福井県おおい町の農家の皆さんにとって、夏の水不足は避けて通れない深刻な課題ではないでしょうか。特に昨年の夏は記録的な猛暑と雨不足が続き、田畑のひび割れや作物の品質低下に頭を悩ませた方も多かったはずです。こうした事態を未然に防ぎ、大切な農作物を守るために、おおい町では独自の『渇水対策事業補助金』を用意して、皆さんの取り組みをバックアップしています。この制度を知っているかどうかで、万が一の際の経済的な負担は大きく変わるでしょう。
この補助金の要点
地域で組織する水利団体が行う農業用水確保の事業に対し、最大100万円、補助率100%という非常に手厚い支援が行われます。昨年の夏のような厳しい渇水被害を最小限に抑えるための、応急的な工事や機械の導入が対象です。
令和7年度おおい町渇水対策事業補助金の概要
おおい町の渇水対策事業補助金は、異常気象による農作物のダメージを食い止めるための心強い制度です。主な目的は、地域で農業用水を管理している組織が、緊急で水を確保するために行う活動をサポートすることにあります。例えば、普段使っている水路が干上がってしまったときに、別の場所から水を引くためのポンプを設置したり、新しく井戸を掘ったりする場合の費用を町が負担してくれるのです。
補助の対象となる期間は、令和7年7月1日から9月30日までの3ヶ月間です。この時期に実施される事業が対象になるため、夏の盛りを見据えた事前の準備が重要になります。申請の締め切りは令和8年1月30日までと設定されていますが、事業自体は夏の間に完了している必要がある点に注意してください。
補助上限額
100万円
誰が補助を受けられるのか
この補助金の大きな特徴は、個人よりも『地域組織』に重点を置いている点です。具体的には、各地区の農家組合や水利組合、さらには多面的機能支払交付金の活動組織などが対象として想定されています。地域全体で水不足を乗り切ろうとする取り組みを、町が全額に近い形で支援する仕組みです。もちろん、やむを得ず個人で対策を行う場合も補助の対象となりますが、その場合は補助率が50%に設定されているため、可能な限り地域の組織として動く方がメリットは大きくなります。
補助の対象となる経費と具体的な内容
何が補助の対象になるのかを把握しておくことは、計画を立てる上で欠かせません。この制度では、農業用水を確保するために必要な『形に残るもの』や『活動に必要な実費』が幅広く認められています。現場で即座に役立つ内容ばかりですので、以下の項目を参考に検討してみてください。
1. 工事に関連する費用
水路を整備したり、新しく井戸を掘削したりするための費用が対象です。また、遠くの光源から水を運ぶための送水管を設置する工事や、揚水機(ポンプ)を据え付ける作業代も含まれます。これらは自分たちで行うのが難しい大規模な作業になることが多いため、外注費として計上できるのは非常に助かるポイントです。
2. 機械や資材の購入・レンタル料
ポンプ本体や、水を溜めておくための大型タンクの購入費、あるいは期間限定で借りる場合のレンタル代も補助されます。昨年の渇水時、急いでホームセンターに資材を買いに走った経験がある方もいるかもしれませんが、そうした際の領収書も大切に保管しておきましょう。また、ポンプを動かすために必要なガソリンや軽油などの燃料費も対象になります。
ポイント
地域組織が実施する場合、これらの経費は100%(最大100万円)補助されます。つまり、自己負担なしで対策を講じることができる可能性があります。ただし、あくまで『応急的』な措置である必要があるため、恒久的な施設整備とは区別されることがあります。
補助金を受け取るための条件(ハードル)
この補助金は、単に『暑いから』という理由だけで申請できるわけではありません。町が定める明確な渇水の基準を満たしている必要があります。具体的には、連続して20日間以上雨が降らない『干天』の状態であることや、30日間の合計雨量が100ミリ以下であることなどが条件です。さらに、町長が『このままでは農作物が枯れてしまう恐れがある』と認めた地域であることが大前提となります。
もし自身の地域がこの条件に当てはまるかどうか不安な場合は、早めに町の農林水産課へ相談することをお勧めします。気象データは町でも把握していますが、実際の現場の状況を伝えることで、迅速な判断に繋がることがあるからです。
申請から給付までの流れ
手続きは、各地区の農家組合長さんが窓口となって進めるのが一般的です。個人の判断だけで動くのではなく、まずは組合内で話し合いを持ち、共通の課題として認識することからスタートしましょう。スムーズに受給するための5つのステップをまとめました。
