藤枝市で地域に根ざした交通サービスを運営する事業者にとって、少子高齢化や燃料高騰による採算性の悪化は深刻な悩みです。市では現在、令和8年度に向けた’地域内フィーダー系統確保維持計画’の策定を進めており、これに位置づけられることで国や市からの手厚い運行補助を受けることが可能になります。地域の足を守るための強力なバックアップ体制について、申請のポイントを整理しました。
この補助金の要点
地域の生活に必要なバスやタクシー、デマンド交通の運行赤字を、国と市が共同で補填する仕組みです。令和8年度からの新計画策定に向けた動きが始まっており、今から準備を進めることで安定的な運営基盤を築けます。
藤枝市が推進する地域公共交通補助の全体像
藤枝市では、市民の通院や買い物といった日常生活を支えるため、独自の公共交通ネットワークを構築しています。特に’地域内フィーダー系統’と呼ばれる、幹線バスや駅から住宅地・中山間地を結ぶ路線は、採算が取りにくい一方で、住民には欠かせない存在です。これらの路線を維持するため、市は国と連携して運行欠損額を補填する制度を運用しています。
具体的には、藤枝市地域公共交通会議において協議を行い、承認された路線が補助の対象となります。現在、令和8年度から令和12年度までを期間とする次期計画の素案作成が進められており、今後は市民アンケートや委員による意見聴取を経て、10月には具体的な協議が行われる予定です。事業者が新たに参入を検討する場合や、既存路線の見直しを行う場合は、このスケジュールに合わせた提案が求められます。
補助上限額(目安)
運行欠損額の100%(国1/2・市1/2)
対象となる事業者の要件
対象となるのは、一般旅客自動車運送事業者、つまりバス会社やタクシー会社です。また、市が運営する自家用有償旅客運送や、NPOなどが担う地域交通も、計画に盛り込まれることで支援の対象になり得ます。藤枝市では瀬戸谷地区や岡部北部地区といった特定の地域で、住民組織と事業者が協力して運行する形態も重視されています。
補助対象となる経費と事業内容
支援の核となるのは、車両の走行にかかる直接的な経費です。運転士の人件費はもちろん、燃料代、車両の修繕費、保険料などが含まれます。一方で、運賃収入だけではこれらの経費を賄えない場合、その差額(赤字分)が補助金の対象になります。
さらに、ハード面での支援も充実しています。EVバスの導入やAIオンデマンドシステムの構築、キャッシュレス決済端末の設置といった’地域公共交通のリ・デザイン’に資する取り組みには、別途、高度化事業としての補助が用意されています。デジタル化を進めることで運行効率を上げつつ、利用者の利便性を高める計画は、採択において非常に高く評価される傾向にあります。
ポイント
単に現状を維持するだけでなく、AIを活用した予約システムや、貨客混載(荷物と人を同時に運ぶ)など、経営効率を高める工夫を計画に盛り込むことが、長期的な採択の鍵となります。
申請から採択までの5ステップ
市の地域公共交通計画との整合性を確認
自身の事業が藤枝市のマスタープランに合致しているか、まずは事務局である地域交通課へ相談しましょう。
運行計画および収支予算案の作成
年間の走行距離や想定利用者数、それに基づく見込み欠損額を詳細に算出します。過去の実績がある場合はその数字も添えます。
地域公共交通会議でのプレゼンと承認
学識経験者や関係機関が参加する会議において、路線の必要性を説明し、計画への盛り込みの承諾を得ます。
実施計画の認定申請
会議で承認されたら、国(運輸局)に対して正式な実施計画の認定を申請します。これにより法律上の特例も適用されます。
補助金の交付申請と実績報告
運行開始後、実際の収支に基づき補助金の交付を申請します。年度末には厳密な実績報告が義務付けられています。
採択率を高めるための秘訣
この補助金は’単に赤字を埋めるためのもの’ではありません。国や市が求めているのは、持続可能な交通体系の構築です。そのため、申請時には’地域住民との対話’をどれだけ行っているかを強調してください。藤枝市の会議名簿にもある通り、自治会連合会や地区の対策委員会との合意形成ができているプロジェクトは、公的な支援を受ける根拠が強くなります。
また、人手不足への対応策も重要です。タクシー事業者がバスの運行を代行したり、逆にバス事業者がデマンド交通に切り替えたりといった、柔軟な形態の提案が推奨されています。最新の法改正では、独占禁止法の特例を活用した事業者間の共同経営も認められるようになり、複数の事業者が手を取り合う’共創’の姿勢が、今後の補助金獲得には不可欠といえるでしょう。
注意点
補助金を受け取るためには、定められた運行回数やダイヤを厳守しなければなりません。人手不足による突然の運休などは補助金の返還対象になる可能性があるため、余裕を持った乗務員確保が前提となります。
よくある質問
Q. 補助金を受けられる期間に制限はありますか?
A. 基本的には地域公共交通計画の期間(通常5年程度)に合わせて継続されますが、毎年度の実績評価(PDCA)が行われます。利用者が極端に少ない場合は、路線の再編や廃止が検討されることもあります。
Q. 赤字ではない黒字路線も補助の対象になりますか?
A. 原則として、運行による欠損が生じている系統が対象です。ただし、車両のバリアフリー化やキャッシュレス対応といった設備投資については、黒字事業者でも対象となる事業があります。
Q. 申請書類の作成が非常に複雑だと聞きましたが、代行は可能ですか?
A. 行政書士や経営コンサルタントが作成を支援することは可能です。藤枝市では事務局が手厚くサポートしてくれますが、専門家を入れることでより精緻な事業計画を作成できるメリットがあります。
Q. 補助金の入金はいつ頃になりますか?
A. 多くの場合は精算払いです。つまり、事業年度が終了し、実際の経費と収入が確定した後に支払われます。そのため、それまでの運転資金は自社で確保しておく必要があります。
Q. 部活動の送迎など、スクールバスの役割を兼ねることはできますか?
A. 可能です。最近では地域クラブ活動の地域展開に伴い、一般の公共交通とスクールバスの混載も推奨されています。教育委員会と連携した提案は、市の施策とも合致するため有力な候補となります。
まとめ
藤枝市の地域公共交通補助金は、事業者の経営リスクを軽減し、市民の移動権利を守るための重要な命綱です。令和8年度からの次期計画策定に向けたスケジュールはすでに動き出しており、この好機を逃さないことが重要です。まずは地域の声を拾い上げ、行政や他の事業者と手を取り合い、持続可能な交通サービスの姿を具体化することから始めてみましょう。
※本記事の情報は藤枝市地域公共交通会議および国土交通省の公開資料に基づく執筆時点のものです。最新の募集要項やスケジュールは、藤枝市都市建設部地域交通課の公式サイトで必ずご確認ください。