大分県由布市で事業を営む中小企業・個人事業主の皆様へ。物価高騰による経営環境の変化に対応するため、生産性向上や販路開拓に取り組む費用の一部を補助する「由布市中小企業等経営力強化支援事業」の公募が行われています。最大30万円の補助に加え、インボイス対応やDXに取り組む場合は補助率がアップする有利な制度です。本記事では、複雑な申請要件や「売上総利益率」の計算方法、採択されるためのポイントを専門家視点で徹底解説します。
この記事でわかること
- 最大30万円が支給される「生産性向上枠」と「販路開拓枠」の違い
- 申請の必須条件である「売上総利益率3ポイント減少」の計算方法
- インボイス転換事業者やDX活用による補助率優遇の仕組み
- 由布市商工会の支援を受けながら確実に採択を目指す申請フロー
この補助金の概要・ポイント
「由布市中小企業等経営力強化支援事業」は、物価高騰等の影響を受けている市内の中小企業者が、その状況を打開するために行う前向きな取り組みを支援する制度です。単なる赤字補填ではなく、「生産性向上」や「販路開拓」といった具体的なアクションに対して補助金が支給されます。
最大の特徴は、由布市商工会の伴走支援を受けながら事業計画を作成する点です。これにより、経営のプロのアドバイスを取り入れながら、実効性の高い計画を立てることができます。また、インボイス制度への対応やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進といった、国の政策トレンドに合致する取り組みには補助率が優遇される仕組みとなっています。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額: 最大30万円(生産性向上枠)、最大10万円(販路開拓枠)
- 補助率: 通常1/2(インボイス転換・DX活用等は2/3にアップ)
- 対象者: 由布市内の中小企業者で、物価高騰により利益率が圧迫されている事業者
- 申請期限: 令和7年1月31日(金)まで ※予算上限に達し次第終了
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者
本補助金の対象となるのは、中小企業基本法に規定する中小企業者(個人事業主を含む)です。ただし、単に市内にあればよいわけではなく、以下の要件をすべて満たす必要があります。
最重要:「売上総利益率」要件の解説
この補助金の申請で最もハードルとなるのが「売上総利益率の差が3%ポイント以上」という要件です。これは単に売上が下がったかどうかではなく、「利益率」が圧迫されているかを見ます。
計算式と判定基準
売上総利益率(%) = (売上高 - 売上原価) ÷ 売上高 × 100
比較対象:
「令和3年3月1日から直近1か月までのうち任意の1ヶ月」と「前年同月」を比較します。
例:
・2023年10月の利益率:25%
・2024年10月の利益率:21%
→ 差は4ポイント(3ポイント以上)なので対象となります。
※開業後3ヶ月以上1年未満の事業者の場合、前年比較ができないため、「直近1ヶ月」と「連続する3ヶ月の平均」を比較する特例計算が認められています。
補助金額・補助率の詳細
本事業には「生産性向上枠」と「販路開拓枠」の2つの枠があり、それぞれ補助上限額が異なります。また、特定の条件を満たすことで補助率が引き上げられます。
補助率の優遇措置(通常1/2 → 2/3)
通常、補助率は対象経費の1/2ですが、以下のいずれかに該当する場合は2/3に引き上げられます。自己負担を減らす大きなチャンスです。
- インボイス転換事業者: インボイス制度登録のため、令和6年度に非課税事業者から課税事業者に転換した事業者。
- DXを用いた取り組み: データやデジタル技術を活用して、業務フローやビジネスモデルを変革する取り組み(※生産性向上枠のみ対象)。
補助対象経費の詳細
補助金の対象となる経費は、事業の目的に沿ったものであり、かつ証拠書類(見積書、請求書、領収書等)によって金額や支払いが確認できるものに限られます。
対象となる経費の例
経費に関する注意事項
- 国、県、市が助成する他の補助金と重複する経費は対象外です。
- 「概ね1年以内に売上につながることが見込まれない事業」にかかる経費は対象外となります。即効性が求められます。
- 消費税等は補助対象経費に含まれません(税抜金額で計算)。
申請から採択までの流れ
本事業は「由布市商工会の支援を受けながら取り組む」ことが要件となっています。そのため、いきなり申請書を提出するのではなく、まずは商工会への相談からスタートします。
1
要件確認・商工会へ相談
まずは由布市商工会(庄内本所、挾間支所、湯布院支所のいずれか)に連絡し、事業の概要や要件適合性を確認します。売上総利益率の計算についても相談可能です。
2
事業計画の策定・書類準備
商工会の指導を受けながら、具体的な事業計画書を作成します。「何を導入し、どうやって売上を上げるか」を具体化します。並行して完納証明書などを取得します。
3
申請書の提出
必要書類を揃えて商工会へ提出します。先着順で予算がなくなり次第終了となるため、早めの提出が推奨されます。
4
審査・交付決定
