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県内に主たる事業所を有する中小企業(承継後10年未満の後継者・後継予…
全国には数多くの創業・事業承継補助金がありますが、令和8年度愛媛県後継者新事業展開支援事業費補助金は「事業を継いだ後継者が、承継した会社を土台に新しい挑戦をする」という一点に照準を合わせている点が最大の特徴です。単なる創業支援でも、単なるM&A・専門家費用の補助でもありません。すでに事業承継の入口に立った、あるいは承継してまだ日が浅い後継者が、先代から受け継いだ経営資源を活かして第二創業や新規事業に踏み出す、その最初の一歩の費用を県が直接後押しします。
愛媛県は繊維・造船・紙・柑橘・水産といった地場産業の集積地であり、後継者による業態転換や新販路開拓が地域経済の持続に直結します。そのため県は、後継者個人の企業価値向上と早期の事業承継完了を同時に狙い、この補助金を単独財源で用意しています。承継後10年未満という比較的長い猶予を設けているのは、承継直後の混乱期を過ぎてから本格的な新事業に挑む後継者も取りこぼさないという設計思想の表れです。
補助率が2/3以内と高めに設定されているのも見逃せません。自己負担が実質1/3で済むため、100万円の上限まで使う場合でも本人の持ち出しは50万円程度に抑えられます。設備投資や広告宣伝、外部委託まで幅広く対象になるため、後継者が「継いだだけ」で終わらず、自分の代で新しい柱を立てるための実弾として機能します。
もう一つの独自性は、対象経費に「人件費」まで含まれる点です。多くの創業・新事業補助金では人件費が対象外か厳しく制限されますが、本補助金では新事業に投じる人的リソースの費用も一定の範囲で見てもらえます。後継者が新分野に人を張り付けて挑戦する際、初動の固定費負担を県が分担してくれる形になり、承継直後で体力の限られた中小企業にとって現実的な後押しになります。承継後10年未満という長めの対象期間と合わせて、「継いでから、腰を据えて新事業を育てる」プロセス全体に寄り添う設計だと言えます。
父の会社を3年前に継ぎました。既存の建材卸に加えてリフォーム事業を新しく始めたいのですが、この補助金の対象になりますか?
承継後3年なら「承継後10年未満の後継者」の要件を満たします。既存の建材卸を基盤に新分野のリフォーム事業へ展開するのは、まさに本補助金が想定する「第二創業・新規事業展開」の典型例です。事業計画書で承継した経営資源とのシナジーを具体的に描ければ、有力な申請になります。
制度の骨格を数字で押さえておきましょう。上限額・補助率・対象経費の範囲を正確に理解しておくことが、事業計画書の予算組みの出発点になります。
| 項目 | 内容 | 補足・実務ポイント |
|---|---|---|
| 補助上限額 | 1件あたり100万円(1,000千円) | 複数事業をまとめて1件として申請 |
| 補助率 | 補助対象経費の2/3以内 | 150万円の事業なら最大100万円が上限 |
| 補助対象者 | 県内に主たる事業所を持つ中小企業 | 承継後10年未満の後継者・後継予定者が在籍 |
| 必須登録 | E:N BASE会員登録済み | 申請前に登録証明書の準備が必要 |
| 納税要件 | 県税の未納がないこと | 納税証明書を添付 |
| 応募期間 | 令和8年6月5日〜7月17日17:15必着 | 期間内必着・郵送遅延に注意 |
補助対象経費は幅広く、報償費、旅費、需用費、役務費、広告宣伝費、委託費、使用料及び賃借料、原材料費、設備・備品購入費、事業関係費、人件費などが含まれます。新事業の試作品づくりから、ウェブサイト制作・チラシなどの広告宣伝、専門家への委託、必要な機械備品の購入まで一連の流れをカバーできるのが強みです。一方で、住宅・土地の購入費、領収書など証拠書類のない支出、補助対象期間外に支払った経費は対象外です。
本補助金の対象になるには、次のすべてを満たす必要があります。ひとつでも欠けると申請自体が受理されないため、着手前に必ず自己点検してください。
