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愛知県内に本社または事業所を有する中小企業者、または中小企業者が3分…
この記事の要点(TL;DR)
「愛知県中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」は、県内のものづくり中小企業が自社の技術・ブランドを海外で守るために行う外国への知的財産の出願費用を補助する制度です。国内で特許や商標を取得しても、その効力は日本国内に限られます。海外へ製品を輸出したり現地生産を行ったりする際、現地で権利を取得していなければ、模倣品や商標の抜け駆け出願(冒認出願)に対抗できません。この制度は、海外展開の入口で発生する高額な出願コストを軽減し、愛知の中小企業の国際競争力を後押しするために設けられています。愛知県はトヨタ自動車をはじめとする輸送用機械産業の集積地であり、部品・素材・工作機械の分野で世界に通用する技術を持つ中小企業が数多く存在します。これらの企業がサプライチェーンの海外展開やアフターマーケット参入を進めるうえで、現地での知財の裏付けは取引先からの信頼にも直結します。県はこうした背景から、販路開拓・海外展示会出展・現地調査などの支援施策と並んで、知財の海外出願を支える本制度を継続的に実施しています。国(特許庁)や中小企業基盤整備機構が行う外国出願支援事業とも趣旨が近く、地域の実情に合わせて県内企業が利用しやすい形で運用されている点が特徴です。
国内でもう特許を取っているのですが、海外出願も別途この補助金の対象になりますか?
はい。国内出願とは別に、外国特許庁やPCT国際出願にかかる費用が対象です。ただし外国出願の手続きに着手する前に申請する必要があります。すでに海外出願を済ませた案件は対象外になりやすいので、出願計画の段階でご相談ください。
知的財産の補助金は各地の市区町村にもありますが、その多くは国内の特許・商標取得を対象とした少額(数万円〜30万円程度)のものです。本制度の独自性は次の3点にあります。第一に、外国出願に特化している点。第二に、1企業あたり300万円という比較的高い上限額で、複数国・複数区分の出願をまとめて支援できる点。第三に、冒認出願対策の商標(海外で他社に先に商標を取られてしまうリスクへの対抗出願)まで対象に含む点です。海外展示会出展の費用を補助する「愛知県海外販路開拓支援事業補助金」とは目的が異なり、こちらは権利保護(知財)にフォーカスしています。販路開拓と知財保護は車の両輪であり、併用検討の価値があります。
補助率は補助対象経費の2分の1以内です。案件(出願1件)ごとの上限と、1企業あたりの年間上限が二重に設定されています。
| 出願の種類 | 案件ごとの上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 特許出願 | 150万円 | 1/2以内 |
| 実用新案・意匠・商標出願 | 60万円 | 1/2以内 |
| 冒認出願対策の商標出願 | 30万円 | 1/2以内 |
| 1企業あたり(1事業年度) | 300万円(合計上限) | 1/2以内 |
例えば、外国特許庁への出願料・代理人費用・翻訳費用の合計が280万円かかった特許案件の場合、その2分の1は140万円ですが、特許の案件上限150万円の範囲内なので140万円が補助されます。逆に対象経費が400万円なら2分の1は200万円ですが、特許は案件上限150万円のため補助は150万円までです。複数案件を出す場合は合計で300万円が天井になります。
下表は、複数案件をまとめて申請した場合の補助額イメージです。案件ごとの上限と1企業上限(300万円)の両方が働く点に注目してください。
| 案件 | 対象経費 | 補助額(1/2・上限適用後) |
|---|---|---|
| 特許(米国) | 260万円 | 130万円 |
| 商標(中国) | 100万円 | 50万円 |
| 意匠(EU) | 80万円 | 40万円 |
| 3案件合計 | 440万円 | 220万円(300万円以内) |
この例では3案件の補助額合計は220万円で、1企業あたりの上限300万円の範囲内に収まるため、全額が補助対象となります。もし補助額の合計が300万円を超える計画の場合は、超過分は自己負担となるため、優先順位をつけて申請することが重要です。
特許や商標といった知的財産権は属地主義を原則とします。つまり、日本の特許庁で権利を取得しても、その効力は日本国内にしか及びません。中国・米国・東南アジアなどへ製品を輸出したり、現地で製造・販売したりする場合、その国ごとに出願して権利を取得しなければ、現地での模倣や第三者による先取り出願を止められません。特に商標では、日本で有名なブランドであっても、海外で第三者に先に登録されてしまう冒認出願の被害が後を絶ちません。いざ現地展開を始めようとしたときに「自社ブランドが使えない」「相手にライセンス料を請求される」といった事態に陥ることもあります。本制度は、こうした海外展開の初期リスクを、費用面から下支えするものです。国内出願と外国出願はコスト構造が大きく異なり、外国出願では現地代理人費用や翻訳費用が積み上がって1か国あたり数十万円〜百万円超になることも珍しくありません。補助対象経費の2分の1が戻る意味は小さくありません。
外国特許出願には、パリ条約に基づき各国に個別出願する方法と、PCT(特許協力条約)に基づく国際出願を経て各国へ移行する方法があります。PCTルートは、1つの出願手続きで多数の加盟国に同時に出願日を確保でき、その後18か月程度の猶予を置いて移行国を絞り込めるため、複数国への展開を見据える企業に向いています。いずれのルートでも、出願料・現地代理人費用・翻訳費用が発生するため、本補助金の対象経費と親和性が高い設計になっています。どのルートが自社に最適かは、対象国の数や事業スケジュールによって変わるため、弁理士や機構の担当グループへ早めに相談すると計画が立てやすくなります。
愛知県はものづくりの集積地であり、自動車部品・工作機械・食品・伝統工芸など幅広い業種が海外展開に取り組んでいます。本制度は業種を問わず活用できますが、典型的な使い方は次のとおりです。
対象者・対象事業
対象地域(愛知県)
詳細条件・対象自治体は公募要領をご確認ください。
複数の国に商標を出したいのですが、上限300万円はどう使えばいいですか?
