栃木県内で保険薬局を経営されている皆様にとって、止まらないエネルギー価格の高騰は避けて通れない大きな課題でしょう。日々の運営に欠かせない電気代やガス代、そして在宅訪問に不可欠な車両の燃料費が重くのしかかっている現状を打破するため、栃木県では令和7年度も継続して支援金を提供することを決定しました。この記事では、県内の薬局が受け取れる支援金の詳細から申請の手順、見落としがちな注意点までを専門家の視点で詳しく解説していきます。
この補助金の要点
栃木県内の保険薬局を対象に、光熱費として1店舗あたり4万円、さらに在宅加算を受けている薬局には車両燃料費として7,000円が追加で支給されます。申請期限は令和8年2月5日までですが、予算の状況や手続きの煩雑さを考慮して早めの準備をおすすめします。
栃木県保険薬局エネルギー価格等高騰対策支援事業の全容
本事業は、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した施策です。エネルギーコストの上昇により厳しい状況にある薬局の負担を軽減し、地域における医薬品提供体制を維持することが最大の目的とされています。対象となる期間は令和7年4月から令和8年3月までの一年間となっており、この期間にかかるコストの一部を県が肩代わりしてくれる仕組みです。
支援対象となる薬局と具体的な金額
支援の内容は大きく分けて2つの区分が存在します。1つ目は、栃木県内にある全ての保険薬局が対象となる光熱費の支援です。これについては、1つの薬局につき一律で4万円が支給されることになります。日々の照明や空調管理、冷蔵保管が必要な医薬品の維持にかかる電気代などを補填するのに役立つでしょう。
2つ目は、在宅医療に力を入れている薬局への追加支援です。具体的には、在宅薬学総合体制加算1または2を届け出ている薬局が対象となります。こちらは車両燃料費の補填として、1薬局につき一律7,000円が加算されます。つまり、在宅加算を受けている薬局であれば、合計で4万7,000円の支援を受けられる計算になります。訪問薬剤管理指導などで車両を頻繁に利用する薬局にとっては、ガソリン代の負担を和らげる貴重な財源となるはずです。
最大支援金額(1店舗あたり)
47,000円
申請に必要な書類と準備すべきもの
手続きを進めるためには、まずいくつかの書類を揃えなければなりません。基本となるのは令和7年度栃木県保険薬局エネルギー価格等高騰対策支援金交付申請書兼請求書です。これは事務局である栃木県薬剤師会のホームページからエクセル形式でダウンロードが可能です。次に必要となるのが、申請を行う薬局の一覧表です。これは保険薬局用と在宅加算届出薬局用で様式が分かれているため、自社の状況に合わせて適切なシートを選択して入力する必要があります。
さらに、振込先口座を確認するための通帳の写しも欠かせません。通帳の表紙と、開いて1枚目にある見開きの2箇所をスキャンまたは写真撮影して用意しておきましょう。金融機関名、支店名、口座番号、そして口座名義人がカタカナで正確に記載されていることが確認できるものでなければなりません。ネット銀行など通帳がない場合は、同様の情報が表示されている画面のスクリーンショットでも代用可能です。
注意点
複数の薬局を運営している開設者の場合は、個別の店舗ごとに申請するのではなく、全ての薬局を取りまとめて一括で申請を行う必要があります。申請のチャンスは原則として1回限りとされているため、漏れがないか十分に確認してから提出しましょう。
申請から受給までの具体的なステップ
申請作業をスムーズに進めるために、全体の流れを把握しておきましょう。栃木県薬剤師会が事務局として窓口を担っており、提出方法は電子メールまたはFAXが推奨されています。特に電子メールでの提出は、エクセルファイルをそのまま添付できるため、事務局側の処理も速くなり、結果として入金までの時間が短縮される傾向にあります。
様式のダウンロード
栃木県薬剤師会の特設ページから最新のエクセル様式を入手します。古い年度の様式と間違えないよう注意が必要です。
申請書類の作成とデータ準備
エクセルに必要事項を入力し、通帳の写しなどの画像データを用意します。店舗数が多い場合は一覧表の入力漏れに気をつけましょう。
電子メール等での提出
指定のアドレス(jigyou@tochiyaku.com)へ送信します。件名には薬局名や開設者名を入れると親切です。
