在宅で人工呼吸器を使う指定難病・特定疾患の患者は、診療報酬で定められた回数を超える訪問看護費用を都道府県が公費で負担します(自己負担なし)。原則1日4回目以降・週5回まで、病状により年間最大260回が対象です。本制度は受付終了ではなく、全国の都道府県・指定都市が現在も随時受付しています(最終更新:2026年6月21日/令和8年度実施)。
結論サマリー(30秒でわかる在宅人工呼吸器使用患者支援事業)
- 誰が:在宅で人工呼吸器を使用する指定難病・特定疾患の受給者(医師が訪問看護を必要と認めた方)
- いくら:訪問看護費を全額公費負担(自己負担ゼロ)。看護師の訪問1回あたり最大8,450円が支払われます
- いつまで:随時受付(年度ごとに更新)。受付終了ではなく令和8年度も継続中
在宅人工呼吸器使用患者支援事業の概要(対象・金額・締切)
本事業は、人工呼吸器を装着しながら在宅で療養する難病患者が、医療保険の算定回数を超えて必要となる訪問看護を、都道府県・指定都市が公費で負担する制度です。厚生労働省の通知(在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業)に基づき、全国共通の枠組みで各自治体が実施しています。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 公費負担額 | 訪問1回 最大8,450円 | 保健師等・ステーション所属の場合(准看護師は7,950円) |
| 補助率 | 全額公費(自己負担なし) | 書類取得費用のみ自己負担 |
| 年間上限 | 最大260回 | 原則 週5回/1日4回目以降が対象 |
| 受付状況 | 随時受付(継続中) | 登録の有効期間は原則1年・更新可 |
正式名称と実施機関
- 正式名称:在宅人工呼吸器使用患者支援事業(在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業)
- 実施機関:全国の各都道府県および指定都市(窓口は保健所・難病対策課等)
国の要綱に基づくため基本内容は全国共通ですが、申請窓口や電子申請の可否は自治体ごとに異なります。お住まいの地域の保健所・難病対策課へ確認してください。
公費負担額はいくら?年間の支援額をシミュレーション
対象となるのは「医療保険の算定回数を超える訪問看護」です。原則として同一ステーションによる1日4回目以降・週5回まで、病状により年間260回を上限に公費負担を受けられます。下の試算は、訪問1回あたりの公費負担額×回数で年間の公費負担額の概算を出します(令和8年度・各都道府県要綱の単価に基づく目安)。
※概算・目安です。実際の単価・上限は自治体の要綱や年度改定で変わる場合があります。患者・家族の立替は不要で、費用は自治体から訪問看護ステーション等へ直接支払われます(現物給付)。
申請方法と申請の流れ(書き方の手順)
申請は患者本人または訪問看護ステーション等を経由して、お住まいの保健所・難病対策課へ行います。令和5年4月からは電子申請に対応する自治体も増えています。
- 主治医に訪問看護指示書・訪問看護計画書を作成してもらう
- 登録申請書(自治体様式)に必要事項を記入する
- 受給者証・健康保険証の写しなど添付書類をそろえる
- 保健所・難病対策課へ申請(窓口・郵送・電子申請)
- 登録認定後、訪問看護ステーション等へ公費が直接支払われる(有効期間は原則1年・更新可)
更新はいつまで?登録の有効期間カウントダウン
登録認定の有効期間は原則1年です。継続して利用するには更新申請が必要なため、年度末(多くの自治体で3月末)が一つの目安になります。下のカウントダウンで令和8年度末(更新目安日)までの残り日数を確認できます。
※更新時期は自治体・登録日により異なります。早めに保健所・難病対策課へ確認してください。
他制度との横断比較表(在宅療養で使える公的支援)
在宅人工呼吸器使用患者支援事業と、あわせて検討したい関連制度を比較しました。
| 制度 | 主な対象 | 自己負担 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 在宅人工呼吸器使用患者支援事業 | 在宅で人工呼吸器を使う指定難病・特定疾患の方 | なし(全額公費) | 都道府県・指定都市の保健所 |
| 特定医療費(指定難病)助成 | 指定難病の認定患者 | 所得に応じた上限あり | 都道府県・指定都市 |
| 重度心身障害者医療費助成 | 重度の障害がある方 | 自治体により一部負担 | 市区町村 |
| 自立支援医療(更生・育成) | 身体障害のある方の医療 | 原則1割(上限あり) | 市区町村 |
申請で不採択・差し戻しになる失敗事例5パターンと対策
本制度は要件を満たせば原則利用できますが、書類不備による差し戻しや、対象外と判断される失敗事例が一定数あります。よくあるNG事例と注意点を整理しました。
- 失敗事例1:訪問看護指示書が古い — 最新の指示書でないと差し戻しの対象。直近の指示書を添付しましょう(NG事例の典型)。
- 失敗事例2:人工呼吸器が主たる要因でない — 当該疾病が主因でないと対象外(不採択)になります。主治医の意見書で因果関係を明確に。
- 失敗事例3:医療保険の算定回数内の訪問 — 1日3回目までは医療保険の範囲で、公費負担の対象外。4回目以降が対象という落とし穴に注意。
- 失敗事例4:更新申請の失念 — 有効期間は原則1年。更新を忘れると公費負担が途切れる審査落ちの原因になります。
- 失敗事例5:自治体の管轄違い — 指定都市は県ではなく市が窓口など、申請先の取り違えで差し戻しが発生します。
これらの注意点を事前に確認すれば、差し戻しや不採択のリスクを大きく下げられます。