この記事の結論
制度情報の確認 過去制度と現在の状態を分けて確認
私立大学・短期大学・高等専門学校を設置する学校法人(設置後完成年度を…
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 私立大学・短期大学・高等専門学校を設置する学校法人(設置…
- 確認した過去制度の金額
- —
- 現在の位置づけ
- 令和8年度(年度ごとに事業団が提出期日を通知)
- 確認主体
- 日本私立学校振興・共済事業団
- 情報の確認方法
- 一次情報・公式発表を確認
- 必要書類
- (1)学校法人基礎調査・専任教員等調査・専任職員調査…
- 根拠資料
- 関連リンク
- 確認主体:日本私立学校振興・共済事業団
詳細解説
私立大学等経常費補助金は、私立の大学・短期大学・高等専門学校を設置する学校法人に対し、国が教職員の給与費や教育研究の経費といった「毎年かかる経費」を補助する制度です。日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」)が国から補助金を受け、これを全額学校法人へ交付します。令和8年度の予算額は合計298,619,066千円(約2,986億円)で、内訳は一般補助278,212,698千円、特別補助20,406,368千円です。
ところが、この制度をめぐる情報でもっとも誤解されやすいのが「申請の締切」と「配分基準の公表時期」です。公募型の補助金と違い、経常費補助金には一般に公開される公募要領も締切日もありません。配分基準そのものが、その年度が終わる3月に確定・公表される仕組みだからです。本記事では、事業団が公表している令和8年度年間業務予定、令和7年度取扱要領・配分基準、令和7年度交付状況の概要、そして586校分の学校別交付額一覧を一次資料として、配分額がどう決まるのか、定員割れで何%減るのか、実際にいくら配られているのかを数字で整理します。
この記事でわかること(要点5つ)
- 令和8年度予算は合計298,619,066千円。一般補助278,212,698千円・特別補助20,406,368千円で、前年度から総額7億5,712万4千円の増額です。
- 令和8年度の取扱要領・配分基準は2026年8月15日時点で未公表。最新は令和7年度版(令和8年3月4日最終改正)で、各年度の基準は年度末の3月に確定する運用が続いています。
- 一般補助は「経常的経費を算定 → 補助率(給与費は5/10など)を掛けて基準額 → 別表2〜9の増減率で傾斜 → 減額・不交付措置」の4段階で決まります。
- 収容定員充足率が89%になると一般補助の基準額が▲13%、そこから1ポイント下がるごとに減率が1ポイント拡大し、55%以下は一律▲50%、50%以下の学部等は全額不交付です。
- 令和7年度は910校中835校へ2,978億7,031万7千円を交付。大学1校平均は4億8,962万円ですが中央値は1億9,763万円で、上位50校が大学分の50.8%を占めます。
私立大学等経常費補助金とは?だれに、いくら配られる制度?
交付の相手は私立大学等を設置する学校法人であり、学生や教職員個人に直接支給される制度ではありません。事業団の取扱要領2は「個々の教職員及び学生を対象として交付する補助金ではない」と明記しています。令和8年度の予算額は合計298,619,066千円です。
予算の内訳は次のとおりです。特別補助の予算額には東日本大震災復興特別会計分が含まれます。
| 区分 | 令和7年度予算 | 令和8年度予算 | 増減 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|
| 一般補助 | 277,250,000千円 | 278,212,698千円 | +962,698千円 | 事業団「私立大学等に対する補助事業」予算額表 |
| 特別補助 | 20,611,942千円 | 20,406,368千円 | ▲205,574千円 | 同上(復興特別会計 令和8年度54,965千円を含む) |
| 合計 | 297,861,942千円 | 298,619,066千円 | +757,124千円 | 同上 |
この補助金は、昭和45年度から令和7年度末までの累計交付額が14兆5,010億円に達しています(事業団公表)。一般補助は教職員数や学生数に単価を掛けた基準額を教育研究条件に応じて傾斜配分するもの、特別補助は特色ある取組に応じて配分するもの、という二階建て構造です。
制度の位置づけを国全体の教育予算のなかで確認したい場合は、文部科学省の補助金トレンドを整理した記事が参考になります。研究費側の代表格である科研費の申請方法と採択のコツと読み比べると、公募型と算定配分型の違いがはっきりします。

令和8年度の配分基準はいつ公表される?
