名古屋市の中心市街地で、店舗やビルの前のスペースをもっと有効に活用したいと考えているオーナー様やテナント様は多いのではないでしょうか。せっかくのゆとりある空間を、単なる通路として放置しておくのは非常にもったいない話です。今回ご紹介する’Nagoまちテラス環境整備助成金’は、歩行者が思わず足を止めたくなるような、居心地の良い滞在空間を創り出すための費用を最大50万円まで補助してくれる制度です。この記事では、申請のポイントから対象となる具体的な経費まで、専門家の視点で詳しく解説していきます。
この補助金の要点
名古屋市内の特定の景観形成地区において、壁面後退区域を活用してベンチやテーブル、パラソルなどを設置する事業者が対象です。1敷地あたり最大50万円の助成が受けられ、限度額内であれば複数回の申請も認められている点が大きな特徴と言えます。
Nagoまちテラス環境整備助成金とはどのような制度か
まず知っておきたいのが、この助成金が目指しているビジョンです。名古屋市では現在、ウォーカブル(歩きたくなる)なまちづくりを推進しています。特に広小路通や大津通といった象徴的な通りにおいて、民間敷地内の’壁面後退区域’を魅力的な滞在空間へと変える取り組みを後押ししているのです。これを市では’Nagoまちテラス’と呼んでいます。
壁面後退区域とは、景観計画などのルールに基づいて、建物を道路から少し下げて建てた際に生まれるスペースを指します。この場所を、ただの空きスペースではなく、ベンチを置いて休憩できたり、オープンカフェのように飲食を楽しめたりする場所に作り替えることで、街全体の賑わいを生み出すことが狙いです。事業者の皆様にとっては、店舗のイメージアップや集客力の向上に直結する絶好の機会となるでしょう。
助成上限額(一建築敷地あたり)
50万円
助成の対象となるエリアと申請者の条件
この助成金を利用するには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。まず、場所の制約です。対象となるのは、名古屋市景観計画で指定されている’広小路・大津通都市景観形成地区’内の敷地です。このエリア内で、景観ルールに従って建物を道路境界線から後退させていることが大前提となります。
次に、誰が申請できるかという点ですが、基本的には建築物や土地の所有者が対象です。しかし、実際にそこで営業しているテナント(賃借人)の方々も、所有者から承諾を得ていれば申請することが可能です。商店街の店舗などが、自店の前におしゃれなテラス席を作りたいといったケースでも活用できるのは、非常に実用的だと言えるでしょう。
注意点
助成金の交付決定を受ける前に契約や購入をしてしまった費用は、一切助成の対象になりません。必ず事前の相談と申請を済ませ、決定通知を受け取ってからアクションを起こすようにしてください。
助成対象となる具体的な経費の内容
この制度で助成される経費は、大きく分けて’再整備’と’物品調達’の2種類に分類されます。どのようなものが対象になるのか、具体例を見ていきましょう。まず再整備については、据え置き型のベンチの設置や、足元の舗装をより歩きやすく、デザイン性の高いものへ改修する工事などが含まれます。固定式の什器を設置する場合は、こちらの枠組みで検討することになります。
もう一つの物品調達は、より手軽に取り組める内容です。日常的に使用する屋外用の椅子、テーブル、パラソルなどがこれに当たります。他にも、夜間の雰囲気を良くするための照明器具や、空間を彩るプランター、さらには夏場の暑さ対策として有効なミスト発生装置なども対象となる可能性があります。まちに開かれた空間として、滞在の快適性を高めるためのものであれば、幅広く認められる傾向にあります。
ポイント
単に備品を置くだけでなく、名古屋市が発行している’Nagoまちテラスの作り方(8つのポイント)’に沿った計画にすることが採択への近道です。例えば、道路との連続性や、夜間の景観への配慮などが評価のポイントとなります。
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 再整備費用 | 固定ベンチ、デッキ、舗装改修、植栽整備など |
| 物品調達費用 | 可動式の椅子・テーブル、パラソル、屋外照明、プランターなど |
