東京都足立区にお住まいで、不登校のお子様がフリースクールを利用している、または利用を検討している保護者の皆様へ朗報です。足立区では、フリースクールの経済的負担を大幅に軽減するための独自の助成金制度「足立区フリースクール等利用者支援助成金」を実施しています。この制度の最大の特徴は、東京都の助成金に「上乗せ」で支援が受けられる点です。都の助成金と合わせると、お子様一人あたり月額最大4万円という手厚いサポートになります。この記事では、この非常に魅力的な足立区の助成金について、対象者の条件から具体的な申請手順、必要書類、注意点まで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。この制度を最大限に活用し、お子様の多様な学びの選択肢を安心して広げるための一助となれば幸いです。
足立区フリースクール等利用者支援助成金の概要
まずは、本助成金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。重要なポイントは、東京都の制度と連携している点です。
制度の目的と背景
この助成金は、何らかの事情で学校に登校しない、または登校したくてもできない状況にある児童・生徒が、学校以外の多様な学びの場であるフリースクール等を利用する際に生じる経済的な負担を軽減することを目的としています。保護者の負担を軽くすることで、子どもたちが安心して自分のペースで学べる環境を確保し、社会的自立に向けた支援を強化する足立区の取り組みです。
実施組織
- 組織名: 足立区
- 担当部署: こども支援センターげんき 教育相談課 登校支援係
最大の特徴：東京都の助成金への「上乗せ」支援
この助成金を理解する上で最も重要なポイントは、単独の制度ではなく、東京都が実施する「フリースクール等利用者支援事業」の助成を受けていることが前提条件となる点です。つまり、以下の2階建ての支援構造になっています。
【1階部分】東京都の助成金：月額最大2万円
【2階部分】足立区の助成金：月額最大2万円（都の助成金を引いた自己負担分に対して）
⇒ 合計で月額最大4万円の支援が受けられます！
申請の順番も、まず東京都の助成金交付決定を受けてから、足立区へ申請するという流れになります。この点をしっかり押さえておきましょう。
助成金額・補助率と対象経費
助成金額はいくら？計算方法を解説
足立区からの助成額は、小・中学生1人につき月額最大2万円です。ただし、計算方法に少し特徴があります。「東京都やその他の助成額を引いた利用料の自己負担額」が上限となります。具体的な例を見てみましょう。
| ケース | フリースクール利用料（月額） | 都の助成額 | 自己負担額 | 足立区の助成額 | 最終的な自己負担額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例1 | 50,000円 | 20,000円 | 30,000円 | 20,000円 | 10,000円 |
| 例2 | 35,000円 | 20,000円 | 15,000円 | 15,000円 | 0円 |
| 例3 | 30,000円 | 20,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 0円 |
例2や例3のように、自己負担額が2万円を下回る場合は、その自己負担額がそのまま足立区の助成額となります。
対象となる経費・ならない経費
助成の対象となる経費は明確に定められています。申請前に必ず確認しましょう。
- 【対象となる経費】
- フリースクール等の利用料（授業料、月謝など）
- 【対象とならない経費】
- 入会金
- 施設維持費、管理費
- 教材費
- 食費、おやつ代
- イベント参加費
- 交通費 など
助成を受けられる方（対象者）の3つの条件
この助成金を受けるためには、以下の3つの要件をすべて満たす小・中学生の保護者である必要があります。
【要件1】住所要件
保護者とお子様（小・中学生）が足立区内に住所を有していること。
【要件2】お子様の状況
お子様が、欠席日数に関わらず、何らかの事情により在籍する学校に登校しない、またはすることができない状況にあり、フリースクール等に通っていること。
【要件3】都の助成金受給
東京都の「フリースクール等利用者支援事業」の交付決定を受けていること。（これが最も重要な前提条件です）
どのフリースクールが対象？
足立区の助成対象となるのは、前提となる東京都の「フリースクール等利用者支援事業」の対象となっている施設です。東京都は、助成要件を満たす施設の一覧を公表しています。足立区内にお住まいであれば、通うフリースクールが足立区外（都内、都外も含む）にあっても対象となります。
参考として、足立区内にある対象施設（2025年9月時点の情報）は以下の通りです。
- 東京未来大学みらいフリースクール
- トライ式高等学院中等部北千住キャンパス
- フリースペース＆あだちファミリースペースevery tree
【重要】東京都の対象施設一覧は随時更新される可能性があります。また、一覧への掲載に同意していない施設でも対象となる場合があります。利用したいフリースクールが対象になるかどうかの最新かつ正確な情報については、必ず東京都の公式サイトをご確認ください。
申請方法・手順と年間スケジュール
申請から助成金の受け取りまでは、いくつかのステップがあります。全体の流れとスケジュールを把握し、計画的に進めましょう。
申請から支給までの5ステップ
- 【都へ申請】まず、東京都の「フリースクール等利用者支援事業」に申請し、「交付決定通知書」を受け取ります。これが全てのスタートです。
- 【区へ申請】都の交付決定通知書が届いたら、足立区へ「交付申請」を行います。申請方法はオンラインまたは郵送・持参です。申請期限は令和8年3月31日（必着）です。
