受付前 設備投資

GXサプライチェーン構築支援事業の採択結果と補助率・申請要件

GXサプライチェーン構築支援事業は、水電解装置・浮体式等洋上風力発電設備・ペロブスカイト太陽電池・燃料電池などGX分野の国内製造サプライチェーン…

この記事の結論

対象者GX分野(水電解装置・浮体式等洋上風力発電設備・ペロブスカイト太陽電…
補助額・給付額限度額の定めなし(補助率 大企業1/3・中小企業等1/2(野心的な取組は1/2・2/3))
申請時期公募要領・公式情報をご確認ください
まずやること公式ページで最新情報・対象条件を確認
補助金の概要 対象・上限額・申請期限・関連制度を確認

GX分野(水電解装置・浮体式等洋上風力発電設備・ペロブスカイト太陽電…

対象地域
全国
対象者
GX分野(水電解装置・浮体式等洋上風力発電設備・ペロブス…
補助上限
限度額の定めなし
補助率・給付条件
大企業1/3・中小企業等1/2(野心的な取組は1/2・2/3)
公募期間
【事業Ⅰ】浮体式等洋上風力発電設備:2026年3月27日〜2026年5月12日正午で公募終了/【事業Ⅱ】ペロブスカイト太陽電池(フィルム型・タンデム型):2026年3月27日〜2026年6月30日正午で公募終了/燃料電池・水電解装置:公募未開始(開始日は未公表)
実施機関
経済産業省 GXグループ GX投資促進課
申請方法
jGrants(電子申請)
必要書類
指定様式一式(様式第2 間接補助事業概要説明書ほか)…
  • 最大限度額の定めなしまで補助される制度です
  • 経済産業省 GXグループ GX投資促進課が公募する公的支援制度
  • 申請方法はjGrants(電子申請)に対応

詳細解説

GXサプライチェーン構築支援事業とは、水電解装置・浮体式等洋上風力発電設備・ペロブスカイト太陽電池・燃料電池といったGX分野の製造サプライチェーンを国内に構築するため、大規模な設備投資に国が補助を行う制度である。所管は経済産業省GXグループGX投資促進課で、申請はデジタル庁の電子申請システムjGrantsを経由する。現行の枠組みは令和7年度補正予算による事業で、事務局サイトに掲げられた5分野のうち公募が実施された2分野は、いずれも2026年に締切を迎えた。さらに2026年7月10日には、事業Ⅰ(浮体式等洋上風力発電設備)の採択事業者一覧が公表されている。一方で燃料電池と水電解装置は、対象分野として掲げられながら分野別ページが公開されておらず、公募開始日も公表されていない。この記事では、公募要領で確認できる補助率と補助対象経費、採択事業者一覧に実際に書かれている内容、審査で問われる項目を、一次資料にあたって整理する。制度の規模感が自社と合わない場合の代替制度も後半でまとめる。

2026年8月時点で確認できる事実

結論:先に押さえる5点

  1. 令和7年度補正の事業Ⅰ(浮体式等洋上風力発電設備)は2026年5月12日正午、事業Ⅱ(ペロブスカイト太陽電池)は2026年6月30日正午で公募が終了している。
  2. 2026年7月10日、事業Ⅰの採択事業者一覧が公表された。掲載は1件のみで、ベスタス・ジャパン株式会社(大企業・福岡県北九州市若松区・ナセル最終組立)である。
  3. 補助率は原則で大企業1/3以内・中小企業等1/2以内。GX実現に向けた野心的な取組と判断されると大企業1/2以内・中小企業等2/3以内へ引き上げられ、限度額の定めはない
  4. 燃料電池・水電解装置は事務局サイトに分野として掲載されているが、分野別ページは未公開で公募も始まっていない。
  5. 予算額は約833億円(全領域の合計・令和11年度までの国庫債務負担を含む)。事業期間は交付決定日から令和11年12月31日まで。

自社の投資規模がこの制度に届かない場合は、設備投資や脱炭素の現行制度へ切り替えたほうが早い。3分の質問に答えて自社が使える制度を絞り込むと、規模別・分野別の候補が一度に出る。

2026年8月時点で確認できる事実を整理した図解

2026年7月10日公表の採択事業者一覧(事業Ⅰ)

