兵庫県内で訪問看護・訪問介護に従事する職員の安全を守り、離職を防止するための強力な支援制度が実施されています。本補助金は、利用者や家族からの暴力・ハラスメント対策として、2人訪問が必要な際の加算相当額や、防犯ブザー・セキュリティ機器の導入費用を助成するものです。職員が安心して働き続けられる環境づくりを目指す事業者の皆様は、ぜひ本ガイドをご活用ください。
この記事でわかること
- 暴力・ハラスメント対策としての2人訪問補助の金額と対象
- 防犯機器(GPS・防犯ブザー等)導入費用の助成内容
- 兵庫県内の実施市町一覧と申請窓口の確認方法
- ハラスメント発生時の相談窓口とマニュアルの活用法
訪問看護師・訪問介護員等安全確保・離職防止対策事業の目的
近年、介護現場における利用者やその家族からのハラスメント(身体的・精神的暴力、セクシャルハラスメントなど)が深刻な社会問題となっています。特に密室となりやすい訪問サービスにおいては、職員の心理的・身体的負担が大きく、離職の主な要因の一つとなっています。
兵庫県では、平成29年度より本事業を開始し、市町と協調して事業所をバックアップしています。この制度の最大の特徴は、公的介護報酬ではカバーしきれない『利用者側の同意が得られない2人訪問』に対しても、実質的に加算相当額を補助する点にあります。
補助メニュー1:2人訪問補助(暴力行為等対策)
利用者や家族等からの暴力行為、暴言、過大なクレーム、ストーカー行為、セクシュアルハラスメント等により、安全確保のために2名体制での訪問が必要なケースが対象です。通常、介護報酬の2人訪問加算には利用者側の同意が必要ですが、本補助金はその同意が得られず加算が算定できない場合に、加算相当額の一部を補填します。
補助対象となる要件
- 事業所要件:兵庫県内に所在し、介護保険法に基づく指定を受けた指定訪問看護・指定訪問介護事業所であること。
- 利用者要件:事業実施市町の介護保険被保険者であり、暴力行為等により安全確保に支障があること。
- 実施内容:2人以上の職員で訪問サービスを提供し、かつ介護報酬上の2人訪問加算を算定していないこと。
注意:暴力行為等の定義について
- 身体的な暴力だけでなく、暴言や過大なクレーム、セクハラ、ストーカー行為も含まれます。
- 利用者本人だけでなく、同居する家族等による行為も対象となります。
補助単価の詳細(1回あたり)
※補助率は2/3(県1/3、市町1/3)となります。残りの1/3は事業所負担です。
補助メニュー2:1人訪問時の防犯機器導入補助
人員不足やスケジュールの都合により、どうしても1人で訪問せざるを得ないケースにおける安全対策を支援します。職員が携帯する防犯機器等の購入費用が助成対象です。
対象となる経費と機器例
- 警備会社によるセキュリティシステム導入に必要な機器購入費
- 位置情報提供機能(GPS)付き防犯ブザー
- 緊急通報機能付き防犯ブザー・防犯ボタン付き携帯電話
補助対象外となる経費
- 月額利用料等のランニングコスト
- 通信費、回線使用料
- 消費税および地方消費税
補助事業の実施市町一覧(兵庫県内)
本事業は県と市町が連携して実施するため、利用者が居住する(保険者である)市町が事業を採択している必要があります。以下は現在実施している自治体です。
2人訪問補助 実施自治体(34市町)
神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、相生市、豊岡市、加古川市、赤穂市、西脇市、宝塚市、三木市、高砂市、川西市、小野市、三田市、加西市、丹波篠山市、養父市、丹波市、南あわじ市、朝来市、宍粟市、たつの市、猪名川町、多可町、播磨町、市川町、福崎町、神河町、上郡町、佐用町、香美町
防犯機器導入補助 実施自治体(9市町)
神戸市、姫路市、明石市、加古川市、宝塚市、三田市、南あわじ市、猪名川町、佐用町
申請から交付までの流れ
一般的な申請フローは以下の通りです。たつの市や各市町の窓口へ事前に相談することが推奨されます。
1
