宮崎県では、中小企業の経営資源を次世代へ引き継ぐ『事業承継』を強力にバックアップしています。令和7年度(2025年度)は、承継後の新事業展開を支援する最大100万円の補助金や、承継時の専門家費用を支援する市町村連携の補助金など、多角的な支援メニューが用意されています。本記事では、後継者が知っておくべき要件や申請のポイントを網羅的に解説します。
この記事でわかること
- 宮崎県が実施する『後継者新事業展開支援モデル事業』の要件と補助金額
- 市町村と連携して実施する『事業承継・引継ぎ応援事業』の仕組み
- 串間市などの自治体独自の上乗せ支援・リスタート支援の内容
- 採択率を高めるための経営革新計画の活用ノウハウ
令和7年度 宮崎県事業承継支援の全体像
宮崎県における令和7年度の事業承継支援は、主に『新事業への挑戦』と『円滑なバトンタッチの準備』の2軸で構成されています。親族内承継だけでなく、第三者承継(M&A)や役員・従業員承継も広く対象に含まれており、地域の雇用と技術を守るための攻めの支援策となっています。
1. 後継者新事業展開支援モデル事業補助金
この補助金は、事業承継を単なる経営者の交代ではなく、会社をより良く進化させる『第二創業』の機会と捉える事業者を支援するものです。後継者がこれまでのノウハウを活かしつつ、新たな視点でビジネスを拡大させる取り組みが対象となります。
補助対象者と重要な要件
本補助金を申請するためには、単に『後継者である』というだけでなく、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 県から承認を受けた『経営革新計画』に基づき新事業活動を行うこと
- 認定経営革新等支援機関の支援を受けた『事業承継計画』を策定していること
- 支援機関の伴走支援を受けながら事業承継に取り組む中小企業であること
注意:経営革新計画の重要性
承認済みの経営革新計画を持っていることは、事業の継続性と成長意欲の証明となります。未承認の場合は、早めに商工会議所や宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターへ相談し、計画策定を進めることが採択への近道です。
補助金額と対象経費
補助対象となる経費は、新事業活動に直結するものが中心です。
- 新商品の開発費用、試作品の製作費
- 新サービスの提供に必要な設備・ソフトウェアの導入費
- 開発した商品の販路開拓(展示会出展、広告宣伝、Webサイト構築等)に要する経費
- 市場調査や専門家による技術指導の謝金
2. 事業承継・引継ぎ応援事業補助金
こちらは、事業を譲り受ける側(承継者)や譲り渡す側が、弁護士や税理士といった外部の専門家を頼る際に発生する費用を支援する制度です。特に第三者承継(M&A)を検討している場合、適切な『企業価値評価』や『法務調査(デューデリジェンス)』は不可欠であり、その費用負担を軽減できます。
ここがポイント:市町村との連携事業
この補助金は、県が直接中小企業に交付するのではなく、市町村が実施する事業に対して県が補助を行う仕組みです。そのため、事業を実施している市町村に事業所があることが条件となります。実施の有無は所在地の自治体へご確認ください。
対象経費と補助内容
- マッチング費用:民間金融機関やM&A仲介業者等との委託契約費用
- 企業価値評価:株価算定や資産評価に要する経費
- 資料作成費:事業引継ぎに必要な専門的文書の作成費用
- 補助率:3分の2以内(県が市町村を2分の1支援し、市町村が上乗せする構造)
- 補助上限:通常60万円程度(市町村の規定により前後します)
重要:成功報酬は対象外
M&Aが成約した際に支払う『成功報酬』は補助の対象となりません。あくまで成約に向けたプロセス(調査や計画策定)に要する費用が対象ですので、契約内容を事前に精査してください。
【事例】串間市経営バトンタッチ推進事業
宮崎県内の自治体では、県制度をベースに独自の使いやすいパッケージを提供している場合があります。串間市の例を見てみましょう。
串間市独自の2大支援メニュー
1. 事業承継支援(上限50万円)
専門的資料の作成、マッチングコーディネーター委託、企業価値評価など。補助率は3分の2と高く、スムーズな承継を促します。
2. リスタート支援(上限25万円)
承継後に行う設備工事費や、1品10万円以上の備品購入費を補助します。補助率は3分の2。承継直後の資金負担を軽減し、店舗や工場のリニューアルを助けます。
