社会課題の解決に取り組むNPOや公益団体にとって、活動資金の確保は常に大きな課題ではないでしょうか。現在、子どもたちの学習支援や地域の防災対策、さらには芸術文化の振興まで、多種多様な助成金の募集が2026年度(令和8年度)の事業に向けて一斉に始まっています。今回は、特に注目すべき全国規模の助成制度をピックアップし、採択を勝ち取るための実践的なポイントを専門家の視点で詳しくお伝えします。
この補助金の要点
2026年度の事業開始に向けた公募がピークを迎えており、多くが1月から2月にかけて締め切りを設定しています。子ども支援、福祉、災害対策など分野が広く、人件費や設備費も対象になるケースが目立ちます。休眠預金を活用した大規模な助成も含まれており、組織の基盤強化を図る絶好のチャンスといえるでしょう。
現在募集されている主な助成制度と対象者
今回の募集リストを見ると、支援の対象が非常に多岐にわたることがわかります。例えば、樫の芽会による’伴走型就学・学習支援活動助成’や、葉田財団の’こども未来助成事業’など、次世代を担う子どもたちへのサポートを重視したプログラムが数多く並んでいます。これらの助成金は、単なる資金提供にとどまらず、子どもたちが置かれた環境を根本から改善しようとする熱意ある活動を求めているのが特徴です。
また、日本フィランソロピック財団が展開する’FCC災害用キッチンカー基金’のように、特定の設備導入を支援するものもあります。これは災害時だけでなく、平時のコミュニティ形成にも役立てるというユニークな視点を持っており、地域防災の新しい形を模索する団体に適しています。他にも、パブリックリソース財団が扱う’休眠預金等活用事業’は、数千万円規模の大きな予算が組まれることもあり、事業を大幅にスケールアップさせたい場合に検討すべき制度といえます。
対象となる団体の種類
基本的には、NPO法人(特定非営利活動法人)や一般社団法人、公益社団・財団法人が主な対象となります。しかし、制度によっては法人格を持たない任意団体であっても、一定の活動実績や規約があれば申請できるケースも見受けられます。たとえば、アーツカウンシル東京の助成などは、芸術家個人やクリエイティブなグループも対象に含まれることがあるため、自分たちの団体が要件を満たしているか、公募要領の隅々まで確認することが大切です。
一般的な助成上限額(1件あたり)
100万円 〜 1,000万円超
助成金でカバーできる経費の範囲
助成金によって認められる経費は異なりますが、多くの団体が最も必要とする’直接事業費’はほぼ全ての制度で認められます。具体的には、イベントの会場費や講師への謝礼、教材の制作費などがこれにあたります。さらに最近の傾向として、団体の運営基盤を支えるための’管理費’や’組織運営費’の一部を認める助成金が増えてきました。これは、活動を継続させるためには事務局の維持が必要であるという理解が、支援する財団側にも浸透してきた証拠です。
人件費や設備投資の扱い
事業に直接従事するスタッフの給与(人件費)については、WAM助成や休眠預金活用事業などで幅広く認められています。一方で、パソコンや車両といった備品の購入費には上限が設けられていたり、リースを推奨していたりする場合もあるので注意しましょう。たとえば、キッチンカーの導入を目的とする場合は、車両そのものの購入費がメインとなりますが、それ以外の学習支援事業では、備品費は全体の20パーセント以内といった制限が付くことも珍しくありません。
注意点
ほとんどの助成金は’後払い(精算払い)’が基本です。事業が終わった後に報告書を出し、経費の妥当性が認められてから入金されるため、当面の活動資金は自前で立替える必要があることを覚えておきましょう。
採択率を上げるための申請ステップ
助成金の申請は、単に書類を埋める作業ではありません。自分たちのビジョンが、助成団体の目指す社会像といかに合致しているかをアピールするプレゼンテーションの場です。以下のステップを参考に、準備を進めていくことをおすすめします。
公募要領の徹底的な読み込み
まずは助成団体が’なぜこの助成を行っているのか’という背景を理解します。キーワードや重視されているポイントを抽出しましょう。
事業計画の具体化と数値目標の設定
‘頑張ります’といった抽象的な表現ではなく、’何人に、どのような変化をもたらすか’を具体的な数字で示します。
予算案の精査
経費の見積もりに妥当性があるかを確認します。人件費が異常に高かったり、使途不明な経費があったりすると審査でマイナスになります。
必要書類の準備とオンライン登録
登記簿謄本や決算書など、発行に時間がかかる書類は早めに手配します。多くの助成金が独自のポータルサイトを利用するため、早めのID取得が肝心です。
第三者による添削と提出
自分たちだけでは気づかない論理の飛躍がないか、専門家や協力者に内容を確認してもらい、締め切りの2日前までには送信しましょう。
審査で見られる’3つのポイント’
多数の応募の中から選ばれるためには、審査員が何を重視しているかを知る必要があります。助成金ポータル等に掲載されている案件に共通して言えるのは、以下の3点に集約されます。
第一に’社会的ニーズの裏付け’です。なぜその事業が必要なのか、主観的な思いだけでなく、地域の統計データや実際の待機者の数など、客観的な根拠を添えることで説得力が劇的に高まります。第二に’実行可能性’です。素晴らしい計画でも、スタッフの数やスキルが伴っていなければ絵に描いた餅です。過去の活動実績を具体的に記載し、着実に実行できる体制があることを証明してください。
第三に’助成終了後の継続性’です。助成金が切れたら活動も終わり、というのでは支援する側も二の足を踏んでしまいます。助成期間中に収益モデルを構築したり、寄付者を募る仕組みを作ったりと、将来にわたって自走していく姿勢を見せることが、高い評価に繋がります。
ポイント
活動の写真や図解を適度に取り入れると、文字だけの書類よりも格段に事業イメージが伝わりやすくなります。視覚的なわかりやすさも、審査における隠れた重要ポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q. 設立したばかりの団体でも申請できますか?
A. はい、可能です。ただし、公募によっては’1年以上の活動実績’や’決算書2期分’を求めるものもあります。新設団体向けの’スタートアップ枠’を設けている助成金を探すのが近道です。
Q. 他の助成金と併用することは可能ですか?
A. 同じ事業に対して、全く同じ経費項目を重複して請求することはできません。ただし、事業の一部をA助成金、別の部分をB助成金で賄うといった切り分けができれば、併用可能なケースが多いです。
Q. 申請書類は郵送ですか、それともオンラインですか?
A. 近年は’助成金ポータル’や’jGrants’などのシステムを利用したオンライン申請が主流です。締め切り直前はサーバーが混み合うため、余裕を持って入力作業を進めることを強くおすすめします。
Q. 採択された後に事業内容を変更できますか?
A. 基本的には計画通りの実施が求められますが、やむを得ない事情がある場合は事務局への相談と承認が必要です。無断で大幅な変更を行うと、助成金が取り消されるリスクもあります。
Q. 人件費の割合に制限はありますか?
A. 制度によります。WAM助成のように柔軟に認めるものもあれば、総額の30パーセント以内と規定している財団もあります。公募要領の経費細目を確認しましょう。
まとめ
2026年度に向けた助成金の公募は、今まさに検討を始めるべきベストタイミングです。子ども支援から地域福祉まで、幅広い選択肢がある中で、自分たちの活動内容に最も適した制度を見極めることが成功への第一歩となります。書類作成は大変な作業ですが、活動をより確かなものにするための’棚卸し’だと捉えて取り組んでみてください。最新情報は常に変動するため、公式ホームページの情報を欠かさずチェックしながら、未来の社会をより良くするための資金をしっかりと確保していきましょう。
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