東京での忙しい毎日を離れて、地方でのびのびと暮らしたいと考えたことはありませんか。そんな移住を検討している方にとって、最も心強い味方になるのが’移住支援金’という制度です。この制度を賢く利用すれば、世帯での移住で最大100万円、さらにお子さんがいる場合は1人につき最大100万円が加算されるなど、新生活の立ち上げ費用を大幅に軽減できます。今回は、群馬県や宮崎市、弘前市などの事例を参考にしながら、損をしないための申請のコツを詳しくお伝えします。
この補助金の要点
東京23区に住んでいる、あるいは通勤している方が地方へ移住した際に、最大200万円以上の支給を受けられる制度です。転職だけでなく、今の仕事をテレワークで続ける場合や、特定の自治体と関わりがある’関係人口’も対象となるため、活用できる幅が非常に広がっています。
移住支援金でもらえる金額と自治体ごとの違い
まず、一番気になるのが’一体いくらもらえるのか’という点でしょう。この支援金の基本額は、全国的に’世帯での移住で100万円’、’単身での移住で60万円’と定められているケースがほとんどです。これだけでも引っ越し費用や家具の購入代金としては十分な金額ですが、実はここにお子さんの人数に応じた加算が加わります。
例えば、青森県弘前市の場合、18歳未満のお子さん1人につき、なんと100万円が加算されます。つまり、夫婦とお子さん1人の3人家族で移住した場合、合計で200万円もの支援を受けられる計算です。群馬県でも、お子さん1人あたり30万円以上の加算を行う自治体が多く、子育て世代にとっては移住を後押しする大きな魅力と言えるでしょう。
世帯移住(子ども1人同伴)の支給例
最大 2,000,000円
ただし、支給金額や加算の条件は自治体によって細かく異なります。宮崎市のように、29歳以下の若者に向けた独自の応援給付金を設けている地域もあり、自分の年齢や世帯状況に合った場所を選ぶことが大切です。また、高松市のように新婚世帯への上乗せを行っているケースも見逃せません。
申請のためにクリアすべき’移住元’と’移住先’の要件
東京圏での居住・通勤実績が必須
この支援金を受け取るためには、移住前の実績が厳しくチェックされます。原則として、移住する直前の10年間のうち通算5年以上、かつ直近1年以上連続して’東京23区内’に住んでいたか、あるいは東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)から23区内に通勤していたことが条件です。ちなみに、東京圏の中でも’条件不利地域’と呼ばれる一部の町村に住んでいる場合は、移住元として認められないことがあるため注意してください。
少し意外かもしれませんが、23区内の大学に通っていた期間も、その後に23区内の企業へ就職していれば、居住・通勤期間に合算できる仕組みがあります。社会人になって数年しか経っていない若い世代でも、大学時代の4年間をプラスして5年以上の要件を満たせる可能性があるのです。
移住先でどのような仕事に就くか
移住した後の仕事についても、いくつかのパターンが用意されています。最も一般的なのは、各都道府県が運営するマッチングサイト(例えば群馬県のマッチングサイトや、宮崎県の’ふるさと宮崎人材バンク’など)に掲載されている対象求人に就職することです。全ての求人が対象というわけではないので、応募前に必ず’支援金対象’のマークがついているか確認しなければなりません。
他にも、今の仕事をそのままリモートで続ける’テレワーク’や、地域の課題を解決する事業を立ち上げる’起業’も対象となります。さらに最近では、群馬県のように’関係人口’という枠組みを広げている地域も増えてきました。過去にその街に住んでいたことがある、あるいはふるさと納税を定期的に行っているといった繋がりがあれば、就業先が限定されずに対象となるケースがあります。
注意点:返還規定について
支援金を受け取った後、すぐにまた引っ越しをしてしまうと、お金を返さなければなりません。一般的に、申請から3年未満で転出した場合は全額、5年以内の場合は半額の返還を求められます。また、1年以内に仕事を辞めてしまった場合も返還対象となるため、長期的にその土地に根を張る覚悟が必要です。
支援金を受け取るまでの5つのステップ
移住元・移住先の要件をセルフチェック
自分の居住歴や通勤歴が5年以上の条件を満たしているか、また検討中の自治体が現在も募集を行っているかを確認します。弘前市や高松市のように、年度途中で予算が終了してしまう街もあるため、早めの確認が不可欠です。