実際の検索で最も多いのは「採択結果」を探す動きである。事業Ⅰ(浮体式等洋上風力発電設備)については、事務局が採択事業者一覧のPDFを2026年7月10日付で公開している。PDFに記載されている内容は次のとおりで、掲載されている採択事業者は1件だけである。

項目PDFに記載された内容根拠
事業者名ベスタス・ジャパン株式会社事業Ⅰ 採択事業者一覧(2026/7/10)
大企業/中小企業の別大企業同PDF 項番1の行
主たる事業実施場所福岡県北九州市若松区同PDF 項番1の行
事業内容ナセル最終組立同PDF 項番1の行
間接補助事業に要する経費2,651,963,132円同PDF 項番1の行
補助金交付申請額1,325,981,566円同PDF 項番1の行
金額の注記補助金交付申請額は表の金額を上限とし、実際の補助金の額とは異なる可能性がある同PDF 表下の注記

この一覧から読み取れることは3つある。第一に、採択されたのは洋上風力の発電機そのものではなく、ナセル(発電機や増速機を収める機械室)の最終組立という製造工程である。制度名のとおり、完成品よりサプライチェーンの製造能力に補助が向いている。第二に、事業実施場所が福岡県北九州市若松区という具体的な地点まで公表される。採択後に立地が公になる前提で計画を立てる必要がある。第三に、交付申請額1,325,981,566円は事業費2,651,963,132円のちょうど半分であり、公募要領の補助率表にある「大企業・野心的な取組と判断される場合1/2以内」の水準と一致する。

公表のタイミングも押さえておきたい。公募要領5.1のスケジュールでは、採択先公表は「令和8年6月下旬頃」と予定されていた。実際に採択事業者一覧が公開されたのは2026年(令和8年)7月10日で、予定より後ろにずれている。公募要領には「採択先公表以降は、応募申請件数次第で前後する可能性がある」との注記があり、交付申請期限は令和8年8月31日(月)と定められている。採択後の資金計画は、公表日がずれても交付申請期限は動かない前提で組むほうが安全である。

工程公募要領の予定確認できる実績根拠
公募開始令和8年3月27日(金)2026年3月27日に公募開始公募要領5.1事務局サイトNEWS欄
公募締切令和8年5月12日(火)正午2026年5月12日に公募終了同 公募要領5.1/事務局サイトNEWS欄
採択審査令和8年5月13日(水)〜面接審査は令和8年6月1日・2日・4日の日程が示されていた同 公募要領5.1・5.5.1
採択先公表令和8年6月下旬頃実際の公表は2026年7月10日(予定より後ろにずれた)同 公募要領5.1/事務局サイトNEWS欄(2026年7月10日)
交付申請期限令和8年8月31日(月)採択された場合、原則としてこの日までに交付申請を行う同 公募要領5.1・3.5

事業Ⅱ(ペロブスカイト太陽電池)の採択結果はまだ公表されていない

2026年8月3日時点で、事業Ⅱ(フィルム型・タンデム型)の採択事業者一覧は公開の告知が出ていない。公表時期を示す資料も見当たらないため、時期を見込みで示すことはしない。確認先はGXSC補助金事務局サイトのNEWS欄で、事業Ⅰの採択事業者一覧もここで公開された。事業Ⅰでは公募終了(2026年5月12日)から公表(2026年7月10日)まで約2か月を要している。事業Ⅱの公募終了は2026年6月30日なので、NEWS欄は月に一度は見に行く運用にしておきたい。

採択率は公表されていない

事務局は応募件数を公表していない。したがって「採択率◯%」という数字は、この制度については計算できない。採択事業者一覧に載っているのは採択された事業者だけであり、母数が分からない以上、競争倍率を推定して社内説明に使うのは避けるべきである。

2026年7月10日公表の採択事業者一覧(事業Ⅰ)を整理した図解

制度の全体像と3つの世代

約833億円予算額(全領域合計)
最大2/3補助率の上限(中小企業等)
限度額なし補助金額の上限規定

「GXサプライチェーン構築支援事業」という名前の事業は、経済産業省のページ上で3つ並存している。予算年度が違うため事務局サイトのドメインも別で、検索で古い世代のページに当たると締切や補助率を読み違える。経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業のページ(最終更新日2026年3月27日)に、3世代の整理と各事務局サイトへの導線がまとまっている。