- 【区から決定通知】申請内容が審査され、不備がなければ足立区から「交付決定通知書」が届きます。
- 【実績報告・請求】四半期ごとに、実際にフリースクールを利用し支払った実績を「実績報告書兼請求書」と領収書の写しを提出して報告・請求します。
- 【助成金受給】実績報告の内容が確認された後、指定した銀行口座に助成金が振り込まれます。
年間スケジュール（令和7年度の例）
申請するタイミングによって、その後のスケジュールが変わります。ご自身の状況に合わせて確認してください。
| 申請回 | 交付申請時期 | 実績報告・請求時期 | 支給予定時期 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 都の通知到着後～R7.8.29 | 4～6月分: ～R7.10.10 7～9月分: ～R7.11.28 10～12月分: ～R8.1.30 1～3月分: ～R8.4.27 | 10月下旬 12月下旬 2月中旬 5月中旬 |
| 第2回 | R7.9.1～R7.9.30 | 7～9月分: ～R7.11.28 10～12月分: ～R8.1.30 1～3月分: ～R8.4.27 | 12月下旬 2月中旬 5月中旬 |
| 第3回 | R7.10.1～R7.10.31 | 10～12月分: ～R8.1.30 1～3月分: ～R8.4.27 | 2月中旬 5月中旬 |
| 第4回 | R7.11.4～R8.1.30 | 1～3月分: ～R8.4.27 | 5月中旬 |
| 第5回 | R8.2.2～R8.3.31 | 年度内利用分: ～R8.4.27 | 5月中旬 |
【最終期限に注意！】
理由の如何を問わず、令和8年4月27日（金曜日）までに実績報告書兼請求書が提出されない場合、助成金は支給されません。期限は厳守しましょう。
申請のポイントと注意点
採択のための最重要ポイント
この助成金は、事業計画を審査して採択・不採択を決める競争型の補助金とは異なります。要件を満たし、手続きを正しく行えば基本的に交付されます。したがって、採択のポイントは以下の2点に集約されます。
- ① 東京都の交付決定を先に受けること：これがなければ足立区への申請資格がありません。
- ② 書類の不備なく、期限内に提出すること：単純ですが最も重要です。特に期限は厳守してください。
よくある申請ミスと対策
- ミス：都の交付決定通知書の写しが不鮮明で読み取れない。
対策：スマートフォンで撮影する場合は、明るい場所で真上から、文字がはっきり写るように撮影しましょう。スキャナアプリの利用もおすすめです。 - ミス：実績報告の期限を忘れてしまい、過ぎてしまった。
対策：スケジュール表をコピーして目につく場所に貼る、スマートフォンのカレンダーに締切日を登録するなど、リマインダー設定をしましょう。 - ミス：引っ越しや利用施設の変更を届け出ていなかった。
対策：申請内容に変更が生じた場合は、速やかに「変更申請書」を提出する義務があります。後でまとめてではなく、変更があり次第すぐに手続きを行いましょう。
よくある質問（FAQ）
- Q1: 学校をたまに休む程度ですが、対象になりますか？
- A1: 対象要件には「欠席日数に関わらず」と明記されています。「何らかの事情により在籍する学校に登校しない又はすることができない状況」と判断され、東京都の助成金交付決定が受けられれば、足立区の助成金も対象となります。まずはお子様の状況について、東京都の事業窓口や在籍校にご相談ください。
- Q2: 東京都の助成金に申請中ですが、足立区にも同時に申請できますか？
- A2: できません。必ず東京都から「交付決定通知書」がお手元に届いてから、その写しを添付して足立区に申請してください。同時申請はできません。
- Q3: 足立区外のフリースクールに通っていますが、対象になりますか？
- A3: はい、対象になります。お子様が足立区在住であれば、通うフリースクールの所在地は問いません。ただし、そのフリースクールが東京都の助成事業の対象施設である必要があります。
- Q4: 助成金は前払いしてもらえますか？
- A4: いいえ、できません。この助成金は、保護者が一旦フリースクールに利用料を支払った後、その実績（領収書など）を報告することで支給される「精算払い（後払い）」方式です。
- Q5: オンライン申請と郵送申請、どちらがおすすめですか？
- A5: パソコンやスマートフォンの操作に慣れている方、必要書類のデータ化（スキャンや撮影）がスムーズにできる方は、24時間いつでも申請できるオンライン申請が便利です。操作に不安がある方や、書類を直接確認してもらいたい方は、郵送や窓口への持参が安心です。
まとめ：手厚い支援を活用してお子様の学びの選択肢を広げよう
今回は、足立区が実施する「フリースクール等利用者支援助成金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを振り返ります。
- 足立区在住の不登校状況にある小・中学生の保護者が対象。
- 東京都の助成金（月額最大2万円）への上乗せ制度であること。
- 足立区から月額最大2万円が追加支援され、合計で最大4万円の支援になる。
- 申請の第一歩は、東京都の助成金交付決定を受けること。
- 申請期限（令和8年3月31日）と最終実績報告期限（令和8年4月27日）の厳守が必須。
この手厚い支援制度は、経済的な理由でフリースクールの利用をためらっていたご家庭にとって、大きな後押しとなるはずです。まずはお子様が通いたいフリースクールが都の対象になっているかを確認し、東京都の助成金申請から始めてみましょう。不明な点があれば、下記の問い合わせ先に気軽に相談してみてください。
問い合わせ・書類提出先
- 部署名: 足立区こども支援センターげんき 教育相談課 登校支援係
- 所在地: 〒121-0816 東京都足立区梅島三丁目28番8号
- 電話番号: 03-3852-3652