横浜市・川崎市の妊婦健診費用助成金とは?
横浜市および川崎市では、安心して子どもを産み育てられる環境づくりの一環として、妊婦さんが受ける健康診査の費用を一部助成する制度を実施しています。妊娠期間中の健診は、母体と赤ちゃんの健康を守るために不可欠ですが、公的医療保険が適用されないため全額自己負担となり、経済的な負担が大きくなりがちです。この負担を軽減し、すべての妊婦さんが適切な時期に必要な回数の健診を受けられるよう支援することを目的としています。
この制度を活用することで、標準的な14回程度の妊婦健診にかかる費用の多くを公費でカバーできます。本記事では、2025年の最新情報に基づき、横浜市と川崎市それぞれの助成制度の詳細、申請方法、注意点などを網羅的に解説します。
■ この記事でわかること
- 横浜市と川崎市の妊婦健診費用助成制度の概要と比較
- 具体的な助成金額と対象となる費用
- 助成を受けるための対象者条件
- オンライン・郵送での詳しい申請手順と必要書類
- 助成金と医療費控除の併用に関する注意点
- 里帰り出産など、よくあるケースでの対応方法
妊婦健診の重要性と一般的な費用
助成金制度を理解する前に、まずは妊婦健診そのものの重要性と費用について確認しておきましょう。
なぜ妊婦健診は必要なのか?
妊婦健診は、妊娠期間を通じて妊婦さんとお腹の赤ちゃんの健康状態を定期的に確認し、異常の早期発見・早期対応につなげるための非常に重要な医療行為です。主な目的は以下の通りです。
- 母体の健康管理:妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの妊娠合併症を早期に発見します。
- 胎児の成長確認:超音波検査などで赤ちゃんの成長や発達が順調かを確認します。
- 出産に向けた準備:出産予定日の特定や、分娩方法の検討など、安全な出産のための準備を行います。
- 妊婦さんの不安解消:医師や助産師に体調や生活に関する相談をすることで、心身の不安を和らげます。
厚生労働省は、標準的な健診回数として14回程度を推奨しており、多くの自治体の助成制度もこの回数に基づいています。
妊婦健診の費用相場
妊婦健診は病気の治療ではないため、原則として公的医療保険の適用外となり、費用は全額自己負担です。費用は医療機関や検査内容によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 基本的な健診(診察、血圧・体重測定、尿検査など):1回あたり5,000円~8,000円程度
- 血液検査や超音波検査などが加わる場合:1回あたり10,000円~20,000円程度
特別な検査がない場合でも、出産までに総額で10万円~15万円程度の費用がかかることが一般的です。この経済的負担を軽減するのが、今回解説する費用助成制度です。
【比較】横浜市 vs 川崎市 妊婦健診費用助成制度の概要
横浜市と川崎市、それぞれの制度の概要を比較表で見てみましょう。基本的な目的は同じですが、助成額や仕組みに違いがあります。
| 項目 | 横浜市 | 川崎市 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 横浜市妊婦健康診査費用助成金 | 川崎市妊婦健康診査費用助成 |
| 助成の仕組み | 補助券(14回分)+ 現金5万円の上乗せ助成 | 受診券(14回分+追加検査分)による助成(合計最大135,000円) |
| 対象者 | 横浜市に住民登録のある妊婦 | 川崎市に住民登録のある妊婦 |
| 申請タイミング | 妊娠中(出産日まで) | 最後の妊婦健診日から1年以内 |
| 主な申請方法 | オンライン申請 | オンラインまたは郵送申請 |
【横浜市】妊婦健康診査費用助成金の詳細
横浜市では、従来の補助券に加えて、現金5万円を上乗せで助成する独自の制度を設けています。
助成内容と金額
横浜市の助成は、2段階の構成になっています。
- 妊婦健康診査費用補助券(14枚綴り)
母子健康手帳と一緒に交付される補助券です。横浜市内の協力医療機関の窓口で提出することで、券面に記載された金額を上限に健診費用が助成されます。 - 現金5万円の上乗せ助成
上記の補助券とは別に、申請することで一律5万円が口座に振り込まれます。これは、物価高騰などに対応し、妊婦さんの経済的負担をさらに軽減するために令和6年4月から開始された制度です。
補助対象となる経費
補助券および上乗せ助成は、以下の費用に充てることができます。
- 保険適用外の基本的な妊婦健診費用(診察、計測など)
- 健診に伴う保険適用外の検査費用(超音波検査、血液検査など)
【川崎市】妊婦健康診査費用助成の詳細
川崎市では、受診券の形で合計最大135,000円分の助成を行っており、県内でも手厚い支援内容となっています。
助成内容と金額
川崎市の助成は、母子健康手帳と一緒に交付される「妊婦健康診査費用助成券(受診券)」によって行われます。内容は以下の通りです。
| 券の種類 | 枚数 | 助成上限額(1枚あたり) | 合計額 |
|---|---|---|---|
| 基本健診用 | 14枚 | 9,000円 (初回のみ12,000円) | 129,000円 |
| 追加検査用 | 1枚 | 6,000円 | 6,000円 |
| 総計 | 135,000円 | ||
これらの受診券を協力医療機関の窓口で提出することで、健診費用から助成額が差し引かれます。もし健診費用が助成額を上回った場合は、差額を自己負担します。逆に下回った場合、おつりは出ません。
補助対象となる経費
助成の対象となるのは、以下の費用です。
- 妊婦健康診査(保険適用外)の費用
- 妊婦健康診査に伴う保険適用外の検査費用
申請方法・手順の詳細ガイド
ここでは、両市の具体的な申請方法をステップごとに解説します。
横浜市の申請手順(現金5万円)
横浜市の上乗せ助成は、原則としてオンラインでの申請となります。
