令和7年度における交通・運送事業者向けの大型支援策として、「交通DX・GXによる経営改善支援事業等」および「交通空白解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」が実施されています。これらはバス、タクシー、レンタカー事業者等が直面する経営課題の解決、バリアフリー化、脱炭素化(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、そして地域交通の維持・確保を強力にバックアップするものです。本記事では、これら2つの主要な補助金制度の概要、対象者、補助金額、そして申請から実績報告までの重要ポイントを徹底解説します。
この記事でわかること
- 交通DX・GX補助金と交通空白解消プロジェクトの違いと特徴
- 最大1億円規模となる補助金額と対象経費の詳細
- 令和7年度の公募スケジュールと実績報告の手続き
- 採択に向けたポイントとよくある不備・注意点
2つの主要補助金の概要・ポイント
国土交通省の施策として、株式会社東急エージェンシーが事務局を務める2つの大きな事業があります。それぞれの目的と特徴を整理します。
1. 交通DX・GXによる経営改善支援事業等
既存の交通事業者(バス、タクシー、レンタカー等)が、バリアフリー化やDX・GXを通じて経営体質を強化し、利便性を向上させるための支援です。車両導入やシステム改修などが主な対象となります。
2. 「交通空白」解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト
地域の交通空白地帯の解消や、ライドシェア、AIオンデマンド交通の導入、MaaSの推進など、新しい交通モードや地域共創モデルの構築を支援する事業です。自治体や協議会との連携が鍵となります。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額: 最大1億円(交通空白解消事業の場合)、DX・GXはメニューにより変動
- 補助率: 1/3、1/2、2/3、定額など事業類型と地域により細分化
- 対象者: バス・タクシー・レンタカー事業者、地方公共団体、協議会等
- 申請期限: 令和7年度公募は終了(実績報告受付中)
対象者・申請要件の詳細
対象となる事業者と事業メニュー
各事業で対象となるプレイヤーが異なります。自社がどのカテゴリに該当するか確認が必要です。
補助金額・補助率の詳細
事業メニューによって補助金額の上限や補助率は大きく異なります。特に「交通空白解消」プロジェクトでは、地域区分(人口規模)によって補助率が変動する仕組みが採用されています。
主な事業の補助条件例
-
「交通空白」解消緊急対策事業
原則500万円まで定額、超える部分は2/3補助(上限1億円)。※車両購入費は定額補助対象外などの規定あり。 -
共創モデル実証運行事業
人口10万人未満の自治体エリアは500万円以下定額+超過分2/3。大都市圏は1/3など、地域により変動(上限1億円)。 -
モビリティ人材育成事業
補助対象経費を定額補助(上限3,000万円)。 -
交通DX・GX(バリアフリー等)
ノンステップバス導入時の基準値引率(12.48%)適用後の経費に対する補助など、詳細な計算式に基づき算出。
補助対象経費の詳細
対象となる主な経費
経費に関する注意事項
- 利益排除: グループ会社等への発注で利益が含まれる場合、その利益分を排除した金額で申請する必要があります。
- 着手日: 原則として「交付決定日」以降の発注・契約が対象です。事前着手は交付決定取り消しの対象となるため厳重な注意が必要です。
申請から実績報告までの流れ
令和7年度事業は既に公募が終了し、現在は実績報告のフェーズに入っています。ここでは一般的なフローと、現在進行中の実績報告手続きについて解説します。
1
マイページ発行・交付申請
専用サイトでマイページを開設し、Webフォームから交付申請を行います。1メニューにつき1申請が原則です。
2
審査・交付決定
事務局による審査を経て交付決定通知が届きます。この通知日以降に事業着手(発注・契約)が可能となります。
3
事業実施・進捗報告
車両の納車やシステムの導入を行います。必要に応じて中間進捗報告をマイページから行います。
4
事業完了実績報告(重要)
事業完了から10日以内に実績報告を行う必要があります。支払いを完了させ、証憑類を揃えて提出します。最終期限は令和8年2月28日です。
採択・交付決定のためのポイント
