三重県亀山市で農業を営む方や、所有する山林の樹木被害に悩まされている方にとって、有害獣への対策は避けて通れない課題です。イノシシやニホンジカ、さらにはニホンザルによる食害は、丹精込めて育てた農作物を一瞬で台無しにするだけでなく、営農意欲そのものを削いでしまいかねません。亀山市ではこうした深刻な状況を重く受け止め、防護柵の設置や捕獲活動の支援、さらには狩猟免許の取得費用を補助する制度を整えています。本記事では、申請を検討されている皆様に向けて、制度のポイントや手続きの進め方を詳しく解説します。
この補助金の要点
農作物や樹木の被害を防ぐための防護資材購入から、捕獲に携わる担い手の育成まで幅広くサポートする制度です。地域ぐるみでの対策や、個人での免許取得など、被害状況に合わせた柔軟な活用が期待されています。
亀山市が取り組む獣害対策の背景
亀山市内では、近年イノシシやシカの生息域が拡大しており、農地だけでなく住宅地に近いエリアでも目撃情報が増えています。特に2025年11月にはツキノワグマの出没状況に関する注意喚起がなされるなど、野生動物との共生はますます難しい局面を迎えているのが現状です。市議会においても、高島真議員をはじめとする多くの議論が重ねられてきました。平成28年や令和5年の定例会では、有害鳥獣対策事業や猟友会への支援、捕獲後の処理体制について具体的な質問が飛び交い、行政としても対策の強化を継続的に進めています。こうした背景から、市民が自ら守るための活動を支援する補助金は、市の政策の中でも重要な位置を占めているといえます。
補助の対象となる方と具体的な事業内容
この制度を利用できるのは、主に市内で農業を営んでいる方や、被害を受けている土地の所有者で構成される団体などです。具体的な補助内容は大きく分けて3つの柱で構成されています。一つ目は、電気柵やワイヤーメッシュ柵といった防護資材の導入支援です。二つ目は、有害鳥獣の捕獲に直接関わる活動への支援、そして三つ目が、これから狩猟免許を取得しようとする方への費用助成となります。三重県が策定している第二種特定鳥獣管理計画に基づき、ニホンジカやイノシシ、ニホンザルの被害防止に直結する取り組みが優先的に採択される傾向にあります。
注意点
資材を購入したり免許試験を申し込んだりする前に、必ず事前相談を行う必要があります。すでに支払いを済ませてしまった経費については、補助の対象外となるため、手続きの順番を間違えないよう気をつけましょう。
補助金額と対象となる経費の詳細
補助金の額については、実施する事業の種類によって細かく設定されています。一般的には資材購入費の実費のうち一定割合を市が負担する形をとりますが、予算の枠に限りがあるため、年度ごとの募集状況を確認することが欠かせません。例えば、防護柵の設置では、個人で設置する場合よりも、隣接する農家が協力して広域的に設置する方が、補助率や上限額において優遇されるケースが多く見られます。これは、一点突破を狙う野生動物の習性に対し、地域全体で面的な対策を講じる方が高い防除効果を発揮するためです。
補助上限額
審査内容により決定(窓口相談を推奨)
| 支援メニュー | 補助の対象となる主な内容 |
|---|---|
| 侵入防止柵設置 | 電気柵、ワイヤーメッシュ、防風ネットなどの資材費 |
| 狩猟免許取得支援 | 試験手数料、初心者講習会の受講料など |
| 捕獲活動支援 | 有害鳥獣の捕獲に従事する際の活動経費や罠の資材費 |
申請から補助金受領までの5ステップ
手続きをスムーズに進めるためには、全体の流れを把握しておくことが大切です。書類の準備には時間がかかることもあるため、余裕を持って動き出しましょう。
生物多様性・獣害対策室への事前相談
被害の状況を伝え、現在の取り組みが補助の要件に合致するかを確認してもらいます。
交付申請書の提出
事業計画書や見積書を添えて、市に申請を行います。この段階で内容が精査されます。
交付決定および事業の開始
市から交付決定通知が届いたら、ようやく資材の購入や工事に着手できます。
実績報告書の提出
作業完了後、実際に支払った領収書の写しや、設置後の写真を提出して完了を報告します。
補助金の確定と受け取り
市の検査を経て補助金額が確定し、指定の口座に代金が振り込まれます。
採択されやすくなる活用のコツ
補助金を有効に活用し、かつ採択の可能性を高めるためには、単に資材を並べるだけでなく、戦略的な視点を持つことが求められます。まず意識したいのが、設置後のメンテナンス計画です。電気柵であれば雑草による漏電を防ぐための除草管理、ワイヤーメッシュであれば掘り起こし防止の補強など、継続的に機能させるための体制を整えていることをアピールすると、事業としての妥当性が高く評価されます。また、周辺の耕作放棄地の状況を把握し、地域全体でどのように追い払いを行うかという広域的な視点を盛り込むことも非常に有効です。さらに、サルの群れ位置情報など、市が提供しているデータを活用した具体的な被害予測を計画に反映させれば、より説得力のある申請内容となるはずです。
ポイント
被害状況を写真や図面で可視化することが重要です。どの場所から、どのような動物が侵入しているのかを客観的に示すことで、対策の必要性がより明確に伝わります。
よくある質問
Q. 以前設置した柵が壊れた場合、修理費用も補助されますか?
A. 原則として、新規の設置や大規模な更新が補助対象となる場合が多く、日常的な軽微な修理や消耗品の交換は自己負担となるのが一般的です。ただし、災害等による被害や全面的な見直しが必要な場合は対象になる可能性もあるため、まずは窓口へ相談してみてください。
Q. 農業を営んでいない家庭菜園レベルでも申請できますか?
A. 亀山市の制度では、販売目的の農業従事者を主眼に置いていますが、地域全体の被害防止に寄与すると判断されれば対象となる余地があります。土地の地目や面積、周囲の農地への影響などを踏まえて判断されます。
Q. 蜂の巣の除去はこの補助金で対応できますか?
A. 有害獣被害防止対策事業補助金は主にイノシシやシカなどを想定しており、蜂の巣の除去費用そのものへの助成は別の扱いになります。ただし、亀山市では蜂用防護服の無料貸し出しを行っていますので、安全な自力駆除のサポートを受けることが可能です。
Q. 中古の防護柵を購入して設置する場合も対象になりますか?
A. 補助金事業では、耐用年数や品質を保証する観点から、基本的には新品の購入が条件とされています。中古品は領収書の有効性や性能の証明が難しいため、対象外とされるケースがほとんどです。
Q. 免許取得後、実際に捕獲活動をしないと補助金を返還する必要がありますか?
A. 免許取得支援の目的は「地域の担い手確保」にあります。そのため、取得後に市の有害鳥獣捕獲隊に登録したり、猟友会に所属して地域の活動に参加したりすることが補助の条件となっている場合があります。将来的な貢献を前提とした支援であることを理解しておきましょう。
まとめ
亀山市の有害獣被害防止対策事業補助金は、個人の大切な農地を守るだけでなく、地域の農業継続を支えるための重要なツールです。ツキノワグマの出没やサルの被害など、状況は日々変化していますが、行政の支援をうまく活用することで被害を最小限に食い止めることができます。まずは生物多様性・獣害対策室の窓口で、ご自身の状況に最も適したプランを相談することから始めてみましょう。適切な防護と捕獲の両輪で対策を進めることが、亀山の豊かな自然環境と生活を守る第一歩となります。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。