新潟県五泉市で農業を営む皆様にとって、冬場のハウス栽培に欠かせない灯油などの燃料価格高騰は、経営を左右する深刻な問題です。市ではこうした農家の負担を和らげるため、園芸施設で使用する燃料費の一部を支援する制度を実施しています。この記事では、最大12万5,000円の補助が受けられる’施設園芸支援事業’の仕組みや、申請時に気をつけるべきポイントを専門家の視点で詳しく解説します。
この補助金の要点
五泉市内でハウス加温を行い、農産物を出荷している農業者が対象となります。加温用の燃料費について、市が定める基準に基づき、購入費用の最大半分(上限12万5,000円)が補助されます。申請には、指定期間内の領収書や出荷を証明する書類を揃える必要があります。
施設園芸支援事業の概要と対象者について
この事業は、原油価格の上昇によって膨らんでしまったハウスの加温コストを軽減することを目的としています。五泉市は’越後姫’に代表されるいちごや、特産品のさといも、さらにはボタンなどの花き栽培が盛んな地域ですが、これらの生産には適切な温度管理が欠かせません。燃料費の支払いが経営の重荷になっている生産者の方にとって、非常に助けになる制度と言えるでしょう。
対象となるのは、五泉市内に在住しており、実際に園芸施設で加温を行っている農業者の皆様です。個人事業主の方はもちろんのこと、農業法人として運営している場合も申請が可能です。ただし、自家消費用ではなく、いちごや切り花、花木などを生産し、市場や直売所、卸売業者などへ継続的に出荷・販売していることが条件となります。また、市税の未納がないことも必須要件のひとつですので、事前に確認しておきましょう。
補助金額と計算の仕組み
気になる補助金額ですが、最大で12万5,000円まで受け取ることができます。補助率は対象となる経費の2分の1となっており、全額が返ってくるわけではない点には注意が必要です。具体的な計算式としては、市が独自に定めた基準単価に、期間内の実際の購入量を掛け合わせ、その半分の額を算出する形をとっています。購入したすべての費用がそのまま対象になるのではなく、市が設定する上限や基準に従って計算されるため、予算計画を立てる際には窓口で単価を確認しておくと確実です。
補助上限額
125,000円
補助対象となる経費と期間の詳細
この支援金で対象となるのは、園芸施設での加温に使用する燃料の費用です。具体的には灯油などが想定されています。農業機械を動かすための軽油や、配送用の車両に使うガソリンなどは対象外となる可能性が高いため、用途が明確に分かれていることが重要です。ハウス内の暖房機に使用した分であることを、しっかりと証明できるようにしておかなければなりません。
対象となる購入期間も厳格に定められています。基本的には冬場の加温が必要な時期(例えば10月から翌年2月頃まで)に購入し、かつ支払いが完了しているものが対象です。令和5年に入ってからの申請募集では、2月末までの購入分を3月10日までに支払い終えていることが条件とされていました。このように、納品日と支払い日の両方が期間内に収まっている必要があるため、ツケ払いなどで支払いが遅れる場合は対象から外れてしまう恐れがあります。
注意点
領収書や請求書がない経費は一切認められません。レシートであっても、日付、購入品目(灯油等)、数量、金額、そして購入者が明記されている必要があります。感熱紙のレシートは時間が経つと文字が消えてしまうことがあるため、コピーを取っておくか、大切に保管することをお勧めします。
申請のステップと必要書類の手引き
申請の手続き自体はそれほど難しくありませんが、書類の不備で何度も窓口へ足を運ぶのは避けたいところです。効率よく進めるための5つのステップをまとめました。まずは全体の流れを把握して、準備に取り掛かりましょう。
燃料購入時の証憑を収集する
対象期間内に購入した灯油などの領収書や納品書をすべて集めます。複数の伝票がある場合は、合計金額と合計数量を計算しておくと後の書類作成が楽になります。
出荷実績を証明する書類を用意する
JAへの出荷伝票や、直売所の売上報告書、市場からの精算書などを準備します。実際に農産物を販売して収入を得ていることを示す重要なエビデンスとなります。
申請書類の作成と記入
