長野県内の中小企業・小規模事業者を対象に、急激な最低賃金引き上げへの対応を支援する『賃上げ環境整備促進補助金(基本型)』および関連支援策の募集が開始されました。生産性向上に資する設備投資や人材育成を行い、事業場内最低賃金を30円以上引き上げる事業主に対し、経費の一部を補助します。国の業務改善助成金の対象外となる層もカバーする、長野県独自の強力な支援パッケージです。
この記事でわかること
- 賃上げ環境整備促進補助金(基本型)の具体的な対象者と要件
- 国の『業務改善助成金』との違いと上乗せ補助の仕組み
- 生産性向上に資する設備投資や人材育成の具体例
- 採択率を高めるための申請書類作成ノウハウと注意点
長野県賃上げ支援事業の全体像と補助メニュー
長野県では、令和7年(2025年)10月の最低賃金改定に伴い、過去最大規模の引き上げに対応する中小企業の経営を支えるため、複数の補助メニューを用意しています。事業場の現在の賃金水準や、国の助成金の利用状況に応じて最適なメニューを選択することが重要です。
1. 賃上げ環境整備促進補助金(基本型)
このメニューは、国の『業務改善助成金』の対象とならない、比較的高い賃金水準(引き上げ前の事業場内最低賃金が1,061円以上1,112円未満)の事業者を対象としています。国の制度の隙間を埋める長野県独自の施策です。
基本型の主な要件
- 事業場内最低賃金を30円以上引き上げること
- 生産性向上に資する設備投資(機械導入、ソフト導入等)を行うこと
- 人材育成(外部講師による研修等)に取り組むこと
2. 業務改善助成金上乗せ補助
国の『業務改善助成金』の支給決定を受けた事業者を対象に、県が独自に上乗せ補助を行います。これにより、事業者の自己負担額を大幅に軽減することが可能です。対象は令和7年度第3期以降に国の助成金を申請した事業者となります。
3. 人材育成追加型
基本型や上乗せ補助を利用する事業者が、さらなる労働者のスキルアップを目指して人材育成に取り組む場合、経費を追加支援します。単なる設備導入に留まらず、使いこなす人材を育てることで持続的な賃上げを実現する狙いがあります。
補助金額と対象経費の詳細
※補助金額は申請メニューや事業規模、賃上げ人数等により変動します。詳細は必ず最新の公募要領を確認してください。
注意:対象外となる経費例
- 単なる消耗品の購入(事務用文具など)
- 汎用性が極めて高いもの(私的利用可能なPCやスマートフォン等。※業務専用と認められる場合は対象となる可能性あり)
- 公租公課(消費税など)、振込手数料
- 交付決定前に発注・契約・支払いを行った経費(事前着手届が承認された場合を除く)
失敗しないための申請プロセス・5ステップ
1
賃金状況の確認と計画策定
自社の事業場内最低賃金を確認し、30円以上の引き上げが可能かシミュレーションします。同時に、どのような設備投資が生産性を高めるか社内で検討します。
2
交付申請書類の作成・提出
事業計画書を作成し、見積書などの必要書類を揃えて事務局へ提出します。この際、生産性向上の根拠(時間短縮効果など)を数値で示すと採択されやすくなります。
3
交付決定・事業実施
事務局から『交付決定通知』が届いたら、設備の発注や賃上げを実施します。決定前に発注しないよう注意が必要です。賃上げは就業規則の改定等により適正に行います。
4
実績報告書の提出
設備導入後の領収書や、賃上げ後の賃金台帳などをまとめ、事務局へ実績を報告します。要件通りに賃上げが維持されていることが厳格にチェックされます。
5
補助金の受領
報告内容に不備がなければ補助金額が確定し、指定の口座に振り込まれます。補助金受領後も、一定期間の書類保存義務があります。
採択されやすい申請書の書き方と専門家活用のメリット
補助金は申請すれば必ずもらえるものではありません。特に『基本型』では、その投資が本当に生産性を高めるのか、という論理的な説明が求められます。
高評価を得るためのポイント
- 『現状の課題』を明確にする(例:手作業による入力ミスで月30時間のロスがある)
- 『解決策』を具体的に書く(例:〇〇ソフトの導入により入力を自動化する)
- 『定量的効果』を示す(例:作業時間を月5時間に短縮し、空いた時間で新規顧客開拓を行う)
- 『持続可能性』をアピール(例:賃上げ後も収益性が向上し、経営が安定する計画である)
自社での書類作成が難しい場合は、社会保険労務士や中小企業診断士、認定経営革新等支援機関(商工会議所等)の活用を推奨します。専門家の視点で計画をブラッシュアップすることで、採択の可能性が高まるだけでなく、将来的な経営改善にも繋がります。長野県内には『Bizサポ(長野県賃上げ・業務改善支援センター)』などの無料相談窓口も設置されています。
よくある質問(FAQ)
Q基本型と国の業務改善助成金、どちらを申請すべきですか?
現在の事業場内最低賃金によります。1,112円未満であれば国の助成金が優先されるケースが多いですが、県独自の基本型は1,061円以上1,112円未満の事業者を救済する枠組みです。まずは賃金台帳を確認し、県の窓口へ相談することをお勧めします。
Q中古品の機械を購入しても補助対象になりますか?
一般的に、中古品でも適正な価格(複数社からの相見積もり等)が証明されれば対象となる場合がありますが、耐用年数や保証の有無が審査に影響することがあります。原則として新品が推奨されますので、事前に事務局へ確認してください。
Qパート・アルバイトの賃上げも対象になりますか?
はい、対象となります。『事業場内最低賃金』とは、その事業場で最も低い賃金のことを指すため、パート・アルバイトの方の時給を引き上げることが本補助金の要件達成に直結します。
Q申請後に賃金を下げてしまった場合はどうなりますか?
原則として、補助金の返還を求められる可能性があります。本補助金は『持続可能な賃上げ』を目的としているため、計画された賃金水準を維持することが義務付けられています。
Q他の補助金(IT導入補助金など)と併用はできますか?
同一の経費項目(例えば全く同じPCの購入費用)に対して、複数の補助金を重複して受けることはできません。ただし、別の設備投資であれば併用可能な場合があります。
長野県内の最低賃金が1,061円となった今、企業には生産性の向上が急務となっています。本補助金を活用して、最新設備の導入や従業員のスキルアップを図り、賃上げと収益向上の好循環を作り出しましょう。申請期限は令和8年1月30日までですが、予算に達し次第終了する場合があるため、早めの検討をお勧めします。
お問い合わせ・申請窓口
長野県賃上げ・業務改善支援センター(Bizサポ)までお気軽にご相談ください。
電話:026-232-0111(長野県庁代表)より担当部署へお繋ぎします。
免責事項: 本記事の情報は2025年12月時点の公表資料に基づき作成しています。補助金の要件、対象、金額、締切等は変更される場合があります。申請にあたっては必ず長野県公式サイトの最新の公募要領を確認してください。