人手不足が深刻化する中で、従業員の住環境を整えることは、優秀な人材を確保するための重要な戦略となりました。富山県小矢部市では、市内の空き家を社員寮として再生させる企業に対し、改修費用を最大100万円まで支援する独自の補助金制度を実施しています。この記事では、空き家バンクを活用したリフォーム事業の仕組みや、採択に向けた具体的なポイントを詳しく解説します。
この補助金の要点
小矢部市内の空き家を社員寮にするための改修費を、最大100万円(補助率1/2)まで補助します。入居する従業員の人数によって上限額が変動するため、計画的な活用が求められる制度です。
社員寮用空き家バンク活用リフォーム事業補助金の狙い
小矢部市は現在、有効求人倍率が1.96倍という極めて高い水準にあり、企業にとって労働力の確保は経営上の最優先課題と言っても過言ではありません。一方で、市内には活用されていない空き家が点在しており、これらの資産をいかに有効活用するかが地域の課題です。本補助金は、この’人材確保’と’空き家解消’という2つの課題を一気に解決するために設計されました。
単に家を直すだけでなく、そこに移住・定住するきっかけを作ることで、地域の活性化にもつなげたいという市の意図が反映されています。事業者が「小矢部市空き家・空き地情報バンク」に登録された物件を買い取る、あるいは賃借してリノベーションを行う際に、その建物費の一部を市が肩代わりしてくれます。これにより、企業側は自社で新築の寮を建てるよりも大幅にコストを抑えながら、魅力的な福利厚生を構築できるでしょう。
対象となる事業者の条件
この支援を受けられるのは、市内に事業所を置く、あるいは置こうとしている法人となります。特に注目すべきは、自社で直接空き家を購入する場合だけでなく、賃貸契約を結んで改修する場合も対象に含まれる点です。長期間の借り上げを前提に、オーナーの了承を得て使い勝手の良い社員寮へとカスタマイズする手法も検討に値します。ただし、あくまで「空き家バンク」に登録されていることが前提条件ですので、まずはバンクに掲載されている物件をチェックすることから始めなければなりません。
補助上限額
100万円
補助金額と対象となるリフォーム経費
補助率は対象経費の2分の1以内で、上限額は100万円に設定されています。しかし、一律に100万円がもらえるわけではない点に注意してください。入居する従業員の数によって上限額が変動する仕組みが取られているため、少人数での利用を想定している場合は、事前にどれくらいの額が見込めるか市役所の担当窓口へ確認しておくのが賢明です。例えば、大規模な改修を計画していても、入居予定者が1名だけの場合は上限が低くなる可能性があります。
どのような工事が対象になるのか
基本的な対象経費は「建物費」です。具体的には、キッチンやバス、トイレといった水回りの一新、外壁の修繕、内装のクロス貼り替え、畳からフローリングへの変更といった工事が想定されます。社員寮として活用するには、個室のプライバシーを確保するための間仕切り壁の新設や、エアコン等の設備更新も必要になるかもしれません。最近では、Wi-Fi環境の整備やテレワークスペースの設置など、従業員の満足度を高めるリフォームも人気を集めています。
注意点
工事着手後の申請は認められません。必ず契約や施工の前に申請を行い、市からの「交付決定」を受けてから工事をスタートさせる必要があります。また、空き家バンクに登録されていない物件を個人的に交渉して購入した場合は、この補助金の対象外となります。
申請から補助金受領までの5ステップ
手続きの流れは、一般的なリフォーム補助金と似ていますが、空き家バンクを介する点が特徴的です。スムーズに進めるための手順を確認しておきましょう。
空き家バンクで物件を選定
小矢部市の空き家・空き地情報バンクに掲載されている物件の中から、社員寮に適した住宅を探します。現地確認を行い、リフォームが必要な箇所を洗い出します。
事前相談と見積もりの取得
施工業者から見積書を取り寄せます。この段階で市役所の担当部署へ、計画している内容が補助対象に合致するか相談しておくと、その後の審査がスムーズになります。
交付申請書類の提出