世代予算年度公募状況(2026年8月3日時点)根拠
第1世代令和6年度〜令和10年度事業公募終了経済産業省 事業ページに「公募終了」と明記
第2世代令和7年度〜令和11年度事業公募終了同上(事務局サイトは2025年度版)
第3世代(現行)令和7年度補正〜令和11年度事業事業Ⅰ・事業Ⅱは公募終了。燃料電池・水電解装置は未公募令和7年度補正 GXSC補助金 事務局サイトのNEWS欄
対象分野(現行)5分野浮体式等洋上風力発電設備/ペロブスカイト太陽電池(フィルム型)/同(タンデム型)/燃料電池/水電解装置事務局サイト「補助金対象事業」欄

古い世代の情報を現行制度と混同しない

ウェブ検索では第1・第2世代の事務局サイトが上位に残っていることがある。補助率や締切を読むときは、URLが令和7年度補正の事務局サイトかどうかを先に確かめる。金額の桁が大きい制度ほど、世代違いの数値を社内資料に転記した時点で計画全体が狂う。

他制度との比較・併用

この事業は数十億円規模の設備投資を前提としている。投資額の桁が合わない場合は、別の制度に切り替えたほうが早い。地域単位のGX投資や、省エネ・脱炭素の設備更新を扱う制度を並べて比較する。

制度規模感向いているケース受付状況
GXサプライチェーン構築支援事業(本記事)限度額なし・補助率1/3〜2/3GX5分野の製造設備・部素材への大規模投資事業Ⅰ・Ⅱは公募終了/燃料電池・水電解装置は未公募
GX地域共創補助金2026大規模(地域単位)地域の脱炭素と産業競争力を同時に狙う事業受付中
SHIFT事業(工場・事業場の省CO2化加速事業)中〜大規模既存工場のCO2削減設備の更新制度ページで最新の受付状況を確認
福島県 水素活用設備導入補助金最大1.5億円水素サプライチェーンの構築(福島県内)公募予定

規模別に見た乗り換え先

数億円未満の設備更新であれば、全国の設備投資・省エネ系の制度を横断で見たほうが着地が早い。設備投資補助金まとめ(2026年版)省エネ・脱炭素補助金まとめ(2026年版)で、補助率と上限額を並べて確認できる。

対象者・対象事業

対象地域(全国)

目的
設備投資
対象地域
全国
対象者
GX分野(水電解装置・浮体式等洋上風力発電設備・ペロブスカイト太陽電池・燃料電池等)の関連部素材や製造設備に大規模投資を行う製造事業者等
補助上限
限度額の定めなし
難易度
5

詳細条件・対象自治体は公募要領をご確認ください。

GX地域共創補助金2026最大250億円・9月1日締切・受付中。地域単位のGX投資を対象とする現行制度
設備投資補助金まとめ(2026年版)全国・自治体の設備投資制度を補助率と上限額で横断比較。受付中の制度を掲載
省エネ・脱炭素補助金まとめ(2026年版)省エネ設備・脱炭素設備の現行制度を一覧化。受付中の制度から探せる
福島県 水素活用設備導入補助金最大1.5億円・公募予定。水素サプライチェーン構築を支援する県単独制度
SHIFT事業(工場・事業場の省CO2化加速事業)工場・事業場のCO2削減設備を対象。補助率・上限額と最新の受付状況は記事で確認
大分県 GX促進事業(最大10億円)受付終了・制度設計の参考。県単位でGX投資に大型補助を出した設計例として読む
先進的な資源循環投資促進事業受付終了・制度設計の参考。サプライチェーン型の大型投資支援の審査観点を確認できる
次期航空機開発等支援事業受付終了・制度設計の参考。国が産業競争力を軸に大型補助を設計した事例

上の3件(大分県GX促進事業先進的な資源循環投資促進事業次期航空機開発等支援事業)はいずれも受付終了しており、現在申請できる選択肢ではない。産業競争力を評価軸に据えた大型補助の設計と提出物の水準を知るための、制度設計の参考として掲載している。

補助率・補助対象経費と根拠

補助率は事業Ⅰの公募要領PDF「3.4. 補助率及び補助金額」の表4で定義されている。企業規模と、GX実現に向けた野心的な取組と判断されるかどうかの2軸で決まる。

