燃料価格の高騰が止まらない中、私たちの生活を支える物流業界はかつてない苦境に立たされています。横須賀市はこうした厳しい状況を鑑み、市内の中小貨物運送事業者を対象とした独自の支援金制度をスタートさせました。トラック1台につき最大2万1,000円が支給されるこの制度は、事業の継続を力強く後押ししてくれる存在です。本記事では、申請を検討している事業者の皆様に向けて、対象となる車両の細かい条件や手続きのポイントを、専門家の視点から詳しく解説していきます。
この補助金の要点
横須賀市内に本拠を置く中小運送業者や個人事業主が対象の支援金です。普通車なら1台あたり2万1,000円、軽自動車なら7,000円が定額で支給されるため、所有台数が多いほど大きなメリットを享受できます。2026年3月2日が締め切りですので、早めの書類準備が欠かせません。
横須賀市貨物運送事業者燃料価格高騰等対策支援金の概要
今回の支援金は、単なる一過性の給付ではなく、地域経済のインフラである物流網を守るという明確な目的があります。昨今の燃料費上昇は、運賃への転嫁が難しい中小企業にとって死活問題といえるでしょう。市はこの問題に対し、車両台数に応じた直接的な現金支給という形で応えています。対象となるのは、中小企業基本法に定める中小企業、または個人事業主として貨物運送事業を営んでいる方々です。具体的には、令和7年4月1日の時点で既に事業を開始しており、申請を行う日においても引き続き事業を続けていく意向があることが前提条件に据えられています。
支給額は車両の種別によって明確に分けられています。一般貨物自動車運送事業や特定貨物自動車運送事業で使用される、いわゆる緑ナンバーの普通自動車などは1台につき2万1,000円が設定されました。一方で、貨物軽自動車運送事業に使用される黒ナンバーの軽自動車については、1台につき7,000円が支払われます。複数の車両を保有している場合は、その合計額が支給される仕組みです。例えば普通車を10台保有していれば、それだけで21万円の支援を受けることが可能となります。
補助上限額(普通車1台あたり)
21,000円
対象となる車両の厳格な条件について
申請にあたって最も注意すべきなのは、対象となる車両の定義です。まず、ガソリンや軽油などの化石燃料を主として走行する自動車であることが求められます。そのため、二輪車や大型・小型の特殊自動車は今回の対象から除外されている点に注意が必要です。さらに、車検証上の登録が令和7年4月1日までに完了していなければなりません。この日付以降に増車した車両については、残念ながら対象外と判断されてしまいます。
もう一つ重要なポイントが、車検証の有効期間です。車検証に記載されている有効期間の満了日が、令和7年12月31日以降である車両のみがカウントされます。つまり、それ以前に車検が切れてしまう車両や、廃車を予定している車両は含めることができません。また、自動車検査証上の『使用の本拠の位置』が横須賀市内であることも必須条件です。本社が市外であっても、横須賀市内の営業所に配備され、車検証上の本拠が市内になっていれば申請のチャンスがあります。
注意点
リース車両の場合、申請者が『使用者』として車検証に記載されている必要があります。所有権がリース会社にあっても問題ありませんが、使用者の名義が自社であることを必ず確認してください。また、車検証の有効期限が令和7年12月31日より前の場合、たとえ現役で稼働していても対象外となるルールは非常に厳格です。
申請手続きの5ステップ
手続き自体はシンプルですが、不備があると審査に時間がかかり、入金が遅れる原因になります。スムーズな受給のために、以下の手順を順番に進めていきましょう。横須賀市の窓口はオンラインを中心とした受付を想定しているため、インターネット環境の準備も必要です。
対象車両のリストアップと車検証の確認
保有している全車両の車検証を取り出し、本拠地が横須賀市内か、有効期限が条件を満たしているかを1台ずつチェックします。電子車検証の場合は、自動車検査証記録事項の控えも用意しておくと安心です。
必要書類のスキャンとデータ化
車検証の写しに加え、振込先口座がわかる通帳のコピーや、事業実態を証明する確定申告書の控えなどをスキャンします。スマホのカメラで撮影する場合は、文字が鮮明に読み取れるか、四隅が切れていないかを念入りに確認してください。
