介護現場で働くスタッフの負担を減らし、より質の高いサービスを提供したいと考えている葛飾区の経営者にとって、ICT化は避けて通れない課題です。しかし、システムの導入やスタッフの教育には多額の費用がかかるため、二の足を踏んでいるケースも多いのではないでしょうか。そんな時に頼りになるのが、葛飾区が独自に実施している’葛飾区介護サービス事業所等ICT化促進費助成金’です。この制度は、ソフトウェアの導入だけでなく、専門家によるコンサルティングや職員のスキルアップ研修まで幅広くカバーしており、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力にバックアップしてくれます。
この補助金の要点
葛飾区内の介護事業所が、業務効率化のためにICT化を進める費用を最大90万円まで支援する制度です。特にコンサルティング経費については、費用の10分の9という非常に高い割合で助成を受けられる点が大きなメリットとなっています。
葛飾区介護サービス事業所等ICT化促進費助成金の全体像
この助成金の最大の特徴は、単に’機械を買って終わり’にさせない仕組みにあります。介護業界では、せっかく高機能なシステムを導入しても、現場のスタッフが使いこなせなかったり、これまでのアナログな業務フローと噛み合わなかったりして、結局使われなくなってしまう失敗例が後を絶ちません。葛飾区はこうした状況を防ぐため、導入前の現状分析(コンサルティング)から、導入後の教育研修までを一貫して支援する形をとっています。
対象となる事業者は、葛飾区内に所在する介護サービス事業所や施設を運営する法人です。複数の事業所を運営している場合は、法人としてまとめて申請を行う必要があります。また、小規模な事業所が手を取り合って団体として申し込むことも想定されており、地域全体でICT化を底上げしようという区の意図が感じられますね。
最大助成額
90万円
選べる3つの支援メニューと助成率
この助成金には、目的に応じて3つのコースが用意されています。自社の状況に合わせて、最適なものを組み合わせて活用しましょう。それぞれの詳しい内容を順番に解説していきます。
1. 専門家によるコンサルティング支援
一番の注目ポイントは、このコンサルティング枠です。ICT化を成功させるには、まず’どの業務に無駄があるのか’を客観的に把握しなければなりません。専門のコンサルティング会社に依頼して、業務フローの見直しや、自社に最適なソフトウェアの選定を行うための費用が助成されます。驚くべきはその助成率で、かかった費用の10分の9(最大90万円)を区が負担してくれます。つまり、100万円のコンサルティングを実質10万円の自己負担で受けられる計算になり、非常に手厚い内容です。
2. ソフトウェア等の導入支援
実際に介護ソフトや情報共有システムを導入する際にかかる費用が対象です。勤怠管理のデジタル化や、タブレット端末を活用したケア記録の入力など、現場のペーパーレス化を加速させる取り組みが推奨されています。こちらの助成率は4分の3となっており、他の一般的な補助金(2分の1や3分の2が多い)と比較しても、高い水準に設定されていることが分かります。
3. 職員のICTスキル向上研修
どんなに優れた道具も、使う人のスキルが伴わなければ宝の持ち腐れです。スタッフがICT機器をスムーズに扱えるようになるための外部研修費用や、資格取得のための受講料、テキスト代などが助成されます。1事業所あたり最大22.5万円までとなっており、複数人で研修を受ける際にも使い勝手が良い設計です。団体申請の場合は、最大75万円まで上限が引き上げられます。
ポイント:助成金の’先払い’というメリット
一般的な補助金は、先に事業所がお金を支払い、後から還付される’後払い’が基本です。しかしこの助成金は、必要に応じて’概算払い(先払い)’の相談ができる可能性があります。キャッシュフローに不安がある小さな事業所でも、まとまった投資が行いやすい仕組みです。
対象となる具体的な経費リスト
| 支援メニュー | 主な対象経費 | 助成率 |
|---|---|---|
| 研修経費 | 外部講座の受講料、教材購入費、入学金、人件費等 | 4分の3 |
| コンサルティング | 業務分析委託料、ICT導入アドバイス費用、専門家謝金 | 10分の9 |
| ソフトウェア導入 | 介護ソフト購入費、クラウド利用料、初期セットアップ費用、ライセンス料 | 4分の3 |
申請から助成金受取までのステップ