区分原則野心的な取組と判断される場合根拠
大企業1/3以内1/2以内公募要領 表4(補助率及び限度額)
中小企業等1/2以内2/3以内同 表4
限度額なしなし同 表4の「限度額」行
審査による減額審査の結果、申請した補助率を下回る可能性がある。補助金額は交付決定額を上限とする同 3.4本文の注記
共同申請時中小企業等と大企業の共同申請は大企業の補助率を適用。中小企業等とリース会社の共同申請は中小企業等の補助率を適用同 表5(共同申請を行う場合に適用される補助率)

補助率の引き上げが認められるのは、公募要領によれば①生産する製品の商用目的の生産設備(開発・実証目的のもの等を除く)が国内のいずれにも存在せず、かつ②当該製品の市場投入の時期や量、性能等において諸外国との関係で国際競争力を十分に有すると認められる場合の両方を満たすときである。片方だけでは原則の率にとどまる。

「限度額なし」の意味

公募要領の表4には限度額が「なし」と書かれている。つまり金額の天井は制度側にはなく、補助対象として認められた経費に補助率を掛けた額が上限になる。過去の採択事例で数百億円という数字が出てくることがあるが、それは個別事業者の交付申請額であって制度の上限ではない。自社の投資額から逆算するのが正しい読み方である。

補助対象経費は4区分で、公募要領の表3に整理されている。設計費(機械装置・建物・建築材料等の設計、システム設計)、建物等取得費(建物の新設・建て替え・リフォーム)、設備費(機械装置の購入・製造・改修、および建物等取得に併せて実施する附帯工事等)、システム整備費(設備機械装置の稼働に直接必要なソフトウエアの購入・作成)である。消費税は補助対象にできない。また、原則として交付決定日以降に発注(契約)を行い支払った経費だけが対象になる。

読者

交付決定を待っていると納期に間に合いません。着工を先に進める方法はありますか。

専門家

この事業には事前着手届出の仕組みがあります。届出期間内に届け出て事前着手受理通知を受けた場合、通知に記載された「事前着手開始日として認める日」以降に発生した経費も補助対象として認められる場合があります。ただし認められる日は受理通知の発行日以降であり、届出前の発注は救済されません。設計費の発注時期を先に決めてしまう前に、公募要領5.6の事前着手の規定を確認してください。

補助率・補助対象経費と根拠を整理した図解

対象者・対象分野の条件

経済産業省の事業概要では、対象は「水電解装置、浮体式洋上風力発電設備、ペロブスカイト太陽電池、燃料電池等に加えて、これらの関連部素材や製造設備について、世界で競争しうる大規模な投資を計画する間接補助事業者、または現に国内で生産が限定的な部素材や固有の技術を有する製造事業者等」とされている。完成品メーカーだけでなく、部素材や製造設備の供給者も射程に入る。

中小企業等として扱われる主体

  • 中小企業基本法上の中小企業者(製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下)
  • 一般社団法人・一般財団法人・特定非営利活動法人
  • 事業協同組合、農業法人、大学

中小企業でも大企業として扱われる場合

  • 資本金・出資金5億円以上の法人に直接または間接に100%株式を保有される中小企業者
  • 申告済み直近3年の課税所得の年平均が15億円超
  • みなし大企業に該当する場合

企業規模の判定は補助率に直結する

親会社の資本金や直近3年の課税所得によって、中小企業者でも大企業扱いになる。補助率が2/3以内から1/2以内へ下がれば、同じ事業費でも受け取れる額が変わる。資金計画を作る前に、公募要領の補足「中小企業等について」で自社の判定を確定させておく。

令和11年12月31日事業期間の終期
令和12年1月29日実績報告の最終期限
4区分補助対象経費の区分数

関連する補助金・助成金

事業期間は交付決定日から令和11年12月31日まで。間接補助事業者は、事業終了から起算して30日を経過した日、または令和12年1月29日のいずれか早い日までに実績報告書と精算払請求書を提出する必要がある。数年がかりの設備投資を前提とした設計になっている。

