グローバルサウス諸国との経済連携を強化し、日本の経済安全保障の確保と国内産業の活性化を目指す『グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金』の二次公募が開始されました。本補助金は、GX・DX・経済安全保障の分野において、日本企業が海外で行う大型の実証事業を支援するもので、1件あたり最大40億円という極めて大規模な支援が特徴です。
この記事でわかること
- 最大40億円にのぼる補助金額と対象となる事業類型
- 2026年1月23日までの二次公募スケジュールと申請期限
- 対象国(非ASEAN加盟国)および対象となる3つの重点分野
- 審査を通過するための事業計画書作成のポイントと注意点
グローバルサウス未来志向型共創等事業の概要
本事業は、経済産業省が主導する大規模な補助金制度です。急速な成長が見込まれるグローバルサウス諸国が抱える社会課題を、日本の高度な技術やデジタルソリューションで解決することを目指しています。これにより、相手国の成長力を日本国内のイノベーション創出や産業活性化に取り込み、同時に日本のサプライチェーン強靱化を図ることが目的です。
対象となる地域と国(非ASEAN加盟国)
今回の二次公募における『大型実証』の対象は、グローバルサウス諸国のうち、特に非ASEAN加盟国を対象としています。具体的には、南アジア(インド等)、中東、アフリカ、中南米などが想定されます。※ASEAN加盟国やウクライナ復興支援については、別途専用の枠組みが設けられています。
補助対象となる3つの重点分野
本補助金に申請するためには、以下のいずれかの分野に該当する事業である必要があります。
補助率と補助対象経費の考え方
補助率は企業の規模によって異なります。共同申請(コンソーシアム形式)の場合は、構成員全員が中小企業である場合にのみ中小企業向けの補助率が適用されるため、構成に注意が必要です。
補助率の詳細
- 大企業(または大企業を含む共同体): 補助対象経費の1/2以内
- 中小企業のみで構成される場合: 補助対象経費の2/3以内
併用禁止および返還リスクに関する注意
- 他の国庫補助金(国の予算を財源とする補助金)との併用はできません。
- 事業終了後、補助事業の要件を満たさなくなった場合(資産の目的外転用など)、補助金の返還を求められる可能性があります。
- 圧縮記帳等の税務上の取り扱いについては、事前に税理士等の専門家と確認を行うことが推奨されます。
採択に向けた3つの事業類型
申請する事業は、以下のいずれかの類型に該当する必要があります。複数の類型にまたがる事業も応募可能です。
類型1:我が国のイノベーション創出につながる共創型
現地での実証から得られたデータや知見を日本に持ち帰り、国内で新たな製品・サービスを生み出す『リバースイノベーション』を狙う事業です。
類型2:日本の高度技術海外展開型
日本の優れた技術を海外で標準化(デファクトスタンダードの獲得)し、将来的な商業化を通じて国内の雇用や経済波及効果を生む事業です。
類型3:サプライチェーン強靱化型
特定重要物資等の輸入依存度が高いものについて、供給源を多角化し、外部ショックに強い供給網を構築する事業です。
申請から採択、事業完了までのステップ
1
GビズIDプライムアカウントの取得
Jグランツを通じた電子申請が必須となるため、未取得の場合は早急に申請してください。取得には数週間かかる場合があります。
2
公募要領・様式の確認と書類作成
2025年12月18日に確定版の募集要領が公開されました。最新の様式を使用し、事業計画書、財務分析シート、パートナーとの合意書類等を準備します。
3
Jグランツによる電子申請
2026年1月23日(金)12:00必着です。システム混雑を考慮し、前日までのアップロード完了を強く推奨します。
4
審査・採択通知
事務局による書面審査および有識者による審査委員会が行われ、採択事業者が決定します。採択予定数は全体で5~10件程度と非常に狭き門です。
5
交付決定・実証事業開始
交付決定通知後に実証事業を本格開始します。事業期間は最長で令和11年2月末日までと長期にわたる計画が可能です。
専門家が教える採択率を高める申請書の書き方
本補助金は5億円超という大規模な予算を扱うため、審査は極めて厳格です。採択を勝ち取るためには、単なる海外進出の希望ではなく、国の政策意図に合致した論理的な説明が求められます。
審査で重視される4つのポイント
- 経済安全保障への寄与度: その事業が成功することで、日本の特定重要物資の供給網がどう強化されるかを具体的に数値で示す。
- 現地課題との適合性: 対象国の政府方針や社会課題とどう合致しているか。現地パートナー企業との合意形成の深度も重要です。
- 技術の優位性と標準化戦略: 競合国(他国の企業)と比較して、日本の技術がなぜ選ばれるのか、またどうやってデファクトスタンダードを握るかのロードマップ。
- 補助金終了後の持続可能性: 補助期間終了後、独力で収益化し、ビジネスとして継続・拡大できるスキームができているか。
よくある不採択の原因
- 事業計画が『単なる調査』にとどまっており、実証による具体的成果が見えにくい。
- 経費の積算根拠が不明確。大型案件のため、相見積もりや市場価格の妥当性チェックは非常に厳しく行われます。
- 日本国内への還元メリットが希薄。現地での成功のみを強調し、国内産業活性化への道筋が描けていない。
よくある質問(FAQ)
Q補助対象となる経費の範囲を教えてください。
実証事業に必要な設備費、原材料費、人件費(直接従事分)、旅費、委託費、謝金などが対象となります。ただし、取得財産を用いた製品・サービスの運用・評価など、実地に適用可能な段階での有効性確認に直接必要なものに限られます。詳細は事務局公開の確定版交付規程を確認してください。
Q海外の現地法人で支出する費用も補助対象になりますか?
原則として補助金の交付対象は日本国内の法人(幹事法人または共同申請者)となります。現地法人で発生する費用を対象とする場合は、日本側の申請法人から現地法人への外注(委託費)として計上するなどの整理が必要ですが、その妥当性や透明性が厳しく問われます。
Q中小企業の定義について教えてください。
中小企業基本法上の定義に基づきます。なお、今回の大型実証事業において2/3の補助率適用を受けるためには、共同申請を行う全ての法人が中小企業である必要があります。一人でも大企業が含まれる場合は、全体として1/2の補助率が適用されます。
Qウクライナ復興支援枠との違いは何ですか?
ウクライナ復興支援枠は、戦災からのインフラ再建やエネルギー供給支援に特化したプログラムです。対象地域や公募期間も異なり、ウクライナ枠は既に2025年7月に公募を締め切っています。本記事が解説しているのは、現在募集中の『大型実証 非ASEAN枠』です。
Q申請後に計画の変更は可能ですか?
軽微な変更を除き、事業計画の重要な変更(国・地域の変更、大幅な予算流用など)は原則として認められないか、事務局の承認手続きが必要となります。特に大型実証事業は国の戦略に紐付いているため、当初の計画策定精度が重要です。
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、日本企業が新興国市場でリーダーシップを発揮するための強力な後押しとなります。二次公募の締め切りは2026年1月23日です。年末年始の事務局休業期間(2025年12月27日〜2026年1月4日)を考慮し、早めの準備と書類作成を進めることが採択への近道です。特に大規模な投資を伴うGX・DX分野の企業は、この機会を逃さず申請をご検討ください。
電子申請(Jグランツ)の準備はお済みですか?
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。募集要領の詳細を確認し、余裕を持った申請を行いましょう。
免責事項: 本記事の情報は2025年12月時点の公募情報に基づき作成されています。補助金の詳細な要件や審査基準は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず事務局公式サイトにて最新の募集要領および交付規程をご確認ください。