地域で福祉活動に取り組むNPO法人や社会福祉法人の皆様にとって、活動資金の確保は常に大きな課題でしょう。独立行政法人福祉医療機構(WAM)が実施する『WAM助成』は、行政の手が届きにくい隙間のニーズに応える創意工夫ある活動を強力にバックアップしてくれる制度です。令和8年度の通常助成事業では、地域連携や広域ネットワークの構築を軸とした、社会の課題を解決する先進的な取り組みを募集しています。
この補助金の要点
地域の課題解決に向けた『連携』を重視した助成金です。単独の活動ではなく複数の団体が協力し合うことで、最大2,000万円までの支援を受けられる点が大きな特徴です。
令和8年度WAM助成(通常助成事業)の概要
この助成金は、高齢者や障害者が自立した生活を送れる社会、そして子供たちが安心して成長できる地域共生社会の実現を目的としています。単に既存のサービスを継続するだけでなく、民間のアイデアを活かしたきめ細かな支援活動に対して資金が提供されます。
助成の対象となる団体は?
対象となるのは、社会福祉の振興を目的とした非営利の法人や団体です。具体的には、社会福祉法人、医療法人、公益法人、NPO法人のほか、非営利型の要件を満たす一般社団・財団法人が含まれます。また、法人格のない任意団体であっても、理事を2人以上置き、運営規約が整備されていれば対象になり得ます。
注意点
どんなに素晴らしい活動をしていても、『監事』を設置していない団体は応募できません。定款や規約に監事の設置規定があることを、今一度確認しておきましょう。
選べる2つの助成区分と助成金額
活動の規模や範囲に応じて、2つの区分が用意されています。まずは自団体の活動がどちらに当てはまるかを整理してみましょう。
| 助成区分 | 主な内容 | 助成金額 |
|---|---|---|
| 地域連携活動支援事業 | 同一都道府県内での密接な連携活動 | 50万円~700万円 |
| 全国的・広域的ネットワーク活動支援事業 | 複数県にまたがる広域的な普及・ノウハウ共有 | 50万円~900万円(※) |
※広域事業の中でも、4つ以上の都道府県を網羅する大規模な活動や災害支援など、特に大きな資金が必要と認められる場合は、特例として最大2,000万円まで助成される可能性があります。
最大助成額(広域特例時)
2,000万円
対象となる事業テーマの事例
WAM助成では非常に幅広い福祉ニーズをカバーしています。具体的にどのような活動が期待されているのか、いくつかの事例を見ていきましょう。
1. 地域共生社会と介護支援
認知症の方やその家族、さらにはヤングケアラーといった介護の悩みを抱える人々への相談体制を強化する事業が挙げられます。また、健康寿命を延ばすための高齢者による多様な就労機会の確保など、ポジティブなシニアライフを支える活動も大切にされています。
2. こども・若者の未来を支える活動
子育ての不安を解消するための切れ目ない支援や、経済的事情により希望する教育を受けられない子供たちへの制約克服支援などが対象です。就職氷河期世代の社会参加を促す取り組みや、若者の自立に向けた多様なプログラムも強く求められています。
3. 防災・被災者支援の強化
近年頻発する自然災害に対し、地域の防災力を高める活動は欠かせません。被災者支援の担い手を育成することや、いざという時に機能する広域ネットワークの構築もこの助成金の重要なテーマです。
ポイント
WAM助成が重視するのは『ネットワーク化』です。一団体で完結するのではなく、他の団体や専門家とどのように連携し、相乗効果を生むかを計画書に具体的に描くことが採択への近道です。
申請から採択までの5つのステップ
申請はオンラインで完結しますが、準備にはある程度の時間が必要です。募集締切の2026年1月26日に向けて、早めのスタートを切りましょう。
募集要領の読み込みと団体の確認
まずは公式サイトから最新の募集要領をダウンロードします。監事の設置や決算状況など、自団体が応募要件を満たしているか厳密にチェックします。
連携パートナーとの合意形成
事業の鍵となる『連携先』の団体と、具体的な役割分担や活動内容について話し合います。協力関係を証明するための資料作りもここで行います。
要望書(Excel形式)の作成
指定のExcelシートに事業計画を記入します。Windows版のExcelを使用することが推奨されており、関数やレイアウトを崩さないよう注意が必要です。
添付書類の準備
定款、最新の決算書(貸借対照表・損益計算書を含む)、運営規約などをPDF形式で揃えます。不備があると審査対象外になることもあるため、念入りに確認します。
オンラインフォームからの送信
専用の応募フォームに必要事項を入力し、ファイルをアップロードします。最終日は回線が混雑するため、数日前の提出を心がけましょう。
採択率を高めるための3つのアドバイス
専門家の視点から、審査で評価されやすいポイントをまとめました。単なる『お願い』ではなく、『投資に値する計画』であることを伝えましょう。
具体的な数字で課題を可視化する
『地域に困っている人が多い』という抽象的な表現ではなく、『〇〇市の独居高齢者のうち、〇%が日常的な買い物が困難というデータがある』といった具体的な根拠を示してください。地域の現状を客観的に把握していることが、信頼につながります。
助成終了後の『自走』を意識する
助成金はあくまで着火剤です。1年間の助成期間が終わった後、どのように活動を継続していくのか、寄付金なのか、収益事業なのか、あるいは自治体の施策に反映させるのか。継続性のビジョンが明確な事業は高い評価を受けます。
『創意工夫』を明確に打ち出す
どこにでもあるサービスの二番煎じでは、民間の活動に助成する意味が薄れてしまいます。既存の支援が届かない層に対し、どのような独自の手法でアプローチするのか、その『新しさ』や『工夫』を強調しましょう。
よくある質問
Q. 株式会社でも申請できますか?
A. 残念ながら株式会社などの営利目的の法人は対象外です。社会福祉法人、NPO法人、医療法人などの非営利団体であることが必須となります。
Q. 助成金でスタッフの人件費を支払うことは可能ですか?
A. はい、可能です。対象事業に従事するスタッフの人件費は助成対象経費として認められます。これがWAM助成の大きな強みの一つでもあります。
Q. 他の助成金と併用することはできますか?
A. 原則として、同一の事業内容で重複して他の公的助成を受けることはできません。ただし、事業を明確に区分できる場合や自己資金として充当する場合はケースバイケースですので、事務局に相談することをお勧めします。
Q. 過去に不採択だったのですが、再応募は可能ですか?
A. もちろん可能です。不採択の理由を分析し、より練り上げられた計画書にブラッシュアップして再挑戦される団体は多くいらっしゃいます。
Q. 連携団体はいくつ必要ですか?
A. 数の決まりはありませんが、事業目的を達成するために実質的な協力体制が構築されていることが重要です。形式的な名前貸しではなく、役割が明確なパートナーを選定しましょう。
まとめ
令和8年度のWAM助成は、地域福祉の未来を切り拓く団体にとって、非常に価値のあるチャンスです。最大2,000万円という大規模な支援は、組織の成長や活動の普及を大きく加速させるでしょう。ポイントは『ネットワーク』と『創意工夫』、そして『監事の設置』といった基礎要件の確認です。募集締切の2026年1月26日に向けて、ぜひ熱意あるプランを練り上げてみてください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。