燃料価格の高騰が続く中、地域住民の移動手段を支える宮城県内の交通事業者にとって、経営の維持は喫緊の課題となっています。宮城県では、こうした厳しい状況にあるバスやタクシー、自動車運転代行業者などを対象に、車両1台ごとに定額を交付する支援金制度をスタートさせました。さらに、原材料費の負担が増している清酒製造業者へのサポートも同時に実施されており、地域の産業を守るための多角的な支援体制が整えられています。
この補助金の要点
宮城県内で旅客運送や運転代行を営む事業者を対象に、車両1台につき最大14万円が交付されます。清酒製造業者向けには、原料米1俵あたり最大6,600円の支援があり、いずれも物価高騰による経営圧迫を緩和することが目的です。
宮城県の旅客運送事業者支援金の全体像
今回の支援金は、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用したもので、交通インフラの維持を最大の目的としています。対象となるのは、乗合バス、貸切バス、タクシー、福祉限定タクシー、そして自動車運転代行業者の5業種です。交付金額は業種によって異なり、1台あたりの単価が設定されているため、保有車両数が多い事業者ほど大きな支えになる仕組みになっています。ただし、令和7年4月1日から申請日まで継続して事業を行っていることや、今後も事業を継続する意思があることなど、いくつかの基本的な要件を満たさなければなりません。
特に注意したいのは、休車中の車両は対象外となる点です。あくまで地域の足として稼働している、あるいは稼働可能な状態にある車両を支援するための制度だからです。また、令和7年度からは電子車検証の導入に伴い、申請書類の添付方法に変更がありました。自動車検査証記録事項の写しを提出するだけで済むようになり、手続きの簡素化が進んでいる点も大きな特徴と言えるでしょう。申請期間は令和7年12月24日から令和8年1月30日までと、およそ1ヶ月強の短期間ですので、早めの準備が欠かせません。
補助上限額(乗合バス1台あたり)
140,000円
業種ごとの交付単価と詳細な要件
乗合バス・貸切バス事業者の場合
乗合バス事業者は、県内に事業所を持ち、県内を発着とする路線バスや高速バスを定期運行していることが条件です。1台につき14万円という高額な支援が用意されています。これに対し、観光需要を支える貸切バス事業者は、1台につき4万円が交付されます。対象となるのは、令和7年4月1日から申請日まで継続して宮城運輸支局に登録され、県内の営業所に所属している車両です。リース車両も対象に含まれますが、市町村から委託を受けている住民バス専用車両などは除外されるため、自社の保有車両がどのカテゴリーに属するかを正確に把握しておく必要があります。
タクシー・運転代行事業者の場合
一般のタクシー事業者は1台につき2万円、福祉輸送事業に限定して活動している事業者は1台につき1万円を受け取ることができます。また、夜間の移動を支える自動車運転代行業者も、宮城県公安委員会の認定を受けていれば1台につき1万円の支援を受けることが可能です。いずれも、令和7年4月1日時点で保有しており、申請時点でも運行を継続していることが大前提となります。老朽化によって車両を入れ替えた場合は、新旧の車両を合わせて1台とカウントして申請できる特例があるため、買い替え時期と重なった事業者も諦める必要はありません。
| 業種区分 | 1台あたりの交付額 | 主な対象条件 |
|---|---|---|
| 乗合バス | 140,000円 | 県内を定期運行する系統を持つこと |
| 貸切バス | 40,000円 | 宮城運輸支局への届出と継続保有 |
| 一般タクシー | 20,000円 | 県内の営業所に所属する車両 |
| 福祉タクシー | 10,000円 | 福祉輸送事業の用に供する車両 |
| 運転代行 | 10,000円 | 公安委員会の認定を受けた随伴車 |
清酒製造業者への生産基盤強化支援について
宮城県の誇る地酒の伝統を守るため、清酒製造業者向けの補助金も別途設けられています。こちらは燃料費ではなく、原料米の価格高騰に対する支援です。令和7年産の宮城県産原料米を購入し、令和8年2月末までに支払いを完了させた事業者が対象となります。支援額は米の品種によって細かく設定されており、酒造好適米である蔵の華や吟のいろは、ひより、美山錦、山田錦などは1俵あたり6,600円と最も手厚い補助が受けられます。主食用米であっても、ササニシキなら5,450円、ひとめぼれや、だて正夢などの多くの品種は5,200円の支援が受けられるため、仕入れコストの増加に悩む酒蔵にとって強力なバックアップとなるでしょう。
