東京圏から兵庫県への移住を検討されている方にとって、生活環境の変化と同じくらい気になるのが経済的な負担ではないでしょうか。兵庫県では、東京23区から県内37市町へ移住し、特定の条件で就業や起業をする方を対象に、最大100万円(単身は60万円)の移住支援金を支給しています。さらに、18歳未満のお子さんを連れて移住する世帯には、子供一人あたり最大100万円が加算されるため、家族構成によっては300万円を超える支援を受けられる可能性もあります。この記事では、複雑に見える申請条件や、失敗しないための手続きのポイントを専門家の視点で詳しく紐解いていきます。
この補助金の要点
東京23区に在住または通勤していた方が、兵庫県内の対象37市町へ移住し、マッチングサイト掲載の求人への就職やテレワーク継続、起業などを行うことで受給できます。世帯100万円、単身60万円をベースに、子育て世帯には大幅な加算措置が用意されているのが大きな特徴です。
兵庫県移住支援金の対象となるのはどんな人?
まず大前提として、この支援金を受け取るためには『移住元』と『移住先』の両方で条件を満たす必要があります。移住元の要件は少し細かく定められており、住民票を移す直前の10年間のうち、通算5年以上、東京23区に住んでいたか、あるいは東京圏から23区内へ通勤していた実績が求められます。このとき、直近の1年間は継続して23区内に在住または通勤している必要があるため、最近になって東京を離れた履歴がある方は注意深く確認しなければなりません。また、東京圏の大学へ通い、そのまま23区内の企業へ就職した方の場合は、通学期間も対象期間に含めることができるという救済措置も設けられています。
一方で移住先については、兵庫県内すべての市町が対象というわけではありません。神戸市や明石市、芦屋市といった人気の都市部は対象外となっていますが、西宮市については北部地域(塩瀬・山口支所管内)に限定して対象となるなど、例外的なルールが存在します。他にも、姫路市や加古川市、宝塚市、さらには猪名川町や淡路島エリアなど、37もの魅力的な市町が受け皿として登録されています。猪名川町のように町制70周年を迎える活気ある地域や、豊かな自然と都市の利便性が共存するエリアなど、選択肢は非常に多岐にわたります。ただし、移住後に5年以上継続して住む意思があることが必須条件となるため、短期的な滞在を目的とした申請は認められません。
注意点
西宮市については、市内全域ではなく、北部の特定の住所に転入する場合のみが対象となります。また、各市町の予算には限りがあるため、要件を満たしていても年度の途中で受付が終了してしまうケースも少なくありません。移住の計画段階で、必ず候補となる市町の窓口へ連絡を入れるようにしてください。
気になる支援金額と子育て世帯への厚い優遇
支給される金額は、世帯での移住か単身での移住かによって分かれます。基本となる金額はシンプルで、2人以上の世帯であれば100万円、単身者の場合は60万円です。この金額だけでも新生活の立ち上げ費用としては心強いものですが、さらに注目すべきは18歳未満のお子さんを帯同する場合の加算金でしょう。令和7年4月以降に転入する場合、多くの自治体で子供一人につき100万円が加算されます。例えば、夫婦と小さなお子さん2人の4人家族で移住した場合、基本の100万円に200万円(100万円×2人)が上乗せされ、合計で300万円を受け取れる計算になります。
ただし、この加算額は移住先の市町や転入時期によって30万円となる場合もあり、自治体ごとの方針が色濃く反映されています。具体的には、姫路市や相生市、豊岡市、猪名川町などは100万円の加算を設定していますが、西宮市や伊丹市、宝塚市などは30万円の加算にとどめています。こうした金額の差は、各自治体の人口政策や移住促進への熱量の現れとも言えるでしょう。どの地域へ移住するかによって、トータルの受給額が100万円単位で変わってくるため、資金計画を立てる際には、事前に最新の加算条件を確認しておくことが極めて重要です。
最大支給額(世帯100万+子供2人の加算例)
3,000,000円
どのような『働き方』が対象になるのか
お金をもらうためには、ただ引っ越すだけでは足りません。兵庫県での新しい生活において、どのような仕事に就くかが審査の鍵を握ります。対象となる就業パターンは、大きく分けて4つあります。一つ目は、兵庫県が運営する求人サイト『ひょうごで働こう!マッチングサイト』に掲載されている支援金対象の求人に採用されることです。週20時間以上の無期雇用契約であることが求められ、単なるアルバイトや期間雇用では認められない点に注意してください。
二つ目は、プロフェッショナル人材事業などを活用して、これまでの経験を活かした専門的な仕事に就くケースです。三つ目は、最近増えているテレワーカーとしての移住です。これは、自分の意思で移住を決め、移住前の業務をそのまま兵庫県の自宅などで継続する場合が該当します。会社からの命令による転勤や、一時的な研修などは対象外ですが、自由な働き方を目指すITエンジニアやクリエイターには非常に魅力的な選択肢でしょう。そして四つ目は起業です。兵庫県が実施する『社会的事業枠』の起業家支援事業で採択されることが条件となり、ビジネスを通じて地域の課題解決に挑む方を応援する仕組みとなっています。