提出された書類に基づき審査が行われます。要件を満たし、事業効果が見込まれると判断されれば「交付決定通知」が届きます。
5
事業実施・実績報告・入金
交付決定後に発注・支払いを完了させます。事業完了後、実績報告書を提出し、検査に合格すると補助金が指定口座に振り込まれます。
採択されるためのポイント・コツ
本補助金は要件を満たせば採択される可能性が高いですが、予算上限があるため「先着順」の側面と、事業計画の「質」の両方が重要です。
審査で高評価を得るポイント
- 1年以内の売上増を具体的に示す
要領に「概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業」は対象外と明記されています。「いつ、誰に、どうやって売るか」を明確にし、早期の成果が見込める計画にしましょう。 - 商工会との連携をアピール
商工会の経営指導員と相談しながら作成した計画は信頼性が高まります。独断で作成せず、アドバイスを積極的に取り入れましょう。 - 数値的根拠の提示
「売上が上がると思います」ではなく、「客単価が○円アップし、月間客数が○人増えるため、月○万円の増収」といった具体的な数字で示します。 - DXやインボイス対応の要素を盛り込む
補助率アップの要件でもありますが、これらの要素は事業の持続可能性を高めると評価されやすい傾向にあります。 - 見積書の精査
導入する設備やサービスの金額が適正であることを示すため、相見積もりを取るなどしてコスト意識を示しましょう。
よくある失敗・注意点
- [失敗例1] 交付決定前の発注 → 対策: 必ず「交付決定通知書」が届いてから発注・契約を行ってください。事後申請は認められません。
- [失敗例2] 汎用製品の購入 → 対策: パソコンや車両など、事業以外にも使えるものは原則対象外です。専用ソフトや改造費など、用途が限定されるものを選びましょう。
- [失敗例3] 期限ギリギリの相談 → 対策: 予算がなくなり次第終了となるため、締切日に関わらず早めに商工会へ相談しましょう。
必要書類チェックリスト
申請に必要な主な書類は以下の通りです。詳細は商工会で配布される公募要領をご確認ください。
活用事例・想定シーン
飲食業(販路開拓枠)
補助額 10万円
店舗売上が減少したため、新たにテイクアウト事業を開始。テイクアウト専用の容器開発費と、告知用のSNS広告費に活用。新規顧客の獲得に成功。
製造業(生産性向上枠・DX)
補助額 30万円
手書きで行っていた在庫管理をデジタル化するため、在庫管理システムを導入。DX要件を満たし補助率2/3を適用。業務時間が大幅に短縮され、生産性が向上。
小売業(生産性向上枠・インボイス)
補助額 30万円
インボイス制度対応に合わせて高機能POSレジを導入。免税事業者からの転換だったため補助率2/3が適用。会計処理の効率化と顧客データの分析が可能に。
よくある質問(FAQ)
Q
「生産性向上枠」と「販路開拓枠」は併用できますか?
いいえ、併用はできません。どちらか一方の枠を選択して申請する必要があります。自社の課題が「効率化」にあるのか「売上拡大」にあるのかを見極めて選択してください。
Q
個人事業主ですが、自宅兼事務所でも対象になりますか?
はい、対象になります。ただし、由布市内に主たる事業所および住所を有していることが条件です。また、経費については事業用と家事用が明確に区分できるものに限られます。
Q
申請期限はいつまでですか?
令和7年(2025年)1月31日(金)までとなっています。ただし、先着順で予算がなくなり次第終了となるため、期限に関わらず早めの申請をお勧めします。
Q
売上総利益率の計算が難しいのですが、どうすればいいですか?
由布市商工会へご相談ください。確定申告書や試算表を持参すれば、職員が要件に該当するかどうかの確認をサポートしてくれます。
Q
他の補助金(小規模事業者持続化補助金など)と併用できますか?
同一の事業内容(経費)で、国や県、市の他の補助金と重複して受給することはできません。ただし、全く別の事業内容であれば申請可能な場合がありますので、詳細は商工会へご確認ください。
まとめ
由布市中小企業等経営力強化支援事業は、物価高騰に苦しむ事業者にとって、経営改善の大きな一歩となる制度です。最大30万円の補助金は、新しい設備の導入や販路拡大の試金石として有効活用できます。特にインボイス対応やDXを検討している事業者にとっては、補助率2/3という好条件は見逃せません。
申請期限は令和7年1月31日までですが、予算上限があるため早期終了の可能性があります。まずは由布市商工会(庄内本所・挾間支所・湯布院支所)へ連絡し、自社が対象になるか確認することから始めましょう。
この補助金の申請をお考えの方へ
由布市商工会への早めのご相談をおすすめします。
庄内本所:097-582-0094 / 挾間支所:097-583-0235 / 湯布院支所:0977-84-2445
免責事項: 本記事の情報は作成時点のものです。補助金の内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づいて行った申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。