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監修:補助金インサイト編集部(中小企業診断士・行政書士監修)
最終更新:2025年5月10日
情報源:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度・住居確保給付金」公募要領 |
「突然の解雇で来月の家賃が払えない…」
「病気で働けなくなり、貯金も底をつきそうだ。このままでは住む場所を失ってしまうかもしれない」
予期せぬ失業や収入の激減により、生活の基盤である「住まい」を失う危機は、誰の身にも起こりうる深刻な問題です。そんな緊急事態において、あなたの生活を守る最後の砦(セーフティネット)となるのが、国の公的な家賃補助制度「住居確保給付金」です。
この制度は、単にお金を配るだけのものではありません。「生活困窮者自立支援制度」の中核として、家賃の不安を解消することで、あなたが安心して再就職活動や生活再建に取り組める環境を整えることを目的としています。返済不要の給付金でありながら、その存在を知らずに諦めてしまう方が後を絶ちません。
この記事では、補助金申請支援の専門家が、住居確保給付金の仕組みから、複雑な対象要件、具体的な支給額の計算方法、そして申請から受給までのステップを徹底的に解説します。あなたがこの制度を利用して生活を立て直せるかどうか、この記事で確実にチェックしてください。
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基本情報サマリー |
| 制度名 | 住居確保給付金 |
| 支給額 | 月々の家賃相当額(自治体・世帯人数ごとの上限あり) |
| 支給期間 | 原則3ヶ月(最長9ヶ月まで延長可能) |
| 対象エリア | 全国の市区町村 |
| 主な対象者 | 離職・廃業後2年以内の方、または収入が著しく減少した方 |
| 申請窓口 | お住まいの市区町村の自立相談支援機関 |
この補助金を30秒で理解!住居確保給付金とは?
住居確保給付金は、一言で言えば「失業や収入減で家賃が払えなくなった人のために、国が家賃を肩代わりしてくれる制度」です。生活の土台である「住まい」を確保し続けることで、安心して次の仕事を探したり、生活を立て直したりするための時間と精神的な余裕を生み出すことが最大の目的です。
この制度の大きな特徴は、給付金が申請者の銀行口座ではなく、自治体から直接、大家さんや不動産管理会社の口座へ振り込まれる点にあります。これにより、確実に家賃の支払いに充てられ、家賃滞納による退去リスクを回避できる仕組みになっています。
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制度のポイント
・国が定めた公的な家賃補助制度で、返済の必要はありません。
・離職・廃業から2年以内の方や、やむを得ない理由で収入が減った方が対象です。
・収入や預貯金額に一定の要件(上限)が設けられています。
・申請は、お住まいの市区町村が設置する「自立相談支援機関」が窓口となります。 |
この制度には、現在お住まいの家賃を補助する「家賃補助」が基本ですが、状況によってはより家賃の安い物件への引っ越し費用を補助する「転居費用補助」という支援もあります。次の章で、これらの支援内容を詳しく見ていきましょう。
住居確保給付金の2つの支援内容を徹底解説
住居確保給付金は、申請者の置かれた状況に応じて大きく2つの支援を提供しています。多くの人が利用するのは「家賃補助」ですが、生活再建のために「転居」を選択する場合の支援も用意されています。
1. 家賃補助(家賃相当額の支給)
これが本制度のメインとなる支援です。離職や収入減少により現在の家賃支払いが困難になった方に対し、原則3ヶ月間(最長9ヶ月まで延長可能)、自治体が定める上限額の範囲内で家賃相当額を支給します。
| 支給対象 | 月々の家賃額(共益費、管理費、駐車場代、光熱費等は対象外) |
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| 支給方法 | 自治体から、住宅の貸主(大家さん)や不動産管理会社の口座へ直接代理納付 |
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2. 転居費用補助(住宅確保のための初期費用)
現在の家賃を支払い続けることが客観的に見て困難であり、より家賃の安い物件へ引っ越すことで家計の収支改善が見込まれる場合に適用される支援です。新しい住居を確保するための初期費用が支給されます。
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転居費用の対象になる経費
・礼金
・仲介手数料
・家賃債務保証料
・住宅保険料(火災保険料など)
・家財の運搬費用(引っ越し業者費用)
・鍵交換費用
・前賃貸住宅の原状回復費用(一定の条件あり) |
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対象外となる経費
敷金、契約更新料、契約時の前家賃・日割り家賃、引越し後の家具・家電購入費用などは対象外です。これらは自己負担となるため注意が必要です。 |
【重要】あなたは対象?支給要件を完全チェック
住居確保給付金を受給するためには、収入や資産、求職活動に関するいくつかの厳格な要件をすべて満たす必要があります。ここでは、申請者全員に共通する要件を詳しく解説します。
