山梨県内の果樹栽培や農業において深刻な課題となっている鳥獣被害。甲州市、山梨市、南アルプス市などの自治体では、イノシシ、シカ、ハクビシン、アライグマなどによる農作物被害を防ぐため、電気柵や防護網などの資機材購入費を補助する制度を通年または期間を定めて実施しています。本記事では、甲州市の制度を中心に、近隣の山梨市や南アルプス市の事例も交えながら、最大50万円(共同設置の場合)の補助を受けるための要件や申請ノウハウを徹底解説します。
この記事でわかること
- 甲州市・山梨市・南アルプス市の鳥獣害対策補助金の詳細スペック
- 個人設置と共同設置(団体)での補助金額の違い
- 効果が出ない「失敗する柵」の特徴と正しい設置ノウハウ
- 申請から交付決定、実績報告までの具体的な手続きフロー
この補助金の概要・ポイント
山梨県内の各自治体では、有害鳥獣による農作物被害を防止するために設置する電気柵、金網柵、防鳥ネットなどの資機材購入費の一部を助成しています。特に「果樹王国」と呼ばれる峡東地域(甲州市、山梨市など)や南アルプス市では、ハクビシンやアライグマなどの中型獣対策も重要視されており、自治体ごとに独自の補助メニューが用意されています。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額(甲州市): 個人設置は最大5万円、共同設置は最大50万円
- 補助率: 事業費(資機材購入費)の1/2以内
- 対象者: 市内に住所を有する農業者、農業団体、区、管理組合など
- 対象経費: 電気柵、トタン、金網、防鳥ネットなどの資機材購入費(工事費・人件費は対象外の場合が多い)
※自治体による違いに注意:
本記事では甲州市の情報をベースに解説しますが、山梨市では資材の種類ごとに上限額が細分化されていたり(電気柵5万円、金属網3万円など)、南アルプス市ではカラス捕獲施設への補助(上限20万円)があったりと、自治体によって制度の詳細が異なります。申請の際は必ずご自身の農地がある自治体の最新要綱を確認してください。
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者・団体
基本的には、市内に住所を持ち、実際に農業に従事している個人または団体が対象です。特に「地域ぐるみ」での対策を推奨するため、共同設置に対して手厚い補助上限を設けているのが特徴です。
補助金額・補助率の詳細
補助金額は「事業費(資材購入費)の1/2以内」が基本ですが、上限額は申請主体(個人か団体か)や自治体によって大きく異なります。ここでは甲州市の例を中心に、近隣市の例も比較します。
自治体別の上限額比較(例)
補助対象経費の詳細
補助の対象となるのは、基本的に「資機材の購入費」です。設置にかかる人件費や運搬費は自己負担となるケースがほとんどですので注意が必要です。
対象となる主な資機材
経費に関する注意事項
- 下限額の設定: 南アルプス市などでは「事業費2万円以上」のものに限るなどの制限があります。
- 修繕費の扱い: 新設だけでなく、既存施設の修繕(資材購入)も対象になる場合がありますが、「設置後3年間は再申請不可」などの期間制限があることが一般的です。
申請から採択までの流れ
最も重要なルールは「交付決定通知が届く前に購入・着工してはいけない」ということです。必ず申請を行い、市の許可が下りてから資材を発注してください。
1
事前相談・見積書取得
設置する場所や資材の種類を決め、業者から見積書を取得します。設置場所の地図や、施工前の現場写真(2方向から)も準備します。
2
交付申請書の提出
農林振興課などの窓口へ申請書を提出します。農業従事者証明書が必要な場合は、事前にJA等で取得しておきます。
3
交付決定・事業実施
市から「交付決定通知書」が届いたら、資材を購入し、設置工事を行います。工事中や完成後の写真(施工前と同じアングル)を必ず撮影してください。
4
実績報告書の提出
設置完了後、実績報告書に領収書の写し、施工後写真などを添えて提出します。
5
補助金の確定・請求・振込
市の検査を経て補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます。
効果的な対策と採択のポイント
山梨市での調査によると、補助金を使って設置された柵の約3割が、設置方法の不備や管理不足により十分な効果を発揮していなかったというデータがあります。補助金を無駄にしないための重要なポイントを解説します。
