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最低賃金引上げの影響を受ける中小企業・小規模事業者
重要ポイント(結論)
2026年10月に最低賃金が全国一律1,500円になるわけではありません
1,500円は政府が2020年代中の実現を目指す全国加重平均の目標であり、令和8年度の都道府県別の実額は2026年7月下旬の中央最低賃金審議会の答申を踏まえ、8〜9月に各地方審議会が決定します。企業がすべきは「金額が固まってから慌てる」のではなく、賃上げ原資を支える助成金・税制を先に把握し、計画届が必要な制度は賃上げ前に手を打つことです。

中央最低賃金審議会は令和8年度の地域別最低賃金額改定について、6月に論点整理・諮問を行い、目安の答申は例年7月下旬です。答申を受けて都道府県ごとの地方最低賃金審議会が金額と発効日を決定し、例年の運用では10月ごろに発効します。2026年10月改定を見込む企業は、夏の答申前から準備を始める必要があります。
政府は2020年代のうちに全国加重平均1,500円を実現する目標を掲げています。民間の賃金・物価トレンド予測では、令和8年度は50〜70円程度の引き上げ幅になるとの見立てもありますが、これはあくまで確定額ではない目安です。本記事では、賃上げ原資を支える国の主要助成金・税制(業務改善助成金/キャリアアップ助成金/人材確保等支援助成金/賃上げ促進税制)を横断的に整理し、自社がまず何から着手すべきかを解説します。
業務改善助成金は賃上げを実施したあとの事後申請では使えません。設備投資の交付申請(計画届)を先に出し、承認後に賃上げと設備投資を実行する順番です。
もう10月の引き上げに向けて賃金を上げ始めているのですが、今からでも間に合いますか?
残念ながら、すでに引き上げた分は業務改善助成金の対象にはなりません。同助成金は交付決定前に賃上げ・設備投資を実施すると不採択になる制度のため、事後的な追認申請はできません。今後さらに追加の賃上げや設備投資を予定しているなら、その追加分について新たに交付申請(計画届)を提出すれば対象になり得ます。まずは「これから実施する分」に絞って準備を進めてください。
TL;DR — 5秒でわかるまとめ

| 制度名 | 主な対象行為 | 上限額の目安 | 計画届・事前手続き |
|---|---|---|---|
| 業務改善助成金 | 設備投資による生産性向上+事業場内最低賃金の引上げ(事業場内最低賃金が地域別最低賃金を下回る事業場が対象) | 最大600万円(事業主単位・年間) | 必要(交付申請=計画届を賃上げ前に提出) |
| キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 有期雇用等労働者の正社員転換 | 中小企業で最大80万円+情報公表加算20万円 | 必要(転換前にキャリアアップ計画の提出) |
| 人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度整備・テレワーク導入等(コースにより異なる) | コース別、最大1000万円程度 | 必要(計画の認定・実施計画届) |
| 賃上げ促進税制 | 給与等支給総額の増加(決算での税額控除) | 中小企業で基本15%、上乗せ要件を全て満たした場合に最大35%(控除額は法人税額の20%が上限) | 不要(確定申告時に税額控除を適用) |
対象者・対象事業
対象地域(全国)
詳細条件・対象自治体は公募要領をご確認ください。
これらの助成金は競争的な補助金と異なり、要件に該当し計画が認定されれば原則として受給できる点が最大の特徴です。採択率の高低よりも、計画届の要否・提出タイミング・不正受給リスクの回避が実務上の関心事になります。
業務改善助成金・キャリアアップ助成金・人材確保等支援助成金の全コースが対象になり得ます。賃上げ促進税制も中小企業向けの高い控除率(最大35%)が適用されます。資金繰りが厳しい段階ほど、先に助成金で設備投資・人件費を補い、決算で税制控除を重ねる順番が有利です。
業務改善助成金は中小企業・小規模事業者が対象のため対象外です。キャリアアップ助成金の情報公表加算は大企業も対象ですが金額は15万円に下がります。賃上げ促進税制は大企業・中堅企業向けの制度(最大35%控除、上乗せ要件は中小企業と異なる)を別途確認してください。