「後継予定者」も対象に含まれる点は重要です。まだ正式な代表者交代前でも、承継を前提に新事業の準備を進める段階から支援を受けられる可能性があります。中小企業の定義は業種ごとに資本金・従業員数の基準が異なるため、自社が該当するか不安な場合は募集要項と中小企業基本法の区分を照合してください。製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業なら資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業なら資本金5千万円以下または従業員50人以下、サービス業なら資本金5千万円以下または従業員100人以下が一般的な目安です。
実務では「承継後10年未満」の起算点をどこに置くかがしばしば論点になります。代表者変更登記の日か、実質的な経営移譲の日かで判断が分かれるケースがあるため、あいまいな場合は申請前に経営支援課へ確認するのが安全です。また後継予定者として申請する場合は、承継計画や親族・株主間の合意状況を示す資料があると、意欲要件の説得力が高まります。要件は形式だけでなく「本当に承継を前提とした新事業か」という実質で見られる点を意識してください。
審査は競争的で、申請すれば必ず通るわけではありません。過去の類似制度で却下・不採択につながった典型パターンを先回りで潰しておきましょう。次のようなNG要素があると、計画そのものは良くても評価を落とします。対象外・失敗・落とし穴を避けるチェックとして活用してください。
対象者・対象事業
対象地域(愛媛県)
詳細条件・対象自治体は公募要領をご確認ください。
「既存事業の延長にすぎない」と判断されると、第二創業・新規事業展開の要件を満たさないとして不採択になりがちです。承継した経営資源を「どう組み替えて」新しい価値を生むのかを、事業計画書で具体的に描く必要があります。
申請時点でE:N BASEの会員登録が完了していないと、そもそも対象外です。登録には数日かかることもあるため、締切直前に気づくミスが後を絶ちません。
土地・住宅購入費や領収書のない支出、補助期間外の支払を予算に混ぜると、その部分は減額・対象外となります。予算全体の説得力を損なう注意すべき落とし穴です。
わずかな県税の滞納でも要件を満たさず失格となります。申請前に納税証明書を取得し、未納がないことを必ず確認してください。
補助率2/3を前提にした自己負担分の資金手当が曖昧だと、事業の実現可能性が低いと見なされ評価が下がります。売上見込みの根拠が薄いのも典型的な減点要因です。
愛媛県内の後継者・創業者が使える主な制度を並べて、位置づけを整理します。目的に応じて使い分け、または併用を検討してください。制度選びで迷ったら、「今、自分がどのフェーズにいるか」を起点に考えると整理しやすくなります。承継そのもの(株式や事業用資産の移転、M&A仲介、専門家への相談)にお金がかかるなら承継支援系の制度、承継を終えて新しい事業を立ち上げる局面なら本補助金や新事業挑戦系の制度、地域に根ざした創業なら市町の起業補助金、という具合です。上限額の大小だけで選ぶと、対象経費が合わずに使えないという事態になりかねません。まず自社の経費の中身を洗い出し、それが最も広くカバーされる制度を主軸に据えるのが失敗しない選び方です。
| 制度名 | 上限額 | 主な対象・用途 |
|---|---|---|
| 後継者新事業展開支援事業費補助金 | 100万円 | 承継後の後継者の第二創業・新事業 |
| 愛媛県事業承継支援事業 | 20万円 | M&A・専門家費用など承継そのもの |
| 鬼北町 起業補助金 | 100万円 | 町内での創業・第二創業 |
| 八百津町 創業・第二創業支援 | 100万円 | 創業初期の設備・改装費 |
以下の質問に順に答えて、本補助金(および次年度・類似制度)の対象になりそうか、その場で判定してください。
本補助金は承継後の新事業に特化しているため、承継そのものの費用や創業初期費用は別制度で補完するのが効率的です。以下は愛媛県内および全国の実在する関連制度です。自社の段階に合わせて組み合わせを検討してください。
承継そのものの費用と、新事業の費用は同じ補助金で両方まかなえますか?