2026年8月15日時点で、令和8年度の取扱要領・配分基準は公表されていません。過去3年度の公表実績から、令和9年3月頃の確定・公表が見込まれます。事業団「補助金の配分基準等」ページに掲載されている最新版は令和7年度分で、その表紙には「令和8年3月」、本文冒頭には「令和8年3月4日最終改正」と記載されています(同ページ最終更新日も2026年3月11日)。
これは公表が遅れているのではなく、制度の設計上そうなっています。各年度の配分基準は、その年度の調査票を精査し、単価や増減率を最終確定させたうえで年度末の3月に成文化されるためです。過去の公表実績を並べると規則性がはっきりします。
| 対象年度 | 公表文書に記された年月 | その年度における位置 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 令和8年3月 | 年度末 | 事業団 s_hojo_r07y.pdf 表紙・冒頭 |
| 令和4年度 | 令和5年3月 | 年度末 | 事業団 s_tokuho_r04y.pdf 表紙 |
| 平成28年度 | 平成29年3月 | 年度末 | 事業団 s_tokuho28y.pdf 表紙 |
| 令和8年度 | 未公表(令和9年3月頃の見込み) | — | 事業団「補助金の配分基準等」ページに掲載なし(2026年8月15日確認) |
したがって、令和8年度の配分を検討する段階で参照できる最新の成文基準は令和7年度版です。本記事の数値も、特記のないかぎり令和7年度取扱要領・配分基準(令和8年3月4日最終改正)に拠っています。令和8年度版で単価や増減率が改定される可能性は残ります。
「申請締切」ではなく年間スケジュールで動く
事業団は令和8年度の年間業務予定を公表しています。ここに一般公開の公募要領も締切日も登場しません。代わりに、学校法人が段階的に調査票を提出していく年間サイクルが示されています。
| 時期 | 学校法人側の作業 | 事業団側の動き | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 6〜7月 | 学校法人基礎調査、専任教員等調査、専任職員調査、学生数調査、収入支出調査 ほか | 内容精査 | 令和8年度年間業務予定 |
| 8月 | 学生定員・現員調査票(認定専攻科)、特別招へい教員・役員調査票、附属病院病床数調査票 | 内容精査 | 同上 |
| 9〜12月 | 特別補助各種調査票、教育の質に係る客観的指標調査票、理工農系学部等単価に係る調査票 ほか | 内示(一次交付) | 同上 |
| 10月 | 役員報酬等調査票、非常勤教員調査票、学校法人経営状況調査票、情報の公表に係る調査票、私立大学等改革総合支援事業調査票 | — | 同上 |
| 12月上旬 | 交付申請 | 資金交付(一次交付) | 同上 |
| 3月下旬 | 変更交付申請 | 内示(最終交付)・資金交付(最終交付) | 同上 |
| 翌年度 | 実績報告、実績額等の確定報告 | 額の確定 | 同上 |

一般補助の配分額はどう計算される?
一般補助は4段階で決まります。①経常的経費を人数×単価で算定し、②区分ごとの補助率を掛けて「基準額」を出し、③別表2〜9の増減率で傾斜させ、④減額・不交付事由があれば差し引く、という順序です(令和7年度配分基準Ⅲ〜Ⅵ)。
- Ⅲ 経常的経費の算定/5月1日現在の専任教員等数・専任職員数・学生定員数に、標準給与費や別表1の単価を乗じます。実支出額を超える部分は算入されません。
- Ⅳ 基準額の算定/算定した経費区分ごとに補助率を掛けます。専任教員等給与費は5/10、非常勤教員給与費は4/10といった具合です。
- Ⅴ 増額・減額/別表2〜9の増減率を基準額に乗じます。増額は36%、減額はマイナス99%が上限です。
- Ⅵ 減額・不交付措置/取扱要領4に該当する事由があれば、10%・25%・50%・75%または全額を差し引きます。
補助率と単価(令和7年度)
| 経費区分 | 補助率 | 算定に使う主な単価 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 専任教員等給与費 | 5/10 | 年間標準給与費 大学5,731千円/短大・高専4,871千円(実際の平均給与費と低い方) | 配分基準Ⅲ1・Ⅳ1 |
| 専任職員給与費 | 5/10 | 年間標準給与費 3,601千円(同上) | 配分基準Ⅲ2・Ⅳ2 |
| 非常勤教員給与費 | 4/10 | — | 配分基準Ⅳ3 |
| 教職員福利厚生費 | 4/10 | — | 配分基準Ⅳ4 |
| 教育研究経常費 | 5/10 | 別表1の教員単価・学生単価 | 配分基準Ⅲ5・Ⅳ5 |
| 厚生補導費 | 5/10 | 学生1人3,900円(通信教育1,000円) | 配分基準Ⅲ6・Ⅳ6 |
