重症心身障害児等在宅レスパイト・就労等支援事業とは?
「重症心身障害児(者)等在宅レスパイト・就労等支援事業」は、在宅で生活する重症心身障害児(者)や医療的ケア児を介護するご家族の負担を軽減するための制度です。訪問看護ステーションから看護師がご自宅等に派遣され、一定時間、ご家族に代わって医療的ケアや見守りを行います。これにより、ご家族が休息を取ったり(レスパイト)、リフレッシュしたり、安心して就労したりする時間を確保することを目的としています。
東京都内の多くの市区町村で実施されており、介護するご家族にとって心強いサポートとなっています。
支援の対象となる方
この事業を利用できるのは、原則として以下の全ての要件を満たす方を介護するご家族です。
- お住まい:事業を実施している市区町村に住所があること。
- 生活状況:在宅で家族等による介護を受けて生活していること。
- 医療状況:主治医の指示のもと、訪問看護サービスによる医療的ケアを受けていること。
- 対象者の状態:以下のいずれかに該当すること。
- 18歳未満の場合:定められた医療的ケアが必要な児童。
- 18歳以上の場合:18歳になるまでに重度の知的障害(愛の手帳1・2度程度)と重度の肢体不自由(身体障害者手帳1・2級程度で自ら歩行ができない)の状態になった方。
※注意:自治体によって対象者の詳細な要件が異なる場合があります。障害者手帳が未取得の場合でも対象となるケースがあるため、まずはお住まいの自治体の窓口にご相談ください。
対象となる医療的ケアの例
対象となる医療的ケアには、主に以下のようなものがあります。
- 人工呼吸器管理(NIPPV, CPAP等を含む)
- 気管切開、気管内挿管
- 鼻咽頭エアウェイ
- 酸素吸入
- 1日6回以上の頻回の吸引
- 中心静脈栄養(IVH)
- 経管栄養(経鼻・胃ろう等)
- 継続する透析
- 1日3回以上の定期導尿、人工膀胱
- 人工肛門
具体的なサービス内容と利用時間
受けられるサービス
区と契約した訪問看護ステーションの看護師がご自宅や学校等に訪問し、ご家族が日常的に行っている以下のケアを代行します。
- 呼吸管理、栄養管理、排泄管理などの医療的ケア
- 食事介助、排泄介助、体位交換などの療養上の世話
※できないこと:調理、洗濯などの家事援助や、入浴介助、外出の付き添いなどはサービスの対象外です。通常の訪問看護で提供される全てのケアが対象となるわけではない点にご注意ください。
利用時間の上限
利用できる時間は自治体によって定められています。
- 年間利用上限:144時間または288時間(自治体により異なります。近年、上限時間を拡大する自治体が増えています。)
- 1回あたりの利用時間:2時間~4時間まで(30分単位で設定可能)
利用者負担額(費用)
サービスの利用には、世帯の所得(住民税の課税状況)に応じた自己負担額が必要です。多くの自治体では、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯は無料で利用できます。
以下は、利用者負担額の一例です。
| 世帯の課税状況 | 2時間 | 3時間 | 4時間 |
|---|---|---|---|
| 生活保護・住民税非課税世帯 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 住民税所得割額が一定額未満の世帯 | 180円~370円程度 | 270円~550円程度 | 360円~740円程度 |
| 上記以外の世帯 | 1,500円程度 | 2,200円程度 | 3,000円程度 |
※上記の金額はあくまで一例です。正確な金額はお住まいの自治体にご確認ください。
また、申請に必要な「医師指示書」の作成費用について、上限3,000円程度の助成を受けられる場合があります。申請時に領収書が必要となりますので、必ず保管しておきましょう。
申請から利用開始までの流れ
サービスの利用には事前の申請と利用決定が必要です。基本的な流れは以下の通りです。
- 事前相談・確認:まず、お住まいの市区町村の障害福祉課などの担当窓口に相談します。同時に、現在利用している訪問看護ステーションがこの事業に対応しているかを確認しておくとスムーズです。
- 医師指示書の依頼:自治体から医師指示書の様式を受け取り、主治医に作成を依頼します。作成費用を支払い、必ず領収書をもらってください。
- 申請書類の提出:以下の必要書類を揃えて、担当窓口に提出します。
- 利用申請書
- 医師指示書(原本)と作成費用の領収書
- 身体障害者手帳・愛の手帳など
- 医師指示書作成費助成金の申請書・請求書
- その他、世帯の課税状況がわかる書類など
- 利用決定:自治体が申請内容を審査し、利用が決定されると「利用決定通知書」が自宅に届きます。
- 利用予約と開始:「利用決定通知書」を利用する訪問看護ステーションに提示し、具体的な訪問日時を予約します。予約が完了すれば、サービスの利用を開始できます。
まとめ
重症心身障害児(者)や医療的ケア児の在宅介護は、ご家族にとって身体的・精神的に大きな負担が伴います。この「在宅レスパイト・就労等支援事業」は、ご家族が自身の時間を取り戻し、心身を休ませるための重要な制度です。
「少しだけ休みたい」「安心して仕事に行きたい」「自分の通院時間を作りたい」といった際に、ぜひ活用を検討してみてください。制度の詳細は自治体によって異なりますので、まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当課へお気軽にご相談ください。
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|---|---|---|---|---|---|
| 補助金額 | 最大年間最大288時間の訪問看護サービス(自治体により異なる) | 1日当たり1,000円(就労体験交通費) | 無料 | 最大160万円 | 最大533万円(月額最大14万円) |
| 補助率 | — | 就労体験に参加する際の交通費として、1日当たり1,000円を支給 | 利用料は無料です。 | ・自立支援教育訓練給付金: 受講費用の60%。上限は一般教育訓練で20万円、専門実践教育訓練で最大160万円(修業年数×40万円)。 ・高等職業訓練促進給付金: 市民税非課税世帯は月額10万円、課税世帯は月額7万5百円を支給(支給期間に上限あり)。 ・高卒認定試験合格支援事業: 受講修了時に受講費用の40%、合格時に20%を支給(合計上限15万円)。 | 補助率の概念はなく、定額支給となります。 - 訓練促進給付金(月額): 市民税非課税世帯は100,000円、課税世帯は70,500円。修業期間の最後の12ヶ月は月額40,000円が増額されます。 - 修了支援給付金(一時金): 市民税非課税世帯は50,000円、課税世帯は25,000円。 |
| 申請締切 | 2025年3月31日 | 令和8年3月31日まで | 随時受付 | 随時受付(ただし、講座受講前の事前相談が必須) | 随時受付(詳細は自治体にご確認ください) |
| 難易度 | |||||
| 採択率 | 90.0% | 30.0% | 75.0% | 30.0% | 30.0% |
| 準備目安 | 約14日 | 約14日 | 約14日 | 約14日 | 約14日 |
| 詳細 | — | 詳細を見る → | 詳細を見る → | 詳細を見る → | 詳細を見る → |
よくある質問
FAQQ この補助金の対象者は誰ですか?
Q 申請に必要な書類は何ですか?
・医師指示書(訪問看護指示書の写しなど)
・身体障害者手帳、愛の手帳の写し
・世帯の課税状況がわかる書類(課税証明書など)
・医師指示書作成費用の助成金申請書・請求書
・その他、自治体が必要と認める書類