本補助金は「承継後の新事業展開」の費用が対象で、M&A仲介料などの承継そのものの費用は想定していません。承継フェーズは愛媛県事業承継支援事業、新事業フェーズは本補助金、と段階で使い分けるのが王道です。同一経費の二重取りはできないので、経費の切り分けを明確にしましょう。
Q. 後継予定者でまだ代表者を交代していませんが申請できますか?
A. 本補助金は「後継予定者」も対象に含みます。承継を前提に新事業を準備している段階であれば申請の余地があります。詳細な立場の要件は募集要項で確認してください。
Q. 補助金はいつ受け取れますか?
A. 補助金は原則として事業完了後の精算払い(後払い)です。事業実施中の費用は一旦自己資金や融資で立て替える必要があるため、資金繰り計画が重要です。
Q. 複数の新事業をまとめて申請できますか?
A. 1件あたり100万円が上限です。複数の取り組みを1つの事業計画としてまとめて申請する形になります。事業間の関連性と一貫性を計画書で示すと説得力が増します。
Q. 令和8年度は締め切られましたが、次年度も実施されますか?
A. 本補助金は近年継続して実施されており、次年度も同様の公募が見込まれます。ただし予算・要件は年度ごとに変わるため、愛媛県経営支援課の公式ページで最新情報を確認してください。
Q. E:N BASEとは何ですか?
A. 愛媛県が運営する産業支援プラットフォームで、県内事業者の登録制の会員基盤です。本補助金の申請には会員登録が必須のため、未登録の方は早めに登録手続きを済ませてください。
採択・交付が決まったら、そこからが本番です。補助事業は「計画どおりに実施し、証拠を残す」ことが厳格に求められます。まず、対象経費の支払いは必ず補助対象期間内に行い、領収書・契約書・振込記録などの証拠書類をすべて保管します。領収書のない支出は精算時に認められないため、現金払いでも必ず宛名入りの領収書を受け取ってください。
事業完了後は実績報告書を提出し、県の確定検査を経て補助金額が確定します。この段階で計画と実績の乖離が大きいと減額される場合があるため、計画変更が生じたら早めに県へ相談することが大切です。補助金で導入した設備には処分制限期間が設けられることが多く、期間内の売却・廃棄には事前承認が必要です。新事業が軌道に乗ったら、次のステップとして販路開拓や設備投資の別制度への接続も視野に入れ、承継した事業を自分の代で伸ばす好循環を作りましょう。
あわせて、補助事業で得た成果は積極的に「見える化」しておくことをおすすめします。新事業の売上推移、雇用の増加、地域への波及効果などを数字と写真で記録しておくと、翌年度以降に別の補助金へ申請する際の実績資料としてそのまま使えます。県の産業支援プラットフォームE:N BASEでの情報発信や、金融機関との対話材料としても有効です。後継者による第二創業は一度きりのイベントではなく、承継した企業を次のステージへ引き上げる連続的なプロセスです。本補助金を入口として、承継フェーズの支援制度、創業初期の制度、販路開拓や設備投資の制度を段階的につないでいくことで、限られた自己資金でも大きな挑戦が可能になります。まずは次年度の公募開始時期を愛媛県経営支援課の公式ページでこまめに確認し、事業計画書の骨子を今のうちから準備しておきましょう。
最終更新: 2026-07-17(令和8年度・2026年公募情報にもとづく)
対象・申請情報まとめ
詳細条件は公募要領で確認してください。
この補助金のポイント
| 補助対象経費 | 報償費、旅費、需用費、役務費、広告宣伝費、委託費、使用料及び賃借料、原材料費、設備・備品購入費、事業… 詳細を見る › |
|---|---|
| 公募期間 | 2026年7月17日締切(予定) |
| 実施機関 | 愛媛県 経済労働部産業支援局経営支援課 |
| 採択率 | 50% ※過去公募実績 |
| 主要スケジュール |
|
| 申請方法 | オンライン申請 |
| 必要書類 | 交付申請書、補助事業計画書、収支予算書、誓約書、納税証明書、定款・履歴事項全部証… 詳細を見る › |
| 公募要領 |
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編集: 補助金図鑑 編集部
中小企業診断士・社会保険労務士 監修体制
本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助額・対象要件・募集状況は変更される場合があるため、申請前に必ず各実施機関の公募要領・公式情報をご確認ください。