オンライン申請フォームへの入力
横須賀市の特設サイトから申請フォームにアクセスし、事業者情報や振込口座、車両台数などを入力します。ミスを防ぐため、一度メモ帳などに下書きをしてからコピー&ペーストを行うのが確実な方法です。
書類のアップロードと送信
準備した画像データをフォームに添付します。ファイルサイズが大きすぎると送信エラーになることもあるため、適切な容量に調整しましょう。最後に内容を再確認して、送信ボタンを押せば手続き完了です。
通知の受け取りと入金確認
市による審査が行われ、無事に承認されると交付決定通知が届きます。その後、指定した口座に支援金が振り込まれます。通帳に記帳して、金額に相違がないか確かめておきましょう。
申請を成功させるための実務的なアドバイス
この支援金は予算の範囲内で交付されるため、基本的には早い者勝ちではありませんが、締め切り直前はサーバーが混み合い、思わぬトラブルに見舞われるリスクがあります。そのため、1月13日の受付開始から可能な限り早い段階で申請を済ませることが、確実な受給への近道です。また、申請情報の住所と車検証の住所が一致しているか、今一度確認してください。法人の場合、登記上の本店住所と車検証上の住所が異なっているケースが散見されますが、支援の根拠はあくまで『横須賀市内に本拠があること』です。ここが曖昧だと、追加の証明書類を求められるなど手間が増えてしまいます。
ポイント
複数の営業所をお持ちの事業者の場合、横須賀市内の営業所に紐付いている車両のみがカウント対象です。全車両をまとめて申請するのではなく、車検証の『使用の本拠』を一つずつ丁寧に精査することが、審査をスムーズに通す最大のコツといえます。
よくある質問(FAQ)
Q. 電気自動車(EV)は支援の対象になりますか?
A. 本支援金は燃料価格高騰への対策という性質上、ガソリンや軽油を燃料とする車両を対象としています。そのため、電気のみで走行する車両については、公募要領の規定により対象外となるのが一般的です。ただし、ハイブリッド車についてはガソリンを使用するため対象に含まれます。
Q. 令和7年4月に中古で購入したトラックは申請できますか?
A. 令和7年4月1日までに車検証の登録(名義変更や移転登録)が完了していれば対象となります。4月2日以降の登録になってしまうと、要件を満たさないため注意が必要です。書類上の日付を必ず確認してください。
Q. 個人事業主ですが、青色申告をしていなくても大丈夫ですか?
A. 申告の種類は問いませんが、事業実態を証明できる書類の提出は求められます。収支内訳書や確定申告書の控えなど、税務署の受取印がある(または電子申告の送信記録がある)書類を用意しておきましょう。事業継続の意向を示すことが重要です。
Q. 横須賀市以外の補助金と重複して受け取ることは可能ですか?
A. 神奈川県が実施する他の支援金や、国の補助金との併用については、それぞれの制度の規定によります。横須賀市側で他制度との併用を明示的に禁止していない限り、基本的には受給可能です。ただし、全く同じ使途(例えば特定の燃料代の領収書に対する補填など)を対象とするものとは調整が必要な場合があります。
Q. 申請した後に廃車にした場合は、返還が必要ですか?
A. 申請時点において事業継続の意向があり、かつ車検証の有効期限が令和7年12月31日以降であれば、交付決定後の自然な車両入れ替えや廃車による返還は原則として求められません。ただし、虚偽の申請や、受給直後に事業を完全に廃止した場合は、返還命令の対象となる可能性があります。
まとめ
横須賀市の貨物運送事業者燃料価格高騰等対策支援金は、物価高に苦しむ地元の運送業者にとって非常に貴重な財源となります。1台あたりの金額は決して少額ではなく、複数台を保有する事業者にとっては、まとまった運転資金を確保するチャンスです。申請期間は2026年1月13日から3月2日までと、約1ヶ月半しかありません。年末年始の慌ただしい時期を過ぎると、あっという間に締め切りがやってきます。まずは自社の保有車両の車検証を全てチェックすることから始めて、制度の恩恵を確実に受け取れるよう準備を進めていきましょう。
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