必要書類を揃えて市へ申請します。事業計画書や見積書の写し、物件の状況がわかる写真などが必要になります。市からの交付決定通知を待ってから契約・着工となります。
改修工事の実施と支払い
決定した計画に基づき、リフォーム工事を行います。工事完了後、業者への支払いを済ませて領収書を保管しておいてください。工事中の写真撮影も忘れずに行いましょう。
実績報告と補助金の受領
工事完了後、実績報告書を提出します。市の職員による完了確認が行われた後、補助金が指定の口座へ振り込まれます。これで一連の手続きは完了です。
採択率を高める!申請のコツと注意点
この補助金を活用する上で、最も重要なのは「入居計画の明確化」です。単に建物を直すだけでなく、誰がいつ頃から入居し、それが企業の雇用確保にどう貢献するのかをしっかり説明できるようにしておきましょう。特に外国人材の受け入れを検討している企業の場合、生活習慣に配慮した設備の導入(例えばキッチンの仕様や部屋の構造など)を盛り込むことで、事業の必要性がより強くアピールできます。
また、市内の業者にリフォームを依頼することも検討してください。補助金の要件には含まれていない場合でも、地域の経済循環に寄与するという姿勢は自治体からの信頼を得やすいものです。地域の工務店であれば、小矢部市の気候特性に適した改修案を提示してくれる可能性も高いでしょう。断熱改修などを併せて行い、従業員が快適に過ごせる環境を整えることが、結果として定着率の向上に繋がります。
ポイント
小矢部市では、企業紹介PR動画の制作支援やDX推進など、他にも多くの企業向け補助金が用意されています。これらを組み合わせることで、採用から職場環境の改善までを一貫して強化することが可能です。担当窓口で「他に併用できる制度はないか」と積極的に質問することをおすすめします。
よくある質問
Q. 株式会社だけでなく、合同会社やNPO法人でも申請できますか?
A. 原則として法人が対象であれば可能です。小矢部市内に事業所を持つ、あるいは移転してくる計画があれば対象となります。ただし、事業内容によっては制限がある場合も想定されるため、事前に法人の登記簿謄本などを用意して相談するのが確実です。
Q. 社員寮として何年くらい使用し続ける必要がありますか?
A. 多くの補助金では「財産処分の制限期間」が設けられています。通常は3年から5年程度、補助を受けた目的(社員寮)として継続使用することが求められます。短期間で売却したり、他目的へ転用したりすると補助金の返還を求められることがあるので注意が必要です。
Q. すでに購入してしまった空き家を社員寮にしたいのですが対象ですか?
A. 本補助金は「空き家バンクに登録された物件」を購入または賃借することが要件の一つです。また、申請前に着工している場合も対象外となります。タイミングが非常に重要ですので、検討段階で早めに市の窓口を訪ねるのが最善の策と言えます。
Q. 従業員の家族が一緒に住むための家族用寮でも構いませんか?
A. 定住人口の増加を目的に掲げているため、家族での入居はむしろ歓迎される可能性が高いでしょう。世帯で移住してくるケースは地域にとってもメリットが大きいため、プラスの要素として評価されると考えられます。申請時に詳細な入居予定を説明しましょう。
Q. 備品(家電や家具)の購入費用も補助対象に含まれますか?
A. 本補助金の対象経費は、原則として建物の改修に要する費用です。冷蔵庫や洗濯機などの動産は対象外となることが一般的ですので、あくまで「箱(建物)」を直すための費用として計画を立てるのが賢明です。ただし、ビルトインの設備などについては認められる場合もあります。
まとめ
小矢部市の「社員寮用空き家バンク活用リフォーム事業補助金」は、企業の攻めの姿勢を後押ししてくれる非常に有用な制度です。空き家という眠っている資産を社員寮として蘇らせることで、コストを抑えた人材確保と地域の課題解決を同時に実現できます。令和7年度からはじまるこの好機を逃さず、まずは空き家バンクの物件探しから始めてみてはいかがでしょうか。事前の丁寧な相談と計画が、100万円獲得への第一歩となるはずです。
※本記事の情報は執筆時点(2025年4月1日公募開始データ)のものです。最新の募集要項や詳細な要件については、必ず小矢部市の公式サイトや担当窓口でご確認ください。