環境省が主導する令和7年度『脱炭素型循環経済システム構築促進事業(プラスチック等資源循環システム構築実証事業)』の二次公募が開始されました。本事業は、プラスチックや廃油の資源循環を加速させ、化石資源由来のCO2排出を抑制する革新的な技術実証を支援するものです。民間企業や大学、研究機関を対象に、事業区分によっては約2億円規模の予算が割り当てられており、脱炭素社会の実現に向けた有力な補助施策となっています。
この記事でわかること
- 対象となる5つの事業区分と実証内容の詳細
- 区分ごとに割り当てられた総額最大2億円規模の予算と事業期間
- 採択率を高めるための申請書類作成のポイントと出口戦略
- jGrantsやGビズIDを利用した最新の電子申請フロー
脱炭素型循環経済システム構築促進事業の概要
本事業は、気候変動問題への対応と資源循環の高度化を同時に達成することを目的としています。従来の資源循環の取り組みから一歩踏み込み、資源の徹底活用とプロセスの省CO2化を図る実証事業を支援します。特に、化石資源由来のプラスチックの代替素材開発や、これまでリサイクルが困難だった素材の新たなリサイクルプロセスの構築が鍵となります。
実証事業が目指す社会実装の姿
本事業では、単なる技術開発に留まらず、実証終了後の社会実装が強く求められます。具体的には、実証された技術がどのように市場に普及し、どの程度のCO2削減に寄与するのかを明確な数値目標(KPI)として提示する必要があります。再生可能資源への転換や、SAF(持続可能な航空燃料)の原料製造など、多岐にわたる分野でのイノベーションが期待されています。
公募対象となる5つの主要事業区分
令和7年度の公募は、以下の5つの区分に分けられています。自社の技術やプロジェクトがどの区分に該当するかを正確に把握することが、申請の第一歩となります。
1. バイオプラスチック等(再生可能資源)への転換・社会実装化実証
化石資源由来プラスチックを、バイオマスプラスチック、紙、セルロースなどの再生可能資源素材に置き換える事業です。原料の切り替えだけでなく、製品の耐久性や成形性といった技術的課題の解決を含む実証が対象となります。
2. プラスチック等のリサイクルプロセス構築・省CO2化実証
現状ではリサイクルが困難な複合プラスチック等を対象に、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの新たな手法を確立する事業です。熱回収(サーマルリカバリー)を主目的とする事業は対象外となる点に注意が必要です。
3. 廃棄物等バイオマスを用いた省CO2型ジェット燃料等・原料製造実証
廃食用油、非食用米、古紙などの廃棄物等バイオマスを原料として、バイオジェット燃料(SAF)またはその原料を製造・流通させるための基盤構築を図る実証事業です。航空分野の脱炭素化に直結する重要な区分です。
4. 廃油のリサイクルプロセス構築・省CO2化実証
廃溶剤や廃潤滑油など、リサイクルが進んでいない廃油を資源として再利用するための技術的課題を解決する事業です。精製プロセスの省エネ化や高純度化技術の実証が期待されます。
5. マイクロプラスチック汚染防止のための化石資源由来素材からの代替実証
海洋流出時の環境負荷を低減するため、生分解性機能を持つ素材への代替を促進する事業です。マイクロビーズ等の代替につながる新規性のある取り組みが評価されます。
申請時の重要チェック事項
- エネルギー起源CO2の排出抑制に資する事業であること。
- 実証終了後の普及・実用化ルートが明確であること。
- サーマルリカバリーを主目的とした事業は対象外。
- 申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必須。
予算規模と事業実施期間
令和7年度の本事業全体の予算規模は以下の通りです。これらは総額の目安であり、個別の案件ごとに審査を経て適切な委託費が決定されます。
事業期間と中間評価について
事業実施期間は原則として3年度以内となります。複数年度にわたる事業の場合、毎年度末に審査委員会による中間評価が行われ、その結果に基づき翌年度の継続可否が決定されます。長期的な視点での実証が可能ですが、着実な進捗管理が求められます。
採択率を向上させるための申請戦略
本補助金(委託費)は、単なる資金提供ではなく、環境省と共に国の脱炭素施策を推進するパートナーとしての資質が問われます。審査を通過するためには、以下のポイントを申請書類に反映させることが重要です。
成功するための3つのポイント
- 定量的エビデンスの提示: 既存のプロセスと比較して、どれだけCO2排出を削減できるかを数値で証明する。LCA(ライフサイクルアセスメント)の視点を取り入れるのが一般的です。
- 実現可能な出口戦略: 実証終了後、どのように商業化するか。具体的な提携先や市場ニーズの分析、コスト競争力の見通しが不可欠です。
- 共同提案の活用: 自社だけでは不足する技術や流通ルートを補うため、大学や異業種企業との共同提案(コンソーシアム形式)も非常に有効です。
申請フローと公募スケジュール
二次公募の締め切りは令和7年6月20日です。余裕を持って準備を進めるために、以下のステップを遵守してください。
1
GビズIDプライムアカウントの準備
電子申請に必須となるアカウントを取得します。取得には通常2〜3週間を要するため、未取得の場合は早急に申請が必要です。
2
事業計画書の策定と書類作成
公募要領を確認し、技術的優位性、脱炭素効果、社会実装の計画を精緻に記載します。外部専門家等の助言を得ることも推奨されます。
3
申請書類の提出(E-mail/jGrants)
指定された提出先(事業区分により異なる)に、申請様式、事業概要スライド、補足資料をメールまたは電子申請システムにて提出します。
4
ヒアリング審査(評価審査委員会)
書類審査を通過した場合、外部有識者によるヒアリング審査が行われます。プロジェクトの意義を直接プレゼンテーションする機会となります。
5
採択決定・契約締結
審査の結果、採択が決定すると、環境省との委託契約に向けた手続きが開始されます。
よくある質問 (FAQ)
Q個人事業主でも申請できますか?
本事業の公募対象は、民間企業、独立行政法人、一般・公益社団・財団法人、大学等となっており、基本的には法人格を有していることが前提となります。
Q委託費の支払いはいつ行われますか?
委託契約に基づき、原則として年度ごとの事業完了後の確定精算払いとなります。ただし、事業規模や必要性に応じて、前金払いが認められる場合もあります。
Q他の補助金との併用は可能ですか?
同一の事業内容で重複して他の国の補助金等を受けることはできません。ただし、事業区分を明確に分けた別個のプロジェクトであれば申請可能な場合があります。
Qリサイクル困難素材の定義は何ですか?
現在の社会インフラにおいて、マテリアルリサイクルが経済的または技術的に成り立たず、焼却や埋め立てが行われているプラスチック素材などを指します。
Q海外での実証は対象になりますか?
国内のエネルギー起源CO2排出量の削減に資する事業であることが要件であるため、原則として日本国内での実証および社会実装が対象となります。
本事業は、先進的なリサイクル技術や代替素材開発を持つ企業にとって、大規模な実証実験を行う絶好の機会です。2025年の脱炭素目標達成に向け、単独または共同提案を通じて、革新的な資源循環の仕組みを構築しましょう。申請には綿密な準備が必要ですが、採択後の社会的信用と資金的なサポートは事業展開の大きな力となります。
最新情報の確認と申請準備の開始
公募締切は令和7年6月20日(必着)です。詳細は一般社団法人日本有機資源協会または環境省の公式サイトをご確認ください。
免責事項: 本記事の情報は2025年5月時点の公募情報に基づき作成しています。補助金や委託費の詳細は年度や予算状況によって変更される場合があります。申請にあたっては、必ず環境省および執行団体が発行する最新の公募要領や指針を直接ご確認ください。