神奈川県は、脱炭素社会の実現と森林資源の循環を目的として、県産木材を活用した木造施設等の建築を支援する『神奈川県まちのもり創出事業補助金』の令和7年度公募を実施します。建築主が木造を選択することで得られる炭素排出抑制効果や炭素固定量に応じて、最大1,000万円の補助が受けられる極めて有益な制度です。
この記事でわかること
- 神奈川県まちのもり創出事業補助金の対象者と最大金額
- 炭素排出抑制・炭素固定量に基づく具体的な補助額の計算方法
- 住宅ローン『フラット35』との連携や認証ラベルの取得メリット
- 申請時に注意すべき県産木材の使用量や合法性の証明要件
- 採択率を高めるための準備と申請ステップの完全ガイド
神奈川県まちのもり創出事業補助金(令和7年度)の概要
本事業は、森林環境譲与税を財源とし、木造建築物の持つ『環境負荷の低さ』や『炭素固定機能』を県民に広く周知することを目的としています。建築主が鉄筋コンクリート造や鉄骨造ではなく木造を選択し、さらに神奈川県産の木材を積極的に使用することに対して、その環境価値を金銭的に補助する仕組みです。特に、法人による大規模な非住宅建築から、個人の注文住宅まで幅広く対象となっている点が特徴です。
補助対象となる建築主・事業者
本補助金の対象者は、神奈川県内で県産木材を3立方メートル以上使用した木造施設等を整備する『建築主』です。具体的には以下の主体が対象となります。
- 民間企業(株式会社、合同会社等)
- 一般社団法人、一般財団法人、NPO法人等の団体
- 個人(注文住宅の建築を検討している方)
- その他、県が適当と認める組織
注意:対象外となるケース
- 分譲住宅の購入者および建売住宅の建築主は対象外です。
- 県産木材の使用量が3立方メートル未満の場合は申請できません。
- 建築請負事業者あたりの補助件数は上限10戸(認証工務店は除く)の制限があります。
補助金額の算定基準とシミュレーション
補助額は一律ではなく、建物の規模(延床面積)と木材の使用量、そして県産材の比率によって算出されます。環境への貢献度をポイント化して金額に反映させる仕組みです。
【計算例】延床面積90平方メートルの一戸建住宅の場合
以下の条件で建築した場合の補助額シミュレーションです。
- 延床面積:90平方メートル
- 総木材使用量:17立方メートル
- うち、神奈川県産材:13立方メートル(残り4立方メートルは他県産国産材)
(2,000円×90平方メートル)+(4,000円×4立方メートル)+(8,000円×13立方メートル)= 300,000円
このように、県産材の使用量を増やすことで補助金額を大幅に引き上げることが可能です。上限は一戸建住宅で50万円、それ以外の施設(店舗、オフィス、保育園等)では1,000万円まで設定されています。
併用可能な特典と認定制度
本補助金の採択を受けると、資金面だけでなく、社会的信用の付与やローン金利の優遇といった付加価値も得られます。
1. 住宅ローン『フラット35』の金利優遇
一戸建住宅を建築する場合、住宅金融支援機構の『地域連携型(地域活性化)』メニューを活用できます。本補助金の対象となることで、フラット35の借入金利が一定期間引き下げられるため、総返済額の軽減につながります。
2. 認証ラベル・証明書の発行
環境貢献の証として、以下のラベルや認証が発行されます。
- 国産木材活用住宅ラベル:一戸建住宅に対して発行され、環境に配慮した住宅であることを証明できます。
- かながわ木づかいエコ認証:店舗やオフィス等の施設に対して発行されます。企業のESG投資やSDGsへの取り組みをPRする材料として活用可能です。
申請から交付までの5ステップ
1
事前相談と設計計画
建築家や工務店と協力し、県産木材を3立方メートル以上使用する設計案を作成します。合法性の確認ができる製材品の使用が必須条件です。
2
交付申請書の提出
2025年6月9日から11月28日までの期間に、必要書類を揃えて神奈川県森林再生課へ申請します。予算上限に達し次第終了となる可能性があるため、早めの申請が推奨されます。
3
審査・交付決定
県による審査が行われ、要件を満たしていれば交付決定通知が届きます。工事の着工は原則としてこの通知を受けた後に行う必要があります。
4
建築工事・実績報告
計画に基づき木造建築を行います。完了後、実際に使用した木材の納品書や写真などを添付し、実績報告書を提出します。