本補助金は要件を満たせば交付される形式のものが多いですが、書類不備による差し戻しや、ルール違反による取り消しが多発しています。
審査で重視されるポイントと注意点
- 着手日の厳守
「内示」や「口頭での発注」も着手とみなされます。交付決定日より前にこれらを行うと、補助金が受け取れなくなります。 - 運転者職場環境良好度認証
一部事業では、指定期日までに認証を取得していることが交付の条件となります。認証取得が間に合わない場合は辞退手続きが必要です。 - メールアドレスの管理
1アカウントにつき1メールアドレスの原則があり、担当者変更時のトラブルが多発しています。管理可能なアドレスを使用しましょう。 - 実績報告の期限遵守
事業完了後10日以内の報告は絶対条件です。これを過ぎると交付決定取り消しのリスクがあります。
よくある失敗・注意点
- [失敗例1] リース契約の申請主体誤り → 対策: 車両リースの場合、申請主体は「リース会社」となります。事業者が誤って申請しないよう注意してください。
- [失敗例2] 利益排除の計算漏れ → 対策: グループ企業間取引がある場合は、必ず利益分を控除した金額で申請してください。
- [失敗例3] 計算ファイルの流用 → 対策: 一次募集と二次募集で計算ファイルが異なる場合があります。必ず最新の専用ファイルを使用してください。
必要書類チェックリスト(実績報告時)
活用事例・想定シーン
バス事業者
バリアフリー化
ノンステップバスやリフト付きバスの導入により、高齢者や障がい者の移動円滑化を実現。地域住民の足としての機能を強化。
タクシー事業者
DX・キャッシュレス
配車アプリとの連携システムやキャッシュレス決済端末の導入。業務効率化とインバウンド客の利便性向上を同時に達成。
自治体・協議会
交通空白解消
公共交通が不便な地域でのAIオンデマンド交通やライドシェアの実証運行。地域住民と連携した持続可能な移動手段の確保。
よくある質問(FAQ)
Q
事業の「着手」とは具体的にどの時点を指しますか?
発注先との契約締結はもちろんのこと、発注意思を書面もしくは口頭で表明する「内示行為」も着手とみなされます。交付決定日より前にこれらを行うと補助対象外となりますのでご注意ください。
Q
事業完了実績報告書はいつまでに提出すればよいですか?
事業が完了した日(納品・支払完了日)から起算して10日以内、または令和8年2月28日のいずれか早い日までに提出する必要があります。期限を過ぎると交付決定が取り消される場合があります。
Q
見積書を取得した会社以外から機器等を調達することはできますか?
提出した見積書の見積額以下の単価であれば、別の会社から調達しても問題ありません。ただし、仕様等が変更になる場合は変更申請が必要になることがあります。
Q
次年度に事業を繰り越すことはできますか?
原則として事業の繰越しはできません。必ず定められた期間内(令和8年2月28日まで)に事業を完了し、支払いまで済ませる必要があります。
Q
個人事業主でも申請できますか?
はい、可能です。Webフォームの法人番号欄に「9999999999999」(13桁)と入力し、法人名欄に屋号または事業主名を記入してください。審査過程で個人事業主としての証憑提出が求められます。
まとめ
令和7年度の「交通DX・GXによる経営改善支援事業等」および「交通空白解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」は、交通事業者にとって非常に重要な支援策です。現在は公募が終了し、採択事業者の実績報告フェーズにありますが、これらの制度は次年度以降も形を変えて継続される可能性があります。
採択された事業者様は、事業完了から10日以内の報告を忘れずに行いましょう。また、これから活用を検討される方は、本年度の要件やスケジュールを参考に、早めの準備と情報収集を行うことを強くお勧めします。
補助金の申請・実績報告でお困りの方へ
複雑な手続きや書類作成は専門家への相談が確実です。まずはお気軽にお問い合わせください。
免責事項: 本記事の情報は作成時点(令和7年度事業情報)のものです。補助金の内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式サイト(https://kotsu-dx-gx.jp/ および https://kotsu-kuhaku.jp/)で最新情報をご確認ください。本記事の情報に基づいて行った申請の結果について、当サイトは一切の責任を負いません。