| 研究旅費 | 5/10 | 専任教員等1人70,000円 | 配分基準Ⅲ7・Ⅳ7 |
教育研究経常費の単価(別表1)は分野で大きく差がつきます。ここが「理工農系への重点配分」が実際に効いてくる場所です。
| 単価の対象 | 右記以外 | 理工農系学部等 | 医歯学部等 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|
| 学部の専任教員等1人あたり | 590千円 | 1,100千円 | 1,377千円 | 別表1の(1) |
| 大学(博士課程)教授・准教授1人あたり | 1,972千円 | 2,747千円 | 3,031千円 | 別表1の(1) |
| 学部の学生1人あたり | 68千円(地方中小規模校79千円) | 74千円(同84千円) | 78千円(同88千円) | 別表1の(2) |
| 博士課程の学生1人あたり | 404千円 | 460千円 | 504千円 | 別表1の(2) |
確認対象・制度の位置づけ
対象地域(全国)
- 目的
- その他
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 私立大学・短期大学・高等専門学校を設置する学校法人(設置後完成年度を超えた学部等が対象。学生募集を停止した学部等、収容定員充足率が50%以下または規模別の超過ラインを上回る学部等は不交付)
- 確認した過去制度の金額
- —
対象年度と制度の状態は一次情報をご確認ください。
※「地方中小規模校」は、首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏整備法の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏開発整備法の都市整備区域および政令指定都市のいずれにも該当しない地域にある、収容定員2,000人以下の学校を指します(別表1注)。
増減率は9種類の指標で決まる
配分基準Ⅴ1が挙げる評価軸は、教育条件(収容定員充足率、教員1人あたり学生数)、財政状況(教育研究経費支出比率、教職員給与指数、年間給与費の状況、収入超過状況)、情報公表の実施状況、教育の質に係る客観的指標の4系統・別表2〜9です。増額は最大36%、減額は最大マイナス99%(Ⅴ2)。
このうち実務でもっとも大きく効くのが別表2の収容定員充足率です。単独で+9%から▲50%まで動き、しかも取扱要領4(9)の不交付ラインに直結します。次章で詳しく見ます。
物価高や賃上げに関する支援は他制度でも動いています。私立学校向けの都道府県単独支援としては神奈川県の私立学校向け物価高騰支援金のような例があり、大学が関わる研究開発の公募は長寿社会実現研究の公募や洋上風力発電人材育成補助金などが並行しています。民間財団の枠を含めて探すなら民間助成金の一覧と申請のコツも確認しておくと取りこぼしが減ります。
定員割れだと補助金はどれだけ減る?
収容定員充足率が89%に落ちた時点で一般補助の基準額は▲13%、そこから充足率が1ポイント下がるごとに減率が1ポイントずつ拡大します。55%以下は一律▲50%、50%以下の学部等は全額不交付です(別表2、取扱要領4(9)イ②)。判定は毎年5月1日現在の在籍学生数で行われ、学部・学科など「学部等」単位です。
別表2を読み解くと、90%を割った後の減率にはきれいな法則があります。減率(%)= 102 − 収容定員充足率(%)。充足率89%なら102−89=13で▲13%、70%なら102−70=32で▲32%です。これが58%(▲44%)まで成り立ち、57%以下だけ刻みが粗くなります。
| 収容定員充足率(5月1日現在) | 一般補助基準額の増減率 | 備考 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 100% | +9% | 定員ちょうどが最大加点 | 別表2 |
| 98〜99% | +6% | — | 別表2 |
| 95〜97% | +3% | — | 別表2 |
| 90〜94% | 0% | 増減なしの中立ゾーン | 別表2 |
| 89%〜58% | ▲13%〜▲44% | 「102 − 充足率」で1%刻み | 別表2 |
| 57% | ▲46% | 刻みが2ポイントに拡大 | 別表2 |
| 56% | ▲48% | — | 別表2 |
| 55%以下 | ▲50% | 減率の下限 | 別表2 |
| 50%以下 | 当該学部等は全額不交付 | 災害等の特殊事情、入学定員減を含む経営改善計画の意思決定(小規模校限定・最長3年)などの例外あり | 取扱要領4(9)イ② |
※医歯学部は99%=+6%、98%=+3%、97〜90%=0%と上側の刻みが異なります(別表2)。
定員超過側の減額と不交付ライン
