東京都は、「国際金融都市・東京」の実現に向け、革新的なテクノロジーやアイデアを持つフィンテック・スタートアップの成長を強力に後押ししています。本記事で解説する「フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業補助金」は、金融分野でのオープンイノベーションや新サービスの事業化を目指す企業に対し、最大400万円(補助率最大3分の2)を助成する制度です。令和7年4月から令和8年1月までの長期間にわたり随時申請を受け付けており、設立10年未満のスタートアップや、海外企業と連携する金融事業者にとって絶好の機会となります。
この記事でわかること
- 最大400万円の「事業化支援」と最大200万円の「イベント支援」の詳細
- 設立10年未満のフィンテック企業や金融事業者が対象となる条件
- 採択率を高めるための申請ポイントと過去の採択事例分析
- 随時受付のスケジュールと審査から交付までの具体的な流れ
この補助金の概要・ポイント
東京都が実施するこの補助事業は、フィンテック分野におけるイノベーション創出を目的としており、大きく分けて2つの支援策で構成されています。一つは、フィンテック企業と金融事業者の交流や協業を促進するイベント等を支援する「金融オープンイノベーション支援補助金」。もう一つは、具体的な金融サービスの開発や実証実験を支援する「金融サービス事業化支援補助金」です。
特に注目すべきは、スタートアップ企業が開発したサービスの「実用性検証」にかかる経費を幅広くカバーしている点です。また、申請期間が長く設けられており、随時受付方式を採用しているため、企業の開発スケジュールに合わせて柔軟に申請できる点も大きなメリットです。ただし、予算上限に達し次第終了となるため、早めの準備が推奨されます。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額: 最大400万円(事業化支援)、最大200万円(イベント支援)
- 補助率: 3分の2 または 2分の1(申請者の属性や過去の採択歴による)
- 対象者: 設立10年未満の都内フィンテック企業、金融事業者、イベント主催者
- 申請期限: 令和8年1月30日(金)まで(予算消化次第終了)
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者
本事業は、支援内容によって対象者が異なります。「金融サービス事業化支援補助金」は主に開発を行うスタートアップや金融機関向け、「金融オープンイノベーション支援補助金」はエコシステム形成のためのイベント主催者向けとなっています。
補助金額・補助率の詳細
補助金額と補助率は、申請する区分および過去の採択実績によって変動します。特にスタートアップ企業(設立10年未満)向けの支援が手厚くなっています。
区分ごとの詳細条件
補助対象経費の詳細
対象となる経費の例
本事業では、イノベーション創出に直接寄与する経費が対象となります。特に事業化支援においては、開発費や実証実験にかかる費用が広く認められる傾向にあります。
経費に関する注意事項
- 交付決定日より前に発注・契約・支払った経費は原則として対象外となります。
- 経費の支払いは、原則として銀行振込で行い、証拠書類(見積書、発注書、納品書、請求書、振込控等)を完備する必要があります。
- 自社内部での取引や、資本関係のあるグループ企業間での取引は対象外となる場合があります。
申請から採択までの流れ
本補助金は随時受付を行っていますが、審査会は概ね1~2か月ごとに開催されます。予算上限に達した時点で終了となるため、早めの申請が重要です。
1
申請書類の準備・提出
交付要綱・募集要領を確認し、事業計画書等の必要書類を作成します。提出は「Jグランツ」による電子申請、または郵送・持込が可能です。
2
審査会による審査
提出された書類に基づき、外部有識者等による審査会が行われます。革新性、実現可能性、波及効果などが評価されます。
3
交付決定・事業開始
採択されると交付決定通知が届きます。この日以降に発生した経費が補助対象となります。事業計画に基づき開発やイベントを実施します。
4
実績報告・確定検査
事業終了後、実績報告書と経費の証拠書類を提出します。東京都による検査が行われ、補助金額が確定します。
5
補助金の請求・受領
確定した金額を請求し、指定口座に補助金が振り込まれます。原則として後払いである点に注意してください。
採択されるためのポイント・コツ
東京都のフィンテック支援事業では、単なる技術開発だけでなく、「都民生活の利便性向上」や「金融業界全体の活性化」への貢献度が重視されます。過去の採択事例(Trust、MEME、MONO Investmentなど)を分析すると、AIなどの先端技術を活用し、具体的な課題解決を提示している企業が高く評価されています。
審査で高評価を得るポイント
- 具体的な課題解決の提示
