長引く燃料価格の高騰や物価高の影響により、物流業界の経営環境はかつてないほど厳しい局面を迎えています。こうした状況を受け、宮城県では県内の貨物運送事業者や倉庫事業者の負担を軽減するための緊急支援補助金を募集し始めました。本制度は車両1台ごとに定額が支給される仕組みで、特に長距離運送を行う事業者には上乗せ支給があるなど、現場の実情に寄り添った内容になっています。申請はすべてオンラインで完結するため、忙しい業務の合間を縫って手続きを進めることが可能です。
この補助金の要点
宮城県内で貨物運送業や倉庫業を営む中小企業が対象です。運送車両1台につき最大9万円、倉庫の場合は容積に応じた定額支援を受けられます。申請期限は令和8年2月28日までと余裕がありますが、電子申請限定の手続きとなるため、早めの準備が欠かせません。
宮城県物流事業者エネルギー価格高騰緊急支援補助金の概要
今回の補助金は、物流の要である運送事業者と、保管機能を担う倉庫事業者の双方が対象に含まれる手厚い制度です。まず運送事業者向けの支援では、事業用として登録されているトラックや軽自動車の台数に応じて補助金が交付されます。燃料代が利益を圧迫している現状において、使途を限定しない定額の支援金は、キャッシュフローの改善に大きく貢献するはずです。
次に、対象となる事業者の条件を詳しく確認しましょう。宮城県内に事業所を構えていることはもちろんですが、一般貨物自動車運送事業や貨物軽自動車運送事業などの許可を得ている中小企業者が対象となります。ここでいう中小企業者には個人事業主も含まれますが、いわゆる’みなし大企業’は対象から除外される点に注意が必要です。資本金や従業員数の基準を満たしているか、事前に自社の登記情報をチェックしておくことをお勧めします。
支援される金額と対象車両の区分
補助金額は車両のサイズや用途によって段階的に設定されています。最も金額が大きいのは普通自動車や牽引車で、1台あたり60,000円が支給されます。さらに、走行距離が長い業務をこなしている車両には、一運行あたり450km以上の長距離運送を行っていることを条件に、30,000円の上乗せ支給があります。これにより、普通車1台につき最大で90,000円の支援を受けることが可能になります。
運送車両1台あたりの最大補助額
90,000円
| 車両区分 | 基本補助額(1台) | 長距離上乗せ額 |
|---|---|---|
| 普通・牽引車両 | 60,000円 | 30,000円 |
| 小型車両 | 40,000円 | 20,000円 |
| 軽自動車 | 20,000円 | 10,000円 |
一方、倉庫事業者向けの支援についても触れておきましょう。こちらは倉庫の保管容積に基づき、1立方メートルあたり870円を基本とした単価で算出されます。冷蔵倉庫や冷凍倉庫を運営している場合、電気代の高騰は死活問題ですので、この補助金を活用して固定費の補填に充てることが推奨されます。運送業と倉庫業を兼業している場合、それぞれの枠で申請することになりますが、重複しないように書類を整理しておくことが肝要です。
補助対象となる車両と経費の考え方
申請にあたって最も間違いやすいのが、補助対象となる車両の定義です。まず、令和7年4月1日から申請日までの間に、実際に運送事業のために使用されていた車両であることが必須条件です。これから納車される予定の車両については、令和8年3月31日までに稼働を開始する見込みがあれば対象に含まれます。ただし、電気自動車や二輪車、被牽引車(トレーラーヘッドに引かれる側の車両)は対象外となるため、自社の保有車両を一台ずつリストアップして確認しましょう。
注意点
宮城運輸支局または軽自動車検査協会宮城主管事務所から交付された、宮城県内のナンバープレートを装着している必要があります。他県ナンバーの車両を宮城県内の営業所で使っている場合は対象外となるため、登録状況を必ず車検証で確かめてください。
また、長距離運送の上乗せを希望する際には、運行記録計(タコグラフ)のデータや運転日報などの証拠書類が必要です。一の運行において走行距離が450kmを超えている実績が、令和7年4月以降の任意の4ヶ月間において各月1回以上あることを証明しなければなりません。例えば、仙台と東京を往復するようなルートであれば余裕をもって基準を超えますが、近隣県への配送が中心の場合は距離の計算を厳密に行う必要があります。こうした記録は日々の安全管理とも直結するため、不備のないようデジタルデータ化して準備しておくのがスムーズです。
申請手続きの5ステップ
