東京都は、ブロックチェーン技術(分散型台帳技術)を活用したデジタル証券(セキュリティトークン)の普及を支援するため、最大750万円を補助する令和7年度の公募を実施しています。本事業は、先進的な資金調達手法の確立を目指す企業に対し、システム開発やプラットフォーム利用料等の経費を幅広く支援するものです。都内の金融ハブ機能を強化し、サステナブルな社会の実現に向けたイノベーションを後押しする極めて重要な制度となっています。
この記事でわかること
- デジタル証券(セキュリティトークン)補助金の概要と支援金額
- スタートアップや重点分野に適用される優遇措置の詳細
- 補助対象となる経費の種類と注意すべき対象外経費
- 審査会で評価される先進性・社会的意義・実現性のポイント
- 採択率を高めるための具体的な申請戦略と専門家活用のメリット
1. デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業の目的
本事業の最大の目的は、有価証券や不動産等を裏付けとしたセキュリティトークン(ST)の発行を支援し、東京都をアジアのイノベーション・金融ハブとして確立することにあります。従来の金融システムでは困難だった小口投資や、デジタル技術による新しい投資体験の提供を通じて、貯蓄から投資への流れを加速させることが期待されています。
都は、単なる資金支援に留まらず、発行事例の創出とノウハウの共有を重視しています。これにより、健全な市場形成を促し、企業にとっては多様な資金調達手段を、個人投資家にとっては魅力的な運用機会を提供することを目指しています。
2. 補助金の支援内容と上限金額
本補助金は、申請者の属性やプロジェクトの内容によって、補助率および上限額が変動する仕組みとなっています。特にスタートアップや社会的意義の高い事業には手厚い支援が用意されています。
通常枠(一般企業)
最大 500万円
補助率 1/2以内
スタートアップ枠
最大 500万円
補助率 2/3以内
重点分野枠(該当案件)
最大 750万円
審査会により決定
重点分野の定義と条件
上限750万円が適用される重点分野には、以下の2つのカテゴリーが含まれます。これらに該当することを明確に証明できる場合、より高度な支援を受けることが可能です。
過去採択者への注意点
- 令和5年度または令和6年度に同種の補助金(デジタル証券関連)を受けた事業者の場合、今回の補助上限額は一律300万円となります。
- 実質的な発行者が同一であると判断される場合も、この制限が適用されます。
3. 補助対象者と要件
本補助金の申請を行うには、以下の主要な要件をすべて満たしている必要があります。
- セキュリティトークンを発行する事業者であること
- 金融商品取引法、不動産特定共同事業法等の免許・登録を受けている(または発行に際し受ける)こと
- 東京都内に登記簿上の本店または支店を有すること
- 同一年度内に国や他の自治体から同様の助成を受けていないこと
- 都が行う広報活動や事例公表に対して協力が可能であること
4. 対象となる経費の詳細
補助対象となる経費は、デジタル証券発行に直結する以下の3つのカテゴリーに限定されます。支払先が関連会社である場合などは対象外となるため、厳格な管理が求められます。
(1)プラットフォーム利用料
セキュリティトークンの発行、移転、償却を管理するための分散型台帳システムの利用料や、プラットフォーム提供事業者への事務委託費が対象です。
(2)専門家等への相談経費
弁護士、行政書士、税理士等へのリーガルチェック費用や、金融スキーム構築のためのコンサルティング経費が含まれます。法令遵守が必須となる本事業において、非常に重要な項目です。
(3)システム開発経費
高付加価値なデジタル証券発行のために必要な外部委託によるシステム開発費です。ただし、100万円(税抜)を超える場合は原則2社以上の相見積もりが必要となります。
絶対に対象外となる経費例
- 消費税および地方消費税相当額
- 親会社・子会社・関連グループ企業への支払い
- 技術開発を伴わない単なるデザイン制作や翻訳の経費
- 第三者へ再委託・再外注された経費
5. 申請から採択までのステップ
1
事前準備・法令要件の確認
金融商品取引業者等との調整や、プラットフォームの選定を行います。
2
交付申請の提出(Jグランツ等)
2026年1月30日までに必要書類を揃え、電子申請または郵送で提出します。
3
審査会(面接審査)の実施
概ね1-2か月ごとに開催されるオンライン審査会にて事業説明を行います。
4
交付決定・事業実施
交付決定後に契約・発注・支払いを行います。この前の支出は補助対象外です。
5
実績報告・補助金の請求
2026年3月31日までに払込みを完了させ、実績報告書を提出して確定を受けます。
6. 採択率を向上させるための戦略的アドバイス
本補助金は「先進性」と「社会的意義」が重視されます。単なる既存金融商品の置き換えではなく、デジタル証券ならではの価値をどう創出するかが鍵となります。
成功のためのポイント
- 非金銭的リターンの設計: 投資家に対する特典や体験の提供など、ブロックチェーンならではの機能を強調してください。
- 実現性の裏付け: 法令上の確認状況や、委託先、販売先候補との調整状況を具体的に示すことで評価が高まります。
- 専門家の積極活用: 金融商品取引法等の複雑な法規制をクリアしていることを、弁護士等の意見書や助言を通じて証明することが有効です。
よくある質問 (FAQ)
Qスタートアップの定義は何ですか?
一般的には設立後間もない、高い成長意欲を持つ未上場企業を指しますが、都が「実質的な発行者がスタートアップではない」と判断した場合は補助率が2/3から1/2に引き下げられる可能性があります。詳細な定義については募集要領を確認してください。
Qシステム開発を自社で行う場合の経費は対象になりますか?
いいえ、対象になりません。補助対象となるのは「外部の事業者等に依頼する際に要する経費」に限定されており、社内人件費や自社内での開発コストは補助対象外となります。
Q交付決定前に契約した経費は遡って申請できますか?
原則としてできません。交付決定日以降に締結した契約、または発生した経費のみが対象となります。早期の契約が必要な場合は、必ず申請前に事務局へ相談してください。
Qデジタル証券の発行が期日までに完了しなかった場合はどうなりますか?
原則として令和8年3月31日までに払込みが完了していない場合、補助金の交付は行われません。投資資金の払込みに至らなかった場合は、交付決定が取り消される対象となります。
Q審査の結果、不採択となった理由を教えてもらえますか?
いいえ、審査の具体的な内容や不採択の理由については公表されません。また、審査結果に対する異議の申し立ては認められていないため、事前の準備を万全にする必要があります。
本補助金は、デジタル証券(ST)という最先端の金融領域における強力な追い風となります。最大750万円という支援額は、プラットフォーム構築や法的ハードルを乗り越えるための大きな助けとなるでしょう。予算枠に達し次第受付終了となるため、検討中の事業者は早急に準備を開始し、東京都の掲げる「国際金融都市」の一翼を担う先進的なプロジェクトを形にすることをお勧めします。
公式募集要領の確認とJグランツ申請
最新の申請書様式は東京都産業労働局の公式ウェブサイトよりダウンロード可能です。早めの電子申請をお勧めいたします。
免責事項: 本記事の情報は令和7年度デジタル証券市場拡大促進事業補助金募集要領等のデータに基づき作成されていますが、内容の正確性や採択を保証するものではありません。補助金の詳細な要件や手続きについては、必ず東京都産業労働局の公式サイトおよび最新の募集要領をご確認ください。