全員が満たすべき共通の条件
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離職・減収の状況: 申請日において、離職・廃業の日から2年以内であること。または、個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少していること。 |
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生計維持の状況: 離職等の前に、世帯の生計を主として維持していたこと。(※現在は、離職前は主たる生計維持者ではなかった方でも、その後の離婚や死別などにより生計を維持している場合も対象となる場合があります。) |
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収入要件: 申請月の世帯収入合計額が、自治体の定める「収入基準額」以下であること。 |
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資産要件: 申請日時点の世帯全員の預貯金合計額が、自治体の定める「資産基準額」以下であること。 |
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求職活動の要件: ハローワーク等に求職の申し込みをし、誠実かつ熱心に常用就職を目指した求職活動を行うこと。(自営業者は経営相談など) |
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その他の給付金との関係: 国の雇用施策による給付(職業訓練受講給付金など)や、自治体が実施する類似の給付等を、申請者および世帯員が受けていないこと。 |
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反社会的勢力との関係: 申請者および世帯員が、いずれも暴力団員でないこと。 |
【最重要】収入・資産の要件を具体例で確認
数ある要件の中でも、特に重要で判断が難しいのが「収入要件」と「資産要件」です。これらの基準額は、お住まいの自治体や世帯人数によって大きく異なります。ここでは、あくまで一例として東京都特別区(23区)の基準を元に解説します。
収入要件の考え方
申請月の世帯全員の収入合計額が、「(A)市町村民税均等割の非課税限度額(1/12)+(B)家賃額(上限あり)」で計算される「収入基準額」を下回る必要があります。
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収入として計算されるもの
給与(手当などを含み、交通費は除く)、自営業の事業所得、年金、各種手当(児童手当、失業給付など)といった、定期的に得られる収入が対象です。一時的な収入は含まれない場合があります。 ※詳細は公式サイトでご確認ください。 |
以下に、東京都特別区(例:豊島区など)の収入基準額の例を示します。
注:上記はあくまで一例です。お住まいの自治体の級地(地域の物価水準)によって金額は異なりますので、必ず申請先の窓口で正しい金額をご確認ください。 |
資産要件の考え方
申請日時点での、世帯員全員の預貯金と現金の合計額が、以下の基準額以下である必要があります。
| 1人世帯 | 50.4万円以下(基準額の6倍) |
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| 2人世帯 | 78万円以下 |
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| 3人以上世帯 | 100万円以下 |
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支給される金額と計算方法
要件を満たした場合、具体的にいくら支給されるのでしょうか。支給額は世帯収入によって変動し、支給期間には原則と延長のルールがあります。
支給額の計算方法とシミュレーション
支給される家賃額は、世帯の月収が「基準額」以下か、それとも超えるかによって計算方法が変わります。
パターン1:世帯収入が「基準額」以下の場合
この場合は計算がシンプルで、家賃額が全額支給されます。ただし、自治体が定める「家賃上限額」を超えることはありません。
パターン2:世帯収入が「基準額」を超え「収入基準額」以下の場合
この場合、家賃の一部が支給されます。計算式は以下の通りです。
支給額 = 基準額 + 実際の家賃額 – 世帯収入額 |
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計算シミュレーション(東京都・単身世帯)
【設定】
・基準額:84,000円
・家賃上限額:53,700円
・実際の家賃:60,000円 ケースA:月収が80,000円の場合
収入が基準額(8.4万円)以下なので、家賃額が支給対象です。しかし、実際の家賃(6万円)が家賃上限額(53,700円)を超えているため、支給額は上限の53,700円となります。 ケースB:月収が120,000円の場合
収入が基準額(8.4万円)を超えているため、計算式を適用します。
84,000円(基準額) + 60,000円(実際の家賃) – 120,000円(世帯収入) = 24,000円
この場合、支給額は24,000円となります。 |