事前協議・相談
利用者の状況や2人訪問の必要性について、各市町の介護保険担当課へ相談し、補助の対象となるか確認します。
2
交付申請書の提出
事業計画書や見積書(機器導入の場合)、状況を説明する書類等を揃えて申請します。
3
審査・交付決定
自治体による内容審査が行われ、適当と認められれば交付決定通知が届きます。
4
事業実施・実績報告
2人訪問の実施、または機器の購入を行い、年度末等に実績報告書(訪問回数や領収書)を提出します。
5
補助金の請求・受領
自治体での額の確定後、補助金を請求し指定口座へ振り込まれます。
採択されやすい申請のポイントとノウハウ
1. 暴力・ハラスメントの具体的な記録を蓄積する
補助金の申請には『なぜ2人訪問が必要なのか』を客観的に示す必要があります。いつ、誰が、どのような暴言・暴力を受けたのか、ヒヤリハット報告書や業務日誌に詳細に記録しておくことが不可欠です。自治体担当者が納得できるエビデンスを揃えましょう。
2. ケアプランへの位置づけを確認する
2人訪問が必要な状況であれば、担当のケアマネジャーとも情報を共有し、アセスメントの結果として2人訪問の必要性が認識されている状態が望ましいです。介護報酬上の加算が同意を得られない理由についても、明確に整理しておきましょう。
3. 専門家のサポート・相談窓口を活用する
兵庫県では、公益社団法人兵庫県看護協会内に『暴力等お困り相談ひょうご』を設置しています。個別のケースについてどのように対応すべきか、法的・専門的な見地からアドバイスを受けることができます。こうした窓口を活用している事実は、事業所の安全対策への熱意として評価されます。
よくある質問(FAQ)
Q利用者の同意があれば、介護報酬の2人訪問加算と併用できますか?
いいえ、できません。本補助金は『介護報酬上の2人訪問加算が算定できない場合』を対象としています。利用者の同意が得られ、通常の加算が算定できる場合は、そちらを優先してください。
Q防犯機器の月額料金(レンタル料)は補助対象になりますか?
対象外です。補助対象となるのは『機器の購入費(初度整備費用)』に限られます。通信費や保守費用、レンタル料等のランニングコストは事業所の負担となります。
Q家族からのハラスメントでも補助の対象になりますか?
はい、対象になります。利用者本人だけでなく、その家族や同居人等からの暴力・暴言等により安全確保が困難な場合も申請可能です。
Q年度の途中からでも申請できますか?
多くの自治体で随時相談を受け付けていますが、予算の上限に達し次第終了する場合や、事前の協議が必要な場合があります。まずは管轄の市町窓口へ早めにお問い合わせください。
Qたつの市内の事業所ですが、どこに相談すればよいですか?
たつの市高年福祉課の運営指導係(電話:0791-64-3187)が窓口となります。まずは電話で状況を説明し、必要な手続きを確認してください。
まとめ:職員の安全を守ることが、質の高い介護サービス継続の第一歩
介護現場におけるハラスメント対策は、単なる福利厚生ではなく、事業継続に不可欠なリスクマネジメントです。兵庫県の『安全確保・離職防止対策事業』を活用することで、コスト面での負担を軽減しながら、実効性のある安全対策を講じることが可能になります。2人訪問補助による精神的負担の軽減、防犯機器による緊急時の対応力向上を組み合わせ、職員が『誇りを持って、安全に』働ける職場環境を実現しましょう。不明点は、まずは最寄りの自治体窓口へ相談することから始めてください。
兵庫県・たつの市の補助金活用について専門家へ相談
複雑な申請書類の作成や、ハラスメント対策マニュアルの整備など、専門家のサポートによりスムーズな導入が可能です。
免責事項: 本記事の情報は2025年5月時点の自治体公開情報を基に作成しています。補助金の内容、対象自治体、募集期間等は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず兵庫県または各市町の公式サイトで最新の公募要領等をご確認ください。