時給60円の引き上げは、令和8年度の民間予測レンジ(50〜70円程度)の中央値を仮定したモデルケースです。確定額ではありませんが、自社の負担感をつかむ目安として使えます。
| 試算項目 | 前提条件 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 年間人件費の増加額 | 時給60円アップ×月173時間×パート10人×12か月 | 約124万円/年 |
| 業務改善助成金の回収額 | 設備投資800万円・助成率4/5・90円コース上限該当 | 最大600万円(自己負担は約200万円) |
| 正社員化1名あたりの助成 | 中小企業・重点支援対象者+情報公表加算 | 最大100万円(基本80万円+加算20万円) |
| 賃上げ促進税制の節税額目安 | 給与支給総額増加124万円・控除率15%(基本)〜35%(上乗せ要件を全て満たした場合)適用時 | 約19万円〜43万円の税額控除(法人税額の20%が上限) |
パート10人規模の事業所で人件費が約124万円増える場合、業務改善助成金(最大600万円)・正社員化コース(最大100万円)・賃上げ促進税制(約19万〜43万円の控除)は、上限額を単純に並べて合計できるものではありません。業務改善助成金の600万円は800万円規模の設備投資を行う場合に限られる特殊なケースであり、賃上げ促進税制の35%控除も上乗せ要件をすべて満たした企業に限られます。全制度を満額かつ同時に受給できるケースは多くなく、実務で現実的に見込めるレンジは、正社員転換を1名分実施した場合で概ね30万円〜140万円程度(正社員化コース分+税制控除分が中心)と考えるのが妥当です。設備投資を伴う業務改善助成金まで活用できる場合はさらに上乗せが期待できますが、それは投資余力のある一部の企業に限られます。加えて業務改善助成金は賃上げの事前に交付申請が必要なため、順番を間違えると全額自己負担になる落とし穴があります。

複数の助成金・税制を同時に使うことはできますか?
目的が異なれば併用できる組み合わせが多くあります。ただし同一の賃上げ原資・同一経費への重複計上は認められない場合があるため、労働局・社会保険労務士・税理士に事前確認してから申請するのが確実です。
対象判定チェック
これらの助成金は要件該当と計画認定で受給できる制度ですが、不支給要件に触れる失敗や不正受給リスクを見落とすと、審査で対象外と判定されたり、後日返還を求められたりします。以下は実務でよくある落とし穴です。
情報公表加算は毎年もらえますか?
いいえ。情報公表加算は1事業所あたり1回のみの加算です。年度をまたいで繰り返し受給することはできません。
| 制度名 | 所管 | 受給・適用までの目安期間 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 業務改善助成金 | 都道府県労働局 | 交付決定後、実施・報告を経て数か月 | 設備投資で生産性を上げたい企業 |
| キャリアアップ助成金(正社員化) | ハローワーク・労働局 | 転換から第1期6か月・第2期さらに6か月後 | 非正規雇用の定着・転換を進めたい企業 |
| 人材確保等支援助成金 | ハローワーク・労働局 | コースにより異なる(半年〜1年程度) | 雇用管理制度やテレワーク環境を整備したい企業 |
| 賃上げ促進税制 | 国税庁(税務署) | 決算・確定申告のタイミングで即時控除 | すでに賃上げを実施し、決算で還元したい企業 |
先に動きやすい制度
準備に時間がかかる制度
最終更新:2026年7月12日/本記事は令和8年度の公表資料・審議会資料にもとづく解説です。個別の受給可否・具体的な最低賃金額は、労働局・ハローワーク・税理士等の専門機関にご確認ください。
対象・申請情報まとめ
詳細条件は公募要領で確認してください。
この補助金のポイント
| 公募期間 | 業務改善助成金は令和8年9月1日申請受付開始予定。最低賃金の都道府県別金額は2026年7月下旬の中央答申後、8〜9月に順次決定、10月頃発効見込み 常時受付 / 要確認 |
|---|---|
| 実施機関 | 厚生労働省 |
| 主要スケジュール |
|
| 申請方法 | オンライン申請 公式申請ページへ |
| 公募要領 |
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編集: 補助金図鑑 編集部
中小企業診断士・社会保険労務士 監修体制
本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助額・対象要件・募集状況は変更される場合があるため、申請前に必ず各実施機関の公募要領・公式情報をご確認ください。