商標1案件の上限は60万円(補助率1/2)です。複数国・複数区分を出す場合は案件ごとの上限が積み上がりますが、1企業あたりの合計は年間300万円が天井です。優先市場から順に、費用対効果の高い国・区分を選んで計画すると無駄がありません。
この制度は審査を伴う競争的な補助金であり、要件を満たしていても書類の不備や計画の弱さで不採択となるケースがあります。以下は特に多い失敗・注意ポイントです。
よくあるミス・NG事例
海外展開の必然性、対象国の市場性、権利取得後の事業計画を一貫したストーリーで示すことが重要です。曖昧な計画は対象外・不採択と判断されやすいため、事前相談で担当グループの助言を受けてから申請書を仕上げましょう。
| 制度名 | 対象 | 上限額の目安 |
|---|---|---|
| 愛知県 海外出願支援事業(本制度) | 外国への特許・商標等の出願費用 | 1企業300万円 |
| 市区町村の知財取得補助金 | 主に国内の特許・商標取得費用 | 10〜50万円程度 |
| 海外販路開拓支援(展示会出展) | 海外展示会・見本市の出展費用 | 50万円程度 |
| 大都市のスタートアップ知財支援 | 国内外の出願+伴走支援 | 数百万円〜 |
以下の質問に答えて、本制度の対象になりそうか簡易チェックしましょう。
知財保護と海外販路開拓、事業全体の資金計画を組み合わせると効果が高まります。以下は近縁テーマの実在する制度記事です。
自社に合う制度を診断したい方は補助金診断ページもご活用ください。
Q. PCT国際出願の費用も対象になりますか?
A. 外国出願に要する出願料・代理人費用・翻訳費用が対象です。PCT経由の外国移行を含め、具体的な対象範囲は事前相談で確認してください。
Q. 個人事業主でも申請できますか?
A. はい。県内に事業所を持つ中小企業者であれば個人事業主も対象に含まれます。
Q. 1次募集に間に合いませんでした。まだチャンスはありますか?
A. 令和8年度は2次募集があり、申請受付は2026年7月17日〜8月7日です。予算に達し次第終了するため早めの相談が安全です。
Q. 補助金はいつ受け取れますか?
A. 交付決定後に出願手続きを行い、実績報告・請求を経て後払いで支給される精算払いが原則です。
Q. 複数の国・複数の区分をまとめて申請できますか?
A. 可能です。ただし1企業あたりの合計上限は1事業年度300万円、案件ごとの上限もあるため、優先度の高い国・区分から計画的に申請しましょう。
Q. 弁理士に依頼する費用も補助されますか?
A. 外国出願に要する国内・現地代理人費用は補助対象経費に含まれます。ただし対象範囲や上限があるため、見積段階で対象経費と対象外経費を区分して確認してください。
交付決定を受けたら、速やかに代理人へ外国出願を依頼し、スケジュールを管理します。出願後は経費の証憑(請求書・支払記録・代理人明細)を確実に保管し、実績報告書を期限内に提出します。権利化後は模倣品調査や現地でのライセンス交渉など、取得した権利を事業に生かす段階へ移りましょう。海外での権利は取得して終わりではなく、活用してはじめて投資回収につながります。
この補助金は精算払い(後払い)が原則のため、出願費用はいったん全額を自社で立て替える必要があります。交付決定から補助金入金までの間、キャッシュフローに一定の余裕が必要です。海外展開は出願費用だけでなく、現地調査・展示会出展・翻訳・現地パートナー探索など複数の支出が同時に発生します。そのため、知財保護(本制度)、販路開拓(展示会補助)、運転資金(融資・他の補助金)を一体で設計すると、資金繰りのリスクを抑えられます。年度の予算に達すると募集が締め切られる点も踏まえ、出願計画は年度前半のうちに固めておくと選択肢が広がります。事前相談の段階で、想定している国・区分・出願時期をリスト化して持参すると、担当グループからの助言も具体的になり、申請書の完成度が高まります。
締切に関する注意
令和8年度2次募集の申請受付締切は2026年8月7日です。事前申込(2026年7月1日〜7月31日)と事前相談が前提となるため、日程に余裕を持って着手してください。募集内容・予算状況は変更される場合があるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。
最終更新: 2026-07-18(令和8年度・2次募集情報にもとづき作成)
対象・申請情報まとめ
詳細条件は公募要領で確認してください。
この補助金のポイント
| 補助対象経費 | 外国特許庁への出願料、外国出願に要する現地代理人費用、国内代理人費用、出願書類の翻訳費用など 詳細を見る › |
|---|---|
| 公募期間 | 2026年8月7日締切(予定) 締切まで 20日 |
| 実施機関 | 愛知県(公益財団法人あいち産業振興機構 新事業支援部 知的財産活用グループ) |
| 採択率 | 50% ※過去公募実績 |
| 主要スケジュール |
|
| 申請方法 | オンライン申請 公式申請ページへ |
| 必要書類 | 交付申請書、海外展開(出願)計画書、外国出願の経費見積書(現地・国内代理人)、中… 詳細を見る › |
| 公募要領 |
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編集: 補助金図鑑 編集部
中小企業診断士・社会保険労務士 監修体制
本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助額・対象要件・募集状況は変更される場合があるため、申請前に必ず各実施機関の公募要領・公式情報をご確認ください。