支給期間:原則3ヶ月、最長9ヶ月まで
支給を受けられる期間にもルールがあります。基本的な期間と、延長・再支給の条件を正しく理解しておきましょう。
| 原則期間 | 3ヶ月間です。この間に生活の安定と再就職を目指します。 |
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| 期間の延長 | 3ヶ月経過後も、誠実に求職活動を継続しているなど、一定の要件を満たす場合は、申請により3ヶ月を限度に2回まで延長が可能です。これにより、最長で9ヶ月間の支援を受けられます。 |
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| 再支給 | 一度受給を終了した方でも、その後就職したものの会社の都合で解雇された場合など、やむを得ない事情があれば再度申請(再支給)できる可能性があります。 |
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申請から受給までの5つのステップ
制度の利用を決めたら、次は具体的な手続きに進みます。申請は、お住まいの市区町村が設置する「自立相談支援機関」で行います。いきなり窓口を訪れるのではなく、まずは電話で相談予約をするのがスムーズです。
1 | 自立相談支援機関へ相談・予約 お住まいの市区町村名と「自立相談支援機関」を合わせて検索し、連絡先を調べます。電話で現在の状況(失業した、収入が減ったなど)を簡潔に説明し、相談の日時を予約しましょう。 |
2 | 窓口での面談・申請書類の準備 予約した日時に窓口へ行き、相談員に詳しい状況を話します。制度の説明を受け、申請の意思があれば申請書一式を受け取ります。必要書類リストをもとに、不備のないように準備を進めます。 |
3 | ハローワークでの求職申込 申請にはハローワークでの求職登録が必須です。最寄りのハローワークに行き、求職申込手続きを済ませ、「求職受付票(ハローワークカード)」を受け取ります。これも重要な提出書類の一つです。 |
4 | 申請書類の提出・審査 全ての書類が揃ったら、自立相談支援機関の窓口に提出します。提出された書類に基づいて自治体が審査を行います。不備がなければ、通常2週間~4週間ほどで審査結果が通知されます。 |
5 | 支給決定・給付金の振込 審査に通ると「支給決定通知書」が自宅に郵送されます。その後、自治体から大家さんや不動産管理会社の口座へ直接家賃が振り込まれます。申請から初回の振込までは、おおむね1ヶ月程度かかるのが一般的です。 |
申請に必要な書類一覧
必要書類は自治体によって若干異なりますが、一般的には以下のものが求められます。スムーズな申請のために、あらかじめ準備できるものは揃えておくと良いでしょう。
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✓ | 住居確保給付金支給申請書、申請時確認書(窓口で配布) |
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✓ | 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、健康保険証など) |
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✓ | 離職・収入減少が確認できる書類(離職票、解雇通知書、給与明細書、シフトが減少したことがわかる勤務表など) |
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✓ | 世帯全員の収入が確認できる書類(給与明細書、年金振込通知書、児童扶養手当証書などの写し) |
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✓ | 世帯全員の金融資産が確認できる書類(申請者および世帯員全員名義の預貯金通帳の写し。最新の残高まで記帳されたもの) |
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✓ | 賃貸住宅の賃貸借契約書の写し |
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✓ | ハローワークの求職受付票(ハローワークカード)の写し |
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注意
必要書類は自治体によって追加や変更がある場合があります。特に、自営業の方や特殊な事情がある場合は、追加の証明書類を求められることがあります。必ず申請先の窓口で最終確認を行ってください。 |
審査でチェックされるポイント
住居確保給付金は、一般的な補助金のように事業計画の優劣を競うものではありません。審査の主な目的は「申請者が本当に制度の要件に合致しているか」を確認することです。したがって、以下のポイントが重要になります。
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審査で重視される点 - 客観的な書類の整合性:提出された収入証明や資産証明、離職票などが、申請書の内容と一致しているかどうかが厳しくチェックされます。
- 要件への合致:収入・資産要件をクリアしているか、離職後2年以内かなど、定められた要件をすべて満たしているかが客観的に判断されます。