五泉市のホームページや窓口で配布されている申請書に記入します。住所、氏名、栽培面積、使用している暖房機の台数などを正しく記載してください。
市役所窓口へ書類を提出する
五泉市役所の農林課など、指定された窓口へ書類を持参または郵送します。締め切り日間際は混雑が予想されるため、余裕を持って行動しましょう。
審査と補助金の振り込み
提出された書類を市が審査し、不備がなければ交付決定通知が届きます。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。
採択に向けたコツとアドバイス
この補助金は比較的、要件が明確で通りやすい部類に入りますが、それでもいくつか注意すべきポイントがあります。まず大切なのは、燃料の購入明細をしっかりと分けておくことです。もし、同じガソリンスタンドで農業用と家庭用の灯油を一緒に買っている場合、どれがハウス用なのかを説明できるようにしておく必要があります。できれば農業専用の伝票として発行してもらうのがベストです。
また、出荷証明についても工夫が必要です。JAなどを通さず個人で相対取引をしている場合は、納品書や領収書の控え、入金が確認できる通帳のコピーなどを用意しなければなりません。取引先から「確かに買い取った」という証明をもらっておくと、審査がスムーズに進むでしょう。さらに、前年度の実績との比較を求められるケースもあるため、過去の帳簿もすぐ出せるように整理しておくことをお勧めします。
ポイント
申請期限ギリギリになって領収書を探し始めるのは非常に危険です。日頃から’補助金用’の封筒を作っておき、燃料を買うたびにその中へ伝票を入れていく習慣をつけましょう。小さな努力が、確実な受給に繋がります。
よくある質問(FAQ)
Q. 灯油以外の燃料(重油やガスなど)も対象になりますか?
A. 基本的には加温用の灯油が主ですが、重油なども対象に含まれる場合があります。ただし、市が定める基準単価が燃料の種類ごとに異なる可能性があるため、灯油以外を使用している方は事前に農林課へ確認をとるのが確実です。
Q. 今年から農業を始めたばかりですが、申請できますか?
A. はい、可能です。新規就農者であっても、実際に市内で施設園芸を行い、出荷実績があれば対象となります。ただし、出荷証明がまだ出ていない場合は、今後の出荷予定や栽培計画を示す書類を求められることがあります。
Q. 市外に住んでいますが、五泉市内にハウスを持っています。対象になりますか?
A. 原則として、五泉市内に住所がある(住民登録がある)ことが要件とされています。もし法人の場合は、五泉市内に本店や主たる事業所があることが条件となります。市外居住者の場合は、お住まいの自治体で同様の支援がないか確認してみてください。
Q. クレジットカードで支払った場合でも認められますか?
A. クレジットカード払いも認められますが、利用明細だけでなく、販売店から発行された納品書や、引き落としが確認できる通帳のコピーなどをセットで提出する必要があります。支払いが完了していることが条件ですので、申請時にまだ引き落とされていない場合は注意が必要です。
Q. 複数のハウスがある場合、上限額はどうなりますか?
A. 上限額は原則として1経営体(1人または1法人)につき12万5,000円です。ハウスの棟数に関わらず、合算した購入量に基づいて計算されますが、上限を超える分については自己負担となります。
まとめ
五泉市の’施設園芸支援事業’は、厳しい経営環境にある農家の皆様にとって、現金の流出を直接的に抑えられる貴重な支援策です。最大12万5,000円という金額は、燃料単価が高騰する中で決して小さくない助けとなるはずです。申請にあたっては、日々の領収書管理と正確な出荷実績の把握が何よりの鍵となります。募集期間が限られているため、迷っている方は早めに市役所の農林課へ相談し、必要な書類の準備を進めていきましょう。市の特産品を守り、次年度以降も安定した農業経営を続けていくために、こうした公的支援を賢く活用してください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。制度の内容や期間は年度によって更新される可能性があるため、最新情報は五泉市の公式サイトや担当窓口で必ずご確認ください。