熊本市内で大切に育てた農作物がイノシシやカラスに荒らされ、肩を落としている農家さんは少なくありません。被害を食い止めるには防護柵の設置も有効ですが、根本的な解決には捕獲の担い手が不可欠です。しかし、狩猟免許や銃砲所持許可の取得には数万円単位の費用がかかるため、二の足を踏んでしまう方も多いでしょう。そこで活用したいのが、熊本市が実施している’有害鳥獣捕獲対策狩猟免許等取得補助’です。この制度は、新規で免許を取得する個人の負担を軽減し、地域の守り手を育成することを目的としています。
この補助金の要点
熊本市内で新規にわな猟免許や第一種銃猟免許を取得する個人を対象に、最大8万円が補助されます。受験料だけでなく、銃の所持許可に必要な経費や保険料も対象に含まれるため、これから狩猟を始めたい方には非常に心強い制度と言えます。
なぜ今、熊本市で狩猟の担い手が必要なのか
熊本市が発表しているデータによると、令和3年度における鳥獣被害額は約6,286万円にも上り、被害面積は14.69ヘクタールに達しています。特に被害が顕著なのはイノシシで、西区の河内や芳野、北区の植木地域などを中心に、水稲の倒伏や果樹の食害が相次いでいます。近年では生息域が拡大しており、上熊本や池上といった市街地に近い住宅地の家庭菜園でも被害が報告されるようになりました。このように、野生動物による被害は農家だけの問題ではなく、市民の生活環境全体を脅かす課題へと変化しています。
被害を防止するためには、追い払いだけでなく、適切な個体数管理のための捕獲が欠かせません。しかし、現在活動している熊本市有害鳥獣駆除隊のメンバーは高齢化が進んでおり、特に銃猟免許を持つベテランの引退が危惧されています。新たな担い手を確保し、技術を継承していくことは、熊本市の農業と豊かな自然を次世代に繋ぐために避けては通れないミッションです。今回の補助金制度は、こうした背景から、意欲ある市民が挑戦しやすい環境を整えるために用意されました。
補助金の対象者と気になる支給額の詳細
この補助金を利用できるのは、熊本市内に住所を持つ個人の方です。地域の有害鳥獣捕獲に貢献する意欲があることが前提となりますが、特に農業を営んでいる方や、将来的に駆除隊への加入を検討している方には最適な支援策となります。補助の対象は’新規’での取得に限られるため、すでに免許をお持ちの方が更新する際には利用できない点に注意が必要です。あくまで、新しい担い手を増やすための呼び水としての役割を担っています。
支給される金額は、取得する免許の種類によって異なります。手軽に始められる’わな猟’と、より広範囲な対策が可能な’第一種銃猟’では、必要となる経費の桁が変わってくるためです。熊本市では、それぞれの実情に合わせた上限額を設定しており、自己負担を最小限に抑えながら資格取得を目指せるよう配慮されています。
補助上限額(銃猟免許の場合)
80,000円
| 免許の種類 | 補助上限額 |
|---|---|
| わな猟免許 | 13,500円 |
| 第一種銃猟免許(および銃砲所持許可) | 80,000円 |
補助の対象となる具体的な経費とは
補助金が出るのは、免許を取得するまでに支払った直接的な費用です。例えば、熊本県が実施する狩猟免許試験の受験料や、猟友会が開催する初心者講習会の受講料が挙げられます。銃猟を目指す方の場合は、さらにハードルが高くなります。警察署での手続きが必要な銃砲所持許可証の交付手数料、さらには精神科医による診断書作成代、射撃教習にかかる実費なども対象に含まれます。これらの費用を合計するとかなりの金額になるため、8万円という補助枠は非常に大きな助けとなるはずです。
注意点
補助金を受け取るには、令和7年度(2026年3月13日まで)に手続きを完了させる必要があります。また、領収書の原本が証拠として必要になるため、講習会や病院、警察署で支払った際の領収書は一枚も捨てずに保管しておかなければなりません。宛名が個人名であることも必須条件です。
申請から補助金受領までの5つのステップ
補助金をもらうための手続きは、免許を取ってから申請するという流れが基本です。焦って途中で申請書を出しても受理されないため、まずは資格取得に集中しましょう。申請は以下の手順で進めていきます。
講習会と試験の申し込み
まずは熊本県が実施する狩猟免許試験の日程を確認し、申し込みます。併せて猟友会主催の初心者講習会も受講しておくと、合格率が格段に上がります。