定員割れだけでなく、詰め込みすぎも減額対象です。しかも学校規模によってラインが違います。
| 収容定員充足率 | 収容定員4,000人未満 | 4,000人以上8,000人未満 | 8,000人以上 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|
| 101〜102% | +6% | +6% | +6% | 別表2 |
| 105〜106% | 0% | 0% | 0% | 別表2 |
| 107〜109% | ▲6% | ▲6% | ▲6% | 別表2 |
| 113〜116% | ▲13% | ▲13% | 不交付 | 別表2・取扱要領4(9) |
| 117〜119% | ▲17% | ▲17% | 不交付 | 同上 |
| 125〜128% | ▲25% | 不交付 | 不交付 | 同上 |
| 129% | ▲29% | 不交付 | 不交付 | 同上 |
| 不交付ライン | 1.30倍以上 | 1.20倍以上 | 1.10倍以上 | 取扱要領4(9)ア・イ① |
※医歯学部(生命歯学部・口腔歯学部を含み、医学部看護学科・医療検査学科を除く)の不交付ラインは規模にかかわらず1.10倍以上です。入学定員超過率ではなく収容定員超過率で判定します。
特別補助はさらに別ルールで減額される
充足率が低い学校は、一般補助の減率に加えて特別補助(別記8による増額分)も削られます。ここには地方所在校を緩和する仕組みがあります。
| 収容定員充足率 | 特別補助の減額割合 | 地方に所在する大学等 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 80%以上90%未満 | 10%減額 | 5%減額 | 配分基準Ⅴ7(3)ア |
| 70%以上80%未満 | 20%減額 | 10%減額 | 配分基準Ⅴ7(3)イ |
| 70%未満 | 30%減額 | 15%減額 | 配分基準Ⅴ7(3)ウ |
さらに、①前年度末の運用資産が外部負債を下回り、②過去3か年度の経常収支差額がすべてマイナス、という2条件に該当すると特別補助が50%減額、これに③過去3か年度の充足率が連続して80%未満が加わると特別補助を交付しないことができます(配分基準Ⅴ7(1))。経営悪化と定員割れが重なったときの落ち込み幅は、経常費補助金が最大75%減額される条件を整理した記事で具体的に確認できます。

実際にいくら交付されている?(令和7年度の独自集計)
令和7年度は学校総数910校のうち835校に、総額2,978億7,031万7千円が交付されました(一般補助2,772億5,000万円、特別補助206億2,031万7千円)。ただし平均額は実態を表しません。大学1校あたり平均は4億8,962万円ですが、事業団公表の「学校別交付額一覧(大学586校)」を本サイトで集計したところ、中央値は1億9,763万円で平均の約4割にとどまりました。
| 区分 | 学校総数 | 交付学校数 | 交付額 | 1校あたり | 学生1人あたり | 根拠資料 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大学 | 628校 | 586校 | 286,914,828千円 | 489,616千円 | 141千円 | 令和7年度交付状況の概要 表2 |
| 短期大学 | 278校 | 247校 | 10,756,530千円 | 43,549千円 | 151千円 | 同上 |
| 高等専門学校 | 4校 | 2校 | 198,959千円 | 99,480千円 | 137千円 | 同上 |
| 計 | 910校 | 835校 | 297,870,317千円 | 356,731千円 | 141千円 | 同上 |
集計の元データ: 日本私立学校振興・共済事業団「令和7年度 学校別交付額一覧」(PDF)を当サイトで機械集計(2026年8月15日)。合計値は同「交付状況の概要」表2と一致することを検算済み。
交付額上位10大学(令和7年度)
| 順位 | 大学名 | 一般補助 | 特別補助 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 早稲田大学 | 7,957,315千円 | 1,042,115千円 | 8,999,430千円 |
| 2 | 慶應義塾大学 | 8,301,129千円 | 665,642千円 | 8,966,771千円 |
| 3 | 立命館大学 | 5,546,550千円 | 557,441千円 | 6,103,991千円 |
| 4 | 昭和医科大学 | 5,532,880千円 | 257,723千円 | 5,790,603千円 |
| 5 | 順天堂大学 | 5,240,227千円 | 442,583千円 | 5,682,810千円 |