地域での合意形成と計画策定
渇水の兆候が見えたら、組合でどのような対策(井戸掘削やポンプ設置など)が必要か協議します。この際、概算の費用も把握しておきましょう。
事業の実施と写真記録
工事や機械の導入を行います。非常に重要なのが『写真』です。着工前、作業中、完了後の様子を必ずカメラに収めておいてください。これがないと補助が受けられない場合があります。
書類の取りまとめ
購入した資材の領収書や、工事請負業者からの請求書の写しを保管します。あわせて、事業の全体像がわかる書類を作成します。
役場への交付申請
令和8年1月30日までに、農家組合長を通じて農林水産課へ書類一式を提出します。実績報告も兼ねた形での申請となります。
審査と補助金の入金
町が内容を審査し、適切であると認められれば指定の口座に補助金が振り込まれます。
申請のコツと採択に向けたアドバイス
補助金申請を確実に通すためのコツは、『証拠を完璧に残すこと』と『早めの相談』に尽きます。特に渇水対策は緊急を要するため、事務作業が後回しになりがちですが、そこを丁寧に行うのがポイントです。工事を行う場合は、どの場所で、どのような作業をしたのかが誰にでも分かるように撮影してください。例えば、新しく設置したポンプが稼働して、実際に水が流れている様子を写すと説得力が増します。
また、領収書についても、但し書きに『渇水対策用ポンプ代』などと具体的に記載してもらうよう、お店や業者に依頼しておきましょう。単なる『お品代』では、何に使ったのか分からず、審査で足止めを食らう可能性があります。そして、最も大切なのは組合員同士の連携です。一人で抱え込まず、地域の仲間と情報を共有することで、申請漏れを防ぐことができます。
注意点
この補助金はあくまで『品質低下を防止するため』のものです。すでに作物が枯れてしまった後の片付け費用などは対象外となる可能性があります。また、人件費については、業者への支払い(外注費)は対象になりますが、組合員自らが作業した際の手当などは含まれないのが一般的ですので、注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 昨年の夏に買ったポンプの領収書は使えますか?
A. 基本的には令和7年度の事業が対象ですので、令和7年7月1日から9月30日までに発生した経費がメインとなります。過去の購入分については、遡及して認められるかどうか、事前に町の窓口で確認されることをお勧めします。
Q. ポンプを動かすための電気代も補助されますか?
A. 燃料費が対象に含まれているため、機械を動かすための実費は認められる可能性が高いです。ただし、家庭用の電気代と混ざってしまうと証明が難しいため、専用の領収書が出る形に整える必要があります。
Q. 二つの集落で協力して井戸を掘った場合はどうなりますか?
A. 複数の水利組織が共同で実施する場合も対象になります。その場合、代表となる組織が申請を行うか、それぞれの負担割合に応じて按分して申請する形になります。100万円の上限額との兼ね合いも考慮しましょう。
Q. 干ばつの基準を少しだけ満たさない場合は申請できませんか?
A. 規定の数字(連続20日など)は一つの目安ですが、最終的には『町長が農作物に枯死の恐れがあると認めた場合』という判断が優先されます。数字に届かなくても被害が深刻な場合は、まず相談してみるべきです。
Q. リース契約でポンプを導入した場合はどうなりますか?
A. 賃借料も補助対象に含まれています。ただし、補助対象期間(7月〜9月)に支払った費用が対象となりますので、長期契約の場合はその期間分の算出が必要になります。
まとめ
農業の未来を守るための第一歩
渇水対策事業補助金は、おおい町の豊かな農地を次世代に繋いでいくための大切なツールです。最大100万円という支援は、地域組織にとっては非常に大きな支えになるはずです。夏の水不足が始まってから慌てるのではなく、今のうちから地域の仲間と『もしもの時』のシミュレーションをしておきましょう。備えがあれば、空模様を心配する日々のストレスも少しは軽くなるかもしれません。手続きに不安があれば、いつでも役場の農林水産課を頼ってくださいね。皆さんの丹精込めた作物が、無事に収穫の日を迎えられることを応援しています。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新の募集要項や申請書類については、おおい町役場農林水産課の公式サイト、または窓口で必ずご確認ください。