中小企業を経営する中で、従業員の定着や人材確保に頭を悩ませている方は少なくありません。大手企業のような手厚い福利厚生を整えるのは簡単ではありませんが、退職金制度の有無は求職者や現職の従業員にとって非常に大きな関心事です。神奈川県南足柄市では、こうした企業の負担を軽減し、従業員の生活安定を図るために『中小企業退職金共済掛金補助制度』を実施しています。この制度を活用すれば、月々の掛金負担を抑えながら、魅力的な職場環境を整えることができます。
この補助金の要点
従業員1人あたり最大18万円、月額では掛金の10%(上限700円)が補助されます。新規で共済契約を結んだ事業主を対象に、最大7年間にわたって継続的な支援が受けられる手厚い仕組みです。申請は1月の限定期間に行う必要がありますが、電子申請に対応しているため手続きは非常にスムーズです。
南足柄市が実施する退職金共済掛金補助の概要
この制度は、南足柄市内に事業所を構える中小企業や個人事業主が、従業員のために退職金共済制度へ加入した際に支払う掛金の一部を市が肩代わりしてくれるものです。目的は明確で、市内の雇用安定と従業員の福祉向上を両立させることにあります。人材の流出を防ぎ、安定した経営基盤を築きたい経営者にとって、これほど心強い味方はありません。
対象となる事業者の詳細な条件
補助を受けるためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。まず、南足柄市内で1年以上継続して事業を営んでいることが大前提です。具体的には、令和6年12月31日以前から営業を続けている実績が求められます。また、企業の規模については従業員数が300人以下のいわゆる中小企業が対象となり、当然ながら市税を完納していることも必須条件に含まれます。
特に注目したいのが、加入時期の制限です。平成30年2月から令和7年12月末までの間に、新しく共済契約を締結した事業主が対象となります。これまで退職金制度がなかった企業が新しく導入する場合や、中途採用者が増えて新しく契約者を追加した場合などに適応しやすい設計と言えるでしょう。ただし、以前に加入実績がある場合などは対象外となるケースもあるため、事前の確認が欠かせません。
補助上限額(1人あたり)
18万円
補助金の算出方法と対象となる共済制度
補助される金額は、従業員1人につき事業主が払い込んだ月額掛金の10%以内と定められています。金額で言うと、毎月1人あたり700円が上限です。決して大きな額には見えないかもしれませんが、これが従業員全員分、かつ最長7年間続くとなると、総額ではかなりの経費節減につながります。パートタイム労働者についても対象に含まれるため、幅広い雇用形態の従業員に還元できる点が大きな特徴です。
ポイント
対象となる共済制度は、勤労者退職金共済機構が運営する『中退共』や、特定の地域商工会議所等が実施する『特定退職金共済』です。国が推奨する安全な運用制度に基づいているため、事業主にとってもリスクが低く、安心して加入できる仕組みが選ばれています。
申請から補助金受領までの5つのステップ
申請のタイミングは年に一度、1月に集中しています。令和7年度分については、令和8年1月1日から1月31日までの1ヶ月間が勝負です。この期間を逃すと1年分の補助を受けられなくなるため、スケジュール管理を徹底しましょう。具体的な手順は以下の通りです。
共済制度への加入と掛金の支払い
まずは中退共等の共済制度に加入し、令和7年1月から12月までの期間、従業員の掛金を滞りなく支払います。補助は『支払った実績』に対して行われるため、未納があると対象外になってしまいます。
必要書類の準備と作成
市の指定様式である『月別個人別掛金内訳書』や『役員等一覧』などを用意します。共済機構から送られてくる振替完了のお知らせなども、支払い証明として大切に保管しておきましょう。
電子申請システムからの入力
『e-kanagawa電子申請』を利用して申し込みます。画面の指示に従って企業情報や振込口座を入力し、準備した書類をアップロードするだけで完了です。郵送の手間が省けるため、電子申請の利用が強く推奨されています。
市の審査と決定通知
提出された書類に基づき、南足柄市が内容を審査します。不備がなければ補助金の交付決定通知が事業主宛てに届きます。
補助金の振り込み
指定した口座に補助金が振り込まれます。これで1年分の手続きは完了ですが、最長7年間補助を受けられるため、翌年以降も忘れずに申請を行うことが重要です。
採択に向けたポイントと注意点
この補助金は、要件さえ満たしていれば高い確率で交付される性質のものです。しかし、書類の不備や期限遅れで損をしてしまう事業主が後を絶ちません。まず注意すべきは『訂正印』の扱いです。もし書類を紙で作成し、修正が必要になった場合は、修正液を使わず、二重線を引いた上で申請者本人の署名(または代表者印)で正しく書き直す必要があります。こうした細かなルールを守ることが、スムーズな受給への近道です。
注意点
年末年始(12月27日から1月4日)は行政機関が休業するため、不明点がある場合は12月中旬までに問い合わせを済ませておきましょう。また、1月31日の申請期限は『必着』ですので、郵送を選択する場合は余裕を持った投函が不可欠です。
よくある質問
Q. パートタイマーの従業員でも補助の対象になりますか?
A. はい、対象になります。短時間労働者のための特例掛金(月額2,000円、3,000円、4,000円)で加入している場合でも、その支払額の10%が補助されるため、積極的に活用をご検討ください。
Q. 過去に一度退会して、最近また再加入した場合はどうなりますか?
A. 平成30年1月以前にいずれかの共済に加入実績がある場合は、たとえ今回新しく契約を結び直したとしても、補助の対象外となるルールがあります。新規加入を促すための制度であるため、継続的な再加入には厳しい条件が設定されています。
Q. 市外から南足柄市に移転してきたばかりですが、申請できますか?
A. 申請時点で南足柄市内に事業所があり、かつ1年以上継続して事業を営んでいる必要があります。今回の募集であれば、令和6年12月31日以前から市内で活動していることが条件となりますので、移転時期をご確認ください。
Q. 他の助成金(国の掛金助成など)と併用することは可能ですか?
A. 中退共制度自体に備わっている国の掛金助成制度とは別枠で、市の補助を受けることが可能です。ダブルで支援を受けられるため、事業主の負担を大幅に減らすことができます。ただし、他の類似した市町村の補助金との重複受給はできません。
Q. 補助金はいつ頃振り込まれますか?
A. 1月末に申請を締め切った後、2月から3月にかけて審査が行われ、年度末から翌年度の初頭にかけて順次振り込まれるのが一般的です。正確な時期は審査の進捗状況によりますので、決定通知の内容を確認するようにしてください。
まとめ
南足柄市の中小企業退職金等共済掛金補助制度は、従業員の安心を支え、企業の魅力を高める絶好のチャンスです。1人あたり月額700円という補助は、塵も積もれば大きな経営資源となります。特に新しく退職金制度を導入しようと考えている経営者の皆様にとって、7年間という長期支援は非常に心強いはずです。令和8年1月の申請期間を逃さないよう、今のうちから共済への加入状況と支払実績を整理し、準備を進めておくことをおすすめします。
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