「効果がない柵」にならないための対策
- 対象動物に合った柵を選ぶ
イノシシには電気柵やワイヤーメッシュが有効ですが、ハクビシンやアライグマは登るのが得意なため、上部に「忍び返し」をつけるか、電気柵の段数を増やす等の対策が必要です。 - 隙間を徹底的に塞ぐ
地面の凹凸による隙間から侵入されるケースが多発しています。地面にペグで固定する、スカート状に網を広げるなどの処理が必須です。 - 登り場を封鎖する
果樹棚の支柱や周囲の樹木を伝って侵入されることがあります。支柱にトタンを巻くなどの「登り場封鎖」も補助対象資材に含まれるか確認し、対策しましょう。 - 継続的な管理計画
電気柵は草が触れると漏電し効果がなくなります。設置後の草刈りやメンテナンスができるかどうかも審査や効果維持の重要なポイントです。
よくある失敗・注意点
- [失敗例1] 設置場所の確認不足 → 対策: 申請時に提出する地図と現地の状況が一致しているか、隣地境界に問題がないか確認しましょう。
- [失敗例2] 写真の撮り忘れ → 対策: 施工前の写真を撮り忘れると、補助金が下りない可能性があります。必ず「着工前」の写真を2方向から撮影してください。
- [失敗例3] 家庭用電源の直結 → 対策: 電気柵を自作し家庭用コンセントに直結するのは法律で禁止されており、重大事故につながります。必ずメーカー製の認定品(本器)を使用してください。
必要書類チェックリスト
活用事例・想定シーン
果樹農家(個人)
補助額 5万円
ハクビシン被害に悩むブドウ畑に電気柵を設置。総額10万円の資材費に対し、5万円の補助を活用。収穫量が安定。
集落営農組合(団体)
補助額 50万円
隣接する複数の畑を囲む広域ワイヤーメッシュ柵を設置。総事業費100万円に対し、上限の50万円を受給。地域全体でイノシシ被害が減少。
野菜農家(個人)
補助額 4.5万円
山梨市にて金属製柵を導入。資材費9万円に対し、上限4.5万円の補助。物理的な遮断でシカの侵入を阻止。
よくある質問(FAQ)
Q
自分で設置工事をした場合、自分の日当は補助対象になりますか?
いいえ、対象になりません。補助の対象は基本的に「資機材の購入費」のみです。自力施工(DIY)の場合、労務費は自己負担となりますが、業者に工事を依頼した場合の工事費も対象外となる自治体が多いので、事前に要綱を確認してください。
Q
ネット通販で購入した資材も対象になりますか?
基本的には対象になりますが、領収書や明細書(品名、単価、数量が記載されたもの)が必須です。また、送料や振込手数料は対象外となるケースが一般的です。地元のJAや資材店での購入を推奨している場合もあります。
Q
申請の締め切りはいつですか?
自治体により異なります。甲州市や南アルプス市は通年(予算の範囲内)で受け付けていることが多いですが、山梨市のように「令和8年(2026年)2月15日まで」と具体的な期限を設けている場合もあります。予算がなくなり次第終了することもあるため、早めの申請をおすすめします。
Q
カラスの被害にも対応していますか?
はい、多くの自治体でカラスも対象鳥獣に含まれています。特に南アルプス市では「カラス捕獲施設設置事業」として、団体向けに上限20万円の補助枠を設けています。防鳥ネットの購入費も補助対象となる場合が多いです。
Q
一度補助金をもらったら、来年も申請できますか?
同一のほ場(畑)や同一の施設に対する再申請には制限があります(例:設置後3年間は再申請不可など)。ただし、別の畑に新しく設置する場合や、耐用年数を超えた更新の場合は申請可能なことがあります。
まとめ
山梨県内の鳥獣害対策補助金は、農業者の負担を大幅に軽減する重要な制度です。甲州市では共同設置で最大50万円、山梨市や南アルプス市でもそれぞれの地域課題に合わせた手厚い支援が行われています。重要なのは「被害が出る前に対策すること」と「正しい設置方法で効果を持続させること」です。
申請には事前準備が必要ですので、まずは見積書を取り、市役所の農林振興課やJAの窓口へ相談に行きましょう。
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免責事項: 本記事の情報は作成時点のものです。補助金の内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づいて行った申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。