本補助金の申請は’みやぎ電子申請サービス’を利用したオンライン手続きに限定されています。紙の書類を郵送する手間はありませんが、すべての資料をスキャンしてアップロードする必要があるため、IT機器の操作に慣れておくことが望ましいです。具体的な流れを整理しました。
必要書類の収集
車検証の写し(自動車検査証記録事項)、法人登記事項証明書、県税の納税証明書などを揃えます。いずれも発行から3か月以内のものが必要です。
長距離運送の証明準備
上乗せ分を申請する場合、走行距離450km以上の運行を確認できる日報や運行記録計のデータを準備し、PDFなどの電子形式にまとめます。
電子申請システムへの入力
みやぎ電子申請サービスにアクセスし、事業者情報や振込先口座、補助対象車両の台数などを正確に入力していきます。
データのアップロード
ステップ1と2で用意した書類データをすべてシステム上にアップロードし、入力内容に誤りがないか最終確認を行います。
審査・交付決定
事務局による審査が行われ、問題がなければ交付決定通知が届きます。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。
採択率を高め、スムーズに受給するためのポイント
本補助金は要件を満たしていれば基本的に支給される性質のものですが、書類の不備による差し戻しが非常に多いのも事実です。特に注意したいのが’県税の納税証明書’です。国税の納税証明書や、市町村税の証明書と混同されるケースが散見されますが、必ず宮城県の県税事務所が発行する書類を用意してください。また、最近の電子車検証(A6サイズのもの)をお持ちの場合は、一緒に発行される’自動車検査証記録事項’という書類が必要です。チップ内蔵の車検証本体だけでは情報が不足するため、必ず記録事項の書類をスキャンして提出してください。
ポイント
長距離運送の証明書類には、運転者の氏名、出発・帰着の日時、走行距離が明記されている必要があります。社内独自の簡易的な日報ではなく、貨物自動車運送事業輸送安全規則に則った正規の運行記録を提出することが、審査を確実に通過させる近道です。
また、申請期限の直前はシステムの混雑が予想されます。本補助金は令和8年2月28日が締め切りですが、余裕を持って年内には手続きを完了させておきたいところです。万が一書類に誤りがあったとしても、早めに申請しておけば修正依頼に対応する時間が確保できます。資金繰りの面でも、早期の受給は大きなメリットとなりますので、’あとでやろう’と思わずに今すぐ書類のリストアップを始めることを強くお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q. 複数の事業を行っている場合でも申請できますか?
A. はい、可能です。ただし、運輸業が主たる事業であることが条件となります。申請時にはそれぞれの事業の売上額がわかる書類(法人事業概況説明書など)を提出し、運輸業の比率を証明する必要があります。
Q. 電気自動車(EV)のトラックは対象になりますか?
A. 残念ながら、電気自動車は今回の補助対象からは除外されています。同様に、ハイブリッド車ではない純粋な二輪車や、被牽引車も対象外ですのでご注意ください。
Q. リース車両やレンタカーでも申請は可能ですか?
A. 運送事業用として緑ナンバー(または黒ナンバー)を取得し、自社で稼働させている車両であれば、所有権がリース会社にある場合でも申請可能です。ただし、一時的なレンタカーなどは事業用車両としての登録実態がない限り対象にはなりません。
Q. 納税証明書はオンラインで取得したものを使えますか?
A. 宮城県の県税事務所から交付されたものであれば、電子申請等で取得したデータや、それをスキャンしたものでも問題ありません。ただし、有効期限(発行から3か月以内)が切れていないことを必ず確認してください。
Q. 令和7年中に廃車にした車両はどうなりますか?
A. 令和7年4月1日から申請日までの間に実際に稼働していた実績があれば対象となります。その場合でも、当時の車検証の写しなど、登録を証明する書類が必要になるため、大切に保管しておいてください。
まとめ
宮城県の物流事業者エネルギー価格高騰緊急支援補助金は、現場で働く多くのトラックや倉庫に光を当てる貴重な支援策です。1台あたり最大9万円という金額は、車両台数が多い事業者にとって非常に大きな助けとなるでしょう。電子申請の手続きには慣れが必要かもしれませんが、必要書類を一つずつ丁寧に揃えれば決して難しいものではありません。物価高に負けず、地域の物流を支え続けるためにも、この機会を逃さず申請にチャレンジしてください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。