自治体への事前相談
移住先の市役所や町の窓口に連絡を入れましょう。宮崎市のように、申請前の予約を必須としている自治体も多いため、いきなり書類を送るのではなく、まずは電話やメールで状況を伝えるのがスムーズです。
仕事の決定と転入の手続き
対象求人への就職や、テレワークの継続が決まったら、実際に移住(住民票の移動)を行います。就職の場合は、入社から3ヶ月から1年以内など、申請できるタイミングが決められています。
必要書類の提出
申請書に加え、就業証明書や移住前の居住地を証明する住民票の除票などを揃えて提出します。東京圏からの通勤者の場合は、雇用保険の被保険者であった証明書なども必要になるため、前の職場から早めに取り寄せておきましょう。
審査・交付決定
自治体による審査を経て、無事に決定すれば指定の口座に支援金が振り込まれます。振り込みまでの期間は自治体によって異なりますが、概ね1ヶ月から数ヶ月程度が目安です。
採択率を高め、手続きをスムーズにするコツ
この支援金は、条件を満たしていても必ずもらえるわけではありません。最大の壁は’予算枠’です。自治体ごとに年間の予算が決まっており、先着順で埋まっていきます。実際、弘前市や高松市のように、年度の途中で「受付終了」となるケースは珍しくありません。移住を検討し始めたら、真っ先にその自治体の現在の予算状況を確認することが、最も重要な戦略となります。
成功のポイント:複数の制度を組み合わせる
移住支援金だけに目を向けるのではなく、自治体独自の補助金もチェックしましょう。例えば、古い空き家を改修する際の費用補助や、家賃の補助、あるいは宮崎市のような若者向けの上乗せ給付など、併用できる制度を見つけることで、さらに手厚いサポートを受けることが可能です。
また、書類の不備で時間をロスしないことも大切です。特に’世帯’で申請する場合、移住前も移住後も同一世帯であることを住民票で証明する必要があります。結婚して名字が変わった、あるいは転入のタイミングが家族でずれたといった特殊な事情がある場合は、事前に窓口へ相談し、どのような追加書類が必要かを確認しておくことで、二度手間を防げます。
よくある質問
Q. 移住してからいつまでに申請する必要がありますか?
A. 多くの自治体では、転入してから3ヶ月以上、1年以内という期間を設けています。就職してすぐに申請できるわけではなく、一定期間の継続勤務が確認できてからの手続きとなりますので、スケジュールには余裕を持っておきましょう。
Q. テレワーク移住の場合、会社からの命令でも対象になりますか?
A. 残念ながら、会社からの転勤命令や出向による移住は対象外です。あくまで「自分の意思」で移住を決めたことが条件となります。所属企業からの証明書が必要になるため、あらかじめ会社側の理解を得ておく必要があります。
Q. 以前その自治体に住んでいたことがあるのですが、対象になりますか?
A. 群馬県などの「関係人口」要件を設けている自治体であれば、過去の居住歴がプラスに働くことがあります。ただし、直近までその自治体に住んでいた場合は「移住」とみなされないため、あくまで東京圏での規定以上の居住・通勤実績が必要です。
Q. 就職した企業を1年以内に辞めてしまったら、お金は返すべきですか?
A. はい、基本的には全額返還の対象となります。ただし、会社の倒産や本人の病気など、やむを得ない事情がある場合には免除されることもありますので、もしもの時はすぐに自治体の担当者に相談してください。
Q. 外国人でも申請できますか?
A. 永住者、日本人の配偶者等、定住者などの在留資格をお持ちの方であれば対象となります。日本人と同様に、東京圏での居住実績や就業要件を満たしている必要があります。
まとめ
移住支援金は、新しい土地での挑戦を力強くバックアップしてくれる制度です。世帯で100万円、子どもの加算を含めれば200万円を超えるケースもあり、活用のメリットは計り知れません。しかし、自治体ごとに予算の制限や独自のルールがあるため、「早い者勝ち」の側面があることは否定できません。まずは候補となる自治体のホームページをチェックし、窓口へ一本の電話を入れるところから始めてみてはいかがでしょうか。事前の準備を丁寧に行えば、憧れの地方暮らしへの扉はぐっと身近なものになります。
※本記事の情報は執筆時点のものです。制度の内容や予算状況は日々変動するため、必ず各自治体の公式サイトで最新の情報をご確認ください。