申請でよくある不採択・落とし穴

この事業は第三者委員会による書面審査に加えて面接審査が課される。公募要領に書かれた要件から、不採択や差し戻しにつながりやすい論点を整理する。

審査の前で止まる典型パターン

  1. 書類不備で審査対象外:公募要領5.4は、必要書類の欠落や記入漏れがあった場合は審査の対象とならない可能性があると明記している。様式は更新されるため、提出直前に最新版で作り直したかを必ず確認する。この一点で不採択どころか審査に入れない。
  2. 経営層の対面参加を用意できない:面接審査には提案企業の代表権を有する者の対面参加が必須である。共同申請では幹事会社の代表権者の参加が必須。役員代理での出席は想定されていない。
  3. 投資判断の困難性を説明できない:審査項目⑤は、補助を前提としない場合にIRRや投資回収期間が投資判断に至る水準に達しないことを求める。「補助金があれば早く進む」という説明では、この必須項目で落ちる。
  4. 自立化シナリオが抽象的:審査項目③ア(ⅴ)は、事業終了後の自立化に至るシナリオとその根拠の妥当性を必須項目として問う。需要家の名前と時期が入らない計画は差し戻しの対象になりやすい。
  5. 賃上げ表明を申請書に書いたのに実行しない:賃上げ表明を行う予定と回答した場合、交付決定までに従業員への表明を実施しなければ原則として交付決定を行わない、と注記されている。加点狙いで書いた項目が交付の可否を左右する。
  6. 交付決定前の発注:事前着手届出を経ずに発注した経費は原則として補助対象外になる。工程を先行させた結果、対象経費から丸ごと外れるという失敗が起こりうる。

加えて、審査項目②イでは「公正な移行に関する取組」として、事業実施による労働需給や地域経済への影響の把握と、円滑な移行に向けた取組予定が必須項目とされている。設備と技術の話だけを書いた計画書は、ここが空欄になりやすい。注意点として、技術系の担当者だけで作文すると人事・地域対応の記述が抜け落ちる。

読者

加点項目はどこまで埋めるべきでしょうか。任意なら省いても不採択にはなりませんよね。

専門家

加点項目は実施しなくても応募自体はできます。ただし公募要領は、財務状況の確認に関する補足書類の提出を推奨したうえで「採択審査においては、経営基盤の健全性を重視する」と書いています。任意項目を空欄にするほど、必須項目だけで評価が決まる構図になります。原材料の安定確保計画やオープン・クローズ戦略は、書ける材料があるなら埋めておくほうが安全です。

申請でよくある不採択・落とし穴を整理した図解

審査で実際に問われる観点

公募要領5.5.1に、採択審査の項目が6分類で列挙されている。面接審査で重点的に確認されるのは、①ウ(経営層のコミット)、②(事業の実現性)、③ア・イ(グリーン市場獲得に向けた事業戦略、野心的な目標の実現に向けた実施内容)、⑤(民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること)である。提出物の重さは、この6分類をすべて自社の言葉で埋められるかで決まる。

審査分類必須項目の例加点項目の例
①基本的事項基本的要件、適格性、経営層のコミット、財務の健全性
②事業の実現性内容・規模・投資額とスケジュールの妥当性、公正な移行に関する取組、リスク対応
③産業競争力強化への貢献需要家の巻き込み、自立化シナリオ、野心的な目標、情報管理体制、経済波及効果製品の独自性・新規性、原材料の安定確保計画、オープン/クローズ戦略(中小企業等の場合)
④排出削減への貢献導入設備で生産される製品の利用に伴う国内CO2排出削減効果GX率先実行宣言の実施
⑤投資判断の困難性経済的基準(IRR・投資回収期間)、技術的基準(技術革新性または事業革新性)総事業費が企業規模に対して大規模か等
⑥人材確保に向けた取組賃上げ等による人材確保の取組大企業3%以上・中小企業等1.5%以上の賃上げ表明、ワーク・ライフ・バランス等の推進

面接審査は非公開かつ原則対面で、1申請あたり最大1時間が予定されている。事業Ⅰでは令和8年6月1日・2日・4日の日程が公募要領に示されていた。ただし面接審査の日程調整は書面審査の通過を確約するものではないと明記されている。

申請の流れと必要書類

申請はjGrantsからの電子申請に一本化されている。jGrants(Jグランツ)はデジタル庁が運営する補助金の電子申請システムで、利用にはGビズIDプライムアカウントが必要になる。アカウント発行には郵送手続きと時間を要するため、公募開始を待ってから取得を始めると間に合わない。