| その他 | 空間の魅力を高める消耗品、維持管理に必要な備品など |
申請から助成金受け取りまでの5ステップ
手続きをスムーズに進めるためには、全体の流れを把握しておくことが欠かせません。この助成金は、申請前にプロのアドバイスを受ける工程が含まれているのが特徴です。
事前相談とアドバイザー相談
まずは名古屋市の担当課に相談しましょう。その後、景観アドバイザーによる専門的な助言を受ける機会が設けられます。ここで計画をブラッシュアップします。
交付申請書の提出
アドバイスを反映させた計画をもとに、正式な交付申請書を提出します。見積書や現地の写真、配置図などの添付書類が必要です。
交付決定と事業着手
審査を経て交付決定通知が届いたら、いよいよ物品の購入や工事の契約に進めます。着手届(工事の場合)を忘れずに出しましょう。
完了報告と検査
事業が完了したら、2月末日までに報告書を提出します。その後、市による完了検査が行われ、計画通りに整備されたかが確認されます。
助成金の請求と受け取り
検査に合格すると助成金の確定通知が届きます。最後に請求書を送付すれば、指定の口座に助成金が振り込まれます。
採択率を高めるための申請のコツ
この助成金は単なる補助ではなく、’街の景観を良くする’という行政目的があることを忘れてはいけません。そのため、申請書類においては、設置する物品がどのように街並みと調和し、歩行者にとってどのような利益があるのかを明確に説明することが重要です。
例えば、安価なプラスチック製の椅子を無造作に置くよりも、周囲の建物の外装に合わせた素材や色味の家具を選び、さらに適切な植栽を配置するといった工夫が評価されます。また、夜間の安全性を高める照明計画など、時間帯を問わず居心地の良さを提供できる提案は非常に有利に働きます。景観アドバイザー相談の場で、プロの視点を取り入れながら計画を練り上げることが、結果としてスムーズな採択へと繋がります。
よくある質問
Q. 助成金額の50万円を超えてしまった場合はどうなりますか?
A. 助成されるのは最大で50万円までです。総額がそれを超えた場合、超過分は全額自己負担となります。逆に、かかった費用の総額が50万円を下回った場合は、その実費額が助成の対象となります。
Q. 過年度に一度利用しましたが、今年もまた申請できますか?
A. はい、可能です。この助成制度は、一建築敷地あたりの限度額(50万円)に達するまでであれば、何回でも申請いただけます。例えば今年はパラソルを購入し、来年はベンチを設置するといった段階的な整備も認められています。
Q. 店舗の定休日でも、備品は出しっぱなしにしなければなりませんか?
A. 基本的には’まちに開かれた空間’としての運用が求められますが、夜間や荒天時、休業日などに備品を片付けることは防犯や安全上の観点から認められます。ただし、常態的に使用しないものは助成の対象外となる可能性があるため、注意が必要です。
Q. 景観アドバイザー相談は有料ですか?
A. 名古屋市が用意している制度ですので、相談料は無料です。原則として毎月第1・3・5週の火曜日に開催されており、事前予約制となっています。専門家の知見を無料で活用できる非常に有益な機会です。
Q. 工事の期間が長引き、3月になってしまいそうな場合は?
A. 制度上、当該年度の2月末日までに全ての事業を完了させ、報告を行う必要があります。期限を過ぎると助成金が受け取れなくなるリスクがあるため、スケジュール管理には十分注意し、余裕を持った計画を立てることが重要です。
まとめ
Nagoまちテラス環境整備助成金は、名古屋市の中心部をより歩きたくなる街へと変えていくための強力なバックアップツールです。最大50万円という金額は、小規模なテラス整備やおしゃれな什器を揃えるには十分な規模と言えるでしょう。特に、景観アドバイザーのアドバイスを無料で受けられる点は、デザインに自信がない事業者にとっても大きな安心材料となります。エリア内の敷地をお持ち、あるいは借りている皆様は、ぜひこの制度を活用して、お客様にも街にも愛される空間づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は公式サイトや名古屋市住宅都市局の窓口でご確認ください。