葛飾区のこの助成金は、いきなり書類を郵送するのではなく、事前の相談が必須とされています。スムーズに進めるための流れを確認しておきましょう。
事務局へメールで事前相談
検討を始めた段階で、まずは葛飾区の担当部署へメールで連絡を入れます。ここで大まかな事業計画や助成対象になるかのアドバイスをもらいます。
見積書の取得と交付申請
導入したいシステムやコンサルティングの見積書を取り寄せます。必要書類を揃えて、区に対して正式な交付申請を行います。
交付決定および事業開始
区から’交付決定通知書’が届いたら、ようやく契約や発注が可能になります。決定通知が出る前に契約したものは対象外となるため、注意が必要です。
実績報告の提出
システム導入や研修が完了し、支払いを終えたら実績報告書を提出します。領収書や実施した証拠(研修資料や導入写真など)が必要です。
助成金の受け取り
報告内容が適正であると認められると、最終的な助成金額が確定し、指定の口座に振り込まれます。先払いを受けた場合は清算を行います。
採択に向けたアドバイス:ICT化を失敗させないコツ
この助成金を活用して最大の効果を得るためには、単なる’ツールの導入’に留まらない視点が大切です。特に以下の3点に意識を向けてみてください。
まず、’現場の困りごと’を具体的に洗い出すことから始めましょう。’なんとなく便利そうだから’と最新のシステムを入れても、スタッフがその必要性を感じていなければ活用されません。’手書きの転記作業に毎日2時間を費やしている’といった具体的な課題を明確にすることで、導入すべき機能が見えてきます。
次に、コンサルティング枠を積極的に活用することをお勧めします。介護事業に詳しい外部の視点を入れることで、自社では気づかなかった無駄や、より効率的なデジタル化の手順が見つかるケースが多いからです。10分の9という手厚い補助が出るのは、区が’最初の一歩’の重要性を理解している証拠と言えます。
注意点:パソコンやスマホ単体の購入は原則NG
汎用性の高いハードウェア(PC、タブレット、スマートフォン)のみの購入費用は助成対象外となることが一般的です。あくまで’ICT化に資するソフトウェアやシステム’の導入に伴う周辺機器として認められるかどうか、事前に必ず確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 葛飾区外に本社がある法人ですが、区内の事業所のために申請できますか?
A. はい、可能です。対象となるのは’葛飾区内の介護サービス事業所・施設’です。法人の所在地にかかわらず、実際にサービスを提供している場所が区内であれば対象となります。
Q. 交付決定が出る前に購入してしまったソフトは対象になりますか?
A. 残念ながら対象外です。原則として、区からの交付決定を受けた後に契約・発注・支払いを行った経費のみが助成の対象となります。あわてて購入せず、手続きの順番を守りましょう。
Q. コンサルティングをお願いする会社は、指定がありますか?
A. 区による特定の指定はありませんが、介護事業所のICT化や業務改善に実績のある会社を選ぶ必要があります。見積書の内容が適切かどうかも審査のポイントになります。
Q. 職員の研修はオンライン講座でも認められますか?
A. ICTスキル向上に資する内容であれば、オンライン研修も対象に含まれる可能性があります。受講証明書や領収書がしっかりと発行されるものを選び、事前に区へ相談することをお勧めします。
Q. ソフトウェアの保守料や、月々のサブスクリプション費用も助成されますか?
A. 導入初期にかかる費用は対象になりますが、継続的に発生する月額利用料などは、助成対象となる期間(通常は年度内)に限られることが一般的です。長期にわたる固定費をすべてカバーできるわけではない点に注意してください。
まとめ
葛飾区介護サービス事業所等ICT化促進費助成金は、現場のデジタル化を真剣に考える経営者にとって非常に心強い味方です。特にコンサルティング経費の9割助成や、ソフトウェア導入の4分の3助成という高い補助率は、都内でもトップクラスの手厚さと言えるでしょう。人手不足が加速する中、ICTを活用してスタッフがケアに集中できる環境を整えることは、将来的な人材の確保や定着にも直結します。まずは区の窓口へメール相談し、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※本記事の情報は2025年度(令和7年度)の公募概要に基づき作成しています。申請時期や具体的な要件は、必ず葛飾区の公式サイトや公募要領を確認してください。