毎月の光熱費や食材料費の高騰により、施設経営が圧迫されている現場の声は切実なものです。宮城県ではこうした負担を軽減するため、高齢者施設や障害福祉サービス事業所を対象に、物価高騰分のかかり増し経費を支援する補助金制度を実施しています。定員数や車両台数に応じた定額支援となっており、手続きを正しく行えば着実な資金確保につながる重要な施策です。今回は、申請を検討されている皆さまに向けて、対象となる基準や具体的な申請手順、そして採択を確実にするための注意点を詳しく解説していきます。
この補助金の要点
高齢者施設であれば定員1人あたり3万円、障害福祉の通所系なら1.9万円といった具合に、施設の規模に応じた定額支援が受けられます。申請は基本的に法人単位でまとめて行う必要があり、電子申請のみで受け付けている点が大きな特徴です。仙台市内の事業所は対象外となるなど地域による区分けも存在するため、まずは自らの施設が県の管轄であるかを確認することから始めましょう。
宮城県の物価高騰対策補助金の全体像
この補助金は、エネルギー価格や食品価格が上昇し続けている現状を受け、高齢者施設や障害福祉施設が安定してサービスを継続できるように設けられました。特に介護現場では、24時間体制での空調利用や送迎時のガソリン代、そして毎日の食事提供など、物価高騰の影響をダイレクトに受ける場面が多々あります。こうしたコスト増を施設側の努力だけで吸収するのはもはや限界に近いといえるでしょう。宮城県はこうした経営課題に対し、使途を限定しすぎない「かかり増し経費の補填」という形で手を差し伸べています。
支援の内容は大きく分けて、高齢者施設向けと障害福祉施設向けの二本柱で構成されています。高齢者施設の場合は1人あたり3万円という比較的手厚い設定になっており、仮に定員が50名の施設であれば合計で150万円の補助を受けられる計算です。これだけの金額があれば、年間の光熱費上昇分をかなりの程度カバーできるのではないでしょうか。一方で障害福祉施設については、通所型か訪問・相談型かによって算出基準が細かく分かれているため、それぞれの区分に合わせた事前のシミュレーションが欠かせません。
対象となる事業所と地域制限について
まず注意しなければならないのが、仙台市内の事業所は今回の宮城県の補助金からは除外されているという点です。仙台市は独自に同様の物価高騰対策事業を実施しているため、市内の施設はそちらの制度を利用することになります。県の補助金を受けられるのは、それ以外の市町村に所在する事業所に限られます。また、国公立や市町村が直接運営する公営施設も対象外となることは覚えておいてください。民間の社会福祉法人や株式会社、NPO法人などが運営する一般的な介護・福祉施設であれば、問題なく対象に含まれます。
注意点
申請は事業所ごとではなく、必ず法人単位で一括して行う必要があります。複数の事業所を運営している法人の場合、それぞれでバラバラに申し込むことはできませんので、法人本部で情報を集約して手続きを進めるようにしましょう。
補助金額の算出と対象経費の考え方
補助金の算出方法はシンプルでありながら、施設種別によって金額設定が異なります。高齢者施設の場合は、令和8年1月時点での運営状況に基づき、定員1人につき3万円が支給される手厚い内容です。これに対し、障害福祉分野の通所系事業所(児童発達支援や放課後等デイサービスなど)は定員1人あたり1.9万円となります。訪問系や相談支援系の事業所については、人ではなく車両の台数が基準となり、1台につき7,000円が補助される仕組みです。このように、事業の性質に合わせて「何が高騰の影響を最も受けているか」を反映した基準となっています。
高齢者施設 補助上限額
30,000円/人
対象となる経費は多岐にわたります。具体的には、電気料金やガス料金、水道料金といったライフラインに関わるコストのほか、利用者の送迎に欠かせないガソリンなどの燃料費も含まれます。さらに、昨今の値上がりが著しい食材費も大きな柱の一つです。施設で提供する給食材料の購入費だけでなく、外部からお弁当を購入している場合も、施設が費用を負担していれば対象となり得ます。このように、施設運営を維持するために必要な「エネルギー」と「食」に関するコスト増を幅広くサポートしてくれるのが、この補助金の強みといえるでしょう。
ポイント
訪問系や相談系の車両台数には上限があります。単に所有している車すべてが対象になるわけではなく、直接処遇職員の常勤換算人数が上限の目安となります。ヘルパーが実際に訪問で使用している車両を正確にカウントすることが重要です。
申請のステップと必要書類の準備
申請の手続きはすべてオンラインで完結します。郵送やメールでの直接送付は原則として受け付けてもらえないため、パソコンでの操作に不慣れな方は早めに準備を整えておきましょう。まず最初に行うべきは、宮城県の公式ウェブサイトから指定のエクセル形式の申請様式をダウンロードすることです。様式には「交付申請書」や「補助金算出内訳書」などが含まれており、これに必要事項を入力していくことになります。古い様式や他自治体のものを使うとエラーの原因になるので、必ず最新のものを取得するようにしてください。