補助金採択に向けた実践ノウハウ
補助金は申請すれば必ずもらえるものではなく、審査があります。特に『後継者新事業展開支援モデル事業』のようなモデル的要素が強いものは、計画の質が問われます。
審査で評価される3つのポイント
- 承継の必然性と意欲:なぜ今、この後継者が継ぐ必要があるのか。先代から引き継ぐ強みと、後継者ならではの新しいアイデアがどう融合しているかを明確にします。
- 市場の妥当性:『新商品を作ります』だけでなく、『なぜそれが市場で売れるのか』をデータや顧客の反応を基に説明してください。
- 地域経済への波及効果:その事業が成功することで、地域の雇用が守られる、あるいは地域のブランド力が向上するといった公的なメリットも強調しましょう。
専門家活用のメリット
一般的に、事業承継は税務・法務・経営が複雑に絡み合います。宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関を活用することで、無料で相談ができるほか、補助金申請に有利な『事業承継計画』の策定支援も受けられます。自己流で進めず、まずは窓口を訪れることが成功の鍵です。
申請から事業完了までのステップ
1
支援機関への事前相談
宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所、取引金融機関へ相談し、事業承継の方向性を固めます。
2
計画策定(経営革新計画等)
補助金の要件となる経営革新計画や事業承継計画を作成し、必要に応じて県の承認を受けます。
3
交付申請書の提出
募集期間内に申請書類(別紙、収支計画書等)を県または市町村へ提出します。
4
交付決定・事業実施
審査を経て交付決定を受けた後、発注・支払い、新事業の活動を開始します。※決定前の発注は原則対象外です。
5
実績報告・補助金請求
令和8年3月末までに事業を完了させ、領収書等を添付した実績報告書を提出。検査後に補助金が振り込まれます。
よくある質問(FAQ)
Qまだ承継が終わっていないのですが、申請できますか?
はい、可能です。後継者(予定者)が支援機関の支援を受けながら承継に取り組んでいる状況であれば、対象となる場合があります。ただし、事業期間内に具体的な承継の進捗が求められるため、詳細は要綱をご確認ください。
Qパソコンや車両の購入は補助対象になりますか?
一般的に、汎用性の高いパソコン、タブレット、車両などは対象外となることが多いです。ただし、新サービスの提供に不可欠な専用ソフトウェアや、特定の業務にしか使用しない特殊車両、あるいは串間市のリスタート支援のように備品購入を広く認めている場合は例外もあります。申請前に必ず確認が必要です。
Q親族以外への承継でも利用できますか?
はい、利用可能です。第三者承継(M&A)や従業員承継も支援の対象です。近年、宮崎県内でも『後継者不在』の企業が増えており、外部からの意欲ある承継者を歓迎する傾向にあります。
Q補助金はいつ振り込まれますか?
補助金は『後払い(精算払い)』が原則です。事業期間中にすべての支払いを済ませ、実績報告書を提出した後の検査を経て振り込まれます。そのため、事業実施期間中の資金繰り(立て替え分)については、金融機関からの融資などを検討しておく必要があります。
Q経営革新計画の承認にはどれくらい時間がかかりますか?
一般的に、申請から承認まで1〜2ヶ月程度かかります。補助金の公募開始後に動き始めても間に合わない場合があるため、余裕を持って計画策定に着手することをお勧めします。
事業承継は、企業の歴史を未来へ繋ぐ重要なプロセスです。宮崎県の令和7年度補助金を活用することで、承継時のコストを抑えるだけでなく、経営革新という新たな成長ステージへ挑戦することが可能になります。まずは、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター(電話:0985-72-5151)や、各市町村の商工担当窓口へご相談ください。
早めの計画策定が成功への第一歩です
事業承継計画や経営革新計画の策定には、専門家の協力が不可欠です。今すぐ窓口へ予約し、相談を開始しましょう。
免責事項: 本記事の情報は宮崎県および各自治体の公表資料(令和7年度版等)に基づき作成していますが、予算の成立状況や公募時期により内容が変更される場合があります。申請にあたっては、必ず最新の募集要領や交付要綱をご確認ください。