| 6 | 東海大学 | 4,844,514千円 | 209,462千円 | 5,053,976千円 |
| 7 | 近畿大学 | 4,256,044千円 | 239,594千円 | 4,495,638千円 |
| 8 | 北里大学 | 4,027,419千円 | 278,870千円 | 4,306,289千円 |
| 9 | 東京理科大学 | 3,551,084千円 | 257,910千円 | 3,808,994千円 |
| 10 | 帝京大学 | 3,272,001千円 | 317,941千円 | 3,589,942千円 |
出典:事業団「令和7年度私立大学等経常費補助金 学校別交付額一覧(大学)」。順位は合計額順。
この表には制度の性格がよく表れています。一般補助だけを見れば慶應義塾大学(83億0,112万9千円)が早稲田大学(79億5,731万5千円)を上回りますが、特別補助で早稲田が10億4,211万5千円を確保し、合計で逆転しています。一般補助は教職員数・学生数という「規模」で、特別補助は取組内容という「政策評価」で決まる、という二階建て構造がそのまま順位に反映された形です。
分布は極端に偏っている
学校別交付額一覧586校分を本サイトで集計した結果です(合計額は事業団公表の286,914,828千円と一致することを確認)。
| 集計指標 | 値 | 大学分(2,869億1,482万8千円)に占める割合 | 根拠資料 |
|---|---|---|---|
| 上位10校の合計 | 567億9,844万4千円 | 19.8% | 学校別交付額一覧より独自集計 |
| 上位50校の合計 | 1,456億5,417万3千円 | 50.8% | 同上 |
| 上位100校の合計 | 1,905億2,110万8千円 | 66.4% | 同上 |
| 交付額の中央値 | 1億9,763万円 | — | 同上 |
| 交付額10億円以上の大学 | 63校(10.8%) | — | 同上 |
| 交付額1億円未満の大学 | 173校(29.5%) | — | 同上 |
大学586校のうち上位50校(8.5%)だけで大学向け交付額の半分を受け取っています。一方で3割弱の大学は年間1億円未満です。「私立大学は補助金漬け」といった一括りの評価が実態に合わないことが、この分布からわかります。

補助金がゼロになるのはどんなとき?
令和7年度は75校が不交付でした。最多の事由は「申請の無いもの」37校で、次いで学生募集停止23校、設置後未完成10校です(令和7年度交付状況の概要 表5)。前年度の65校から10校増え、とくに募集停止が10校から23校へ2.3倍に増えました。
| 不交付事由 | 大学 | 短期大学 | 高等専門学校 | 計(前年度) |
|---|---|---|---|---|
| 申請の無いもの | 22校 | 14校 | 1校 | 37校(34校) |
| 募集停止 | 6校 | 17校 | 0校 | 23校(10校) |
| 未完成(設置後完成年度未到達) | 9校 | 0校 | 1校 | 10校(12校) |
| 他省庁補助 | 2校 | 0校 | 0校 | 2校(2校) |
| 取扱要領4(1)・(5)に基づく不交付措置 | 1校 | 0校 | 0校 | 1校(5校) |
| その他 | 2校 | 0校 | 0校 | 2校(2校) |
| 計 | 42校 | 31校 | 2校 | 75校(65校) |
出典:令和7年度私立大学等経常費補助金交付状況の概要 表5。カッコ内は前年度。
あわせて、管理運営等に問題がある法人に対しては令和7年度に9法人12校へ減額措置、1法人1校へ不交付措置が講じられています(同 表6)。減額の刻みは一般補助の10%・25%・50%・75%で、状況が著しい場合は全額不交付です(取扱要領4(1))。
財政状況による自動的な減額・不交付
| 状況(9月30日現在) | 措置 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 事業団借入金の償還または公租公課の納付を6か月以上1年未満滞納 | 滞納期間から5か月を差し引いた残期間1か月につき一般補助の5%を減額 | 取扱要領4(8)ア |
| 同上を1年以上滞納 | 補助金の全額を不交付 | 取扱要領4(8)イ |
| 破産手続開始の決定 | 補助金の全額を不交付 | 取扱要領4(8)ウ |
| 負債総額が資産総額を上回った | 補助金の全額を不交付 | 取扱要領4(8)エ |
| 銀行取引停止処分 | 補助金の全額を不交付 | 取扱要領4(8)オ |
なお、減額を受けた翌年度以降は改善努力が認められれば段階的に復元されます。たとえば75%減額を受けた法人は、改善年度に50%減額、その翌年度に25%減額、翌々年度に全額交付へ戻る設計です(取扱要領4(5)ウ)。
学生や保護者にとって、この数字は何を意味する?
