東京都では、令和7年4月1日に施行された『東京都カスタマー・ハラスメント防止条例』に基づき、都内中小企業が取り組むカスハラ防止対策を強力に支援しています。本奨励金は、対策マニュアルの整備や録音設備の導入、外部専門家の活用などを行う企業に対し、最大40万円を支給するものです。現在、システムの不具合により一部受付に延期が生じていますが、準備を整えておくことでスムーズな申請が可能となります。
この記事でわかること
- 企業向け奨励金40万円の支給条件と対象事業者の詳細
- マニュアル整備と併せて実施すべき『実践的な取組』の選択肢
- 業界団体向けに用意された最大100万円・5,000万円の支援策
- jGrantsを利用した申請の進め方と第3回受付延期への対応
カスタマーハラスメント防止対策推進事業の背景と目的
近年、顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆる『カスタマーハラスメント(カスハラ)』が社会問題となっています。東京都は、顧客等と働く全ての人が対等な立場に立ち、お互いに尊重し合う公正で持続可能な社会を目指し、全国に先駆けて防止条例を施行しました。
本事業は、(公財)東京しごと財団が主体となり、事業者が行う措置を速やかに浸透させることを目的としています。従業員が安心して働ける職場環境を整備することは、人材の定着や企業のブランド価値向上にも直結する極めて重要な経営課題です。
TOKYOノーカスハラ支援ナビの活用
東京都では『TOKYOノーカスハラ支援ナビ』を運営し、対応方法の解説や啓発用コンテンツの発信を行っています。アニメ『ちびまる子ちゃん』のキャラクターを起用した普及啓発も実施されており、社内研修等に活用可能です。
【企業向け】カスタマーハラスメント防止対策推進奨励金
都内の中小企業等を対象とした定額40万円の奨励金です。マニュアル作成という『基礎』に加え、ハード面やソフト面での『実践』を組み合わせることで、実効性のある対策を促します。
1. 対象となる事業者の要件
主な対象は、以下の要件を満たす事業者です:
- 都内に本社または主要な事業所があること
- 常時雇用する従業員が300人以下の中小企業、一般社団法人等であること
- 条例施行日(令和7年4月1日)以降に新たな取組を開始すること
2. 必須となる取組内容
本奨励金を受給するためには、以下の(1)と(2)の両方を実施する必要があります。
【重要】第3回申請受付の延期について
国が提供する電子申請システム『jGrants』の障害発生により、予定されていた第3回申請受付は延期となっています。詳細は奨励金特設サイトにて改めて案内される予定ですので、定期的な確認が必要です。ただし、要件となる『取組』は先行して進めておくことが推奨されます。
団体向け支援策:奨励金と補助金
特定の業界団体やグループが会員企業のために行う活動を支援する制度も用意されています。これにより、業界全体のカスハラ耐性を高めることが可能です。
団体向け奨励金(最大100万円)
都内業界団体が、会員企業向けに方針を策定したり、研修を実施したりする場合に支給されます。
- 基本方針の策定・周知:20万円
- 相談窓口の設置:40万円
- 防止対策研修の実施:20万円
- 外部人材等の活用:20万円
団体向け補助金(最大5,000万円)
都と連携し、条例の普及や広範な防止対策に取り組む団体を対象とした大規模な補助金です。補助率は1/2以内となっています。
失敗しない申請のためのポイントとノウハウ
補助金や奨励金の申請では、形式的な不備による不採択を避けることが最も重要です。以下のポイントを意識して準備を進めてください。
採択率を高める申請のコツ
- GビズIDの早期取得:申請には『GビズIDプライム』アカウントが必須です。発行に数週間かかる場合があるため、募集開始前に取得を済ませてください。
- マニュアルの具体性:単なる理念だけでなく、現場の従業員が迷わず対応できるフロー図や、実際のクレーム事例に基づいた対応文言を記載すると高く評価されます。
- 証憑資料の整理:録音機材の購入領収書や設置写真、外部専門家との契約書などは、日付や金額が明確に判別できるように整理しておきましょう。
- 専門家相談の活用:東京都が提供する『専門相談員による無料相談』やコンサルティング事業を先に利用し、その助言に基づいて対策を講じると、要件との不整合を防げます。
申請から受給までのステップフロー
1
アカウント取得と事前確認
GビズIDプライムを取得し、最新の募集要項を特設サイトからダウンロードして、自社が要件を満たしているか確認します。
2
防止対策マニュアルの作成
条例の趣旨に則り、社内独自のカスハラ防止マニュアルを作成します。既存のマニュアルがある場合は、大幅な改定が対象となります。
3
実践的な取組の実施
録音機器の設置やAIシステムの導入、外部人材(弁護士等)への相談・契約といった具体的な取組を完了させます。
4
jGrantsによる電子申請
受付期間内にjGrantsへログインし、必要事項を入力。作成したマニュアルや証憑資料をアップロードして申請します。
5
審査・奨励金の振込
財団による審査を経て、支給決定がなされると、指定の口座に奨励金が振り込まれます。
よくある質問(FAQ)
Q以前から作成していたマニュアルがある場合は対象外ですか?
令和7年4月1日の条例施行に合わせ、東京都の指針に基づいた大幅な改定を行い、かつ新たな『実践的な取組』を実施した場合は対象となる可能性があります。ただし、単なる文言修正程度では認められないことがあるため、詳細は募集要項をご確認ください。
Q都外に本社がある企業ですが、都内の支店での取組は対象になりますか?
主たる事業所が都内にあり、都内の従業員の職場環境を改善するための取組であれば対象となります。ただし、法人都民税の納税証明書など、都内での活動実態を証明する書類が必要です。
Q録音・録画機器の購入費用が40万円未満でも40万円もらえますか?
本奨励金は『定額』支給ですので、要件を満たすすべての取組を実施していれば、支出額に関わらず40万円が支給されます。ただし、取組に一切の費用が発生していない(例:無料のひな形をそのまま使用しただけなど)場合は、実効性が問われる可能性があります。
Q第3回の受付再開はいつになりますか?
現時点では『延期』とされており、具体的な日程は未定です。Jグランツの障害復旧次第となりますので、しごと財団のホームページや特設WEBサイトをこまめに確認してください。
Qコンサルタントを紹介してもらうことは可能ですか?
東京都の事業として、業界団体等への専門家派遣を行っています。また、総合相談窓口では専門相談員によるアドバイスを受けることが可能です。これらを活用して自社に最適な対策を検討してください。
カスタマーハラスメント対策は、もはや企業の努力義務を超え、組織を守るための不可欠な投資となっています。東京都の奨励金を活用し、マニュアル作成と実践的なシステム導入を組み合わせることで、従業員が笑顔で働ける環境を実現しましょう。延期中の第3回受付に向け、今からマニュアルのドラフト作成や機器の選定を進めておくことが、採択への近道です。
特設サイトで最新の募集要項を確認しましょう
受付再開の通知を見逃さないよう、ブックマークをおすすめします。
免責事項: 本記事の情報は令和7年(2025年)7月時点の入力データに基づき作成しています。特に第3回申請受付の延期など、状況は随時変動します。申請にあたっては必ず『東京しごと財団』の公式サイトおよび奨励金特設サイトの最新情報をご確認ください。