治体が1/2を補助。
- 地域内フィーダー系統確保維持費: コミュニティバスやデマンド交通の運行経費赤字に対し、国が1/2以内を補助。
- 車両購入費補助: ノンステップバス(最大1,500万円)、小型車両(最大1,200万円)等の購入費の1/2〜1/3を補助。EVバス導入の場合は重点支援あり。
- 共創・MaaS実証プロジェクト: 新たなモビリティサービスの構築に対し、定額(上限1億円〜500万円)または補助率1/2〜2/3で支援。
補助対象経費の詳細
対象となる経費区分
| 経費区分 | 内容・具体例 | 対象 |
|---|---|---|
| 運行経費 | 人件費、燃料費、修繕費、保険料など、バス・タクシー等の運行に直接要する経費から収益を差し引いた赤字分。 | ○ |
| 車両購入費 | ノンステップバス、ユニバーサルデザインタクシー、EVバス等の車両本体価格および改造費。 | ○ |
| 調査・計画策定費 | 地域公共交通計画の策定、利用実態調査、MaaS実証実験にかかるシステム開発費や広報費。 | ○ |
| 人材確保経費 | 二種免許取得費用、採用活動費、女性ドライバー向け施設整備費など。 | ○ |
経費に関する注意事項
- 運行経費補助は「赤字額」が対象であり、黒字路線の経費は対象外です。
- 車両購入費は、バリアフリー対応や環境性能など、特定の要件を満たす車両に限られます。
- 地方財政の状況(総務省資料参照)を踏まえ、自治体負担分の予算確保が前提となるケースが多いため、早期の協議が必要です。
申請から採択までの流れ
本補助金は、単独で申請するよりも、地域の関係者が連携して計画を策定し、認定を受けるプロセスが重要です。一般的なフローは以下の通りです。
採択されるためのポイント・コツ
国土交通省は現在、単なる「維持」から「リ・デザイン(再構築)」への転換を強く推奨しています。以下の視点を計画に盛り込むことが重要です。
審査で高評価を得るポイント
- 「共創」の視点を取り入れる
交通事業者だけでなく、医療・福祉・教育・商業・観光など、他分野と連携した仕組み(貨客混載、病院送迎の統合など)を提案する。 - DX・GXの推進
キャッシュレス決済、AIオンデマンド交通、EVバス導入など、デジタル化や脱炭素化による効率化・利便性向上を盛り込む。 - 広域連携の視点
単独市町村だけでなく、生活圏が重なる近隣自治体と連携した「エリア一括協定運行」などを検討する。 - エビデンスに基づく計画
ビッグデータやアンケート調査を活用し、客観的なデータに基づいて路線の再編やダイヤ改正を提案する。 - 持続可能性の確保
補助金終了後も事業が継続できるよう、収益確保策(ネーミングライツ、広告収入等)やコスト削減策を明記する。
地方財政の現状と対策
総務省の「地方財政の状況」によると、地方公共団体の経常収支比率は高止まりしており、財政の硬直化が進んでいます。そのため、自治体単独での支援には限界があります。
- 対策: 国の補助金(交付税措置のあるものを含む)を最大限活用し、自治体の実質負担を軽減するスキームを提案する。
- 対策: 社会資本整備総合交付金など、他省庁や他の財源との組み合わせ(パッケージ支援)を検討する。
- 対策: 富山県の要望書にもあるように、燃料高騰対策や災害復旧支援など、緊急性の高い課題と絡めて支援を要請する。
必要書類チェックリスト
| 書類名 | 内容・備考 | 必須/任意 |
|---|---|---|
| 地域公共交通計画 | 法定協議会で合意形成されたマスタープラン。 | 必須 |
| 事業実施計画書 | 具体的な事業内容、収支予算、スケジュール等を記載。 | 必須 |
| 収支予算書の根拠資料 | 見積書、過去の決算書、輸送人員の実績データなど。 | 必須 |
活用事例・想定シーン
公共交通と住民のマイカーによる送迎(ノッカル)を組み合わせたMaaSを構築。アプリで予約・決済を一元化し、移動手段を確保。
路線バスの空きスペースを活用して地元の農産物や宅配便を輸送。物流の人手不足解消とバス路線の収益改善を同時に実現。
低速の電動車両(グリスロ)を導入し、観光客の周遊と高齢者の外出支援を両立。環境配慮型の交通としてGX補助を活用。
よくある質問(FAQ)
Q
赤字路線であればすべて補助対象になりますか?
Q
申請の締め切りはいつですか?
Q
富山県独自の支援策はありますか?
Q
運転手不足に対する支援はありますか?
Q
MaaSや自動運転の実証実験も対象ですか?
まとめ
地域公共交通確保維持改善事業は、地域の足を維持・再生するための強力な支援ツールです。単なる赤字補填にとどまらず、MaaSや自動運転、DX/GXといった未来志向の取り組みも手厚くサポートされます。地方財政が厳しい中、国の補助金を賢く活用し、持続可能な交通ネットワークを構築することが求められています。
申請には法定協議会での合意形成や計画認定など、長期的な準備が必要です。まずは管轄の地方運輸局や自治体の交通担当部署へ相談し、自社や地域に最適なスキームを検討しましょう。
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免責事項: 本記事の情報は作成時点のものです。補助金の内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づいて行った申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。