収容定員充足率は、志望校の財務体力を測る先行指標として使えます。充足率が90%を割ると一般補助が減り始め、80%を割ると特別補助まで10%削られ、50%以下ではその学部への補助金が止まる——という連鎖が制度上あらかじめ決まっているためです。
1. 充足率90%が第一の分岐
90〜94%は増減なしですが、89%からは1ポイントごとに一般補助が削られます。大学公表の「収容定員と在籍学生数」を学部単位で見てください。
2. 学部単位で見る
不交付判定は学部等ごとです。大学全体が健全でも、特定学部だけ50%以下という状況はあり得ます。
3. 募集停止は前触れがある
令和7年度の不交付事由で募集停止が10校から23校へ急増しました。定員割れの長期化は募集停止に先行します。
ただし、経常費補助金は学生個人に配られるお金ではありません。授業料そのものを軽くしたいなら、学生・世帯が直接申請できる制度を並行して押さえる必要があります。大学生がもらえる給付金・支援制度のまとめを出発点に、多子世帯の大学無償化の数え方と免除上限、大阪公立大学の授業料無償化のような自治体・大学単位の制度、大阪府の大学生向け給付金一覧まで確認しておくと取りこぼしが減ります。高校段階なら高等学校等就学支援金が対応します。
卒業後の返済負担については、奨学金の減額返還・返還猶予・免除の使い分けと、企業・自治体による奨学金返還支援制度の一覧を組み合わせると、在学中と就職後の両方をカバーできます。社会人の学び直しなら教育訓練支援給付金、企業側の人材投資は雇用・人材育成の助成金まとめが入口です。世帯状況に合う制度が判断しづらい場合は、条件から使える制度を絞り込める診断ページで候補を出してから個別記事を読むほうが早く進みます。

関連する制度をどう組み合わせて調べる?
経常費補助は大学運営の土台で、研究・設備・学生支援は別制度が担います。目的別のアーカイブから探すのが最短です。
この制度でとくに誤解されやすい点は?
出典
- 日本私立学校振興・共済事業団「私立大学等に対する補助事業」(令和7・8年度予算額、累計交付額)
- 日本私立学校振興・共済事業団「補助金の配分基準等」(掲載年度の確認)
- 令和7年度 私立大学等経常費補助金取扱要領・私立大学等経常費補助金配分基準(令和8年3月・令和8年3月4日最終改正)
- 日本私立学校振興・共済事業団「補助金の交付状況」
- 令和7年度 私立大学等経常費補助金交付状況の概要(令和8年3月)
- 令和7年度 私立大学等経常費補助金 学校別交付額一覧(大学586校)
- 私立大学等経常費補助金 令和8年度年間業務予定
- 文部科学省「私立大学等経常費補助金・私立大学等研究推進費補助金 交付要綱」
- 文部科学省「令和5年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱いについて(通知)」
制度情報の確認
制度の事実確認まとめ
過去制度と現在の状態を分けて確認してください。
- 対象地域
- 全国
- 対象者
- 私立大学・短期大学・高等専門学校を設置する学…
- 確認した過去制度の金額
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- 現在の位置づけ
- 令和8年度(年度ごとに事業団が提出期日を通知)
- 確認主体
- 日本私立学校振興・共済事業団
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この補助金のポイント
- 確認主体:日本私立学校振興・共済事業団
| 補助対象経費 | 一般補助は専任教員等給与費・専任職員給与費・非常勤教員給与費・教職員福利厚生費・教育研究経常費・厚生… 詳細を見る › |
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| 現在の位置づけ | 令和8年度(年度ごとに事業団が提出期日を通知) |
| 確認主体 | 日本私立学校振興・共済事業団 |
| 主要スケジュール |
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| 必要書類 | (1)学校法人基礎調査・専任教員等調査・専任職員調査・学生数調査・収入支出調査等… 詳細を見る › |
| 根拠資料 |
この補助金のまとめ
- 確認主体:日本私立学校振興・共済事業団
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