公式サイトから申請様式をダウンロード
宮城県のホームページから最新のエクセルファイルを入手します。高齢者向けと障害福祉向けで様式が異なるため注意が必要です。
算出内訳書と申請データの作成
定員数や車両台数を入力し、補助金額を算出します。この際、法人の基本情報や振込先の口座情報も漏れなく記入しましょう。
通帳の写しなどの添付書類をスキャン
振込口座が確認できる通帳の表紙と見開き1ページ目をPDF化します。昨年度と同じ口座であれば不要な場合もありますが、用意しておくと確実です。
専用フォームからデータをアップロード
宮城県が指定する電子申請システム(フォーム)にアクセスし、作成したエクセルファイルとPDFを添付して送信します。
申請完了メールの確認と証憑保管
申請後は完了通知を確認し、実際に支払った領収書などの原本を5年間大切に保管します。これが欠けると返還命令が出る可能性もあります。
採択に向けた重要ポイントと審査のコツ
この補助金は審査で競い合う競争倍率の高いタイプではなく、要件を満たせば支給される性格のものです。そのため、不採択となる最大の要因は「書類の不備」や「期限の超過」に集約されます。特に注意したいのが、電子申請フォームでの入力ミスです。もし一度申請した後に間違いに気づいた場合は、勝手に再申請するのではなく、必ず県の担当課に連絡を入れた上で、指示に従って再提出する必要があります。その際、法人名の前に【2回目】と記載するなど、事務局側で重複申請でないことが判別できるように配慮することも大切です。
また、補助金の対象期間中に事業所を廃止したり、休止したりする予定がある場合は慎重な対応が求められます。交付を受けた後に事業を停止した場合、補助金の全額または一部を返還しなければならないケースがあるためです。特に、令和8年3月末までの運営状況が問われるため、経営のバトンタッチや統廃合を検討している法人は、事前に県のガイドラインを確認しておくべきでしょう。健全な事業継続が補助の前提となっていることを忘れてはなりません。
最後に、証憑書類の管理についても触れておきます。申請時に領収書を提出する必要はありませんが、これは「提出不要」なのではなく「保管が義務付けられている」という意味です。光熱費の検針票や食材の納品書などは、後日行われる可能性のある実地調査の際に不可欠な証拠となります。デジタル化して保存しておくか、ファイリングして誰でも確認できる状態にしておくことが、将来のリスクを回避する最善の策となります。
よくある質問
Q. 仙台市内に事業所がありますが、県の補助金は申請できますか?
A. いいえ、申請できません。仙台市内の事業所は仙台市が実施する独自の補助金制度の対象となります。所在地の市町村が仙台市以外であれば、本制度の対象となりますので、まずは事業所の所在地をご確認ください。
Q. 車両台数による申請で、プライベート兼用の車も対象になりますか?
A. 主に福祉サービス(訪問や相談支援など)に使用している車両が対象です。事業所が保有しているすべての車両が認められるわけではなく、直接処遇職員の常勤換算人数を上限とする制限があります。実態に即した台数での申請が求められます。
Q. 複数の事業所を運営していますが、事業所ごとに申請できますか?
A. 申請は原則として法人単位で行う必要があります。法人が運営する対象事業所をすべて取りまとめ、一つの申請書として提出してください。各事業所がバラバラに申請すると二重申請とみなされるリスクがあるため注意が必要です。
Q. 領収書の提出が必要ないというのは本当ですか?
A. 申請時に添付する必要はありません。しかし、補助金を受け取った後、あるいは交付決定通知が届いた日から5年間は、関連する証憑書類(領収書や請求書など)を保管する義務があります。県の調査が入った際に提示できないと返還を命じられることがあります。
Q. 外国人スタッフを雇用していますが、追加の補助はありますか?
A. 物価高騰対策補助金とは別に、宮城県では外国人介護人材の受入促進や定着支援のための補助金も実施しています。マーケティング活動や環境整備への支援がありますので、別の枠組みとして検討してみる価値があるでしょう。
まとめ
宮城県が実施する物価高騰対策補助金は、光熱費や食材費の増大に苦しむ福祉現場にとって大きな助けとなります。高齢者施設なら1人3万円、障害福祉なら1.9万円といった明確な基準があるため、予算の計上もしやすいはずです。ただし、仙台市内の事業所は対象外であることや、電子申請・法人単位での手続きといったルールを厳守する必要があります。期限ギリギリになって慌てることがないよう、早めにエクセル様式をダウンロードし、定員数や車両台数の正確な把握から着手してください。一つひとつの正確な手続きが、施設の安定運営とそこで暮らす方々への質の高いサービス提供を支えることにつながります。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は宮城県の公式サイトおよび各担当課の発表をご確認ください。