福岡県内で医療や介護に携わる経営者の皆様にとって、止まらない電気代や食材費の高騰は経営を圧迫する深刻な問題です。公的価格で運営されるこれらの事業所では、コストの上昇分をサービス価格に転嫁することが難しいため、行政による直接的な支援が欠かせません。今回、福岡県と福岡市では、物価高騰の影響を受ける医療機関や介護施設を対象とした新たな支援金の給付を決定しました。本記事では、申請を検討されている方が迷わずに手続きを進められるよう、給付額や対象条件、申請のポイントを詳しく解説します。
この補助金の要点
福岡県および福岡市の医療機関・介護施設を対象に、高騰した電気代や食材費の一部を支援します。給付額は施設の種類や病床数、電気の契約形態(特別高圧・高圧・低圧)によって細かく設定されており、申請には電気料金の明細書などのエビデンスが必要です。
福岡県と福岡市の支援制度を整理して理解する
今回の支援金は、実施主体によって対象や申請時期が分かれている点に注意が必要です。まず福岡市が行う介護施設等への支援は、令和7年3月3日から受付が始まります。一方で福岡県が実施する医療機関向けや、県全体の介護事業所向けの支援金は、令和8年1月から申請を受け付ける予定です。時期がずれているため、自社がどのタイミングでどの制度に申請すべきかを最初に見極めることが大切です。いずれの制度も国の重点支援地方交付金を活用しており、物価高によるコスト増を少しでも緩和することを目的としています。
医療機関向け支援金の対象と給付額の詳細
福岡県の医療機関等物価高騰対策支援金は、病院や診療所、薬局だけでなく、助産所や施術所、歯科技工所まで幅広く対象に含んでいます。給付額の算出根拠は、入院設備のある施設では病床数に応じた金額となり、入院設備のない無床診療所や薬局などは1施設あたりの定額給付です。具体的には、病院や有床診療所の場合、特別高圧受電なら1床あたり46,100円、高圧なら26,500円、低圧なら19,700円が支給されます。無床診療所においては、特別高圧で60,400円、低圧でも35,400円の支援が受けられるため、光熱費負担の軽減に大きく寄与するでしょう。
福岡県医療機関向け(1床あたり最大)
46,100円
介護施設等物価高騰対策支援金のポイント
介護施設向けの支援金も、基本的には医療機関向けと同様の考え方で構成されています。福岡市の令和6年度分については、令和7年3月から5月末までの比較的短い申請期間が設定されました。この支援金は過去に給付を受けたことがある施設でも、今回の要件を満たせば改めて受給することが可能です。対象となるのは、通所介護や訪問介護、特別養護老人ホームといった多様なサービス種別です。サービス類型ごとに支給要件が細かく定められているため、自社の運営サービスがどの区分に該当するかを事前に実施要領で確認しておく必要があります。
電気代の契約区分による金額の差について
本支援金の最大の特徴は、施設が受電している電気の種類によって給付額が大きく変動する点です。大規模な病院や大型施設であれば特別高圧や高圧での契約が多くなりますが、比較的小規模な診療所や店舗型の事業所では低圧(電灯契約など)が一般的です。例えば薬局や施術所の場合、高圧契約であれば28,100円ですが、低圧契約では10,500円となります。この契約区分を証明するために、電力会社から届く検針票や請求書の写しが必須となります。特にお客様番号が3から始まる番号であるかどうかなど、書類上の細かい記載事項が審査のポイントになるため、手元の書類を今一度よく確認してください。
注意点
国、県、市町村などの自治体が直接運営する公立の医療機関や介護施設は、今回の支援対象から除外されています。また、社会福祉施設の中に設置されている医務室なども、単独の診療所としては認められない場合があるため注意が必要です。
申請に必要な書類と手続きの流れ
