長野県内で地域を盛り上げたいと考えている団体の皆さんにとって、活動資金の確保は常に大きな課題ではないでしょうか。新しいイベントを企画したり、地域の伝統を守る活動を始めたりする際、山ノ内町や上田市が実施している’まちづくり補助金’は非常に強力な味方になります。今回は、特に令和8年度に向けて募集が行われる山ノ内町の’協働のまちづくり推進事業支援補助金’と上田市の’活力あるまちづくり支援金’を中心に、採択を勝ち取るためのポイントを専門家の視点で詳しく解説します。
この補助金の要点
地域の課題解決や魅力アップにつながる’新規性’のある事業が主な対象となります。山ノ内町では地縁団体なら最大9割、上田市では重点事業なら最大60万円の支援が受けられるなど、非常に手厚いサポート体制が整っているのが特徴です。
長野県内のまちづくり補助金の全体像
地域活性化を目指す補助金は、自治体によって名称や細かなルールが異なりますが、根底にある目的は共通しています。それは、行政だけでは手が届かないきめ細かな地域課題を、住民自らの手で解決してもらうことです。山ノ内町で実施される’協働のまちづくり推進事業支援補助金’は、まさに町民が主役となるプロジェクトを応援するための制度と言えます。対象となるのは、新たに取り組む地域づくりの事業や、地域を盛り上げるイベントの経費です。
一方で上田市の’活力あるまちづくり支援金’に目を向けると、こちらは全市的な活動から特定の地区に限定した活動まで、幅広くカバーしている点が目を引きます。上田市の場合、市民5人以上が集まれば団体として認められるため、法人格を持たないボランティアグループでも申請が可能です。このように、長野県内の多くの自治体では、意欲ある住民が活動を始めやすいように門戸を広く開いています。
支援を受けられる金額と補助率の詳細
まずは最も気になる予算面について整理していきましょう。山ノ内町の制度では、1事業あたりの上限額が45万円に設定されています。ここで注目すべきは補助率の高さです。区や組といった地縁団体の場合は、対象経費の10分の9までが補助されます。これは、10万円のプロジェクトを計画した際、団体の手出しはわずか1万円で済むことを意味しており、自治会活動をアップデートしたい方々にとって非常に利用しやすい条件と言えます。地縁団体以外のグループであっても10分の7の補助が受けられるため、民間のイベント企画でも積極的に活用を検討すべきでしょう。
山ノ内町:補助上限額
45万円
次に上田市のケースを見てみると、さらに枠組みが細分化されています。一般的な市民活動であれば’全市枠’として上限30万円、特定の自治組織内での活動であれば’地域枠’として上限60万円が設定されています。さらに上田市では、市が指定する重点分野に取り組む場合には、より採択されやすい仕組みが整っています。ただし、いずれの自治体においても、予算には限りがあるため、早い段階から準備を進めることが採択への近道となるでしょう。
上田市:補助上限額(地域枠)
60万円
対象となる経費と認められない経費
活用しやすい主な経費項目
補助金の対象となる経費は多岐にわたります。まず代表的なのが’原材料費’です。例えば、地域の花壇を整備するための苗や土の代金、イベントで配布する資料を作るためのコピー用紙やインク代などがこれに当たります。また、外部から専門の講師やプロのパフォーマーを招く場合の’謝金’も対象です。山ノ内町や上田市では、市や町の基準に基づいた金額設定が必要になりますが、質の高いイベントを開催するためには欠かせない経費と言えます。さらに、会場を借りるための’使用料’や、広報用のポスター・チラシを作成する’製本費’も認められます。このように、活動に直接必要な経費の多くをカバーできるのが、この補助金の魅力です。
ポイント
備品の購入に関しては注意が必要です。1個または1組の取得価格が5万円以上のものは’備品’として扱われます。単に道具を買い揃えるだけの事業と判断されると不採択になりやすいため、その備品が活動の継続にどう必要なのかを明確に説明しなければなりません。
注意が必要な’対象外’のルール
一方で、どのような活動でもお金が出るわけではありません。特に注意したいのが、飲食を目的とした経費です。打ち上げの飲み代や、単なる懇親会での食事代は、公金である補助金の性質上、まず認められません。ただし、上田市の制度のように、会議中に出される最低限のお茶代程度であれば認められるケースもあります。また、特定の政党や宗教の宣伝につながる活動や、営利のみを目的とした事業も対象外です。他にも、すでに完了してしまった事業に対して遡って申請することはできないため、必ず’実施前’に手続きを済ませておく必要があります。
注意点