試験合格と免許の取得
知識試験、適性試験、技能試験を突破して無事に免許を取得します。銃猟の場合は警察署での所持許可手続きも並行して進めます。
必要書類の準備
交付された免状の写しや、支払った全ての費用の領収書を揃えます。熊本市指定の申請書類(農業支援課で入手可能)に記入を行いましょう。
熊本市役所へ申請書を提出
熊本市農水局農政部農業支援課の鳥獣対策室へ書類を持ち込むか郵送します。年度末は混み合うため、早めの行動が推奨されます。
審査と補助金の振り込み
提出された書類の審査が行われ、問題がなければ交付決定通知が届きます。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。
採択率を高める!申請時のコツと知っておきたい裏事情
この補助金は審査で落とされるという性質のものではなく、要件を満たしていれば基本的に交付されるものです。しかし、’予算の範囲内’という言葉を忘れてはいけません。市役所が確保している予算が底をつけば、期間内であっても受付が締め切られる可能性があります。特に狩猟シーズン前の秋口や、試験が重なる時期は申請が増える傾向にあるため、免許を手にしたら一刻も早く申請を行うことが最大のコツです。
また、単に免許を取るだけでなく、その後どのように活動するかを明確にしておくことも大切です。例えば、地域の自治会や猟友会の支部に顔を出しておき、’捕獲活動に協力する準備がある’という姿勢を示しておくと、書類の不備があった際などの相談もスムーズに進むことがあります。熊本市としても、ただ免許を持っているだけの人ではなく、実際に現場で罠を仕掛けたり、銃を手にしたりしてくれる人を求めているからです。こうした熱意は、申請書の提出時に担当者との会話を通じても伝わります。
ポイント
領収書の再発行は多くの機関で受け付けてもらえません。レシート形式のものではなく、必ず’宛名’と’但し書き’が記載された領収証を依頼しましょう。特に、医師の診断書や警察署への手数料納付時には、補助金申請に使う旨を伝えておくと安心です。
よくある質問:熊本市の狩猟補助金Q&A
Q. 熊本市外の猟友会に入会しても補助は受けられますか?
A. 基本的には熊本市内での捕獲活動を想定しているため、熊本市内の猟友会への加入、もしくは市内での活動が望ましいです。ただし、補助金の要件自体は’熊本市民であること’が主体ですので、詳細は農業支援課にご確認ください。
Q. 免許試験に落ちてしまった場合の再受験料も対象になりますか?
A. 残念ながら、合格して免許を取得した際にかかった経費が対象となります。不合格になった際の受験料は自己負担となるケースが一般的ですので、一発合格を目指して準備しましょう。
Q. 銃猟とわな猟、両方を同時に取得した場合はどうなりますか?
A. 両方の取得を目指す場合、それぞれの対象経費を合算して申請できますが、補助の上限額は定められた枠内になります。具体的な合算方法については、申請前に窓口で相談することをお勧めします。
Q. 銃本体の購入費用は補助の対象に含まれますか?
A. いいえ、この補助金はあくまで’免許等取得’のための費用が対象です。散弾銃や空気銃、また罠などの機材購入費は含まれません。機材については別の助成制度が活用できる場合もあります。
Q. 申請期間を過ぎてしまったらどうなりますか?
A. 令和7年度の予算枠での申請は、2026年3月13日が最終締め切りです。この日を過ぎると、令和7年度の補助金は受け取れません。次年度も継続される可能性はありますが、要件や金額が変わる恐れがあるため、期間内の提出を厳守してください。
まとめ
熊本市の’有害鳥獣捕獲対策狩猟免許等取得補助’は、地域の農作物を守り、自然環境との調和を図るための重要な支援策です。最大8万円の補助は、これから新しい趣味や社会貢献として狩猟を始めたい方にとって、最初の一歩を大きく後押ししてくれるでしょう。イノシシやカラスの被害を自分たちの手で防ぎ、美味しい農産物を守る活動に、あなたも参加してみませんか。まずは市役所の農業支援課へ足を運び、詳細な資料を手に入れるところから始めてみてください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は熊本市の公式サイト、または農業支援課鳥獣対策室(096-328-2369)でご確認ください。