対象となる方
- 保育士等の人材確保・定着を目指す、認可保育所等の運営事業者
- 新たに採用した、または採用後一定期間内の常勤保育士等のために宿舎(社宅)を提供する事業者
- 福利厚生を充実させ、採用競争力を高めたい法人・個人事業主
申請手順
補助金額・補助率
保育士宿舎借り上げ支援事業の補助金額および補助率は、制度を実施する自治体によって異なります。一般的に、宿舎1戸あたりの月額上限額と、経費に対する補助割合が定められています。多くの自治体では、国の補助基準に準拠しつつ、地域の実情に合わせて独自の基準を設定しています。
計算例(横浜市の場合): 家賃・共益費の合計が月額90,000円の物件を借り上げた場合
補助基準額は上限の82,000円となります。補助額は82,000円 × 3/4 = 61,500円。事業者の負担は82,000円 × 1/4 = 20,500円と、上限を超えた8,000円の合計28,500円となります。
対象者・申請要件
対象となる事業者
- 自治体内で認可保育所、認定こども園、小規模保育事業所等を運営する法人または個人事業主。
- 保育士等のために宿舎を借り上げ、居住させていること。
- 各種法令を遵守し、適切に事業を運営していること。
対象となる職員(保育士等)の主な要件
- 常勤職員であること(月120時間以上勤務など、自治体ごとの規定あり)。
- 採用されてから一定の期間内であること(例:採用後5年以内、10年以内など)。
- 事業者から住居手当等を支給されていないこと。
- 職員本人が世帯主であること(自治体による)。
- 対象職種は主に保育士ですが、自治体によっては施設長、調理員、看護師等も対象となる場合があります(例:東京都中央区)。
対象とならない主なケース
- 職員が個人で契約した物件。
- 事業者の役員等が所有する物件。
- 職員または同居人が事業者から住居手当を受給している場合。
- 経営に携わる法人の役員が居住する場合。
補助対象経費
重要: 補助対象経費の範囲は自治体によって大きく異なります。特に礼金や更新料は対象外となるケースも多いため、申請前に必ず自治体の要綱をご確認ください。
必要書類一覧
審査基準・採択のポイント
本事業は、競争採択型の補助金とは異なり、定められた要件を満たしているかを確認する形式が一般的です。したがって、不備なく申請書類を準備し、要件を遵守することが最も重要です。
主な確認項目
- 契約形態の適格性: 賃貸借契約が事業者名義で締結されているか。
- 対象職員の適格性: 職員が常勤、採用年数等の要件を満たしているか。
- 経費の適格性: 申請経費が補助対象として認められる範囲内か。
- 重複受給の有無: 対象職員が事業者から住居手当等を受け取っていないか。
申請を円滑に進めるポイント
- 申請前に自治体の担当窓口に事前相談を行い、不明点を解消しておく。
- 職員から家賃の一部を徴収する場合、そのルールを定めた規程や契約書を整備する。
- 会計年度ごとの申請・報告が必要なため、年度末の事務処理スケジュールを把握しておく。
- 国の制度改正等により、次年度以降の条件が変更される可能性があることを念頭に置く。
採択率(令和5年度実績参考): 90%以上(要件を満たした申請は原則採択されるため)
よくある質問
Q1: 職員が個人で契約しているアパートを、後から法人契約に切り替えて補助対象にできますか?
A: 自治体の判断によりますが、原則として事業者による新規契約が対象です。個人契約からの切り替えが認められるか、事前に自治体へ確認が必要です。個人契約のままでは対象外となります。
Q2: 職員から家賃の一部を徴収することは可能ですか?
A: はい、可能です。その場合、事業者が実際に負担した額(支払家賃から職員負担額を差し引いた額)が補助対象経費となります。職員の負担額については、事業者と職員の間で取り決めが必要です。
Q3: 年度の途中で職員が退職した場合、補助金はどうなりますか?
A: 職員が退去した月までの経費が補助対象となります。月途中の退去の場合、日割り計算の有無など自治体の規定によります。速やかに自治体へ変更の届出を行う必要があります。
Q4: この制度は来年度以降も継続されますか?
A: 本事業は単年度事業として実施されることが多く、次年度以降の実施や利用条件は、国や自治体の予算編成によって決定されます。継続して利用を希望する場合でも、毎年度の申請が必要です。
Q5: 複数の職員を一つの物件に共同で入居させることはできますか?
A: 可能です。その場合、家賃等の総額を入居する対象職員の人数で按分した額が、一人あたりの補助対象経費となるのが一般的です。詳細は自治体の規定をご確認ください。
制度の概要・背景
本補助金は、保育業界における深刻な人材不足を背景に、保育士の確保、就業継続、および離職防止を図ることを目的として、国と地方自治体が連携して実施している支援制度です。特に都市部では家賃相場が高く、若手保育士の経済的負担が大きいことが課題となっています。
この制度を活用することで、保育事業者は実質的な負担を抑えながら職員に社宅を提供でき、福利厚生の充実による採用力の強化や職員満足度の向上につなげることができます。保育士にとっては、可処分所得の増加や安定した生活基盤の確保につながり、安心して働き続けられる環境が整備されるという大きなメリットがあります。
まとめ・お問い合わせ先
保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育事業者と保育士の双方にとって非常に有益な制度です。採用活動や職員の定着に課題を感じている事業者は、本制度の活用を積極的に検討する価値があります。申請には事業者名義での契約や各種書類の準備が必要となるため、計画的に進めることが重要です。
お問い合わせ先
実施機関: 各地方自治体(市区町村)
担当部署: 事業所が所在する市区町村の保育担当部署(保育課、こども園課など)
備考: 制度の有無や詳細、申請手続きについては、必ず事業所所在地の自治体公式サイトを確認するか、担当部署へ直接お問い合わせください。
公式サイト例: 横浜市 保育士宿舎借り上げ支援事業