- 必要書類の準備:
申請には以下の画像のアップロードが必要です。事前にスマートフォンなどで撮影しておきましょう。- 母子健康手帳の「表紙」(子の保護者氏名、交付日、交付No.がわかるページ)
- 母子健康手帳の「妊娠中の経過」(受診日、医療機関名が記載されているページ)
- 振込先口座がわかる書類(キャッシュカードまたは通帳のコピー)
- オンライン申請フォームへアクセス:
横浜市の公式サイトにある「横浜市電子申請・届出サービス」から手続きを行います。「横浜市 妊婦健診 助成金」などで検索すると、市の案内ページが見つかります。 - 申請者情報の入力:
画面の指示に従い、氏名、住所、連絡先、振込先口座情報などを正確に入力します。 - 必要書類のアップロード:
準備した画像をアップロードします。 - 申請完了:
入力内容を確認し、申請を完了します。申請後、審査を経て約2~3ヶ月後に指定の口座に5万円が振り込まれます。
オンライン申請が難しい場合は、コールセンター(0120-330-043)に連絡し、郵送での申請書類を取り寄せることができます。
川崎市の申請手順(里帰り出産などで償還払いの場合)
川崎市の受診券は、神奈川県内の協力医療機関や一部の都内協力医療機関で使用できます。しかし、里帰り出産などで協力医療機関以外で受診した場合、一度費用を全額自己負担し、後日申請することで助成額分を返金してもらう「償還払い」制度を利用できます。
- 必要書類の準備:
以下の書類を揃えます。- 川崎市妊婦健康診査費用助成申請書:市のウェブサイトからダウンロードするか、区役所で入手します。
- 未使用の受診券:受診回数分の未使用の券が必要です。
- 領収書および診療明細書の原本:「妊婦健診費用として」など但し書きがあり、受診日、医療機関名、金額が明記されているもの。
- 母子健康手帳のコピー:「表紙」と、健診結果が記載された「妊娠中の経過」のページ。
- 振込先口座がわかるもののコピー:通帳やキャッシュカードの写し。
- 申請書の記入:
申請書に必要事項を記入し、領収書の内容と相違がないか確認します。 - 郵送またはオンラインで申請:
すべての書類を揃え、お住まいの区役所・支所の担当窓口へ郵送するか、市の電子申請システムを利用して申請します。 - 助成金の振込:
申請後、審査を経て約2~3ヶ月後に指定の口座に助成金が振り込まれます。
■ 申請のポイント
申請期限は、横浜市は「妊娠期間中(出産日まで)」、川崎市の償還払いは「最後に健診を受けた日から1年以内」です。期限を過ぎると申請できなくなるため、早めに手続きを行いましょう。特に横浜市は出産後の申請は受け付けられないため注意が必要です。
【重要】助成金と医療費控除の関係について
妊婦健診の費用は、確定申告で「医療費控除」の対象になります。しかし、助成金を受けた場合は計算方法に注意が必要です。このセクションでは、Googleサジェストでも頻出する「妊婦健診費用助成金 医療費控除」の関係について詳しく解説します。
医療費控除の基本
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が一定額(原則10万円)を超えた場合に、所得税や住民税が軽減される制度です。妊婦健診の自己負担分や、出産費用、通院のための交通費(公共交通機関利用の場合)などが対象となります。
助成金を受け取った場合の計算方法
医療費控除の対象となるのは、実際に自己負担した金額です。したがって、自治体から受けた助成金の額は、支払った医療費の総額から差し引く必要があります。
【計算例】
- 年間の妊婦健診費用総額: 150,000円
- 横浜市の補助券と現金助成で受け取った合計額: 120,000円
- 実際に自己負担した金額: 150,000円 – 120,000円 = 30,000円
この場合、医療費控除の計算に含めることができる妊婦健診費用は30,000円となります。この金額と、他の医療費(出産費用、家族の治療費など)を合算して10万円を超える場合に、医療費控除を申請できます。
確定申告の際には、医療費の領収書を保管しておくことが重要です。助成金制度と医療費控除を正しく理解し、両方を賢く活用しましょう。
よくある質問(FAQ)
ここでは、妊婦健診費用助成金に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
・転出する場合:転出日以降、現在お持ちの補助券(受診券)は使用できなくなります。転出先の市区町村で、新しい補助券の交付手続きを行ってください。その際、未使用分の補助券の提出を求められる場合があります。
・転入する場合:転入先の区役所などで、前住所地で交付された未使用の補助券と引き換えに、新しい補助券の交付を受けてください。手続きには母子健康手帳が必要です。
まとめ:制度を理解し、安心して出産準備を進めよう
横浜市と川崎市の妊婦健康診査費用助成制度は、妊娠・出産に伴う経済的な負担を大きく軽減してくれる、非常に心強い制度です。それぞれの市の制度内容や申請方法を正しく理解し、漏れなく活用することが大切です。
■ 最終チェックリスト
- 妊娠がわかったら、早めに区役所で妊娠届を提出し、母子健康手帳と補助券(受診券)を受け取りましたか?
- 横浜市在住の場合、出産前に現金5万円のオンライン申請を済ませましたか?
- 里帰り出産など償還払いを利用する場合、領収書や明細書をすべて保管していますか?
- 医療費控除を申請する場合、助成金額を差し引いて自己負担額を計算する準備はできていますか?
不明な点があれば、一人で悩まずに各市のコールセンターや区役所の担当窓口に相談しましょう。専門のスタッフが丁寧にサポートしてくれます。この制度を最大限に活用し、心身ともに健やかなマタニティライフをお送りください。
お問い合わせ先
- 横浜市妊婦健康診査費用助成金コールセンター: 0120-330-043
- 川崎市妊婦健診コールセンター: 0120-500-650