ポイント
就業で申請する場合、求人への応募日が『マッチングサイトに掲載された後』である必要があります。サイトを見る前に直接応募して採用が決まってしまった場合、要件を満たさなくなってしまうため、必ずサイトを経由するか、掲載状況を確認してからアクションを起こしましょう。
移住支援金を獲得するための5ステップ
候補自治体への事前相談
移住を具体的に検討し始めたら、まずは目的の市町の窓口へメールや電話で相談しましょう。予算の空き状況や、独自の追加要件がないかを確認するのが最初の一歩です。
仕事探しと内定・起業準備
マッチングサイトで支援金対象の求人を探し、選考に進みます。テレワークの場合は勤務先からの承諾を、起業の場合は県の支援事業への応募を並行して進めてください。
兵庫県への転入と就業開始
実際に引っ越しを行い、役所で転入届を提出します。このとき、以前の住民票の除票など、23区内での居住・通勤実績を証明する書類を捨てずに保管しておくのが賢明です。
市町の窓口へ正式申請
転入から3ヶ月以上、かつ1年以内(就業の場合は就業から3ヶ月以上経過後)に、申請書類を揃えて窓口へ提出します。年度内の最終締め切りは2月末であることが多いため、スケジュール管理に気を配りましょう。
審査完了と支援金の振込
自治体での審査を経て、交付決定がなされます。その後、指定の口座に支援金が振り込まれます。審査には数ヶ月かかる場合もあるため、気長に待つ心構えも必要です。
専門家が教える!採択を確実にするためのコツ
申請において最も多いミスは、書類の不備や、期限の徒過です。特に『東京23区への通勤』を証明する場合、雇用保険の被保険者記録や離職票、さらには勤務先からの在勤証明など、複数の書類を組み合わせる必要があります。自営業の方であれば、確定申告書の控えや開業届などが必須となるでしょう。こうした書類は、移住してしまってからでは取得が難しくなるケースがあるため、東京にいる間に準備を完了させておくのがベストです。
また、意外と知られていないのが『関係人口』枠の存在です。就職や起業、テレワークのいずれにも該当しない場合でも、移住先の市町が定める特定の条件(例えば、その街へふるさと納税をしたことがある、特定のイベントに参加した実績がある等)を満たせば、支援金の対象になることがあります。西宮市などの一部地域でもこの枠組みが採用されており、地域への愛着が深い方にはチャンスが広がっています。自分の働き方が一般的な枠に当てはまらないと感じても、諦めずに自治体独自の『関係人口要件』を調べてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 移住してからすぐに仕事を辞めてしまった場合、返還の義務はありますか?
A. はい、原則として返還が必要になります。申請から1年以内に就業先を辞めた場合や、3年未満で移住先の市町から転出した場合は全額返還、3年以上5年以内に転出した場合は半額の返還を求められるルールです。ただし、会社の倒産などやむを得ない事情がある場合は考慮される可能性もあります。
Q. 23区内への通勤時間は、どの程度必要ですか?
A. 具体的な『分単位』の制限はありませんが、雇用保険の被保険者として週20時間以上の勤務実態があることが求められます。通勤していた事実を客観的に証明できることが重要です。
Q. 税金を滞納していても申請できますか?
A. 非常に厳しいと言わざるを得ません。多くの自治体で、市町村税の滞納がないことが申請の要件に含まれています。新天地でのスタートを応援するための公的資金ですので、義務を果たしていることが前提となります。
Q. 子育て加算の対象となる子供の年齢に制限はありますか?
A. 18歳未満であることが条件です。正確には、申請年度の4月1日時点で18歳未満であるか、あるいは転入時点で18歳未満であるかなど、自治体によって細かな計算基準が異なる場合があるため、高校生のお子さんがいる場合は早めに確認してください。
Q. 夫婦それぞれが23区で働いていた場合、二人とも単身枠で申請して合計120万円もらえますか?
A. いいえ、同一世帯の場合は世帯として1枠(100万円)の申請となります。ただし、二人とも就業要件を満たす場合は、どちらか一方が主たる申請者となり、もう一方は世帯員としてカウントされる形になります。
まとめ
兵庫県移住支援金は、東京圏からの新しい挑戦を強力に支えてくれる素晴らしい制度です。最大100万円、子育て世帯ならさらなる加算が見込めるこのチャンスを活かさない手はありません。成功の鍵は、移住前の念入りな書類準備と、自治体窓口との密なコミュニケーションにあります。制度のルールを正しく理解し、一つ一つのステップを丁寧に進めていくことで、経済的なゆとりを持って兵庫での新生活をスタートさせることができるでしょう。自然豊かな風景、美味しい食事、そして温かい地域の人々が待つ兵庫県へ、あなたも一歩踏み出してみませんか。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。兵庫県や各市町の予算状況により、予告なく変更または終了する場合があります。