  1. GビズIDプライムアカウントを取得する(郵送手続きが必要。発行までの時間を見込む)
  2. 事務局サイトまたはjGrantsから最新の公募要領・申請様式をダウンロードする
  3. 様式第2の間接補助事業概要説明書ほか、指定様式で申請書類を作成する(財務状況の確認に関する補足書類の提出が推奨されている)
  4. 提出直前に最新様式で作成しているか再確認する
  5. jGrantsから公募締切(正午)までに電子申請する
  6. 書面審査、続いて面接審査(代表権を有する者の対面参加が必須)
  7. 採択通知書の受領後、交付申請期限(事業Ⅰは令和8年8月31日)までに交付申請を行い、交付決定通知書を受ける
  8. 交付決定後に発注・契約・支出を開始する(事前着手届出が受理された場合を除く)
  9. 事業終了後30日または令和12年1月29日のいずれか早い日までに実績報告書・精算払請求書を提出する
申請の流れと必要書類を整理した図解

公募が終わった今からできること

現行事業のうち公募が実施された2分野は締切を過ぎている。燃料電池と水電解装置は事務局サイトの対象分野に掲げられているものの、分野別ページが公開されておらず、公募開始日も公表されていない。開始時期は公表資料から確認できないため、事務局サイトのNEWS欄と経済産業省のページを定期的に見るのが確実である。

次の公募までに前倒しできる作業

  1. GビズIDプライムアカウントを取得しておく。郵送手続きが必要で、公募開始後に始めると締切に間に合わない。
  2. 補助を前提としない場合のIRRと投資回収期間を算定しておく。審査項目⑤の必須項目に直結する。
  3. 需要家との協議記録を残す。審査項目③ア(ⅱ)の「需要家を巻き込む努力」の根拠になる。
  4. 公正な移行(労働需給・地域経済への影響)の把握を人事・総務側と着手する。技術部門だけでは書けない。
  5. 賃上げ計画を表明するかどうかを経営会議で先に決める。申請書に書いた後で撤回すると交付決定に影響する。

自社の投資規模が本事業と合わない、あるいは次の公募を待てないという場合は、現在申請できる制度から選び直すのが現実的である。自治体レベルの省エネ・脱炭素設備の制度も動いている。下関市の脱炭素設備導入支援(令和8年度)都城市の省エネ設備補助金(令和8年度)下関市のLED等設備補助(2026年)は受付中である。住宅分野ならみらいエコ住宅2026(GX最大125万円)が該当する。分野をまたいで探す場合は設備投資カテゴリの一覧省エネカテゴリの一覧から絞り込める。

よくある質問

採択事業者一覧に載っているのは本当に1件だけですか。

2026年7月10日公開の事業Ⅰ(浮体式等洋上風力発電設備)の採択事業者一覧PDFには、項番1としてベスタス・ジャパン株式会社の1行のみが記載されています。事業Ⅱ(ペロブスカイト太陽電池)の採択事業者一覧は、2026年8月3日時点で事務局サイトのNEWS欄に公開の告知がありません。

「最大307億円」という金額を見かけましたが、これが上限ですか。

違います。公募要領の表4では限度額は「なし」と定められており、金額の上限規定はありません。数百億円という数字は過去に採択された個別事業者の金額であり、制度の上限ではありません。自社が受け取れる額は、補助対象として認められた経費に補助率を掛けて算定します。

中小企業でも申請できますか。

できます。公募要領は中小企業等に対して原則1/2以内、野心的な取組と判断される場合は2/3以内という、大企業より高い補助率を設定しています。ただし資本金5億円以上の法人に100%保有されている場合や、直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える場合は大企業として扱われます。

最終更新:2026年8月3日

出典

補助金の概要

要点

対象・申請情報まとめ

詳細条件は公募要領で確認してください。

対象地域
全国
対象者
GX分野(水電解装置・浮体式等洋上風力発電設…
補助上限
限度額の定めなし
公募期間
【事業Ⅰ】浮体式等洋上風力発電設備:2026年3月27日〜2026年5月12日正午で公募終了/【事業Ⅱ】ペロブスカイト太陽電池(フィルム型・タンデム型):2026年3月27日〜2026年6月30日正午で公募終了/燃料電池・水電解装置:公募未開始(開始日は未公表)
実施機関
経済産業省 GXグループ GX投資促進課
主要スケジュール
申請期間 【事業Ⅰ】浮体式等洋上風力発電設備:2026年3月27日〜2026年5月12日正午で公募終了/【事業Ⅱ】ペロブスカイト太陽電池(フィルム型・タンデム型):2026年3月27日〜2026年6月30日正午で公募終了/燃料電池・水電解装置:公募未開始(開始日は未公表) 全スケジュール ›
申請方法
jGrants(電子申請)
必要書類
指定様式一式(様式第2 間接補助事業… 詳細を見る ›
  • 最大限度額の定めなしまで補助される制度です
  • 経済産業省 GXグループ GX投資促進課が公募する公的支援制度
  • 申請方法はjGrants(電子申請)に対応
POINT!

