特別障害者手当・特別障害給付金とは?
特別障害者手当と特別障害給付金は、重度の障害により日常生活に著しい支障がある方々の経済的負担を軽減するための国の制度です。この2つの制度は目的や対象者が異なります。
- 特別障害者手当: 精神または身体に著しく重度の障害があるため、日常生活において常時特別な介護を必要とする在宅の20歳以上の方に支給されます。
- 特別障害給付金: 国民年金に任意加入していなかったために、障害基礎年金などを受けられない障害者の方への福祉的な給付です。
この記事では、それぞれの制度の対象者、金額、申請方法、そして認定のポイントとなる審査基準などを詳しく解説します。重度の障害を持つご本人やご家族にとって、生活を支える重要な情報となりますので、ぜひご確認ください。
2つの制度の違い【特別障害者手当と特別障害給付金】
両制度の主な違いを以下の表にまとめました。ご自身がどちらの制度に該当する可能性があるかを確認する際の参考にしてください。
| 項目 | 特別障害者手当 | 特別障害給付金 |
|---|
| 目的 | 重度障害による精神的・経済的負担の軽減 | 障害基礎年金を受けられない障害者への福祉的措置 |
| 実施組織 | 厚生労働省(窓口は市区町村) | 日本年金機構(窓口は市区町村) |
| 主な対象者 | 20歳以上で、在宅で常時特別な介護を必要とする重度障害者 | 国民年金の任意加入期間に未加入だったために障害基礎年金を受給できない障害者 |
| 年金との関係 | 障害年金と併給可能 | 障害基礎年金等を受給している場合は対象外 |
特別障害者手当の対象者と認定基準
特別障害者手当を受け取るためには、年齢、障害の状態、生活の場の3つの要件を満たす必要があります。また、所得による制限も設けられています。
認定基準の目安
障害の程度の認定基準は、おおむね以下の状態が重複している場合などが該当します。
- 身体障害者手帳1級または2級程度の障害が2つ以上ある方
- 身体障害者手帳1級または2級程度の障害があり、かつ療育手帳(愛の手帳など)の最重度(A1など)の判定を受けている方
- 上記と同等以上の疾病・精神障害(例: 重度の知的障害、精神障害、疾病、身体機能障害など)により、常時特別な介護が必要な方
注意:精神障害者保健福祉手帳2級のみでは、単独で認定基準を満たすことは難しい場合があります。しかし、他の障害と重複している場合や、日常生活動作の能力が著しく低く、常時特別な介護が必要であると診断書で客観的に示されれば、対象となる可能性があります。
所得制限
受給者本人、またはその配偶者・扶養義務者の前年の所得が一定額以上の場合、手当は支給停止となります。所得制限の限度額は扶養親族の人数などによって異なりますので、お住まいの市区町村の窓口で確認が必要です。
特別障害給付金の対象者と条件
特別障害給付金は、国民年金制度の変遷の中で、障害基礎年金を受けられない特定の条件の方を救済するための制度です。
所得制限
受給者本人の前年の所得が一定額以上の場合、給付金の全額または半額が支給停止となります。
支給額と支給日
支給額(月額)
支給額は年度によって改定されることがあります。以下は2024年度(令和6年度)の金額です。
| 制度名 | 支給額(月額) |
|---|
| 特別障害者手当 | 28,840円 |
| 特別障害給付金(障害基礎年金1級相当) | 55,350円 |
| 特別障害給付金(障害基礎年金2級相当) | 44,280円 |
支給日
手当・給付金は、原則として以下の月に、それぞれの前月分までの分がまとめて指定の口座に振り込まれます。
- 特別障害者手当 支給日: 毎年2月、5月、8月、11月
- 特別障害給付金 支給日: 毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月(偶数月)
申請方法と必要書類
申請は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。手続きは本人または代理人が行えます。
申請の流れ
- 事前相談・書類準備: まずは市区町村の窓口に相談し、申請に必要な書類(申請書、診断書など)を受け取ります。
- 診断書の作成依頼: 医師に「特別障害者手当認定診断書」など、指定の診断書の作成を依頼します。
- 書類提出: 必要書類をすべて揃え、市区町村の窓口に提出します。
- 審査・認定: 提出された書類をもとに、都道府県(または政令指定都市・中核市)や日本年金機構で審査が行われます。
- 結果通知・支給開始: 認定されると通知が届き、申請月の翌月分から手当の支給が開始されます。
主な必要書類