こちらの補助金は、令和7年12月18日から令和8年3月2日まで申請を受け付けています。旅客運送の支援金とは提出先や必要書類が異なるため、混同しないように注意してください。特に、原料米の購入実績を証明する納品書や領収書に加え、直近3期分の決算報告書の写しなども必要になるため、事務的な作業量はやや多くなります。それでも、1俵単位での積み上げは大きな金額になりますから、対象となる県産米を使用している酒造業者は、漏れなく申請を行うべきでしょう。
注意点
清酒の補助金については、予算額を上回る申請があった場合、交付単価が調整(減額)される可能性があります。また、他県産の米は対象外ですので、仕入れ伝票の産地記載を必ず確認しておきましょう。
申請から交付までの5つのステップ
対象車両・対象米のリストアップ
令和7年4月1日から継続して保有している車両、または対象期間内に購入した県産原料米を正確に数え上げます。
必要書類の収集
自動車検査証記録事項の写しや振込口座の通帳コピー、清酒の場合は領収書や決算書など、指示された書類を揃えます。
電子申請または郵送での提出
旅客運送支援金はLoGoフォームによる電子申請が推奨されています。郵送の場合は消印有効期限に注意が必要です。
事務局による審査
提出された書類の不備や、登録車両の整合性が確認されます。疑義がある場合はヒアリングが行われることもあります。
支援金の振込
審査が無事に完了すると、交付決定通知が届き、指定された銀行口座に支援金が振り込まれます。
採択率を高める!書類不備を防ぐためのポイント
この種の支援金は、要件さえ満たしていれば基本的に交付されますが、唯一の障壁となるのが書類の不備です。過去の事例では、申請書の住所と車検証の住所が一致していない、あるいは通帳のコピーが鮮明でなく口座番号が読み取れないといった単純なミスで交付が遅れるケースが散見されました。特に電子申請を利用する場合は、スマートフォンのカメラで撮影した画像がぼやけていないか、端までしっかり写っているかを送信前に必ず確認しましょう。
また、宣誓事項へのチェック漏れも意外と多いミスの一つです。内容をよく読み、全ての項目に同意した上でチェックを入れなければ、申請自体が無効となってしまいます。自動車検査証については、最新の電子化されたタイプであれば、記録事項の写しが必須となります。以前の紙の車検証の感覚で古いコピーを提出しないよう、現時点での最新状態を反映した書類を用意することが、スムーズな受取への近道です。
ポイント
代替車両がある場合は、廃車にしたことがわかる書類と新しく登録した書類の両方が必要です。これらをセットにして1台分として申請することを忘れないでください。個別に申請すると二重申請とみなされるリスクがあります。
よくある質問
Q. 令和7年4月2日以降に新規開業した場合は対象になりますか?
A. 残念ながら、旅客運送事業者向け支援金は令和7年4月1日から継続して事業を実施していることが要件の一つとなっているため、それ以降の開業は対象外となります。基準日を1日でも過ぎていると受理されないため、ご注意ください。
Q. リース車両でも申請できますか?
A. はい、可能です。ただし、申請者がその車両を使用する権利を持っており、かつ宮城県内の営業所に所属して運行している実態が必要です。車検証の使用者欄が申請者と一致していることを確認してください。
Q. 複数の業種(例:貸切バスとタクシー)を営んでいる場合はどうすればよいですか?
A. それぞれの業種区分ごとに申請を行う必要があります。電子申請フォームも業種別に入り口が分かれているため、それぞれのフォームから正確に入力を行ってください。
Q. 清酒の補助金で、自家栽培の米は対象になりますか?
A. 本事業は購入した原料米に対する支援が目的であるため、原則として他者から購入し、納品及び支払いが完了した実績があるものが対象です。代金の支払いを証明する書類が出せない場合は、対象外となる可能性が高いでしょう。
Q. 郵送申請の際、レターパックなどは使用できますか?
A. 使用可能です。むしろ、追跡記録が残る方法で郵送することをおすすめします。当日消印有効ですが、郵便事故等で届かなかった際のリスクを避けるため、早めに投函し、控えを保管しておきましょう。
まとめ
今回の宮城県による支援金は、エネルギーや原材料の価格高騰に直面する事業者にとって、極めて実効性の高い施策です。旅客運送業者は最大14万円/台、酒造業者は最大6,600円/俵という具体的な数字が提示されており、申請漏れは経営上の大きな損失と言っても過言ではありません。申請期間は限られていますが、電子申請を活用すれば事務負担も最小限に抑えられます。対象となる事業者の皆様は、今すぐ車両リストや仕入れ伝票を確認し、余裕を持って手続きを進めてください。地域のインフラと伝統文化を次世代へつなぐためにも、こうした公的な支援を賢く活用していきましょう。
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新情報は宮城県の公式サイトや各担当課の発表をご確認ください。