手続き自体は決して複雑ではありませんが、書類の不備があると給付までに時間がかかってしまいます。まず最も重要なのが、支援金給付申請書です。これには署名または押印が必要となります。次に、振込先となる口座の通帳のコピーを用意してください。これは口座番号や名義人がカタカナで記載されている見開きのページをスキャンまたはコピーしたものです。そして、電気の受電種別を確認するための書類として、令和7年7月から令和8年3月のいずれかの月の検針票を用意しましょう。ただし、前年度に支援金を受けており、かつ契約種別に変更がない場合は、この電気関係の書類提出が免除される仕組みになっています。
実施要領と様式の確認
公式サイトから最新の実施要領をダウンロードし、自社が対象施設に含まれるかを確認します。
必要書類の収集
通帳のコピーや電気代の明細など、エビデンスとなる書類を手元に揃えます。
申請書の作成
ExcelまたはPDFの様式に記入漏れがないよう入力し、必要箇所に押印します。
書類の提出
指定の事務局宛てに郵送します。福岡県の場合は郵送のみの受付となっているため注意してください。
給付決定と入金確認
事務局での審査後、指定の口座に支援金が振り込まれます。
申請をスムーズに進めるためのコツ
多くの申請を見てきた経験から申し上げますと、最も多い不備は通帳のコピー不足です。表紙だけでなく、必ず1ページ目を開いた、金融機関名・支店名・口座番号・名義人が全て確認できるページを提出してください。ネット銀行の場合は、これらの情報が記載された画面を印刷したもので代用可能です。また、電気代の請求書については、単に金額が載っているものではなく、高圧や低圧といった契約種別が明記されている箇所が必要となります。ビルの中に入居しているテナント型のクリニックなどは、ビルオーナーから発行される一括受電の明細書が必要になるケースもあるため、早めに管理会社へ相談しておくと安心です。
ポイント
同一施設で医科と歯科の両方の保険医療機関コードを持っている場合でも、申請はどちらか一方のみとなります。重複して申請すると審査で弾かれてしまうため、法人の代表として一本化して手続きを行いましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 昨年度も同じ支援金をもらいましたが、今年も申請できますか?
A. はい、可能です。今回の支援金は令和6年度や令和7年度の物価高騰を対象としているため、過去に受給した施設であっても、要件を満たせば改めて受給の対象となります。
Q. 電気代の明細を紛失してしまった場合はどうすればいいですか?
A. ご契約中の電力会社のWEBマイページから再発行やダウンロードが可能な場合があります。どうしても用意できない場合は、契約種別が証明できる別の書類について事務局へ相談することをお勧めします。
Q. 複数の事業所を運営している法人は、まとめて申請できますか?
A. 申請書は事業所(施設)ごとに作成する必要がありますが、郵送する際は複数を1つの封筒に同封しても問題ありません。ただし、それぞれの事業所に紐づくエビデンス書類が混ざらないようクリップなどで分けておきましょう。
Q. 令和7年に新規開業したクリニックも対象になりますか?
A. 福岡県の医療機関向け支援金の場合、令和7年7月分から令和8年3月分のいずれかの月の電気使用実績があれば申請できる可能性があります。実施要綱に定める基準日時点で運営していることが前提となります。
Q. 柔道整復とあはきの両方の施術を行っている場合はどうなりますか?
A. 併設している施術所の場合は、いずれか一方の区分での申請となります。両方で個別に申請することはできないため、主たる業務の方で手続きを進めてください。
まとめ
今回の物価高騰対策支援金は、経営努力だけではカバーしきれないエネルギー価格上昇分を補填するための貴重な制度です。福岡市の介護施設は令和7年3月から、福岡県の医療機関等は令和8年1月からと、申請時期に差がある点に注意しましょう。給付額を決定する鍵となるのは電気の受電種別です。手元に検針票を準備し、不備のない書類作成を心がけることで、迅速な受給が可能になります。期限直前は事務局も混み合うため、余裕を持った準備をお勧めします。
※本記事の情報は2025年3月時点の公募資料に基づいています。自治体により細かなルールが異なるため、必ず福岡県や福岡市の公式サイトに掲載されている最新の実施要領を確認してください。