「誰の」「どんな困りごと」を解決するのかを明確にします。例えば、MEME社の「スクペイ」は、学校の集金業務という具体的な事務負担を63%削減するという明確な成果目標を掲げています。 - 先端技術の実用性
AIやブロックチェーンなどの技術を使うだけでなく、それが実務でどう機能するか(精度、処理速度など)を検証する計画が必要です。Trust社やMONO Investment社は、AIの正答率や精度検証を数値で示しています。 - 協業・連携の具体性
金融機関や事業会社との連携が決まっている、あるいは具体的な交渉が進んでいることは大きな加点要素です。実証実験のフィールドが確保されていることをアピールしましょう。 - 東京都への波及効果
「国際金融都市・東京」構想への貢献や、都内中小企業のDX推進など、東京都の政策目標との合致を示すことが重要です。 - 実現可能なスケジュールと体制
開発期間や予算配分が現実的であること、プロジェクトを遂行できるチーム体制があることを示します。
よくある失敗・注意点
- [失敗例1] 技術アピールのみでニーズ不在 → 対策: ユーザーヒアリングや市場調査データを提示し、独りよがりな開発でないことを証明する。
- [失敗例2] 資金計画の甘さ → 対策: 補助金は後払いであることを理解し、つなぎ資金の確保状況や自己資金の裏付けを明確にする。
- [失敗例3] 法規制の確認不足 → 対策: 金融サービスは法規制が厳しいため、弁護士等の専門家の見解や、規制のサンドボックス制度の活用検討などを記載する。
必要書類チェックリスト
申請に必要な書類は多岐にわたります。東京都の公式サイトから最新の様式をダウンロードして準備してください。
活用事例・想定シーン
過去の採択実績(Axios Financial Technologies、Trust、Frich、MEME、MONO Investmentなど)を参考に、どのような事業が対象となるかイメージしてみましょう。
AI・データ分析
金融事務の自動化
契約書などの非定型データをAIで解析・構造化し、金融機関の事務負担を大幅に軽減するシステムの開発と精度検証。マルチモーダルAIの活用などが評価されます。
決済・家計管理
集金業務のDX
学校や地域の集金業務をアプリ化し、キャッシュレス決済と連携。教職員や保護者の負担を軽減し、実際の教育現場での実証実験を通じてユーザビリティを改善します。
資産運用・投資
AIアドバイザー
個人投資家向けに、AIチャットボットが資産運用の質問に回答するサービス。専門性の高い回答精度を検証し、金融リテラシー向上に貢献するモデルです。
よくある質問(FAQ)
Q
申請はいつまで受け付けていますか?
令和7年4月1日から令和8年1月30日まで随時受け付けています。ただし、予算の上限に達した場合は期間内であっても受付が終了するため、可能な限り早い段階での申請をお勧めします。
Q
Jグランツ(電子申請)を利用するには何が必要ですか?
Jグランツを利用するには「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。アカウント発行には2週間程度かかる場合があるため、申請直前ではなく余裕を持って手続きを行ってください。
Q
過去にこの補助金を受けたことがあっても申請できますか?
はい、申請可能です。ただし、令和4年度から令和6年度において補助金交付を受けた者が採択された場合、補助率が2分の1、上限額が200万円に調整される場合があります。詳細は募集要領をご確認ください。
Q
人件費は補助対象になりますか?
はい、本事業の実証的取組に直接従事する従業員の人件費は対象となる場合があります。ただし、他の業務との切り分けを明確にするため、業務日報等の管理が必要になります。
Q
海外企業との連携は必須ですか?
いいえ、必須ではありません。「設立10年未満のフィンテック企業等」の枠で申請する場合は、単独または国内企業との連携でも申請可能です。「金融事業者」が申請する場合に限り、海外フィンテック企業等との実証的取組が要件となります。
まとめ
東京都の「フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業補助金」は、最大400万円の支援を受けられるだけでなく、東京都のお墨付きを得て信用力を高めるチャンスでもあります。特に設立間もないスタートアップにとっては、開発費や実証実験費の負担を軽減できる貴重な制度です。
随時受付とはいえ、予算には限りがあります。事業計画の策定やパートナー企業との調整には時間がかかるため、今すぐ準備を開始し、早期の申請を目指しましょう。
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免責事項: 本記事の情報は作成時点のものです。補助金の内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づいて行った申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。