審査と交付決定通知
事務局で内容の確認が行われた後、不備がなければ交付決定通知が届きます。不備がある場合は再提出を求められることもあります。
支援金の振込
指定した口座に支援金が入金されます。入金後は通帳の記帳を行い、正しく振り込まれているか確認してください。
採択されやすいポイントと実務上のコツ
この支援金は要件を満たしていれば基本的に支給されるものですが、書類の不備で審査が止まってしまうケースが散見されます。最も多いミスは、通帳の名義人と申請書に記載した名義人が完全に一致していないパターンです。例えば、株式会社を『(株)』と略して記載してしまったり、フリガナが漏れていたりするだけで差し戻しの対象になります。通帳の記載内容をそのまま一言一句違わずに転記することを心がけてください。
また、在宅加算の支援金を申請する場合は、実際に届出を行っていることを証明できるようにしておきましょう。申請時点で有効な届出がなされていることが条件となるため、厚生局への届出状況を今一度確認しておくことが大切です。さらに、メールで申請する際は、エクセルファイルをPDF化せずに送信することも重要なポイントです。事務局側でデータを集計しやすくすることで、確認作業の効率化に協力する形となり、結果的にトラブルを減らすことにつながります。
ポイント
支援金を受け取った後には、5年間の書類保管義務が生じます。電気代の領収書やガソリン代のレシート、車検証のコピーなどは、いつ調査が入っても提示できるように専用のファイルにまとめて管理しておきましょう。これは単なる形式的なルールではなく、公金を受け取る上での法的な義務です。
よくある質問
Q. 他の物価高騰対策補助金と併用することはできますか?
A. 原則として、同じ経費を対象とした他の補助金との重複受給は認められません。例えば、市町村が独自に行っている光熱費支援を既に受けている場合などは、対象外となる可能性があるため注意が必要です。申請前に、他の支援策を利用していないか再度チェックしておきましょう。
Q. 令和7年度の途中で新規開局した場合はどうなりますか?
A. 事業の趣旨は令和7年度の通年での負担軽減ですが、詳細な月割り計算や対象期間については事務局の判断に委ねられる部分があります。新設されたばかりの薬局であっても、保険薬局としての指定を受けていれば対象になる可能性が高いため、事務局へ直接問い合わせてみるのが一番の近道です。
Q. 証拠書類としてどのようなものを保管しておけばいいですか?
A. 電気やガスの検針票や請求書、領収書に加え、車両燃料費の申請をした場合はガソリン代の領収書、さらに対象車両の車検証の写しも必要です。これらは申請時に提出する必要はありませんが、後日の実地調査などで確認を求められることがあるため、5年間は大切に保管してください。
Q. 薬剤師会に入会していなくても申請できますか?
A. はい、可能です。本事業は栃木県内の全ての保険薬局を対象とした県の事業であり、事務局を薬剤師会が受託しているだけですので、会員・非会員を問わず公平に支援を受けることができます。
Q. 提出期限を過ぎてしまった場合は受け付けてもらえませんか?
A. 期限である令和8年2月5日を過ぎると、原則として受け付けは終了となります。予算枠が決まっている事業ですので、締切直前は混雑も予想されます。余裕を持って1月中の申請を済ませるスケジュールで動くことを強くおすすめします。
まとめ
栃木県の保険薬局を支えるこの支援金は、厳しいエネルギー情勢の中での経営継続を強力にバックアップしてくれるものです。1店舗4万円という金額は、一見するとそれほど大きく感じないかもしれませんが、在宅加算も含めれば4万7,000円となり、年間の光熱費上昇分を補うには非常に意義のある金額になります。煩雑な事業計画書の作成も必要なく、基本情報の入力と口座確認書類の提出だけで済む比較的ハードルの低い制度です。まだ申請を済ませていない経営者の皆様は、ぜひこの記事を参考に、早めの手続きを検討してみてはいかがでしょうか。地域住民の健康を守る薬局運営を維持するために、賢く行政の支援を活用していきましょう。
※本記事の情報は執筆時点(令和7年1月)の公募情報に基づいています。実際の申請にあたっては、必ず栃木県や事務局である栃木県薬剤師会の最新情報を確認してください。