施設整備や大規模な改修などの’ハード事業’は対象外となることが一般的です。道路や建物の構造物を設置するようなプロジェクトを考えている場合は、別の補助金を検討する必要があります。
採択率を高める申請の流れ
申請はオンラインや窓口での提出となりますが、単に書類を出すだけでは不十分です。採択されるための理想的なステップを確認していきましょう。まず最初に行うべきは、役場の担当課への’事前相談’です。山ノ内町でも上田市でも、この事前相談が実質的な必須工程となっています。自分のアイディアが補助金の趣旨に合っているか、過去に似たような事業がなかったかを確認することで、無駄な書類作成の手間を省くことができます。
事前相談とアイディアの具体化
役場の窓口へ行き、やりたいことの概要を伝えます。ここで予算の組み方や対象経費の判断を仰ぐのがコツです。
申請書類(事業計画書)の作成
誰が、いつ、どこで、何をするのかを具体的に記入します。特に’地域がどう良くなるか’という効果の部分を強調しましょう。
書類の提出とヒアリング
期限までに書類を提出します。上田市のように、提出時に内容の聞き取り(ヒアリング)が行われることもあります。
審査と交付決定
選考委員会などによる審査を経て、無事に認められれば’交付決定通知書’が届きます。ここから事業開始です。
実績報告と精算
事業が終わったら、領収書を添えて報告書を出します。内容が確認された後、実際の補助金が振り込まれます。
採択されるための3つの黄金ルール
多くの申請書類を見てきた経験から言えるのは、審査員は’熱意’だけでなく’具体性’と’持続性’を重視しているということです。まず一つ目のルールは、独自の知恵と工夫を盛り込むことです。どこにでもあるようなイベントではなく、その地域ならではの資源をどう活かしているかをアピールしてください。二つ目は、波及効果を明確にすることです。その活動によって、参加した人以外の地域住民にどのようなメリットがあるのかを数値や予想図で示すと、説得力が格段に増します。
そして三つ目のルールは、補助金が終わった後の自立プランを示すことです。補助金はあくまで’きっかけ’に過ぎません。2年目、3年目とどのように活動を続けていくのか、あるいは補助金がなくても運営できるような仕組み(参加費の徴収や協賛金の募集など)をどう作るかを計画書に盛り込んでおくと、非常に高い評価を得られます。役所側としても、一回きりで終わってしまう活動より、地域に長く根付く活動を支援したいと考えているからです。
よくある質問
Q. まだ団体を作っていないのですが、個人でも申請できますか?
A. 原則として、5人以上のメンバーで構成される’団体’としての申請が求められます。しかし、これから活動を始める有志のグループでも、規約や名簿を作成すれば対象となる場合が多いので、まずは仲間を集めることから始めましょう。
Q. 採択されたら、すぐにお金を受け取れますか?
A. 基本的には’精算払い’という仕組みです。つまり、一度自分たちでお金を立て替えて支払いを行い、事業が終わった後に領収書を提出して、後から補助金を受け取ることになります。資金繰りには注意しておきましょう。
Q. 去年と同じ内容のイベントで申請しても大丈夫ですか?
A. 多くの自治体では’新規性’を重視しています。全く同じ内容だと、自立して継続すべき事業と判断される可能性があるため、新しいプログラムを追加したり、対象を広げたりするなどの’ブラッシュアップ’を加えることが大切です。
Q. 複数の補助金を同じ事業に使うことはできますか?
A. 基本的に、同一の経費に対して国や県、他の市町村から二重に補助を受けることはできません。ただし、対象となる経費を明確に切り分けることができれば併用可能なケースもあるため、窓口で詳しく確認することをおすすめします。
Q. 領収書を失くしてしまった場合はどうなりますか?
A. 領収書がない経費は、いかなる理由があっても補助の対象外となってしまいます。レシートでも認められることが多いですが、宛名や但し書きがしっかり記載されたものを、活動期間中は厳重に保管しておかなければなりません。
まとめ
山ノ内町や上田市といった長野県内の自治体が提供するまちづくり補助金は、皆さんの「地域を良くしたい」という想いを具体化するための大きな力になります。最大45万円から60万円という支援額は、小規模なコミュニティ活動にとっては非常にインパクトのある数字です。申請には事前の相談や計画書の作成など一定の手間がかかりますが、そのプロセス自体が活動の質を高める貴重な機会にもなるでしょう。まずは身近な仲間と、どのような地域を目指したいのかを話し合うところから始めてみてください。役場の担当者も、皆さんの前向きな提案を待っているはずです。
※本記事の情報は執筆時点のものです。令和8年度の募集内容や期限については、必ず山ノ内町や上田市の公式サイトにて最新情報をご確認ください。