東京都は、グローバル市場への挑戦を目指す都内のフィンテック企業を対象に、海外展示会への共同出展支援および最大300万円の補助金を交付する『令和7年度フィンテック企業に対する海外進出支援事業』を開始しました。世界的な金融ハブを目指す東京都の強力なバックアップを受け、アジアや中東などの主要市場でのネットワーク構築や自社サービスのプロモーションを加速させる絶好の機会です。
この記事でわかること
- 共同出展と個別補助金の具体的な支援内容と使い分け
- 設立10年未満の企業が優先される対象者の詳細要件
- 最大300万円の補助対象となる経費と補助率のルール
- Jグランツを利用した電子申請の流れと採択率を高めるポイント
令和7年度フィンテック海外進出支援事業の背景と目的
東京都では、現在『金融・資産運用特区』を効果的に活用し、サステナブルな社会を実現するアジアのイノベーション・金融ハブとしての地位確立を急いでいます。この大きな構想において、金融機能の高度化を担うフィンテック企業の育成は最優先事項の一つです。
本事業は、グローバルスタンダードを備えたサービスを展開する都内フィンテック企業に対し、海外での露出機会を提供し、新たなネットワーク構築を支援することで、東京の国際競争力を高めることを目的としています。特に設立初期のスタートアップが直面する、海外展開コストの壁を解消するための手厚い支援が特徴です。
2つの柱:共同出展支援と海外進出支援補助金
本事業は、大きく分けて『海外展示会への共同出展(共同型)』と『海外進出支援補助金(個別型)』の2つのメニューで構成されています。自社のフェーズや戦略に合わせて最適なものを選択可能です。
1. 海外展示会 共同出展(共同型)
東京都が確保したブースに共同で出展する形式です。単なるスペースの提供だけでなく、現地企業との面談設定やピッチ機会など、実利に直結するサポートが受けられます。
共同出展の注意点
- 対象は都内に登記があり、設立10年未満の企業に限定されます。
- 後述の『海外展示会出展補助金』との併用はできません。
2. 海外進出支援補助金(個別型)
企業が自ら選定した展示会への出展や、進出の妥当性を検証する調査(フィジビリティ調査)を支援する補助金です。自由度が高く、特定のターゲット国がある企業に適しています。
- 補助率: 対象経費の2分の1以内
- 対象経費: 調査委託費、展示会出展料、ブース設営費など
- 申請期間: 2025年5月7日から2025年12月26日まで(随時受付)
採択事例:海外進出支援の成果
昨年度、本事業を活用してドバイの『Fintech Surge』に出展した株式会社Authlete(オースリート)の事例を紹介します。同社はセキュリティ仕様をサポートする認可サーバーの部品をサービス提供しており、海外展示会を通じて現地のニーズ検証を行いました。
成功のポイントと成果
- 現地の金融事業者等から直接フィードバックを得ることで、アプリのUI/UXを改善。
- 海外上場企業を分析対象に追加するなど、展示会でのニーズを即座に製品開発へ反映。
- 2024年4月にグローバル対応版のアプリをリリースし、順調に展開を拡大。
補助金申請のプロセスとポイント
補助金申請は原則としてJグランツによる電子申請です。不備のない書類作成が採択への第一歩となります。
1
募集要領の徹底確認
対象者要件(都内登記、設立年数等)と補助対象経費の範囲を精査します。
2
申請書類の準備
事業計画書において、海外展開がなぜ今必要なのか、具体的な目標数値を含めて記載します。
3
Jグランツでの電子申請
gBizIDプライムアカウントを利用し、オンラインで提出します。郵送や持込も可能ですが、電子申請が推奨されます。
4
審査会での採択審査
申請から1-2か月後に行われる審査会にて、革新性、実現可能性、波及効果などが評価されます。
5
事業実施と実績報告
採択後に事業を実施し、完了後には証憑類(領収書等)を添えて実績報告書を提出します。
専門家による成功のための補足アドバイス
一般的に、東京都のフィンテック支援事業は競争率が高い傾向にあります。採択を勝ち取るためには、以下のポイントを意識してください。
1. 独自の市場分析とターゲット設定
『なぜシンガポールなのか』『なぜドバイなのか』という問いに対して、現地の法規制や競合環境を踏まえた具体的な説明が必要です。単なる『海外進出』ではなく、その国で自社の技術がどのような社会課題を解決するのかを明確に示してください。
2. 専門家(コンサルタント・顧問)の活用
海外展開には法務・財務の複雑な手続きが伴います。本補助金の対象経費には調査委託費も含まれるため、現地のネットワークを持つ専門家に調査を依頼することも有効です。専門家の知見を事業計画に反映させることで、実現可能性の評価が高まります。
3. 交付決定前の支払いに注意
原則として、補助金は『交付決定後』の契約・支払いが対象です。ただし、展示会出展料などは特例として2025年4月1日以降の契約であれば認められる場合があります。自己判断せず、必ず事前に事務局へ確認してください。
よくある質問(FAQ)
Qフィジビリティ調査と展示会出展を同時に申請できますか?
はい、可能です。同一年度内に両方の支援を申請する場合、一つの申請書にまとめて提出いただけます。ただし、共同出展と展示会出展補助金の重複利用はできません。
Q対象となる海外都市に制限はありますか?
補助金(個別型)については、海外都市の指定や制限はありません。自社の事業戦略に基づき、適切な進出先を選定してください。
Q交付決定前に支払った展示会費用は対象になりますか?
展示会の出展料およびブース設営費については、2025年4月1日以降の申込・契約であれば、交付決定前であっても対象となる特例があります。詳細は要領を確認してください。
Q設立10年を超えている企業は申請できないのでしょうか?
共同出展については設立10年未満という条件がありますが、海外進出支援補助金(個別型)については、その限りではありません。補助金枠での申請をご検討ください。
Q補助金の算出方法について教えてください。
経費区分(出展料、設営費など)ごとに補助率1/2を乗じ、千円未満を切り捨てて算出します。区分ごとの合計が最終的な申請額となります。
東京都の『令和7年度フィンテック企業に対する海外進出支援事業』は、グローバル展開を加速させるための強力な武器となります。共同出展によるネットワーキングか、補助金を活用した独自の戦略調査か、自社の強みを最大化できるメニューを選択し、早期の準備を開始しましょう。特に予算枠には限りがあるため、補助金申請は早めのアクションが推奨されます。
補助金申請の無料相談・詳細確認はこちら
東京都産業労働局の公式サイトまたはJグランツにて最新の募集要領をご確認ください。
免責事項: 本記事の情報は作成時点(2025年)のものです。補助金の内容やスケジュールは東京都の判断により変更される場合があります。申請にあたっては必ず東京都産業労働局の公式ホームページおよび募集要領をご確認ください。