- 求職活動への意欲:ハローワークへの登録はもちろんですが、受給決定後も誠実に求職活動を行うという意思があるかどうかも、支援計画を作成する上で確認されます。
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注意点・よくあるミス
申請手続きや受給中に、うっかりミスをしてしまうと支給が遅れたり、最悪の場合は打ち切りになったりすることもあります。ここでは、特に注意すべき点やよくある失敗例をまとめました。
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資産の申告漏れ:メインバンク以外の口座や、同居家族の口座を申告し忘れるケースです。世帯全員の資産が対象なので、すべての口座を正確に申告する必要があります。 |
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求職活動報告の遅延・懈怠:受給中は、毎月、定められた回数の職業相談や企業への応募、そしてその活動内容の報告が義務付けられています。これを怠ると、支給が一時停止、または打ち切りとなる最も多い原因の一つです。 |
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家賃の差額や管理費の支払い忘れ:支給されるのはあくまで「家賃相当額」の上限までです。実際の家賃が上限を超える場合の差額分や、管理費・共益費などは自己負担となります。 |
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相談せずに諦めてしまう:「要件が複雑で自分は対象外だろう」と自己判断してしまい、相談すらしないケースです。制度は改正されることもあり、まずは専門の相談員に話を聞いてもらうことが大切です。 |
よくある質問(FAQ)
Q | パートやアルバイトでも対象になりますか? |
はい、雇用形態は問われません。パートやアルバイトの方でも、離職した場合や、シフトが大幅に減るなどして収入・資産の要件を満たせば対象となります。 |
Q | フリーランス(個人事業主)ですが、対象になりますか? |
はい、対象となる可能性があります。廃業後2年以内の方や、本人の責によらない理由で収入が著しく減少した場合は、申請が可能です。その場合、求職活動の代わりに経営相談等の活動が求められます。 |
Q | 住宅ローンの返済は対象になりますか? |
いいえ、対象外です。住居確保給付金は、あくまで賃貸住宅の家賃を対象とした制度です。持ち家の住宅ローンの返済は対象となりません。 |
あなたは申請すべき?判断基準を解説
ここまで詳しく解説してきましたが、それでも「自分は本当に申請すべきだろうか?」と迷う方もいるかもしれません。そこで、申請を強くおすすめするケースと、一度立ち止まって検討すべきケースの判断基準をまとめました。
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申請を強くおすすめする人 - 預貯金が自治体の定める資産要件の上限に近づいており、このままでは数ヶ月以内に底をつきそうな方。
- 失業保険の給付が終わってしまった、または給付期間が残りわずかで、次の仕事が見つかっていない方。
- 病気や家族の介護などで、すぐにフルタイムで働くことが難しい状況にある方。
- とにかく家賃の支払いが心理的な負担になっており、安心して再就職活動に集中したいと考えている方。
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申請前によく検討すべき人 - 収入は減ったものの、まだ十分に生活できる資産がある方(資産要件を超えている方)。
- 一時的な収入減で、来月には回復する見込みが確実にある方。
- 毎月の求職活動報告などの義務を果たすことが難しい、またはその意思がない方。
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まとめ:今日からやるべき3つのこと
住居確保給付金は、予期せぬ困難に直面した際の力強い支えとなる制度です。この記事を読んで、自分も対象になるかもしれないと感じた方は、決して一人で悩まず、具体的な行動に移しましょう。生活の基盤である住まいを守り、新たな一歩を踏み出すために、今日からできることをご紹介します。
1 | 自分の収入・資産を整理する まずは、ご自身の世帯の状況を客観的に把握しましょう。直近の給与明細や通帳を準備し、「世帯全員の月収合計」と「世帯全員の預貯金合計」を計算してみてください。これが、自治体の基準額と比較する際の基本情報となります。 |
2 | 地域の自立相談支援機関を検索する 次に、お住まいの地域の相談窓口を探します。厚生労働省の特設サイト(後述)で検索するか、「〇〇市 自立相談支援機関」といったキーワードで検索すれば、連絡先や所在地が見つかります。 |
3 | 勇気を出して電話で相談予約をする 窓口が分かったら、迷わず電話をかけましょう。「住居確保給付金のことで相談したい」と伝えれば、担当者が丁寧に対応してくれます。専門の相談員はあなたの味方です。 |
免責事項:本記事は執筆時点の情報に基づいています。住居確保給付金の内容は、国の政策や各自治体の判断によって変更される可能性があるため、申請前に必ず公式の発表や公募要領をご確認ください。
最終更新:2025年5月10日 |