一般的に必要とされる書類は以下の通りですが、自治体によって異なる場合があるため、必ず事前に確認してください。
- 申請書(窓口で配布)
- 特別障害者手当認定診断書(所定の様式)
- 所得状況届
- 戸籍謄本または抄本
- 本人名義の預金通帳の写し
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳(お持ちの場合)
- 年金証書(年金受給中の場合)
- マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードなど)
特別障害者手当認定診断書のポイント
審査において最も重要な書類が「特別障害者手当認定診断書」です。以下の点に注意してください。
- 指定医による作成: 診断書は、都道府県知事が定めた指定医に作成してもらう必要があります。かかりつけ医が指定医かどうかは、市区町村の窓口で確認できます。
- 正確な記載: 日常生活の状況や介護の必要性が審査の判断材料となるため、ご自身の状態を医師に正確に伝え、具体的に記載してもらうことが重要です。
- 記入例の確認: 診断書の書き方に不安がある場合、市区町村の窓口で記入例をもらえることがあります。また、ウェブ上で「特別障害者手当認定診断書 記入例」や、障害の種類に応じた「特別障害者手当認定診断書 肢体不自由 記入例」などを参考にすることもできますが、最終的には必ず医師と相談してください。
審査基準と採択のポイント
申請が認められるためには、定められた審査基準を満たす必要があります。特に、診断書の内容が審査結果を大きく左右します。
■ 採択のポイント
ポイント1:診断書の内容を充実させる
「常時特別な介護を必要とする状態」であることを、日常生活動作(食事、排泄、入浴、着替えなど)の具体的な状況を交えて、客観的に記載してもらうことが不可欠です。
ポイント2:書類の不備をなくす
提出書類に漏れや誤りがないか、窓口で担当者と一緒に確認しましょう。特に所得証明書や戸籍謄本などは、有効期限や記載内容に注意が必要です。
ポイント3:現状を正確に伝える
申請前の相談や、医師への説明の際に、見栄を張らずに「できないこと」「手助けが必要なこと」を正直に、具体的に伝えることが大切です。
自治体ごとの申請について(例:名古屋市)
特別障害者手当の申請は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。例えば、名古屋市にお住まいの方は、各区役所の福祉課または支所の区民福祉課が申請窓口となります。申請に必要な書類の様式や手続きの詳細は、自治体の公式ウェブサイトで公開されていることが多いです。手続きを始める前に、必ずお住まいの市区町村のウェブサイトを確認するか、窓口に直接問い合わせるようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 特別障害者手当と特別障害給付金は両方受給できますか?
A. いいえ、両方の制度の対象となる場合でも、同時に受給することはできません。どちらか一方を選択することになります。
Q. 所得制限はありますか?
A. はい、両制度ともに所得制限があります。受給者本人、配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定の基準額を超えると、手当の全額または一部が支給停止となります。
Q. 支給日はいつですか?
A. 特別障害者手当は年4回(2月、5月、8月、11月)、特別障害給付金は年6回(偶数月)です。いずれも、支払月の前月分までの手当が振り込まれます。
Q. 診断書はどの病院で、どの医師に書いてもらえばいいですか?
A. 障害の原因となった傷病について診療を受けている医療機関で作成してもらいます。特に特別障害者手当の場合、都道府県が定めた「指定医」による診断書が必要です。かかりつけ医が指定医か不明な場合は、市区町村の窓口にお問い合わせください。
まとめ
特別障害者手当と特別障害給付金は、重度の障害を持つ方の生活を支えるための重要な経済的支援制度です。対象となる条件や申請方法は複雑な部分もありますが、ご自身やご家族が該当する可能性がある場合は、諦めずに手続きを進めることが大切です。
まずは第一歩として、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へ相談することから始めてみましょう。専門の担当者が、あなたの状況に合わせたアドバイスや必要な手続きについて丁寧に教えてくれます。
問い合わせ先:お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口