5
補助金の入金・認証取得
最終審査を経て、補助金が指定口座に振り込まれます。あわせて認定ラベルや認証書が交付され、手続き完了です。
失敗しないための重要ポイントとノウハウ
木材の合法性・産地証明の徹底
本補助金で最も重要なのは『木材がどこで、どのように伐採・製材されたか』の証明です。特に神奈川県産材加算を受けるためには、県が指定する産地証明書類が不可欠です。設計段階から、県産材の供給ルートを持つ『かながわ県産木材住宅建設工務店』などの専門業者に相談することを強くお勧めします。
成功のコツ:JAS製材品の活用
JAS(日本農林規格)認定を受けた製材品を使用することで、品質と強度の証明が容易になり、審査がスムーズに進む傾向があります。令和7年度には横浜市内で『JAS構造材インフォメーションラウンジ』も開催されるため、事前に情報を収集しておくと良いでしょう。
10年間の管理義務に注意
補助金交付を受けた施設は、完了後10年間にわたり『補助金の目的に反した使用・譲渡・廃棄』が制限されます。もし10年以内に建物を取り壊したり、無断で用途を変更したりした場合には、補助金の返還を求められる可能性があるため、長期的な事業計画・居住計画が必要です。
よくある失敗パターン
『工事着工後に補助金の存在を知り、遡って申請しようとした』というケースが多く見られますが、原則として交付決定前の着工は認められません。必ず計画段階で申請準備を始めてください。
よくある質問(FAQ)
Qリフォームや増築でも申請できますか?
施設の『木質化』として申請できる場合があります。一戸建住宅を除き、既存施設の木質化(内装の木文化等)に対しては上限200万円の補助枠が用意されています。ただし、県産木材の使用量などの要件は新築と同様です。
Q神奈川県外の業者が施工しても補助対象になりますか?
対象になります。施工業者の所在地に制限はありませんが、使用する木材が神奈川県内で伐採されたものであること(または合法性が確認できる国産材であること)の証明が必要です。
Q国のZEH補助金と併用することは可能ですか?
一般的に、国庫を財源とする他の補助金と重複して同じ費用を対象にすることはできません。ただし、対象となる経費や項目が明確に分かれている場合は併用できることがあります。事前に県および国双方の事務局へ確認することをお勧めします。
Q県産木材とは具体的にどのような木ですか?
神奈川県内の森林から伐採され、県内で加工・流通された木材(スギ、ヒノキ等)を指します。『かながわ県産木材証明制度』に基づき、産地が適切に証明されている必要があります。
Q補助金はいつ頃振り込まれますか?
建物が完成し、実績報告書を県が受理・検査した後の支払いとなります。通常、竣工から2〜3ヶ月程度を要することが多いため、建築資金のつなぎ融資などを検討されている方はスケジュールに余裕を持ってください。
類似の環境系補助金との比較
神奈川県では『まちのもり』以外にも、脱炭素に関連する補助金が多数存在します。自身の事業や計画に最適なものを選択しましょう。
- 中小企業省エネルギー設備導入費補助:既存設備の更新に最大500万円(省エネ性能重視)。
- 自家消費型再生可能エネルギー導入費補助:太陽光発電や蓄電池の導入を支援。
- ZEH導入費補助:断熱性能や省エネ性能に特化した住宅向け補助。
『まちのもり創出事業』は、これらと比較して『木材そのものの利用』に焦点を当てているため、意匠性や地産地消にこだわりたい建築主に特に向いています。
神奈川県まちのもり創出事業補助金は、環境への配慮と経済的メリットを両立させる優れた制度です。最大1,000万円という大きな支援を活用することで、こだわりの木造施設を実現し、持続可能な地域社会の形成に貢献できます。申請期間は2025年11月までですが、予算枠には限りがあるため、今すぐ計画を具体化させることが成功への第一歩です。
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複雑な炭素固定量の計算や県産材の証明手続きは、専門の工務店や行政書士への依頼がスムーズです。まずは認定工務店へご相談ください。
免責事項: 本記事の情報は作成時点(2025年)の公募資料に基づいています。補助金の内容や要件、予算状況は変更される場合がありますので、申請前に必ず神奈川県環境農政局の公式サイトで最新情報をご確認ください。