埼玉県内の病院、診療所、訪問看護ステーションを対象に、ICT機器の導入や職員の賃上げを支援する「生産性向上・職場環境整備等事業」給付金が実施されます。人材不足や物価高騰に対応し、業務効率化と待遇改善を目指す医療機関にとって重要な制度です。本記事では、対象者、支給額、申請方法、採択のポイントまでを分かりやすく解説します。
■ この給付金のポイント
- 埼玉県内の病院、診療所、訪問看護ステーションが対象
- 支給額は許可病床数×4万円または1施設18万円
- ICT機器導入、タスクシフト、職員の賃上げにも活用可能
- 申請期間は令和7年9月1日から10月31日まで
- 要件を満たせば原則支給される「給付金」である点が大きな魅力
埼玉県の「生産性向上・職場環境整備等事業」給付金とは?
本事業は、医療分野における人材確保という喫緊の課題に対応するため、埼玉県が実施する制度です。限られた人員で質の高い医療サービスを継続的に提供できるよう、生産性向上に資する設備導入や職場環境の整備にかかる費用を給付金として支援します。最終的には、業務効率化によって生まれた余力を職員の処遇改善(賃上げ)につなげ、人材の確保・定着を図ることを目的としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 埼玉県 生産性向上・職場環境整備等事業 |
| 実施組織 | 埼玉県 |
支給額と計算方法
給付金の支給額は、施設の種別と規模によって明確に定められています。自院が受け取れる金額を正確に把握しましょう。
| 施設区分 | 支給額の算定方法 |
|---|---|
| 病院・有床診療所 | 許可病床数 × 4万円 |
| 無床診療所(医科・歯科) | 1施設 × 18万円 |
| 訪問看護ステーション | 1施設 × 18万円 |
計算例
- 許可病床数80床の病院の場合:
80床 × 4万円 = 320万円 - さいたま市内で無床クリニックを運営している場合:
1施設 × 18万円 = 18万円 - 許可病床数3床の有床診療所の場合:
特例措置が適用され、18万円
給付金の対象者と重要な条件
この給付金を受給するには、以下のすべての条件を満たす必要があります。特に「ベースアップ評価料」の届出が必須です。
対象となる施設
- 埼玉県内に所在する施設であること
- 病院、有床診療所(医科・歯科)、無床診療所(医科・歯科)、訪問看護ステーションのいずれかであること
- 令和7年3月31日時点でベースアップ評価料の届出をしていること
本給付金の最も重要な条件は、「ベースアップ評価料」の届出です。令和7年3月31日までに管轄の厚生局(関東信越厚生局)に届出書類が到達している必要があります。まだ届出をされていない場合は、期限に間に合うよう、お早めに準備を進めてください。
給付金の活用方法(対象経費)
支給された給付金は、生産性向上や職場環境整備に関する幅広い取り組みに活用できます。主な活用方法は以下の3つです。
① ICT機器等の導入による業務効率化
デジタル技術を活用して、スタッフの負担軽減や業務の効率化を図るための設備導入です。
- 情報共有・コミュニケーションツール: タブレット端末、インカム、WEB会議設備
- 患者見守り・安全対策: 離床センサー、ナースコール連動システム
- 業務自動化・省力化: 自動清掃ロボット、薬剤管理システム、自動受付精算機
- 事務作業効率化: 電子カルテ関連システム、勤怠管理システム、予約管理システム
② タスクシフト/シェアによる業務効率化
専門職が本来の業務に集中できるよう、業務の役割分担を見直すための取り組みです。そのための新たな人材配置にかかる人件費に充当できます。
- 医師事務作業補助者の新規配置
- 看護補助者の増員・新規配置
③ 給付金を活用した更なる賃上げ
給付金を原資として、直接、既存職員の賃金改善(ベースアップや賞与など)に充てることができます。人材の定着に直結する非常に有効な活用方法です。
申請期間と手続きの流れ
申請期間は限られています。スケジュールを正確に把握し、余裕を持った準備を心がけましょう。
申請受付期間
令和7年9月1日(月)9時00分 から 令和7年10月31日(金)23時59分 まで
申請方法・手順
申請は原則として電子申請となります。
- 埼玉県の公式サイトに設置される「メールアドレス登録フォーム」からメールアドレスを登録します。
- 登録したメールアドレス宛に、専用の申請フォームへのリンクが送付されます。
- 申請フォームにアクセスし、必要事項を入力します。
- 下記の必要書類を準備し、電子ファイル(PDF, JPGなど)で添付します。
- 全ての入力・添付が完了したら、内容をよく確認して送信します。
確実に給付金を受給するための3つのポイント
本事業は要件を満たせば原則支給される「給付金」ですが、手続きの不備で支給が遅れることを防ぐため、以下のポイントを押さえましょう。
ポイント1:ベースアップ評価料の届出を最優先で確認
これが大前提です。令和7年3月31日までに届出が完了しているか、必ず確認してください。未了であれば、すぐに手続きを進めましょう。
ポイント2:申請書類の正確性を担保する
単純な記載ミスが支給遅延の原因となります。特に、申請者名義と完全に一致した口座情報(「(医)」や「イ)」などの表記も通帳通りに)を正確に記載してください。
ポイント3:実績報告を忘れない
申請時に「導入予定」として申請した場合、事業完了後に実績報告書の提出が必要です。提出期限は、導入・取組後10日を経過した日または令和8年3月31日のいずれか早い日です。失念すると給付金の返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
まとめと問い合わせ先
埼玉県の「生産性向上・職場環境整備等事業」給付金は、医療現場の生産性を高め、職員の処遇を改善するための強力なサポートとなります。申請期間が短いため、計画的な準備が成功の鍵です。
■ 重要ポイントの再確認
- 対象: ベースアップ評価料を届け出ている埼玉県内の医療機関・訪問看護ステーション
- 支給額: 病床数×4万円 or 1施設18万円
- 活用方法: ICT導入、タスクシフト、賃上げ
- 申請期間: 令和7年9月1日~10月31日
ご不明な点があれば、下記の公式コールセンターへお問い合わせください。
お問い合わせ先
| 埼玉県生産性向上・職場環境整備等事業給付金 コールセンター | |
|---|---|
| 電話番号 | 050-1753-5236 |
| 受付時間 | 月曜日から土曜日 午前9時から午後6時まで(日祝・年末年始を除く) |
| メールアドレス | saitamaseisansei25@his-world.com |
| 公式サイト | 埼玉県庁ホームページ |