この補助金のポイント

  • 最大限度額の定めなしまで補助される制度です
  • 経済産業省 GXグループ GX投資促進課が公募する公的支援制度
  • 申請方法はjGrants(電子申請)に対応
補助対象経費 設計費・建物等取得費・設備費・システム整備費の4区分(消費税は対象外) 詳細を見る ›
公募期間 【事業Ⅰ】浮体式等洋上風力発電設備:2026年3月27日〜2026年5月12日正午で公募終了/【事業Ⅱ】ペロブスカイト太陽電池(フィルム型・タンデム型):2026年3月27日〜2026年6月30日正午で公募終了/燃料電池・水電解装置:公募未開始(開始日は未公表)
実施機関経済産業省 GXグループ GX投資促進課
主要スケジュール
  1. 申請期間【事業Ⅰ】浮体式等洋上風力発電設備:2026年3月27日〜2026年5月12日正午で公募終了/【事業Ⅱ】ペロブスカイト太陽電池(フィルム型・タンデム型):2026年3月27日〜2026年6月30日正午で公募終了/燃料電池・水電解装置:公募未開始(開始日は未公表)
全スケジュール ›
申請方法 jGrants(電子申請)
必要書類 指定様式一式(様式第2 間接補助事業概要説明書ほか)と財務状況の確認に関する補足… 詳細を見る ›
公募要領
SUMMARY

この補助金のまとめ

  • 最大限度額の定めなしまで補助される制度です
  • 経済産業省 GXグループ GX投資促進課が公募する公的支援制度
  • 申請方法はjGrants(電子申請)に対応
申請前に、公式サイトの公募要領と最新の受付状況をご確認ください。 掲載情報について連絡する
2026年8月3日時点で開始日は公表されていません。事務局サイトには対象分野として掲載されていますが、分野別ページ自体が未公開です。開始時期を示す公表資料がないため、GXSC補助金事務局サイトのNEWS欄と経済産業省の事業ページで最新情報を確認してください。
申請はjGrants(Jグランツ)からの電子申請に限られ、GビズIDプライムアカウント等が必要です。アカウントの発行には郵送手続きと時間を要するため、公募開始を待たずに取得しておく必要があります。
原則として対象外です。ただし事前着手届出期間内に届出を行い、事前着手受理通知を受けた場合は、通知に記載された「事前着手開始日として認める日」以降に発生した経費が補助対象として認められる場合があります。認められる日は受理通知の発行日以降となります。
公募要領の表3で、設計費、建物等取得費、設備費、システム整備費の4区分が定められています。設備費には機械装置の購入・製造・改修と、建物等取得に併せて実施する附帯工事等が含まれます。補助対象経費に係る消費税は補助対象にできません。
提案する企業等の代表権を有する者の対面参加が必須です。共同申請の場合は幹事会社の代表権を有する者の参加が必須で、共同実施者の代表権を有する者の参加は任意とされています。面接審査は非公開で、1申請あたり最大1時間が予定されています。
経済産業省のページでは、令和6年度〜令和10年度事業、令和7年度〜令和11年度事業、令和7年度補正〜令和11年度事業の3つが並んでおり、前の2つは公募終了です。現行は令和7年度補正〜令和11年度事業で、事務局サイトのドメインが世代ごとに異なります。補助率や締切を読む際は、どの世代のサイトを見ているかを先に確認してください。

掲載内容やリンクにお気づきの点はありますか?

掲載内容やリンク切れに関するご連絡は、お問い合わせフォームからお寄せください。

お問い合わせフォーム

編集・監修: (中小企業診断士)

一次情報を確認する編集体制(編集方針・検証方法

公開日: 最終更新日: 出典: 経済産業省 GXグループ GX投資促進課

本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助額・対象要件・募集状況は変更される場合があるため、申請前に必ず各実施機関の公募要領・公式情報をご確認ください。